【最終更新日】2022年4月27日
CONDRIEU(コンドリュー)はローヌ地方のヴィオニエから造られる最高級 白ワイン のAOCです。
コートロティと共にローヌ地方を代表するワインと言われており、良質なだけでなく、良質かつ希少なワインとなります。
ローマ時代から生産されているという古い歴史を持っていて、丁寧で高品質なワインを長らく生産しています。
コートロティと地続きにもかかわらず、ここでは 白ワイン しか造っていません。
ここで普通の ワインファン であればこれを不思議に思うでしょう。
これにはしっかりとした理由があって、土壌の基盤が花崗岩質で コートロティ と一緒なのですが、表土が アルゼル と呼ばれる細粉化した雲母を含む表層なのです。
この表層部に様々な鉱物質が含まれているため、コートロティとは全く違うワインが造られたのです。
コンドリューは生産者からすればやっかいなワインといえます。
その第一はこの表層部の土壌で、軽い砂質なので大雨が降ると下へ流されてしまうのですが、これを人の手でまた再度上まで担ぎ上げる作業を歴史的に行ってきたのです。これはけなげとしか言いようがありません。
さらに、ヴィオニエという品種は栽培の難しい品種として知られているのです。
普通の栽培農家であればほかの(栽培の楽な)ブドウ品種に植え替えようとするのが普通の感覚でしょう、それを古代ローマ時代から頑として譲らず現在まで至ります。
そうまでしてできるワインがまずかろうはずはありません。
ここでその全体像を押さえてみましょう。
コンドリュー ワイン
希少性の高いローヌの高級白ワイン
コンドリューは白のみのAOCで、ヴィオニエを100%使用して生産されます。
ヴィオニエはバラやスパイスなどの派手な香りの特徴のある品種で人気が高く、現在ではカリフォルニアやオーストラリアなどでも生産されています。
ですが、もともとヴィオニエは原産地がコンドリューとされています。
コンドリュー認定の土地が115haと狭く、栽培しているブドウ自体がヴィオニエのみとなっています。
115haというとぴんと来ないかもしれません。
メドックの5大シャトーがそれぞれ100haほどですから、単一のAOCとしてはいかに面積が小さいかがわかるでしょう。
急斜面で行われるブドウ栽培
前述のようにコンドリューは、コートロティと隣接しているにも関わらず、環境は全く異なります。
南西向きに広がった畑は乾燥した砂状の壁で覆われているため(コートロティは花崗岩質)、ミネラルを豊富に含むヴィオニエが造られるのです。
畑が全体的に傾斜が急なため、機械作業には不向きです。
そのためほとんどのワイナリーでは畑作業は人間の手作業で行われるため、どうしても希少価値の高いワインとなるのです。
日当たりの良い畑で栽培され、丁寧に造られたヴィオニエは、豊かなアロマが特徴です。
厄介なワインというのは土壌だけではなく、ヴィオニエ というブドウ品種にも同様のことが言えます。
ヴィオニエ は干ばつにはよく耐えるのですが病気に弱く、これが栽培家泣かせなのです。
ウドンコ病 に弱く、結果不良 ( Coulure )や ミルランダージュ といって果粒不揃いになりやすく、木が育っても実がなりづらい性質があるのです。
このような品種なので、おそらくローヌのほかの栽培農家はそんな厄介な品種でなくてもほかの品種があるさと敬遠したのでしょう。
いまでこそ ヴィオニエ は名前が売れたため世界中で栽培されるようになりましたが、おそらく昔は半分変わり者扱をうけていたかもしれません。
下火だったころから長くヴィオニエの可能性を信じて栽培し続けた生産者の熱意には本当に頭の下がる思いです。
コンドリューの特徴
コンドリューは様々なワイン専門家に絶賛されています。
ロバートパーカーは「称賛に値するほどの余韻の長さを持ち、しっかりとしたアルコールによってのぼせてしまいそうなワイン」と評し、
ジャンシスロビンソンは「そのブーケは一度嗅いだら忘れることのできない、じれったくなるような、適切なことばが見つからないものだ」と評しています。
これを聞いても何を言っているか伝わらないよというのが普通の感覚というものです。
要するに飲まなけりゃわからないくらいにうまいワインだということでしょう。
コンドリューはリリースしたては美しい黄金色で、蜂蜜や洋ナシのような甘い果実の香りが感じられます。
一瞬トロッとした印象があるかもしれませんが、これは良いブドウで造られたためエキス分が高いからです。
糖分が上がりやすい性質のためアルコールの高さと果実味を感じることが出来るリッチなワインとなります。
白ワインでは珍しくフルボディの味わいとなり、熟成されるとトロピカルフルーツやバニラといった芳醇な香りが楽しめます。
ただし熟成させるといっても限界があります。熟成期間は2~4年くらいがお勧めです。
飲み方のコツ
コンドリューは、酸味が穏やかでボディを感じる白ワインなので、やや高めの10度程度でいただくのがベストでしょう。
10度といえば、ご家庭では冷蔵庫で一晩冷やし、室温で30分ほどおいておくことで近い温度になります。
ワインクーラーがあれば、水を入れずに氷だけを下のほうに少し置くことで温度を保つことができます。
グラスは先がつぼまった形であれば、特に問題はありません。
ただし大ぶりなグラスはワインの温度によって白く曇ってしまいますし、飲み切るまでに温度が上昇してしまいますのでお勧めできません。
小ぶりから中ぶりなグラスがいいでしょう。
コンドリューは、希少性が高く、普通に生活していれば飲む機会はまずありえません。
できれば事前知識を仕入れて気分を盛り上げていただきたいワインです。
相性の良い料理
まろやかながらも味の濃い白ワインなので、魚料理の中でも特にサーモンをグリルしたものが相性良くなっています。
また魚だけでなく、豚肉やウサギ肉などの白身肉とも相性が良いでしょう。
また香りを楽しめるワインなので、食前や食後にも楽しめるワインとなります。
食前であればアロマティックな香りを楽しむグラスワインとして最高でしょう。
食後であればナッツやチーズなどと共に、このワイン独特のゴージャスさを楽しむことがお勧めです。
コンドリューは、造るのは大変な労力がいるワインであるにも関わらず、ながいこと正当な評価を受けず、陽の当たらないワインでした。
このワインを長いこと支えていたのは現地の当時三ツ星レストランであったピラミッドという名店です。
このお店ではブルゴーニュのモンラッシェと同格にコンドリューをお勧めし、そして弟子のポールボキューズやトロワグロ、アランシャペルもその流れを引き継ぎます。
そして少しずつ花開いていったのがコンドリューというワインなのです。
もし一年に一度、じっくりとおいしい白ワインを堪能しようという機会があれば、ブルゴーニュの名ワインとともに、コンドリューも頭の片隅に置いておいても損はないでしょう。
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