ソムリエ二次試験 テイスティングの過去問と出題されやすいワインとは?

ソムリエ・ワインエキスパートの最難関、一次試験の次に待ち構えているのが二次試験のテイスティングです。

ソムリエといえばブラインドテイスティング、というような世間的イメージもあり、ソムリエ試験の象徴的な試験とも言えるのではないでしょうか。

ただし、筆記試験と比べて対策や練習はしにくいので、どのような出題があるのかイメージすらできないという方も多いかと思います。

さらには、一次試験の約2ヶ月後の10月に行われますので、あまり時間が無いと焦る方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では過去の出題を元にテイスティング試験ではどのような出題があるのかを明らかにします。

また、二次試験の通過率は70〜80%と言われており、体感的な難易度としても一次試験が終わってからでも十分に間に合いますので焦らずしっかり準備できるようにしましょう。

 

 

ソムリエ二次試験の過去問

ソムリエ二次試験の全体像

一次試験はCBT試験でしたので好きな会場、時間に1人で受けますが、二次試験は支部ごとに分かれて決められた時間、会場に受験生が集まって行われます。

 

二次試験では例年5種類の飲料のテイスティングをします。

 

ただしソムリエとワインエキスパートでは内容が少し異なります。

ソムリエは3種類のワインと2種類のワイン以外の飲料のテイスティングをします。

ワイン3種類は赤が1、白が2種類の年もあれば赤が2、白が1種類の年もあります。

 

ワインエキスパートは4種類のワインと1種類のワイン以外の飲料のテイスティングです。

ワイン4種類は赤と白2種類ずつと考えていただいて大丈夫です。

 

回答は全てマークシートで行います。

テイスティングコメントの選択肢が書かれた用紙が配られますので、それぞれ当てがわれた番号をシートにマークして回答します。

この時、香りや味わいなど項目ごとに回答数が決められていますので注意してください。(昨年の試験終了後にTwitterなどで回答数を間違えたかもしれない。といった投稿が散見されました、、、)

 

また、試験時間は40分ですので、対策がきちんと出来ていなかったり、迷ってしまったりすると意外と時間が足りなくなるかもしれません。

4人に3人程度は通過する試験で、一次試験ほど難関ではありませんので、しっかりと傾向を掴む事が大切です。

 

過去の出題

二次試験のテイスティングは、誤解されがちですが「数多くあるワインの中から一つのワインを絞り込む」というものではありません。

どうしても世界中のワインから出題があって、何が出題されるかわからない中から探り出す、というイメージが先行しがちです。

 

ただし実際の過去問を見てもお分かりの通り、基本的なワインがほとんどです。

奇抜なワインはありませんし、難しい出題であってもよく耳にするワインなので、トレーニングの前にどういう出題傾向化をつかむのがかなり重要になります。

 

もちろん今年の出題がどのようなワインかは誰にもわかりませんから、今年度の出題は例外的にレアなワインばかりであることも可能性としてはあります。

しかしこの場合は受験生の回答は割れますし、大騒ぎするものではないと考えます。

 

主催者にはテイスティングを「たまたま当たった人が合格する」という試験にしたくない心理が働くのが合理的な推測でしょう。

これではテイスティング試験が名人芸のようなものになってしまい、受験生離れが起こってしまう可能性があります。

そのため出題側としてはトレーニングの成果が表れやすい出題にするはずです。

 

こういう試験そのものを分析する力は、WBSでさんざん学習しますので随分鍛えられました。

それでは直近5年間の出題を見てみましょう。

 

2022年

ソムリエ

1 フランス:シャルドネ

2 ドイツ:リースリング

3 オーストラリア:シラーズ

4 ピスコ

5イエガーマイスター

 

ワインエキスパート

1 ニュージーランド:ソーヴィニヨン・ブラン

2 日本:甲州

3 アメリカ:カベルネ・ソーヴィニヨン

4 フランス:シラー

5 オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ

 

 

2021年

ソムリエ

フランス:シャルドネ

イタリア:サンジョヴェーゼ

アメリカ:メルロ

ラム

ヴェルモット

 

ワインエキスパート

フランス:リースリング

フランス:ヴィオニエ

スペイン:テンプラニーリョ

チリ:カベルネ・ソーヴィニヨン

テキーラ

 

 

2020年

ソムリエ

フランス:ソーヴィニョン・ブラン

日本:シャルドネ

イタリア:ネッビオーロ

ホワイトポート

ウォッカ

 

ワインエキスパート

アルゼンチン:トロンテス

フランス:シャルドネ

フランス:カベルネ・フラン

ニュージーランド:ピノ・ノワール

ラム

 

 

2019年

ソムリエ

フランス:アリゴテ

アメリカ:カベルネ・ソーヴィニョン

スペイン:テンプラニーリョ

梅酒

ジン

 

