【一覧】ムートン・ロートシルト全アーティストラベル解説|1945年から現在まで
本ページでは、シャトー・ムートン・ロートシルトのアートラベル創設年である1945年から最新ヴィンテージまでの全ラベルを網羅してご紹介しています。
各年のアーティストやデザイン背景を丁寧に解説し、ワインと芸術が紡ぐ歴史を一望できます。
- 収穫年
- 2022年
- 作者(カタカナ)
- ジェラール・ガルースト
- 作者(原語)
- Gérard Garouste
ジェラール・ガルースト(Gérard Garouste, 1946– )は、フランスを代表する現代画家で、象徴性と神話的イメージに満ちた作品で知られています。パリ生まれの彼は、抽象表現が主流だった時代にあえて具象絵画を選び、独自の道を歩みました。作品には聖書、神話、文学、さらには個人的な記憶が織り込まれ、幻想的で時に不安を誘う世界を築き上げています。その筆致は鮮やかで力強く、寓意に満ちた構図が特徴です。ガルーストはまた、教育活動にも熱心で、読み書きが苦手な人々を支援する団体を設立し、芸術を社会と結びつける活動を展開しました。2022年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、神話的モチーフを取り入れた象徴的なイメージで、ワインの精神性と豊かさを表現しました。彼は現代において寓話と人間の根源的テーマを描き続ける画家として、高い評価を受けています。
- 収穫年
- 2021年
- 作者(カタカナ)
- 塩田千春
- 作者(原語)
- Chiharu Shiota
塩田千春(Chiharu Shiota, 1972– )は、大阪府出身の現代美術家で、糸を使った大規模インスタレーションで国際的に高い評価を受けています。ドイツ・ベルリンを拠点に活動し、日常的なモチーフである糸を空間全体に張り巡らせ、人間の記憶や感情、存在の痕跡を視覚化する表現で知られます。作品にはしばしば椅子や鍵、スーツケース、船などが絡め取られ、個人の記憶と集合的な経験が交錯する場を作り出します。赤や黒の糸は血脈や運命の象徴としても解釈され、観る者を内面的な世界へと導きます。2015年のヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表を務めたことでも注目を集めました。2021年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、赤い糸で織りなす生命の結びつきとワインの持つ人と人との絆を表現しました。塩田は「見えないものを形にする」芸術家として、国際的に活躍し続けています。
- 収穫年
- 2020年
- 作者(カタカナ)
- ピーター・ドイグ
- 作者(原語)
- Peter Doig
ピーター・ドイグ(Peter Doig, 1959– )は、スコットランド生まれでカナダやトリニダード・トバゴでも育った経験を持つ、国際的に活躍する現代画家です。彼の作品は、夢幻的で叙情的な風景表現を特徴とし、記憶や想像、映画的イメージを重ね合わせた独自の世界観を生み出しています。厚く重ねられた絵具やにじみを活かした豊かな色彩は、現実と非現実の境界を曖昧にし、観る者を詩的な感覚へと誘います。1990年代以降、ロンドンで高い評価を得てターナー賞候補にも選ばれ、現在ではオークション市場でも最も注目される画家のひとりです。2020年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、夜空とワインの象徴を組み合わせた幻想的な構図で、ワインがもつ神秘性と深遠な魅力を表現しました。ドイグは「記憶の画家」とも称され、現代絵画における詩情豊かな風景表現の第一人者として高く評価されています。
- 収穫年
- 2019年
- 作者(カタカナ)
- オラファー・エリアソン
- 作者(原語)
- Olafur Eliasson
オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson, 1967– )は、アイスランド系デンマーク人の現代美術家で、光・水・霧・鏡といった自然現象を取り入れた大規模インスタレーションで世界的に知られています。彼の作品は、科学と芸術を融合させ、鑑賞者の感覚や身体体験を強く意識したものが多く、代表作にテート・モダンの巨大インスタレーション《The Weather Project》(2003)があります。自然と人間、環境と社会の関係性を問い直す姿勢は、環境問題への関心とも深く結びついています。2019年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、円環や幾何学的構成を通じてワインの循環性・自然との調和を表現しました。そのデザインはシンプルでありながら宇宙的な広がりを感じさせ、ムートンの伝統と現代アートの革新性を結びつける象徴的な一枚となっています。エリアソンは今日、環境とアートをつなぐ最前線の芸術家として国際的に高く評価されています。
