【ソムリエ・ワインエキスパート試験】土壌問題の勉強方法

【最終更新日】2024年8月1日

ソムリエ・ワインエキスパート試験では、生産地域と土壌についての知識が求められます。

土壌はワインの風味や品質に直結する重要な要素であり、試験ではその種類と特徴、及びワインに与える影響について理解が必要です。

主要な土壌タイプには、粘土質、砂質、石灰質、ローム質、火山性土壌などがあり、それぞれがブドウの成長や味わいに異なる影響を与えます。

 

例えば、石灰質土壌は酸味の強いワインを生み出し、粘土質土壌はフルボディのワインを生み出す傾向があります。

また、土壌の水分保持力やミネラル含有量もブドウの品質に大きな影響を与えます。

試験では、各土壌タイプの具体的な例や、それがどの地域で見られるか、そしてワインのスタイルにどのように寄与するかを把握することが求められます。

 

ただし、いまのところ土壌→ワインの味わいはこれといった問題は見いだせず、もっぱら生産地域→土壌の名称の出題が多いようです。

今回は、練習問題を例にとって、ソムリエ・ワインエキスパート試験の土壌問題の取り組み方を見て見ましょう。

 

*この記事は、WBSワインブックススクールの代表前場が、インスタグラムに毎日投稿するソムリエ・ワインエキスパート試験のお役立ち情報を抜粋し、スタッフが記事にしています。

【過去の記事はこちら】

 

土壌問題の正しい学習方法とは?

全部を覚えようとしない

【練習問題】Jerezの土壌で、石灰分の含有量が20%以下で、砂と粘土を含む海岸地域に多い土壌を選んでください。

① Albariza

② Barro

③ Arena

④ Licorella

 

WBSでは後期日程にも多くの今年度受験生が参加されます。

その中で「土壌をどこまで覚えればいいかわからない」

という声もありましたので、最適解をおさえましょう。

この場合でも基本はWBSが口を酸っぱくして言っている「出題側の身になって推測しながら教本読み込みをする」ことが最も重要になります。

 

土壌問題を作成する側になった場合を想像しましょう。

①問題として出しやすい問題

②問題にしづらい問題

③問題にできない問題

煎じ詰めればこの三つしかありません。

 

③は問題として成立しませんので無視しましょう。

①は土壌に特定のキーワードが紐づいている場合です。

②は砂質とか粘土質とかの一般論としての土壌の場合です。

 

もちろん②も出題の可能性はありますが、

①と比べるとかなりさがります。

 

↓正解はインスタ投稿の下↓

 

【正解】③ Arena

この問題は、まず前提としてJerezがシェリーと紐づいていないと回答ができません。

Jerez,Xerezはともにシェリーのことです。

さらに、教本本文をしっかり読み込み、3つの土壌をおさえましょう。

 

Albariza→炭酸カルシウムを25%以上含む真っ白な石灰質

Barro→Albarizaよりも粘土と砂を含む

Arena→石灰分の含有量が20%以下の砂と粘土を多く含む土壌

になります。

Licorellaはプリオラートの土壌です。

 

このように、単独のキーワードが土壌に紐づいているものが出題しやすいですし、いわゆる狙い打ちがされやすい部分ということになるのです。

 

土壌問題については、そのほとんどは「○○の生産地域の土壌を選んでください」の形式ですので、この場合の出題側の心理を推測することになります。

例えば「粘土石灰質に小石の混ざった土壌」であれば、どこまで混ざっているのか分かりませんし、土壌についても踏み込むと非常に複雑

なので一つの生産地域についてひとくくりにできるほど単純ではありません。

そのため特定のキーワードがある方が問題にしやすいのです。

 

例えばジュラシック・ドレライト、コートブロンド、コートブリュンヌ、テラロッサ、ガレストロなどのキーワードです。

これらのキーワードがどこに当てはまるかわかりますか?

さらに、土壌が単一の表記のEtnaなどは問題にされやすいので

しっかり押さえておきましょう。

 

土壌がワインの味わいに与える一般論

ワインの味わいにおける土壌の影響は非常に重要で、テロワールの一部としてワインの個性を形成する要素の一つです。

土壌はブドウの栽培において栄養素と水分の供給源となり、ワインの風味や質感に直接的な影響を与えます。

以下に主要な土壌タイプとそのワインへの影響を概説します。

 

なお、ここから先はエクセレンス試験向けで、かつ、一般論ですので異論もあることをご了承の上でご参考下さい。

 

粘土質土壌

粘土質土壌は水分保持力が高く、冷却効果もあるため、ブドウの成熟を遅らせることがあります。

この土壌で育つブドウは酸味が強く、フルボディでしっかりとした構造のワインを生み出す傾向があります。

ボルドーのメドック地区がその代表例で、カベルネ・ソーヴィニヨンがこの土壌で特に良い結果を出します。

 

石灰質土壌

石灰質土壌は優れた排水性と適度な水分保持力を持ち、ブドウの根が深くまで伸びるのを助けます。

この土壌で育つブドウは、ミネラル感が豊富で酸味が強く、エレガントなワインを生み出します。

ブルゴーニュ地方のシャブリが典型例で、シャルドネが特に適しています。

 

砂質土壌

砂質土壌は排水性が非常に良く、熱を保持しやすい特徴があります。

このため、早熟で果実味豊かなブドウが育ちやすいです。砂質土壌で作られるワインは、軽やかでフルーティーなものが多く、スペインのリオハ地方やイタリアのトスカーナが代表的な生産地です。

 

ローム質土壌

ローム質土壌は砂、シルト、粘土の混合物で、水分と栄養素を適度に保持します。

この土壌は多様なブドウ品種に適しており、バランスの取れたワインを生み出すことができます。

ナパ・バレーやカリフォルニアの多くのワイン産地がこの土壌を持っています。

 

火山性土壌

火山性土壌はミネラルが豊富で、特に鉄分やマグネシウムが多く含まれます。

これにより、ワインには独特のミネラル感と複雑な風味がもたらされます。

シチリアのエトナ山周辺やスペインのカナリア諸島が火山性土壌の代表的な地域です。

 

影響まとめ

土壌はブドウの根に供給される栄養素と水分を制御し、これがワインの味わいやアロマに大きく影響します。

また、土壌のミネラル成分がワインのミネラル感や風味の複雑さを決定します。

最終的に、ワインの質感や酸味、果実味は土壌の特性によって大きく左右されるため、ワインの生産地域ごとの土壌の違いを理解することはワインの特徴を理解する上で不可欠です。


 

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