アルザス地方・ロレーヌ地方のワイン

アルザス地方・ロレーヌ地方のワイン

アルザス・ロレーヌ地方
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学習のポイント

アルザス地方は全体像として独特のワインの表記システムがあります。

システムが違うため、出題者側からすれば出題のしやすい分野でもあります。

その一方で、覚えるべきポイントはさほど多くはありませんので早めのうちに得意分野にしましょう。

 

 

アルザス地方

県名)オー ラン(Haut-Rhin)、バ ラン(Bas-Rhin)

アルザス(Alsace)地方について

 

フランス北東部、ドイツ との国境付近に広がるワイン産地です。

行政上はグラン テスト地域圏に属しています。

フランス と ドイツ の領地争いに翻弄された地域であり、ドイツ からの影響を色濃く受けています。

そのため フランス のワイン産地としては独特な地方です。

 

 

気候:大陸性気候

ブドウ畑は東に ライン川、西に ヴォージュ山脈 という位置に広がっています。

南北170km、東西に1.5~3kmの産地です。ヴォージュ山脈 の影響で降雨量は少なく、暖かく乾燥した気候がもたらされています。

高緯度ではありますが、同緯度の産地と比べると温暖です。

 

 

土壌:モザイクと表現されるほど多様な土壌を持ちます。

花崗岩や片麻岩、黄土、シスト(結晶片岩)、泥灰質など様々な土壌が見られます。

 

※ワイン生産量  1,044,343hℓ(白90%、ロゼ8%、赤2%)

ブドウ栽培面積 15,637ha

総生産量の25%が輸出に向けられています。

 

アルザスの歴史

古代ローマ時代からブドウ栽培は行われていたとされていますが、明文化されたのは9世紀の文献が初めてだとされています。

アルザスの歴史は、フランスとドイツの領地争いの歴史でもあります。

 

神聖ローマ帝国の支配後、アルザスはフランス領(ウエストファリア条約1648年)となりましたが、普仏戦争で敗れた フランス は、フランクフルト講和条約でドイツ帝国にアルザスを譲渡することになりました(1871年)。

この時期、ドイツ最大のワイン産地として質よりも量を求めていきます。

 

第一次世界大戦が終わるとまたフランス領に戻ります(ベルサイユ条約1919年)。

この時期からまた上質なブドウの栽培が再開されました。

しかし1940年にはナチス ドイツがアルザスを占領。

戦後1945年にフランス領に戻り、1962年にはアルザスA.O.C.が制定され、現在に至っています。

 

アルザスの経済や文化

アルザス は文化的にも ドイツ の影響を強く受けており、郷土料理 も ドイツ にどこか近いものがあります。

古くから鉄鋼業が栄えてきた地域でもあり、ストラスブール にはEUの主要機関も置かれています。

ゲルマン系アレマン人を祖としており、今でもゲルマン語系のアルザス語を6割の住民が理解できるようです。

 

ブドウ品種

アルザスは地理的・歴史的にもドイツと近く、ドイツ系品種が多く栽培されています。

 

白ブドウ品種:リースリング(Riesling)、ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)、ピノ ブラン(Pinot Blanc)=クレヴネル(Klevner)、シルヴァネール(Sylvaner)、ピノ グリ(Pinot Gris)、ミュスカ(Muscat)

※ リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ グリ、ミュスカは上質指定4品種です。

 

黒ブドウ品種:ピノ ノワール(Pinot Noir)

 

郷土料理やチーズ

シュークルート(Choucroute):発酵したキャベツとソーセージなどを入れた煮込み料理。

ベックオフ(Baeckeoffe):肉と野菜の蒸し煮。

タルト フランベ(Tarte Flambée):アルザス風の薄焼きピザ。

クグロフ(Kouglof):レーズンの入ったブリオッシュ。

フォワ グラ ドワ(Foie Gras d’Oie):ガチョウのフォワグラ

マンステール(Munster):牛乳。ウォッシュタイプのチーズ。

 

 

主なA.O.C.と様々な表記

アルザス、ヴァン ダルザス(Alsace、Vin d’Alsace)

アルザス のほぼ全域が含まれたA.O.C.です。赤・ロゼ・白が生産可能です。

単一品種を使用した場合、ラベルに品種名を表記できます。

※オーセロワ と ピノ ブラン をブレンドした場合、ピノ ブラン と表記できます。

条件を満たした場合、13の地理的名称や リューディ (区画)を表記することができます。

 

(13の地理的名称と使用品種)

地理的名称 ワインのタイプ 品種
Bergheimベルガイム Gewürztraminer
Blienschwillerブレンシュヴィレル Sylvaner
Coteaux du Haut Koenigsbourgコート・デュ・オー・ケーニングスブルグ Gewürztraminer, Riesling
Côtes de Barrコート・ド・バール Sylvaner
Côte de Rouffachコート・ド・ルファック 白・赤 Gewürztraminer, Pinot Gris, Riesling, Pinot Noir
Klevener de Heiligensteinクレヴネール・ド・ヘイリンゲンシュタイン Savagnin Rose
Ottrottオットロット Pinot Noir
Rodernロデルン Pinot Noir
Saint Hippolyteサン・ティポリット Pinot Noir
Scherwillerシェルヴィレール Riesling
Val Saint Grégoireヴァル・サン・グレゴワール Auxerrois,Pinot Blanc,Pinot Gris
Vallé Nobleヴァレ ノーブル Gewürztraminer, Pinot Gris, Riesling
Wolxheimヴォルクサイム Riesling

 