- 収穫年
- 2018年
- 作者(カタカナ)
- 徐冰
- 作者(原語)
- Xu Bing
徐冰(Xu Bing, 1955– )は、中国を代表する現代美術家で、文字や言語をテーマにした革新的な作品で国際的に知られています。北京で生まれ、中央美術学院で版画を学びました。1980年代末から「偽の漢字」を創作し、読めそうで読めない文字列を大規模に刷り出した《天書(Book from the Sky)》で注目を集め、言語と文化の境界を問い直しました。その後も英単語を漢字のように見せる《Book from the Ground》シリーズなどを制作し、東西の言語や文化の交錯を探求しています。彼の作品は、伝統的な版画や書の技法を活かしつつ、現代的なコンセプトを融合させる点が特徴です。2018年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、独自の文字表現を通じてワインの普遍性と文化の交差を象徴しました。徐冰は言語・記号・文化を媒介に、人類共通の理解と交流を探る芸術家として国際的に高い評価を受けています。
- 収穫年
- 2017年
- 作者(カタカナ)
- アネット・メサジェ
- 作者(原語)
- Annette Messager
アネット・メサジェ(Annette Messager, 1943– )は、フランスを代表する現代美術家で、フェミニズムやアイデンティティ、身体性をテーマとした作品で国際的に高く評価されています。縫いぐるみや編み物、写真、テキストなど日常的で親密な素材を用い、女性の視点から社会や文化の固定観念を問い直すのが特徴です。彼女の作品は繊細さとユーモアを含みつつも、同時に挑発的で強いメッセージ性を持ち、観る者に人間の存在や性の在り方について考えさせます。2005年には第51回ヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞し、その表現は世界的に評価されました。2017年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、詩的で象徴的なイメージを通してワインの豊かさと親密さを表現しました。メサジェは「個人的なものを普遍的な問題へ昇華する」芸術家として、現代アートに独自の位置を占めています。
- 収穫年
- 2016年
- 作者(カタカナ)
- ウィリアム・ケントリッジ
- 作者(原語)
- William Kentridge
ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge, 1955– )は、南アフリカ・ヨハネスブルグ生まれの現代美術家で、ドローイング、アニメーション、舞台芸術を融合させた独自の表現で国際的に高く評価されています。特に木炭による素描を撮影し、消したり描き加えたりしながら連続写真として動かす「手描きアニメーション」で知られ、南アフリカのアパルトヘイトや植民地主義の歴史、人間の記憶とアイデンティティを詩的かつ批評的に描き出しました。彼の作品は映像と演劇的要素が交錯し、社会的メッセージと強い叙情性を併せ持っています。オペラや演劇の舞台演出でも世界的に活躍し、総合芸術家としての評価を確立しました。2016年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、象徴的で詩的なイメージをワインに重ね合わせ、文化と歴史の響きを宿す特別なデザインを生み出しました。ケントリッジは「社会と個人の記憶を描く芸術家」として今なお強い影響を与えています。
- 収穫年
- 2015年
- 作者(カタカナ)
- ゲルハルト・リヒター
- 作者(原語)
- Gerhard Richter
ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter, 1932– )は、ドイツを代表する現代美術家で、20世紀後半から21世紀にかけて最も重要な画家の一人と評価されています。彼の特徴は、一つのスタイルにとらわれず、フォトリアリズムから抽象絵画まで幅広い表現を展開してきた点にあります。写真をもとにした写実的作品では歴史や記憶の重みを探求し、抽象作品ではスキージと呼ばれる道具で絵具を重ね削る技法により偶然性と物質感を強調しました。その多様性と革新性は、美術のジャンルや様式の境界を超えるものとされています。2015年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、彼特有の抽象的な色彩の重なりを生かしたデザインで、ワインの複雑さと奥行きを視覚的に表現しました。リヒターは「現代絵画の巨匠」と称され、その作品は世界の主要美術館に収蔵されるなど、今なお国際的に大きな影響を与えています。
