【最終更新日】2025年3月27日
ブラインドテイスティングで、記述式にせよ口頭形式にせよ、アぺレーションの回答の仕方には大きなポイントがあります。
それが大地域から小地域まですべて答える、というものですので、ここについて解説します。
僕はソムリエコンクールの時に選手として優勝を経験し、その後に審査員を経験したことがあります。
また、現在はブラインドテイスティング通信講座を主宰していて、それらの経験からいわゆる「出題側の心理」というものがわかっています。
もちろんコンクールなどになると審査の詳細についてはブラックボックスなことも多く、審査基準も一律ではありません。
そのため、「最も手堅い書き方」をするのが正攻法になりますので、ここでしっかりとアぺレーションの記載の仕方を習得しましょう。
目次
ブラインドテイスティングでの「アぺレーション回答」の仕方とは?
「審査の基本はブラックボックス」を受け入れよう
最初に身も蓋もなくなりますが、どのコンテストにせよ教材にせよ、ワインは最終的に官能の部分が大きいですし、アぺレーションについても千差万別なので、ブラックボックスが出てくるのはある程度仕方がありません。
オープンにすることも可能なのですが、いざ始まると例外的な回答がどうしても出てきて、例外的な回答のたびにルールを増やすことになるので逆に不透明感が出てきてしまうのです。
そのためWBSのブラインドテイスティング通信講座でも、「最終的には運営の裁量に任せていただきます」と記載をしていますし、自由裁量を完全になくすのは逆にゲーム性が失われ、つまらなくさせてしまう可能性があります。
もちろん、この手の競技については透明性と公平性があるのが基本で、僕もそこは痛いほど分かっているのですが、それでも裁量の部分をゼロにすることはできません。
そして重要なのが、この「裁量の部分をゼロにすることはできない」事情はどのコンテスト運営でも同じで、そのため「どこから見ても審査員に誤解をさせないような書き方をする」という手堅い記載がどうしても必要になるのです。
「これくらい審査員ならわかるでしょ」は通用しない
これはコンテストの審査員側の気持ちになればわかると思いますが、回答がどれだけどんぴしゃであっても、点数にしづらい回答というものは存在します。
そのうち一番わかりやすいのが「これくらい審査員ならわかってくれるから、あえて書かない」という回答です。
たとえば、2024年度ソムリエエクセレンス試験の白ワインではぺルナンヴェルジュレスが出題されました。
これにどんぴしゃで「Pernand-Vergelesses」とかければいいじゃないかと思うかもしれませんが、そうは問屋が卸さないのです。
というのも、ぺルナンヴェルジュレスは赤も白も生産しているので、「ぺルナンヴェルジュレス」だけの記載では回答が白を指しているのか赤を指しているのかがわからず、点数にならないからです。
もちろん、この場合は白ワインのお題に対する回答なので、「いくらなんだって赤ワインの回答はないだろう」と思ってくれる場合もあるかもしれません。
しかし、そもそもブラインドテイスティングの前提は「何のワインかわからない状態での回答」ということになるので、この場合は少なくとも「ぺルナンヴェルジュレスブラン」と回答するべきなのです。
回答の基本は、国名→大地域→小地域→アぺレーション
これを追求すると、例えば前出のぺルナンヴェルジュレスであれば、いきなりぺルナンヴェルジュレスと書いても、「ひょっとしたらワンチャンほかの地域にもぺルナンヴェルジュレスはあるかもしれない」という視座を持つことができます。
そのため回答については「絶対に他のワインとは誤解がされない」ところまで落とし込んで記載をするのが基本になります。
例をあげます。正解は前述のぺルナンヴェルジュレス白の場合の回答です。
①ぺルナンヴェルジュレス
②フランス、ぺルナンヴェルジュレス
③ブルゴーニュ地方、ぺルナンヴェルジュレス
④フランス、ブルゴーニュ地方、コートドボーヌ、ぺルナンヴェルジュレス
⑤フランス、ブルゴーニュ地方、コートドボーヌ、ぺルナンヴェルジュレス村、ぺルナンヴェルジュレスブラン
このうち、①については「結論は合っているだろうけど、残念な回答だね」で終わりです。おそらく点数も⑤の4分の1程度になるはずです。
②③についても「なんか惜しい回答」扱いでしょう。おそらく点数は半分程度でしょう。
せっかく正解をドンピシャで言い当てているのに、本当にもったいない回答だ、ということがわかるはずです。
おそらく④⑤については、ここまで書けばほぼフルマークで正解でしょう。
ですが、トップを争う場合に④⑤のどちらがいい回答かと言えば、当然⑤になります。
必ずすべてを記載して、満点をもぎ取ろう
もちろん今回のぺルナンヴェルジュレスについては、審査員の方針やほかの出場者のレベル、問題の難易度によって変わるはずですが、とはいえ納得がいく方も多いはずです。
・正解がキャンティクラシコなのに、トスカーナ州が抜けている
・正解がマディランなのに、南西地方が抜けている
・正解がナパヴァレーなのに、カリフォルニア州が抜けている
これらがいかにリスキーな回答なのかがお分かりになったかと思います。
WBSのブラインドテイスティング通信講座では、これを踏まえまして、アぺレーションの記載については必ずフルマークでの記載をお願いしています。
通信講座で慣らしておいて、本番のコンテストでは満点をもぎ取ろう!
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