
シャトー・ムートン・ロートシルト完全ガイド|価格・評価・当たり年と飲み頃
シャトー・ムートン・ロートシルトは、ボルドーを代表する「五大シャトー」のひとつであり、世界中のワイン愛好家にとって憧れの的です。
メドック地区ポイヤック村に位置し、長い歴史と独自の革新性を兼ね備えた名門ワイナリーとして知られています。
特に1945年以降、毎年異なるアーティストがラベルをデザインするというユニークな取り組みは、ワインそのものの価値に加え、芸術作品としての魅力を高め、コレクターズアイテムとしての地位を不動のものにしました。
醸造の特徴は、圧倒的なカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が生み出す力強さと気品の調和。
若いうちは濃厚な果実味と骨格のあるタンニンを楽しめ、長期熟成を経ることで複雑さと深みを増していきます。
ムートンは単なるワインではなく、文化・歴史・芸術が融合した「総合芸術品」と言える存在です。
本記事では、その魅力を徹底解剖し、各ヴィンテージの特徴や専門家による評価、価格動向、そして最適な楽しみ方まで、知的かつ実用的な視点でご紹介していきます。
筆者は実際にムートンロートシルトを訪れ、ポイヤック駅から見て最高のロケーションにあるムートンの威容に圧倒された経験があります。
また、現役のソムリエ時代にも多数のお客様にムートンロートシルトを提供したことがあり、その経験の蓄積をすべてこちらでご紹介させていただきます。
この記事はシャトー・ラフィット・ロートシルトの全体像を紹介しています。個別のヴィンテージの記事についてはこちらをご参考ください。
また、購入をする際には、記事内に設置されたリンクからご購入いただけます。
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シャトー・ムートン・ロートシルト完全ガイド|価格・評価・当たり年と飲み頃
全体像
シャトー・ムートン・ロートシルトは、ボルドーのメドック地区ポイヤック村に位置する世界的名声を誇るワイナリーです。
ポイヤックは砂利質の土壌と理想的な気候条件を備え、力強さと優雅さを兼ね備えたカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインを生み出す土地として知られています。
ムートンの畑もその恩恵を受け、ブドウは豊かな日照と排水性の良い土壌に育まれ、凝縮感と複雑さを兼ね備えた果実を実らせます。
栽培される主要品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが約8割を占め、これにメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが少量加わることで、骨格のある力強さとまろやかな調和が実現します。
格付の面では、1855年当初は第二級に位置付けられていましたが、1973年に唯一格上げされ、堂々たる第一級の地位を獲得しました。
これは、当時のフィリップ・ド・ロートシルト男爵の情熱と品質への揺るぎないこだわりの成果です。
今日では五大シャトーの一角として、世界のワイン市場で高い評価を得ており、毎年のヴィンテージは投資対象としても、芸術的な価値を持つラベルと共にコレクターを魅了しています。
ムートン・ロートシルトは、テロワールと伝統、そして革新の結晶として君臨し続けているのです。
元々は2級格付だった?
シャトー・ムートン・ロートシルトの歴史を語るうえで、1855年のメドック格付は避けて通れません。
当時、ムートンは2級に位置付けられましたが、これは単なる品質評価だけでなく、時代背景を色濃く反映した結果でした。
19世紀半ばのボルドー地方では、金融業で成功した新興ビジネスマンたちが次々とシャトーを買収し、伝統的な貴族社会から批判的な視線を浴びていました。
ロートシルト家が所有するムートンもその一例であり、その反発が格付けに影響したとも言われています。
しかし、この「不遇な2級」という立場こそが、ムートンを他とは異なる進化へと導きました。
ワインに芸術性を融合させ、1945年以降は毎年異なるアーティストにラベルを依頼するという斬新な試みを始め、唯一無二の存在感を確立。
ついに1973年、シャルル・ド・ゴール政権下で唯一の1級昇格を果たします。
この快挙は、他のシャトーにはない圧倒的な個性と表現力の賜物でした。
そのため今日のムートンは、五大シャトーの中でも最も華やかで雄弁、時に劇的とさえ形容されるワインとして認識されています。
格付2級からの逆境を糧に、革新と芸術性を武器に昇りつめたムートンの歩みは、まさにボルドー史に刻まれるドラマそのものなのです。
シャトー・ムートン・ロートシルトの価格推移と最新動向
シャトー・ムートン・ロートシルトは、その名声ゆえにワイン市場で常に注目を集めており、ヴィンテージ間の価格差が極めて大きいのが特徴です。
近年、一般的な流通価格帯としては、優良ヴィンテージであっても日本国内で概ね 10万〜15万円前後が目安とされることが多く、なっています。
しかし、例外的なヴィンテージでは価格が桁違いになります。
例えば、2000年産ムートンは非常に評価が高く、40万円を超えるケースも十分あり得る水準です。
ムートン・ロートシルトの価格はヴィンテージ、流通ルート、瓶のサイズや保存状態など多くの要因で大きく揺らぎます。
「普遍的な価格帯」と「突出したヴィンテージ価格」が共存する構図こそ、ムートンの市場における魅力かつリスクと言えるでしょう。
シャトー・ムートン・ロートシルトの当たり年は?