- 収穫年
- 2014年
- 作者(カタカナ)
- デイヴィッド・ホックニー
- 作者(原語)
- David Hockney
デイヴィッド・ホックニー(David Hockney, 1937– )は、イギリス出身の現代美術家で、ポップアートの旗手として知られます。鮮やかな色彩と明快な構図で日常や風景を描き、絵画・写真・デジタルアートと幅広い領域で革新的な表現を展開しました。特にロサンゼルスのプールを描いたシリーズは代表作で、光と水の描写に独自の感覚を発揮しています。ホックニーはまた、iPadなど新しい技術を積極的に取り入れ、時代に応じた表現を追求してきました。2014年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ワインの樹と太陽を象徴的に描いた作品を提供。生命力と喜びを鮮やかに表現し、ワインがもつ自然の恵みと芸術性を結びつけました。ホックニーは「見ること」の本質を探究し続け、20世紀から21世紀にかけてもっとも影響力のある芸術家の一人として高く評価されています。
- 収穫年
- 2013年
- 作者(カタカナ)
- 李禹煥
- 作者(原語)
- Lee Ufan
李禹煥(Lee Ufan, 1936– )は、韓国出身で日本とフランスを拠点に活動する現代美術家・理論家です。1960年代末に日本で興った「もの派(Mono-ha)」の中心的存在として知られ、石、鉄、ガラス、木材など自然や工業の素材をありのままに配置し、人間の意図を最小限に抑えることで、物質と空間、鑑賞者の関係を問いかけました。絵画においても、広い余白に単一の筆致や色面を置くことで、沈黙や時間の流れを表現し、東洋的な精神性と西洋現代美術の融合を体現しています。その思想は「関係性の芸術」として国際的に評価され、美術評論や哲学的著述も手がけました。2013年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、簡潔な筆のリズムと余白の美を活かして、ワインの奥深さと静謐な気韻を表現しました。李禹煥は、物質と精神、自然と人間をつなぐ普遍的な芸術観で、今なお世界的に大きな影響を与え続けています。
- 収穫年
- 2012年
- 作者(カタカナ)
- ミケル・バルセロ
- 作者(原語)
- Miquel Barceló
ミケル・バルセロ(Miquel Barceló, 1957– )は、スペイン・マヨルカ島出身の現代美術家で、絵画・彫刻・陶芸など幅広い分野で国際的に活躍しています。若くして国際舞台に登場し、1980年代には既にヨーロッパを代表するアーティストとして注目を集めました。彼の作品は、絵具を厚く盛り上げた力強いマチエールと、大胆かつ有機的なモチーフが特徴です。動物、海、自然のエネルギーを象徴的に描き出し、物質感と精神性を融合させる独自のスタイルを確立しました。特にジュネーヴの国連「人権と文明の同盟会議場」の天井画は、巨大な stalactite(鍾乳石)のようなカラフルな造形で世界的に知られています。2012年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、豊潤で生命力あふれる色彩と躍動的な構成でワインの奥深さを表現しました。バルセロは自然と人間の関係を探る芸術家として、今も現代美術の最前線で高く評価されています。
- 収穫年
- 2011年
- 作者(カタカナ)
- ガブリエル・ルージュモン
- 作者(原語)
- Guy de Rougemont
ガブリエル・ルージュモン(Guy de Rougemont, 1935–2021)は、フランスを代表する現代美術家・デザイナーで、鮮烈な色彩と流れるような曲線を特徴とする抽象的な作品で知られます。絵画だけでなく、彫刻、家具、都市空間のデザインなど幅広い分野で活動し、日常生活と芸術を結びつける試みを続けました。特に赤・黄・青などの明快な色を大胆に用いた有機的な形態は、ポップアートやデザインの要素を取り入れつつ、独自の明るく楽観的な世界観を表現しています。彼の作品はフランス国内外の公共空間にも数多く設置され、街の風景に彩りを与えてきました。2011年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、鮮やかな曲線と色彩のリズムでワインの生命力と歓びを表現しました。ルージュモンは「生活の中の芸術」を追求した作家として、モダンで開放的な造形美を後世に残しています。
