【最終更新日】2020年8月30日
これから飲食店で開業をしようという場合に、全額自己資金でまかなえる人はほとんどいません。
飲食店は開業に多額の投資金額が必要なので、通常は自己資金以外に金融機関や知人から融資を受けて創業します。
そして、町中にある普通の銀行は、創業間もない起業家には融資をしません。
大銀行はすでに実績のある企業には融資を行いますが、スタートアップの起業家にはリスクが高いとの理由で融資をしないのです。
では、これから飲食業で開業をする起業家には何が窓口になってくれるのでしょうか?
一般的には日本政策金融公庫と、地方自治体の制度融資なのです。
今回は、このうち、制度融資の全体像を理解してみましょう。
制度融資
まずは全体像を理解しよう
制度融資は、金融機関と地方自治体、信用保証協会の3者が協力体制をとることで成り立っている制度です。
日本公庫と同様に新規開業の起業家に積極的に融資をしています。
3者がいるので、わかりにくい構造になっていますが、ここでざっくりと全体像を見てみましょう。
この図から、左上のあなたに実際にお金を貸す(融資する)のは右上の金融機関だということがわかります。
金融機関と言っても実際にはメガバンクではなくて地元の信用金庫などの銀行です。
そして、あなたが返済と利息の支払いをすることであなたと金融機関の関係が保たれます。
ただし、通常は返済が滞った場合のリスクヘッジを考えて、その融資を保証する保証人が必要です。
その保証をするのが右下の信用保証協会なのです。
では、左下の自治体はどのような役割なのでしょうか?
自治体は、前述したあなたと金融機関、信用保証協会のバックアップをするものと考えましょう。
具体的には
・金融機関に資金を提供し、金利を低めに抑える。
・あっせん状の交付
・利子の補給
・信用料の一部の補助
などの役割があります。
「なんだ、自治体って願ったりかなったりの便利屋じゃないか」こう思う人もいると思います。
実際に負担ばかりしているようにも見えますが、やはり経済は新規開業者がたくさんいるほうが元気になりますので、政策的にこのような役割を担っているのです。
この全体像をまずはつかみましょう。
信用保証協会
では、信用保証協会をもう少し具体的に見てみましょう。
信用保証協会は信用保証協会法という法律によって定められた組織で、内閣総理大臣・経済産業大臣・都道府県知事等の監督のもとに運営しています。
基本的に各都道府県にひとつずつと、大都市によってはそれ以上の窓口があります。
この画像は東京都信用保証協会のものですが、都道府県+信用保証協会で検索すればそれぞれの自治体の信用保証協会がでてきます。
原則として例えば東京都で開業する人であれば東京都の信用保証協会、大阪で開業するのであれば大阪の信用保証協会が窓口になります。
信用保証協会は、例えばあなたの事業がうまくいかずに倒産して返済ができなくなった場合、あなたの肩代わりに金融機関に返済をします。
実際には、信用保証協会は全体の何割かの保証を負担するなどの取り決めがありますが、創業融資においては全額負担することになっています。
そして、あなたはその保証をしてくれることの料金として保証料を支払うのです。
倒産したらとんずらできるのか?
ところで、あなたが返済できずに倒産したら信用保証協会が肩代わりをしてくれますが、この場合にあなたはどうなるのでしょう?
このまま信用保証協会が肩代わりをしてそれで終わりであれば、言葉は悪いですがあなたはとんずら状態でしょう。
しかし、そううまくは世の中いきません。
この場合は肩代わりした信用保証協会に支払い義務が発生します。
これを法律上、代位弁済と言います。
借りたお金の返済を免れることはできないのです。
自治体ごとの制度融資
制度融資はこれらのようなシステムで運営されています。
自治体ごとに制度融資はありますので都道府県の制度融資もあれば市区町村の制度融資もあります。
ただし、自治体の性質によってそれぞれメリットとデメリットがありますので別途個別に検討することになります。
通常は、自治体の規模が小さくなると融資金額が小さくなったり、審査に手間がかかり融資までの期間が長くかかるなどの特徴があります。
ただし、融資を受けなければならない開業者にとって、窓口の数が増えることは、イコール融資の可能性が増えるということです。
融資をお考えの場合は必ずあなたが受けられる可能性のある窓口全てを検討するべきでしょう。
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