シャトー・ムートン・ロートシルトの魅力を語るうえで欠かせないのが「当たり年」の存在です。
ボルドーは気候に大きく左右されるため、ヴィンテージごとに品質の差が明確に現れます。
特に高評価を受ける年として知られるのは、1982年、1986年、1996年、2000年、2005年、2009年、2010年、そして近年では2016年や2019年などが挙げられます。
これらの年は、夏の気候が理想的に推移し、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の構造がしっかりと形成され、長期熟成に耐える力強さとエレガンスを兼ね備えています。
例えば2000年は、21世紀の幕開けを飾る象徴的ヴィンテージとして特別なラベルも採用され、現在でも市場で突出した価格を誇ります。
一方で2016年は、全体的にバランスが秀逸で「最も安心して待てるワイン」と評され、愛好家や投資家から高い注目を集めています。
ムートンの当たり年は、単なる果実の出来の良さだけでなく、その芸術性とブランド性も加わり、ワインの価値を一層高める存在となっています。
VTG | WA | WS | LINK |
---|---|---|---|
2019 | 98 | 98 | — |
2018 | 99 | 98 | — |
2017 | 96 | 97 | — |
2016 | 100 | 98 | — |
2015 | 98 | 96 | — |
2014 | 95 | 96 | — |
2013 | 92 | 93 | — |
2012 | 96 | 94 | — |
2011 | 92 | 95 | — |
2010 | 98 | 99 | — |
2009 | 99 | 98 | — |
2008 | 95 | 92 | — |
2007 | 92 | 93 | — |
2006 | 96 | 95 | — |
2005 | 98 | 98 | — |
2004 | 92 | 95 | — |
2003 | 91 | 94 | — |
2002 | 91 | 91 | — |
2001 | 89 | 94 | — |
2000 | 97 | 93 | 個別記事 |
シャトー・ムートン・ロートシルト海外評価サイトの評価は?
シャトー・ムートン・ロートシルトは、海外の権威ある格付けサイトや評論家から常に高い評価を受けており、「五大シャトー」の一角にふさわしい存在感を確立しています。
ワインアドヴォケイト(WA)をはじめとする専門誌や評価者による点数は、しばしば90点台後半から100点に達し、ワインスペクテーター(WS)でも高得点を獲得することが多いです。
例えば、2016年産ムートン・ロートシルトは、WA や Vinous で 100点評価を受けるなど、その完成度と個性の強さを示しました。
また、2018年ヴィンテージも、Decanter や James Suckling で 100 点満点を獲得し、Wine Spectator や Wine Enthusiast、Robert Parker などでも99点前後で高く評価されています。
さらに近年では、2022年ヴィンテージに対しても Jeb Dunnuck や Lisa Perrotti-Brown といった評価者が 98〜100 点のレンジを与え、将来性の高さにも期待を寄せています。
また、2019年ヴィンテージも James Suckling によって99点と高評価を得ています。
こうした一貫した高評価は、ムートン・ロートシルトが単なる伝統シャトーではなく、品質・熟成力・個性・ストーリー性を兼ね備えた存在であることを証明するものです。
評価結果は流通価格や投資価値にも大きな影響を与え、ムートンのヴィンテージ選びや購入判断において、これらの外部評価は重要な指針となっています。
シャトー・ムートン・ロートシルトの歴史
シャトー・ムートン・ロートシルトの歴史は、ボルドー・メドックの地において18世紀まで遡ることができます。
当時はまだ「ロートシルト」の名は冠されておらず、単に「ムートン」と呼ばれていました。
ムートンとはフランス語で「小さな丘」を意味し、ポイヤックの砂利質の高台に広がるブドウ畑を象徴しています。
この地は日照と排水に恵まれ、すでに当時から上質なワインを生み出すポテンシャルを秘めていました。
文献によれば18世紀にはすでに高品質な赤ワインの生産が始まっており、地元市場だけでなく海外にもその名が伝わり始めていました。
特にイギリスやオランダといったボルドーワインの重要な輸出先において「ムートン」は知られつつあり、その評価は徐々に高まっていきました。
後に19世紀初頭、ロートシルト家の手に渡り、現代に至る偉大な歴史の幕が開かれますが、その基盤はすでに18世紀の「ムートン」と呼ばれた時代に築かれていたのです。
19世紀に入ると、ロンドンの金融王ネイサン・ロートシルトの子、ナサニエル・ド・ロートシルト男爵がムートンを買収し、「シャトー・ムートン・ロートシルト」としての新たな歴史が始まります。
しかし1855年のパリ万国博覧会に際して制定されたボルドー格付では、名声や品質にもかかわらず2級にとどまりました。