- 収穫年
- 2010年
- 作者(カタカナ)
- ジェフ・クーンズ
- 作者(原語)
- Jeff Koons
ジェフ・クーンズ(Jeff Koons, 1955– )は、アメリカを代表する現代美術家で、ポップアートの系譜を継ぎつつ、消費社会や大衆文化をテーマに大胆で華やかな作品を生み出してきました。広告やキッチュなイメージを積極的に取り入れ、鑑賞者の価値観を問い直すアプローチで知られます。代表作の「バルーン・ドッグ」や「ラビット」に見られるように、ステンレスを鏡面加工して風船や玩具を模した彫刻は、遊び心と高級感を兼ね備え、世界中で人気を集めています。その作品は一見親しみやすいモチーフでありながら、芸術と商業、日常と崇高の境界を揺さぶるものです。2010年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、古典的なヴィーナス像に鮮やかなバルーンのモチーフを組み合わせ、伝統と現代性を融合させました。クーンズは現代アート市場でも屈指の存在感を誇り、「大衆文化を芸術に昇華させる巨匠」として今なお高い評価を受けています。
- 収穫年
- 2009年
- 作者(カタカナ)
- アニッシュ・カプーア
- 作者(原語)
- Anish Kapoor
アニッシュ・カプーア(Anish Kapoor, 1954– )は、インド・ムンバイ生まれ、ロンドンを拠点に活動する現代美術家で、彫刻・インスタレーションを中心に国際的に活躍しています。彼の作品は、シンプルな形態と深遠な空間性を特徴とし、色彩や素材の力を最大限に引き出す点で知られています。特に顔料を厚く塗布した鮮烈な赤や青の作品、鏡面を用いた反射彫刻、巨大なパブリックアートなどが有名です。代表作「クラウド・ゲート(Cloud Gate/通称“ビーン”)」はシカゴの象徴的存在となっています。2009年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、深淵を覗き込むような円形モチーフで、ワインの奥行きと精神的深みを象徴しました。カプーアは東西の文化を背景に持ち、物質と空間、存在と虚無の境界を探る作品で現代美術を刷新し続けています。その革新性とスケール感は、21世紀を代表する芸術家のひとりとして高く評価されています。
- 収穫年
- 2008年
- 作者(カタカナ)
- 徐累
- 作者(原語)
- Xu Lei
徐累(Xu Lei, 1963– )は、中国・南京出身の現代美術家で、伝統的な中国絵画の技法を用いながら、現代的な感性を融合させた独自のスタイルで知られます。江蘇省美術学院で学び、当初は中国画の細密描写を基盤としつつ、東洋的象徴性と現代的観点を掛け合わせた作品を制作しました。青と灰を基調とする静謐で詩的な色彩、精緻な筆致による幻想的なイメージは、夢と現実の狭間を漂うような独特の世界観を生み出します。モチーフには動物や自然、古典的建築などが多く登場し、伝統と革新の対話を体現しています。2008年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、精緻な線描と幻想的な構成でワインの気品と深遠さを表現しました。徐累は中国美術の伝統を現代アートの文脈で再解釈する存在として国際的に評価され、その静謐な美学は東西文化の架け橋として今も注目されています。
- 収穫年
- 2007年
- 作者(カタカナ)
- ベルナール・ヴェネ
- 作者(原語)
- Bernar Venet
ベルナール・ヴェネ(Bernar Venet, 1941– )は、フランス生まれの現代美術家で、鉄を用いた大規模な彫刻や数学的・科学的要素を取り込んだコンセプチュアルな作品で知られています。1960年代から活動を始め、当初はタールや数学公式など非伝統的素材・題材を用いて注目を集めました。1970年代以降は鉄を主体とする彫刻に移行し、直線・角度・弧といった抽象的な形態を組み合わせ、力強くもミニマルな造形を追求しました。彼の作品は世界各地の都市空間に設置され、環境と調和しながら壮大なスケールで観る者を圧倒します。2007年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、幾何学的で力強い線を用いてワインの構造美と調和を表現しました。ヴェネはアートと数学、科学、産業技術を結びつけた革新者として、現代彫刻の可能性を広げ続けており、その理知的かつ力動的な表現は国際的に高い評価を受けています。