ワインエキスパート

ニュージーランド:ソーヴィニョン・ブラン

日本:甲州

イタリア:サンジョヴェーゼ

オーストラリア:カベルネ・ソーヴィニョン

紹興酒

 

 

2018年

ソムリエ

アルゼンチン:トロンテス

フランス:リースリング

オーストラリア:シラーズ

マデイラ

カルヴァドス

ワインエキスパート

ドイツ:リースリング

オーストラリア:シャルドネ

日本:メルロ

フランス:グルナッシュ

ベネディクティン

 

 

よく出題されるワインの特徴

毎年バラバラのワインが出題されているように見えますが、試験ですのでやはり傾向はあります。

 

そもそもこのソムリエ試験とはどのような試験でしょうか。

日本のソムリエ資格は国家資格ではなく、日本ソムリエ協会が行う民間資格です。

民間資格となると、「権威性」と「収益」が求められます。

 

権威性は資格試験への信頼とも言えるでしょう。

極端な珍問や各年毎に難易度にバラつきがあり合格率に年差があると、試験への信頼は落ちることになり、受験生離れが起こり収益の減少も考えられます。

 

また、収益の確保のため当然ですがなるべく試験開催のコストを抑えようとする考えもあるはずです。

 

以上を踏まえてどのようなワインが出題されやすいかを検討してみましょう。

 

◾️タイプ

試験で出題されるのは基本的にはスティルの白ワインと赤ワインです。

近年オレンジワインなどが流行っていますが、そのような珍問を出してしまうと受験者離れを起こしかねません。

100%とは言い切れませんが、白ワインと赤ワインが出ると考えていただいて大丈夫です。

 

◾️価格

まずは価格についてですが、ズバリ2,000〜3,000円程度のワインが出題されやすいです。

 

試験ですので、品種や産地の特徴が良く出ているものがふさわしいですが、1,000円以下のテーブルワインなどですとワインの個性が薄く、試験向きではありません。

 

また、ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験はそれぞれ1,000人以上の人が受験します。

そんな試験で5,000円以上するような高級ワインを出題すると、コストが高くなり収益が見込めなくなります。

 

◾️品種

過去の出題から検討すると、総論としては白ワインについてはシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングと代表的な品種に出題が偏っている印象です。

赤ワインは白ワイン程の偏りはなく、サンジョベーゼやネッビオーロなど土着品種からの出題もあります。

このことから、白ワインについては代表的な品種を当てる事までを想定されており、赤ワインについては品種を当てるよりも、香りや味わいを正確に表現できるかを求められていると考えられます。

 

◾️ヴィンテージ

試験ではほぼ100%若いヴィンテージのワインが出題されます。

試験の出題者にとって古いワインの出題はリスクが大きいからです。

 

古いヴィンテージのワインはワインによって熟成の個体差などが大きく出やすいです。

そして先程申し上げた通りこの試験は数千人の受験生が同時にテイスティングを行います。

おそらく100本以上は必要になると思いますが、全く同じコンディションのワインを古いヴィンテージで用意するのは困難です。

 

まとめ

今回は二次試験で出やすいワインについてお話しさせていただきました。

過去の出題を見て品種や産地を当てられるか不安な方も多いのではないでしょうか。

中にはトロンテスやアリゴテといったマイナーな品種もあり、「こんなの分かるわけがない!」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

 

仰る通り!分かる訳がないのです。

でも安心してください。それは他の受験生も同じです。

1995年に行われた世界最優秀ソムリエコンクールでソムリエ協会の田崎会長と優勝争いをしたフランスのオリヴィエ・プーシエ氏はシャルドネをソーヴィニヨン・ブランと誤答していました。

世界トップのソムリエでも品種を間違える事があるのです。

 

となると、品種や産地を当てるような言わば名人芸は受験生には重要視されていないということになります。

それよりも色調や香り、味わいといったワインを正しく表現するということの方が重要です。

 

その根拠となるのが下にあります2022年度の二次試験の配点です。

 

外観 18~20%
香り 29~31%
味 17~18%
その他の項目8-10%
取穫年 5%
生産地 7~8%
主なブドウ品種 12~13%

 

なんと生産地とブドウ品種の配点は合わせて20%程しかありません。

それよりも注目すべきは外観、香り、味で約70%の配点があるということです。

試験のボーダーラインが大体65〜70%くらいと言われていますので、極端な話ブドウ品種と生産地を全て外しても表現さえ外さなければ合格できるということです。

 

もちろん品種も正解するに越したことはありませんが、あまり品種を当てる事ばかりに躍起にならず、外してもいいや。くらいの楽な気持ちで試験に臨んでください。

 

皆さんの良い結果を祈っています!


 

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