【最終更新日】2025年4月24日
ブルゴーニュワインを語るうえで、避けて通れないのが「コート・ド・ニュイ」と「コート・ド・ボーヌ」の違いです。
この二つの地区を合わせた「コート・ドール」は、ブルゴーニュの中核であり、世界でも最も評価の高いピノ・ノワールとシャルドネを生み出す土地として知られています。
コート・ド・ニュイはロマネ・コンティやシャンベルタンに代表されるように、赤ワインの聖地として名を馳せ、複雑で華やかな味わいが特徴です。
一方で、コート・ド・ボーヌはモンラッシェやムルソーといった白ワインの銘醸地として名高く、豊かなミネラルと品格ある酸を備えたシャルドネを生み出します。
同じコート・ドールに位置しながら、なぜここまでワインの個性が分かれるのか?
その答えは、地形・土壌・気候、そして歴史の積み重ねにあります。本稿では、それぞれの地区の特徴を比較しながら、その違いの本質に迫ります。
【動画でも解説しています】
目次
【ブルゴーニュワイン】コートドニュイとコートドボーヌの違いとは?
コートドニュイ地区
コート・ド・ニュイは、ブルゴーニュ地方の中でも特に赤ワインの名産地として世界的に知られています。
ディジョンの南からニュイ・サン・ジョルジュにかけて南北約20kmにわたる細長い丘陵地帯で、急な東向きの斜面に畑が広がります。
この地域の土壌は主に粘土と石灰岩が混じる「マール」と呼ばれる土壌で、ピノ・ノワールの繊細さと複雑さを最大限に引き出す条件が揃っています。
冷涼な気候と十分な日照により、果実味と酸のバランスに優れた長熟型のワインが生まれます。
ヴォーヌ・ロマネ、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーといった世界的銘醸地を擁し、グラン・クリュの大半が集中していることもこの地の特異性を物語っています。
華やかで気品ある味わいと、飲む者を魅了するストーリー性こそが、コート・ド・ニュイの最大の魅力です。
コートドボーヌ地区
コート・ド・ボーヌは、ブルゴーニュ地方南部のワイン産地で、特に白ワインの銘醸地として世界的に知られています。
ニュイ・サン・ジョルジュの南からシャサーニュ・モンラッシェ付近まで約25kmにわたって広がるこの地域は、なだらかな丘陵と豊かな石灰質土壌に恵まれ、シャルドネのエレガントでミネラル感あふれる白ワインを生み出します。
ムルソーやピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェといった村はその象徴です。
一方で、ポマールやヴォルネイ、ボーヌといった村では伝統的なピノ・ノワールによる赤ワインも造られており、やや控えめながらも素朴で滋味深い味わいが特徴です。
また、交易都市として栄えたボーヌの存在により、歴史的にも早くから発展した背景があります。
洗練された白と、通好みの赤。
コート・ド・ボーヌは、ブルゴーニュの懐の深さを物語る産地です。
二つ合わせて”コートドール地区”
ブルゴーニュ地方のワイン産地において、最も格式高く評価される地域が「コート・ドール(Côte d’Or)」です。
この“黄金の丘”と呼ばれるエリアは、北のコート・ド・ニュイと南のコート・ド・ボーヌという、2つの著名な産地を合わせた呼称です。
どちらもピノ・ノワールとシャルドネの栽培において世界最高峰の品質を誇り、ブルゴーニュワインの象徴とも言える地域です。
コート・ド・ニュイは赤ワイン、特に華やかで複雑なピノ・ノワールで名を馳せ、コート・ド・ボーヌは白ワインの銘醸地としてその名を知られています。
地理的にも、東向きの斜面と石灰質土壌に恵まれ、ぶどう栽培に理想的な条件が揃っています。
数あるブルゴーニュの地区の中でも、なぜこの2地区が特別なのか。その答えは、自然条件と人の手が長年にわたり築いてきた“歴史の積み重ね”にあるのです。
違い①赤白の生産量
ブルゴーニュ地方では、ピノ・ノワールとシャルドネが主なぶどう品種として栽培されていますが、その生産バランスは地域によって大きく異なります。
特に注目すべきは、コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌにおける赤白の割合の違いです。
コート・ド・ニュイでは全体の生産量の約9割以上が赤ワインで占められており、まさにピノ・ノワールの楽園とも言える地域です。
ヴォーヌ・ロマネやジュヴレ・シャンベルタンなど、世界的に有名な赤の銘醸畑が集中していることからも、その傾向は明確です。