- 収穫年
- 2006年
- 作者(カタカナ)
- ルシアン・フロイド
- 作者(原語)
- Lucian Freud
ルシアン・フロイド(Lucian Freud, 1922–2011)は、20世紀を代表するイギリスの具象画家で、精神分析学者ジークムント・フロイトの孫としても知られます。ベルリンに生まれ、ナチスの台頭を避けて家族とともにロンドンへ移住しました。彼の作品は、徹底した観察に基づく人物画・肖像画で知られ、モデルの肉体や表情を容赦なく描き出すことで、存在の重みや生々しさを表現しました。厚塗りの絵具による独特の質感と、冷徹なまでのリアリズムは「残酷なまでに正直」と評されます。王族、芸術家仲間、愛人、家族などをモデルにした作品群は、その人間的実存を直視させる力を持ちます。2006年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ワインと同様に人間の生命力と肉体性を象徴的に描きました。ルシアン・フロイドは、20世紀後半の肖像画を刷新した孤高の画家として、今も強い影響を与え続けています。
- 収穫年
- 2005年
- 作者(カタカナ)
- ジュゼッペ・ペノーネ
- 作者(原語)
- Giuseppe Penone
ジュゼッペ・ペノーネ(Giuseppe Penone, 1947– )は、イタリア出身の現代美術家で、1960年代末に結成されたアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)運動の代表的存在です。木、石、葉、皮膚といった自然素材を用い、人間と自然との関係性を探求する作品で知られています。特に木の幹を削り出し、成長の記憶を可視化するシリーズは有名で、時間や生命の痕跡を造形化する独自のアプローチを確立しました。彼にとって自然は単なる素材ではなく、人間存在と不可分な「共同の身体」として表現されます。2005年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ブドウの樹と人間の手をモチーフに、自然と人間の結びつきを象徴的に描きました。そのデザインはワインという自然の恵みと人の営みの融合を端的に示しています。ペノーネは今なお国際的に活躍し、自然と人間の詩的な対話を追求する芸術家として高く評価されています。
- 収穫年
- 2004年
- 作者(カタカナ)
- 英国皇太子チャールズ殿下
- 作者(原語)
- S.A.R. Prince Charles, Prince of Wales
2004年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは特別な年で、通常の現代芸術家ではなく、英国皇太子チャールズ殿下(当時、S.A.R. Prince Charles, Prince of Wales/現在の国王チャールズ3世)による水彩画が採用されました。題材は自然を愛する殿下らしく、ブドウの葉と房を優美に描いたもので、繊細なタッチと柔らかな色彩が特徴です。環境保護や伝統文化への深い関心を持つチャールズ皇太子の世界観が反映され、ワインという自然の恵みへの敬意と調和を表現しています。このラベルは、ムートンがフランス国内にとどまらず国際的な文化交流を象徴する存在であることを示したものでもあり、王室の権威と芸術性が融合した希少な事例です。2004年ヴィンテージはクラシカルでエレガントな仕上がりとされ、この王室デザインラベルと相まって、コレクターにとって特別な価値を持つ一本となっています。
- 収穫年
- 2003年
- 作者(カタカナ)
- 150周年の年
- 作者(原語)
- Année du Cent Cinquantenaire
2003年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、例年のように著名芸術家を起用するのではなく、「格付け150周年(1853–2003)」を記念する特別デザインとなりました。これは1853年にナサニエル・ド・ロスチャイルド男爵がムートンを取得してから150年を祝うもので、「Année du Cent Cinquantenaire(150周年の年)」と銘打たれています。ラベル中央には象徴的な雄羊(ムートン=羊)の紋章が金色に輝き、背景には荘厳な装飾と記念碑的意匠があしらわれ、格式と歴史を強調しています。通常のアーティスト作品ラベルとは一線を画し、ムートンの伝統と家系の誇りを正面から表現したものです。2003年はまたボルドー地方全体が非常に暑く乾燥した年で、ワインは凝縮感と力強さを備えた稀少なヴィンテージとして評価されています。この特別ラベルは、ワインの出来とともに「ロスチャイルド家150年の歴史」を刻む記念碑的存在として、コレクターにとって非常に価値の高い一本となっています。
