【最終更新日】2022年4月28日
ワインバーやフレンチレストランに何回か通うと、ワイングラスの形に様々なものはあることに気づくと思います。
例えばブルゴーニュグラスはなんとなく↓のグラスのような形を思い浮かべるのではないでしょうか。
これは ブルゴーニュ だけでなく、ボルドーグラスもあれば シャンパーニュ の形もありますし、メーカーによってももちろん違います。
グラスの形はいろいろありますが基本的にはブルゴーニュグラス、ボルドーグラス、フルートグラス(シャンパーニュ)の三つさえ押さえれば大夫でしょう。
もちろん最初のうちはこの形を覚えておけばとりあえず対応することは可能です。
しかし、「なぜその形になったの」を知っているほうがより楽しめると思いませんか?
単純に形と名前を覚えるのは簡単ですが、「では、なぜその形になったの?」は意外に知られていません。
ここで検討してみましょう。
【動画でも解説しています】
目次
ワイングラスの形の違い
最も大きなファクターは心理面
後述しますが突き詰めればワイングラスは理由があって現在のそれぞれの形になったのですが、実際に中身のワインにはなんら違いはありません。
そのためグラスの形は味わいそのものに決定的な違いをもたらすものではありませんし、ワイングラスでワインの中身に変化があればそれはそれで大変な問題です。
そのためワイングラスに関して「こうでなくてはいけない」というものはありませんし、一応のセオリーさえ押さえれば厳しく選ぶ必要はないと考えるほうがいいでしょう。
身も蓋もありませんが、ある程度のセオリーの形を押さえたら、あとはグラスの見た目が好きか嫌いかとかの心理面がもっとも影響を及ぼすのです。
人間の舌の構造が与える影響
人間の舌は甘味は舌全体、酸味は側面、苦味は舌の奥、塩味は舌先とそれぞれの場所によって甘味や酸味、渋みなどを感じる部分が違います。
(味蕾マップについては、近年は存在せずに心理的な要因で感じる部分が違うとする説が強いです)
そのため、例えば シャンパーニュ や シャブリ のように酸味の強い白ワインを飲む場合に口幅の広いグラスを選ぶと酸味を感じやすい側面にダイレクトにワインが当たってしまい、酸味がより強調されてしまいます。
そのためできれば先の細いフルートグラスやチューリップグラスがベストということになります。
視覚が与える影響
次に、ワイングラスが視覚に与える影響を考察しましょう。
例えば スパークリングワイン は↑の図のようなフルート型で提供されますが、下から立ち上る泡がとてもきれいですよね。
スパークリングワイン に フルートグラス が選ばれるのは立ち上る泡を楽しむためなのです。
また、前述しましたが口にあたる部分が小さいのでワインが直線的に口に入ります。
そのため酸味を感じやすい舌の側面にダイレクトに当たりませんのでシャンパンがおいしく感じられるのです。
パーティーなどではスパークリングワインは↑のような幅広のグラスで提供されます。
ただしこれはワインバーやレストランでは明らかに不向きです。
この形↑は乾杯用ですのでまだいいですが、ワインバーで幅広のグラスが出たのでは先が思いやられます。
なぜ白ワイングラスは小さくて赤ワイングラスは大きいのか?
白ワインは赤ワインに比べて小さなグラスが選ばれますが、これは白ワインの適温が低いので大きなグラスに注ぐと白く曇る部分が大きいので好まれないというものです。
また、白ワインは適温が6~8度と低いので、小さなグラスにこまめに注いで適温をキープするという意味もあります。
逆に赤ワインは大きなグラスであっても、適温は室温と大差はありませんので気にする必要がありません。
大ぶりのグラスに注ぎ、ゆったり飲むにはぴったりということです。
ワインの香り
ワインの香りは高級なワインになると強く、大衆的なワインは弱い傾向にあります。
元々のブドウのつくりが違うので当たり前なのですが、これもワイングラスの選定に影響を与えます。
例えば香りの強いワインでは小さなグラスだと香りのボリュームがグラスに収まらずに魅力を発揮しきれないことになります。
逆に大衆的なワインを大きなグラスに注ぐと香りのボリュームが小さいのでより小さなグラスのほうが適するのです。
高級なワインは大ぶりのグラス、大衆的なワインは小さめのグラスというのはこのような理論があるのです。
歴史的な背景・マナーなど
また、歴史の経過とともに現在ではさほど意味をなさなくなったけど、なんとなく選んでいることでマナーのようなものになっているものもあります。
例えばボルドーグラスとブルゴーニュグラスですが、では逆にブルゴーニュワインをボルドーグラスで、ブルゴーニュグラスをボルドーグラスで飲むといけないのでしょうか?
びっくりするかもしれませんが、トップソムリエになればなるほどおそらくほとんどの人は「味わいにはあまり関係ない」と答えると思います。
いいグラスであればどちらでもおいしく感じますし、どっちがいいという理屈も見出しにくいでしょう。
ただし、長い歴史で「ボルドーはこのグラス、ブルゴーニュはこのグラス」というマナーのようなものが出来上がっています。
もちろん様々な理由があるのかもしれませんが、現在は昔のように「ワインといえばボルドーかブルゴーニュか」という時代ではありません。
現在では先入観や「なんとなくしっくりくる」という程度かもしれませんが、これも心理面に影響を与えます。
まとめ
ワイングラスには種類があって、それぞれに適するワインがありますが、それには理由があります。
・人間の舌の構造
・グラスの容量が少ないと温度変化が大きく、大きいと温度変化は少ない
・視覚が与える影響
・ワインの香りのボリューム
・歴史的なイメージ
ほかにもありますがこれらが影響を与えてグラスの形が決まった経緯があります。
一般のワインファンでは見過ごされがちな理屈の部分ですが、知ることによってよりワインを深く味わえます。
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