ブレンド ワインの表記

エデルツヴィッケール  Edelzwicker:複数の 白ブドウ を 混醸 または ブレンド したワイン。

ジャンティ  Gentil:複数の 白ブドウ品種 を ブレンド(アサンブラージュ) したワイン。

混醸は認められず、50%以上高貴品種を使用する必要があります。

 

(甘口ワインの表記)

手摘み収穫 をした高貴4品種に限り、甘口ワイン の表記をすることができます。

また、収穫翌年の6月1日までの熟成が必要であり、以下の果汁糖度が必要です。

 

品種 Vendanges Tardives
(遅摘み)
Sélection de Grains Nobles
(貴腐選果)
Gewürztraminer 270 g/L 306 g/L
Pinot Gris 270 g/L 306 g/L
Muscat 244 g/L 276 g/L
Riesling 244 g/L 276 g/L

 

※ゲヴュルツトラミネールとピノグリは糖度が上がりやすい為、高く設定されています。

どの品種も補糖は認められていません。

 

【アルザスの糖度表示に新制度が加わりました】

表示 残糖基準 補足条件
Sec 残糖 4g/L 以下 または
残糖(g/L) − 総酸度(g/L) ≤ 2g/L
(ただし残糖 9g/L 以下)
Demi-sec 残糖 12g/L 以下 または
残糖(g/L) − 総酸度(g/L) ≤ 10g/L
(ただし残糖 18g/L 以下)
Moelleux 残糖 45g/L 以下
Doux 残糖 45g/L 超

VDTとSGN以外のアルザスワインに糖度表記が義務付けられます。

Sec:残糖4g/lまで。または残糖から総酸度を引いた値が2gを超えなければ9g/lまで

Demi-Sec:残糖12g/lまで。または残糖から総酸度を引いた値が10gを超えなければ18g/lまで

Moelleux:45g/lまで

Doux:45g/l以上

 

アルザス グラン クリュ(Alsace Grand Cru)

1975年に初めて認定されたA.O.C.であり、現在は51の リューディ が認められています。

これまでは白ワインの生産のみ認められていましたが、2022年より一部赤ワインの生産が認められたため、現在は白と赤のアペラシオンになっています。試験ではひっかけ問題として出題される可能性があるため、お気を付けください。

 

収穫は手摘みで行われ、ブドウ品種は原則、高貴4品種のみ認められています。

ACアルザスと同じように甘口の表記は可能です。

 

※例外的なグランクリュ

アルテンベルグ ド ベルガイム(Altenberg de Bergheim)

ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、リースリングのうちのどれか単一を使用。

または三品種の混醸。(リースリング50~70%、ピノグリ10~25%、ゲヴュルツトラミネール10~25%)

ピノブラン、ピノノワール、ミュスカ、シャスラ は2005年3月26日以前に植樹されたものであれば合計10%まで使用できます。

 

ゾッツェンベルグ(Zotzenberg)
リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ グリ、シルヴァネールのどれかを単一品種で使用します。

 

ケフェルコップフ(Kaefferkopf)
リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリのどれかを単一品種で使用します。
または、三品種の混醸あるいはブレンド。(リースリング10~40%、ゲヴュルツトラミネール60~80%、ピノ グリ~30%)

 

ヘングスト(Hengst)、キルシュベルグ・ド・バール(Kirchberg de Barr)、フォルブール(Vorbourg)

リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、ミュスカの4品種を単一で醸造した白、またはピノノワールを単一で醸造した赤。

もともと白のみでしたが、2022年5月9日の政令でヘングスト(Hengst)、キルシュベルグ・ド・バール(Kirchberg de Barr)が認められたため、アルザスグランクリュは赤・白のAOCとなりました。

2024年7月4日の政令でフォルブール(Vorbourg)にも赤が認められたため、現在アルザスグランクリュでは赤ワインが3つ認められていることになります。

 

クレマン ダルザス(Crémant d’Alsace)

1976年に認定された発泡性ワインのA.O.C.です。

白:リースリング、ピノ グリ、ピノブラン、オーセロワ、シャルドネ、ピノ ノワール

ロゼ:ピノノワール

瓶内二次発酵で造られる必要があり、9カ月は瓶内で熟成させなければいけません。

クレマンダルザス は クレマン の中では フランス 一位の生産量です。

 

 

ロレーヌ地方(Lorraine)

県名)モーゼル(Moselle)、ムルト エ モーゼル(Meurthe-et-Moselle)、ムーズ(Meuse)、ヴォージュ(Vosges)

 

ロレーヌ地方について

アルザスの西に隣接した地方で、グラン テスト地域圏を構成している地方です。

ブドウの栽培面積は300haにも満たず、生産量も少量です。

郷土料理としては、キッシュ ロレーヌ(Quiche Lorraine:キッシュ ロレーヌ風)が知られています。

*キッシュロレーヌ: ベーコンとほうれん草のキッシュ

 

主なA.O.C.とI.G.P

コート ド トゥール(Côtes de Toul)

1998年にA.O.C.に認定されました。赤・グリ(色調の淡いロゼ)・白が生産可能です。

ガメイ、ピノ ノワール、オーセロワを直接圧搾してグリワインを生産しています。

赤はピノ ノワールを使用し、白はオーセロワ主体です。

 

モーゼル(Moselle)

2011年にA.O.C.に昇格しました。

赤、ロゼ、白が生産可能です。

ピノ グリまたはミュラー トゥルガウを単一で使用した白ワインは、その品種名を表記できます。

 

コート ド ムーズ(Côte de Meuse)

ムーズ県の一部に認められたI.G.P.です。

赤・ロゼまたはグリ・白が生産可能です。新酒(プリムール、ヌーヴォー)も産出しています。

 

【ここまでの理解度を10問の基本問題で確認しましょう】


 

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