- 収穫年
- 2002年
- 作者(カタカナ)
- イリヤ・カバコフ
- 作者(原語)
- Ilya Kabakov
イリヤ・カバコフ(Ilya Kabakov, 1933–2023)は、旧ソ連ウクライナ出身の現代美術家で、コンセプチュアル・アートとインスタレーションの先駆者として世界的に知られます。モスクワで育ち、美術学校を卒業後、児童書の挿絵画家として活動しつつ、体制下で制約を受ける中で独自の芸術表現を模索しました。1980年代に西側へ移住すると、日常的な物品やソビエト社会の痕跡を用いたインスタレーション作品を発表し、個人と社会、夢と現実の狭間を描き出しました。代表作「部屋からの飛翔」では、閉塞した社会からの精神的解放を象徴的に表現しています。彼の作品はユーモアと哀愁を帯びながら、人間存在の普遍的テーマに迫る点で高く評価されています。2002年には妻エミリアと共にシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、寓話的で詩的なイメージをワインに重ね合わせました。カバコフは「記憶と物語の芸術家」として、20世紀後半から21世紀にかけて現代美術に大きな影響を与えました。
- 収穫年
- 2001年
- 作者(カタカナ)
- ロバート・ウィルソン
- 作者(原語)
- Robert Wilson
ロバート・ウィルソン(Robert Wilson, 1941– )は、アメリカの舞台演出家・映像作家・美術家で、現代演劇・パフォーマンスアートの革新者として国際的に知られています。建築や美術を学んだのち舞台芸術に転じ、1960年代末から実験的な舞台作品を発表しました。彼の作品は、緻密に計算された照明、極端にスローモーション化された動き、象徴的な美術構成によって、観客に強烈な視覚体験を与えるのが特徴です。フィリップ・グラスとの共作オペラ『エジプト学者アインシュタイン』(*Einstein on the Beach*)は、20世紀舞台芸術の金字塔とされています。演劇だけでなくオペラ、映像、建築的インスタレーションまで幅広く活動し、総合芸術的な表現を追求しました。2001年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ミニマルかつ象徴的なビジュアルでワインの精神性を表現しました。ウィルソンは「視覚の詩人」とも呼ばれ、舞台芸術と美術の境界を越える革新者として今なお大きな影響を与えています。
- 収穫年
- 2000年
- 作者(カタカナ)
- ル・ベリエ・ダグスブール
- 作者(原語)
- Le Bélier d’Augsbourg
2000年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、通常の現代芸術家による作品ではなく、ドイツ・アウクスブルクの工房で制作された18世紀初頭の装飾画「ル・ベリエ・ダグスブール(Le Bélier d’Augsbourg/アウクスブルクの雄羊)」が採用されました。これは金銀細工や装飾版画で知られる都市アウクスブルクの伝統美術に由来し、当時のバロック的華麗さを象徴しています。中央に描かれる雄羊は、ムートン(=羊)の名に通じ、シャトーのアイデンティティを祝福するモチーフとなっています。2000年という世紀の節目にふさわしく、過去と未来を結びつける象徴的意図が込められた特別なラベルであり、クラシックな優美さと歴史的重厚さがワインの格調を際立たせています。そのためコレクターの間でも特に人気が高く、ムートンの歴代ラベルの中でも稀少性と記念碑的価値を兼ね備えた一本とされています。
- 収穫年
- 1999年
- 作者(カタカナ)
- レイモン・サヴィニャック
- 作者(原語)
- Raymond Savignac
レイモン・サヴィニャック(Raymond Savignac, 1907–2002)は、フランスを代表するポスター作家で、ユーモアとシンプルさにあふれるデザインで大衆の心をつかんだ存在です。独学で学び、1930年代から活動を始めましたが、1949年の「モンサヴォン石鹸」のポスターで一躍注目を集めました。以後、交通、観光、日用品など幅広い分野で親しみやすく機知に富んだポスターを制作し、フランスの日常文化に深く根を下ろしました。彼のスタイルは、単純化された形態と鮮やかな色彩、そして一目で伝わる明快なメッセージ性に特徴があります。見る人を思わず微笑ませる温かさを持ちながら、広告美術を芸術の域へと高めた功績は大きいものです。1999年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、軽やかなユーモアと親しみやすい表現でワインに新鮮な魅力を与えました。サヴィニャックは「庶民のための芸術」を実現したポスター界の巨匠として今も愛されています。