一方、コート・ド・ボーヌでは白ワインの生産が全体の約60〜65%を占めており、ムルソーやピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェなど、シャルドネによる高品質な白が主流となっています。
ただし、ポマールやヴォルネイなど一部の村では赤ワインの評価も高く、地域全体としては赤白が共存するバランス型の産地とも言えます。
このように、両地域は地理的には連続しているものの、土壌や気候の違い、そして歴史的な背景によって、それぞれが異なるワインスタイルを発展させてきました。
赤を極めたコート・ド・ニュイ、白に秀でたコート・ド・ボーヌ。
生産量の違いは、単なる統計データではなく、その土地の個性と文化を映し出す鏡とも言えるのです。
違い②評価:赤のニュイ、白のボーヌ
ブルゴーニュワインの世界において、赤と白それぞれで最も高い評価を受けている地域は明確に分かれています。
赤ワインにおいては、コート・ド・ニュイが圧倒的な存在感を放っています。
ロマネ・コンティ、シャンベルタン、ミュジニーなど、世界の愛好家が憧れるグラン・クリュの赤は、ほとんどがこの地域に集中しており、その複雑さと気品は他に類を見ません。
一方、白ワインの分野では、コート・ド・ボーヌがその頂点に立っています。
モンラッシェを筆頭に、ムルソーやピュリニー・モンラッシェなど、シャルドネの真価を体現する産地が連なっています。
これは単なる偶然ではなく、土壌や地形、気候の特性がワインの個性を形作り、それが長い時間をかけて評価として定着してきた結果です。
今日でも、世界中のプロや愛好家たちは、「赤はニュイ、白はボーヌ」という認識を一つの常識として共有しています。
違い③味わい
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌは、同じブルゴーニュ地方に位置しながらも、ワインの味わいには明確な違いがあります。
まずコート・ド・ニュイは、主にピノ・ノワールによる赤ワインが中心で、その味わいは非常に複雑で華やか。
香りには赤い果実やスパイス、土のニュアンスなどが感じられ、口当たりは繊細ながらも奥行きがあり、長い余韻を残します。
特にグラン・クリュクラスでは、重厚で気品のある味わいが特徴的で、熟成によってさらなる美しさを見せます。
一方のコート・ド・ボーヌは、白ワイン、特にシャルドネの名産地として知られており、ふくよかでリッチな味わいが魅力です。
ムルソーのようにナッツやバターの風味を感じさせるタイプもあれば、ピュリニー・モンラッシェのようにミネラル感が際立ち、キリッとしたエレガンスを備えたスタイルもあります。
赤ワインも造られていますが、ニュイほどの派手さはなく、やや控えめで素朴な味わいが特徴です。
総じて言えば、コート・ド・ニュイは「感動的な赤」、コート・ド・ボーヌは「洗練された白」と覚えるとイメージしやすく、それぞれにファンが多いのも頷けます。
まとめ
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌ、どちらが優れているという話ではありません。
それぞれに個性があり、ワインの魅力も方向性も異なります。だからこそ大切なのは、「気分やシチュエーションに応じて選ぶ」こと。
特別なディナーや記念日には、コート・ド・ニュイの赤ワイン。華やかで奥深く、場の雰囲気を格上げしてくれます。
一方、友人とのランチやリラックスした食卓には、コート・ド・ボーヌの白ワイン。
ふくよかで上品ながらも親しみやすく、会話も自然と弾みます。気取らず楽しみたいときは、ボーヌの素朴な赤もおすすめ。
ワインはただの飲み物ではなく、「その日の気分や思い出を彩る演出家」です。
味わいや評価の違いを理解した上で、自由に、そして自分らしく選ぶこと。
それがブルゴーニュワインをもっと楽しむための、一番のコツかもしれません。
【ワインブックスオンラインスクールのご案内】

このサイトは、ワインブックススクールの運営です。
ワインブックススクールでは、月額2200円で、いつでも、どこでも、誰でもワインの学習ができる環境が整っています。
ソムリエ・ワインエキスパート試験の対策に
趣味のワインライフに
エクセレンス試験の対策に
飲食店の頼もしい見方に
ご活用ください。必ずお役に立てることをお約束します。
WBSのソムリエ・ワインエキスパート試験対策講座はこちら→
毎月届くブラインドテイスティングのサブスクリプションサービス
全国どこでも受講できるブラインドテイスティングの通信講座もお勧めです→
ワインブックスにお越しいただいてのテイスティング講座はこちら
ワインブックスのテイスティングコースはこちら→