これはロートシルト家が伝統的貴族ではなく、新興の金融資本家であったことへの反発が影響したとも言われ、オーナーにとって痛恨の極みでした。
以降もシャトーは品質向上に努め、フィリップ・ド・ロートシルト男爵の時代には瓶詰をシャトー内で行う「シャトー元詰め」を導入し、品質管理を徹底。
さらに1945年からは毎年著名アーティストに依頼した「アートラベル」を採用し、ワインを芸術品へと昇華させました。
そして長年の努力が実り、1973年にはついに唯一の例として格付が改訂され、悲願の1級昇格を果たします。
革新的な運営と芸術性を融合させたムートンの姿勢は、今日も世界のワイン愛好家を魅了し続けています。
シャトー・ムートン・ロートシルトの飲み頃
シャトー・ムートン・ロートシルトは、ボルドーの中でも特に長期熟成に適したワインとして知られています。
豊かなカベルネ・ソーヴィニヨン主体の骨格と深い果実味、そして力強いタンニンが相まって、時間の経過とともに驚くほどの複雑さを生み出します。
一般的なヴィンテージでも、できれば15年ほどは待ちたいところ。
若いうちは果実味が前面に出て華やかですが、熟成を経ることでスパイスや革、シダーといったニュアンスが重なり、真の魅力が開花します。
さらに2000年や2010年、2016年などの偉大な年であれば、40年を超える熟成にも十分に耐えられ、飲み手に圧倒的な感動を与えるでしょう。
また保管環境によって熟成の進み方は大きく変わります。特に温度管理は重要で、やや低めのセラーで保管すれば熟成はゆっくりと進み、ワインはより長期にわたって楽しめます。
ムートンの真価を味わうためには、焦らず時間をかけて熟成を待つことが最大の贅沢であり、ボルドー最高峰ワインを堪能する醍醐味でもあるのです。
贈答品としてのシャトー・ムートン・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルトは、贈答品としても特別な価値を持つワインです。
その背景には、1855年の格付で2級にとどまったものの、1973年に唯一1級へと昇格を果たしたという「逆境を乗り越え、頂点へと這い上がった」物語があります。
これはビジネスマンにとって、挑戦と成功の象徴として強く響くストーリーであり、贈る側のメッセージ性を高める要素となります。
また、ムートンを特徴づける「アートラベル」は贈答の場でも話題性を持ち、毎年異なる芸術家が描いたデザインはコレクション性も抜群です。
そのため、贈る際には相手の趣味や好みをあらかじめ聞いておくことで、ラベルの雰囲気やアーティストとの相性を考慮して選ぶことができます。
ビジネスシーンにおいては、単なる高級ワインを超え、努力や成功を象徴する贈り物として特別な意味を持たせることができるのです。
ムートン・ロートシルトは、格式と芸術性を兼ね備えた「物語のある贈答品」として、受け取る人の心に深い印象を残す存在といえるでしょう。
シャトー・ムートン・ロートシルト購入のポイントと注意点
シャトー・ムートン・ロートシルトを購入する際には、いくつかの重要なポイントと注意点があります。
まず価格帯ですが、一般的なヴィンテージであれば12万円前後から市場に出回りますが、2000年や2010年など特別に評価の高い年は数十万円に達することもあります。
したがって、購入前にヴィンテージごとの評価や市場価格を確認することが不可欠です。
個別のヴィンテージの記事については、こちらをご参考ください。
次に、保管状態の確認も重要です。
ムートンは長期熟成に耐えうるワインですが、セラー環境が悪ければ品質が大きく損なわれます。
購入時には正規輸入品かどうか、保管環境の記録があるかなどを確認しましょう。
また、ラベルの芸術性が高くコレクション性が強いため、ラベルの状態も大きな価値の一部となります。
傷や汚れがあると投資的価値に影響するため、外観も注意深く確認すべきです。
さらに、贈答用や投資目的で購入する場合には、相手の好みや将来的な市場動向を考慮することも大切です。
ムートンは単なるワインではなく芸術品であり、選び方一つで価値が大きく変わる存在なのです。
シャトー・ムートン・ロートシルト おすすめの購入ルート
シャトー・ムートン・ロートシルトは、世界中のワイン愛好家や投資家から注目を集めるボルドー最高峰のワインです。
そのため購入ルートは多岐にわたり、専門のワインショップ、百貨店、オークション、そしてオンラインショップなどが選択肢となります。
専門店や百貨店ではスタッフの知識を活かして購入できる安心感がありますが、流通量が限られ価格も高めになりがちです。
一方、オークションは希少なヴィンテージや大容量ボトルを入手できる可能性がありますが、真贋や保管状態の見極めが必要です。
その点で、信頼性と利便性の両立を考えると、やはり大手オンラインショップでの購入が現実的で安心といえるでしょう。
特にアマゾンは出品者の審査が比較的厳しく、レビューや評価を参考にできるのも大きな強みです。
加えて、配送が早く、梱包や保証対応も一定の基準が保たれているため、安心して高級ワインを取り寄せることができます。
高額な買い物だからこそ信頼できる購入先を選ぶことが大切です。
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