- 収穫年
- 1998年
- 作者(カタカナ)
- ルフィーノ・タマヨ
- 作者(原語)
- Rufino Tamayo
ルフィーノ・タマヨ(Rufino Tamayo, 1899–1991)は、メキシコを代表する画家の一人で、20世紀美術において独自の地位を築きました。先住民文化や民俗的要素を背景にしながらも、壁画運動のディエゴ・リベラらとは異なり、政治的主張よりも人間存在の普遍性や宇宙的ビジョンを探求した点が特徴です。彼の作品は、鮮烈な赤やオレンジ、紫など強い色彩と大胆なフォルムが際立ち、土や火、太陽を思わせる力強いエネルギーを放っています。また、抽象と具象の間を往来する表現により、伝統とモダニズムを架橋しました。タマヨはメキシコ国内のみならずニューヨークやパリでも活動し、国際的評価を確立しました。1998年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルに彼の作品が採用され、ラテン的な色彩感覚と生命力豊かな表現でワインの豊潤さを象徴しました。タマヨはメキシコ芸術を世界へ広めた巨匠として今も高く評価されています。
- 収穫年
- 1997年
- 作者(カタカナ)
- ニキ・ド・サンファル
- 作者(原語)
- Niki de Saint Phalle
ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle, 1930–2002)は、フランス出身の現代美術家で、鮮やかな色彩と大胆な造形で知られる20世紀後半を代表する女性芸術家です。モデルや女優として活動したのち、1950年代後半から美術に専念し、初期には銃で絵具の袋を撃ち破る「射撃絵画(Tirs)」で注目を集めました。その後は女性像を中心とした「ナナ」シリーズで国際的評価を確立。丸みを帯びたフォルムと原色に近い鮮烈な色彩で、生命力、女性性、自由を祝福する造形を生み出しました。彼女の作品は彫刻、建築、環境芸術にまで広がり、イタリアの「タロット・ガーデン」など大型プロジェクトでも知られます。1997年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、祝祭的で生命力にあふれる画風をワインに重ね合わせました。ニキは男性中心の美術界に風穴を開け、女性芸術家としての道を切り拓いた存在として今も強い影響を与え続けています。
- 収穫年
- 1996年
- 作者(カタカナ)
- 谷乾
- 作者(原語)
- Gu Gan
谷乾(Gu Gan, 1942–2020)は、中国を代表する現代書画家で、伝統的な書道と現代美術を融合させた革新的な表現で知られます。湖南省に生まれ、中央美術学院で学んだ後、1960年代末から活動を開始しました。彼は漢字の造形を重視しつつ、書の筆致に抽象的な構成や鮮やかな色彩を取り入れ、従来の白黒の世界に新たな表現領域を切り開きました。この革新は「現代書道(Modern Calligraphy)」運動として国際的に注目され、中国美術を現代アートの文脈へと押し上げる役割を果たしました。作品は東洋の精神性と西洋抽象絵画のダイナミズムを融合させ、文化的な架け橋として高く評価されています。1996年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、力強い筆致と抽象性でワインの気韻と深遠さを表現しました。谷乾は「文字を超えた書」を探求した芸術家として、国際的に広く知られ続けています。
- 収穫年
- 1995年
- 作者(カタカナ)
- アントニ・タピエス
- 作者(原語)
- Antoni Tàpies
アントニ・タピエス(Antoni Tàpies, 1923–2012)は、スペイン・カタルーニャ出身の現代美術家で、戦後ヨーロッパを代表する前衛芸術の巨匠です。独学で芸術を学び、シュルレアリスムの影響を受けたのち、物質的な素材感を重視する独自の表現を確立しました。彼の作品は絵画でありながら石や砂、麻布、木片などを取り込み、表面に厚い質感を持たせる「マティエール絵画」の典型とされています。そこには十字や記号的な線が刻まれ、精神性や人間存在の痕跡を象徴的に表現しています。タピエスはまた、カタルーニャ文化や政治的自由への思いを作品に込め、芸術を社会的メッセージの場ともしました。国際的に高く評価され、数々の美術館で回顧展が開催されています。1995年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、素材感と象徴性を融合させた造形でワインの深みと精神性を表現しました。タピエスは「物質に宿る精神」を追求した芸術家として今も敬愛されています。
- 収穫年
- 1994年
- 作者(カタカナ)
- カレル・アペル
- 作者(原語)
- Karel Appel
カレル・アペル(Karel Appel, 1921–2006)は、オランダ出身の画家・彫刻家で、戦後ヨーロッパ美術を代表する表現主義的芸術家のひとりです。1948年にデンマーク、ベルギー、オランダの若手芸術家と共に前衛グループ「コブラ(CoBrA)」を結成し、即興的で奔放な表現を追求しました。彼の作品は、厚く塗り重ねた鮮烈な色彩、大胆な筆致、原始的で生命力にあふれたフォルムが特徴で、自由奔放なエネルギーを放ちます。人間や動物をモチーフにしながらも、抽象と具象の境界を越えた表現は、生命の原初的な力を感じさせるものでした。国際的にも高く評価され、絵画だけでなく彫刻や陶芸、舞台美術にも取り組み、幅広い創作活動を展開しました。1994年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、躍動感あふれる色彩とフォルムでワインの生命力を象徴しました。アペルは「自由な表現」を体現し続けた戦後芸術の旗手として、今も強い存在感を放っています。
- 収穫年
- 1993年
- 作者(カタカナ)
- バルテュス
- 作者(原語)
- Balthus
バルテュス(Balthus, 本名 Balthasar Klossowski de Rola, 1908–2001)は、20世紀を代表するフランスの画家で、神秘的かつ古典的な作風で知られます。パリを拠点に活動しつつ、イタリアやスイスでも創作を行いました。彼の作品はルネサンスや17世紀絵画の技法を踏まえながらも、静謐で緊張感を帯びた独自の世界を描き出しています。特に少女像を中心とした作品群は有名で、無垢と官能、現実と夢幻が交錯する独特の雰囲気を持ち、しばしば物議を醸しました。日常的な場面を題材にしながらも、構図や光の扱いによって寓話的・超現実的な空気を漂わせるのが特徴です。1993年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、格調高い美学をワインの象徴へと昇華させました。バルテュスは同時代の前衛的潮流から距離を置き、古典と神秘を融合させた孤高の存在として、美術史に特異な位置を占めています。
- 収穫年
- 1992年
- 作者(カタカナ)
- ペーア・キルケビー
- 作者(原語)
- Per Kirkeby
ペーア・キルケビー(Per Kirkeby, 1938–2018)は、デンマーク出身の画家・彫刻家・版画家で、北欧を代表する現代美術家のひとりです。もともと地質学を学んだ経歴を持ち、その自然科学的視点が後の芸術表現に大きな影響を与えました。彼の絵画は厚塗りの絵具と重層的な色彩を特徴とし、大地や地層を思わせる構造感を備えています。具象と抽象の境界を行き来しながら、自然の力強さや生成と崩壊のリズムをキャンバスに表現しました。また彫刻や建築的インスタレーションにも取り組み、素材感と空間性を重視した造形で国際的評価を得ています。1992年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、重厚で大地的な色彩を用いてワインの豊潤さと自然との結びつきを象徴しました。キルケビーは芸術と科学を架橋する独自の存在として、北欧美術の枠を超え世界的に高く評価されています。
- 収穫年
- 1991年
- 作者(カタカナ)
- セツコ
- 作者(原語)
- Setsuko Klossowska de Rola
セツコ(Setsuko Klossowska de Rola, 1942– )は、日本生まれでフランスを拠点に活動する画家・陶芸家です。1960年代に渡仏し、フランスの著名画家バルテュス(Balthus)の妻として知られる一方、自身も芸術家として高く評価されています。彼女の作品は、静謐で抒情的な気配をたたえ、自然や花、動物など身近なモチーフを繊細な筆致で描き出すのが特徴です。日本的な感性と西洋美術の技法が融合した表現は、清らかさと気品を兼ね備え、観る者に安らぎを与えます。絵画だけでなく陶芸にも活動の幅を広げ、日常生活に根ざした芸術を追求しています。1991年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、優美で調和的な世界観をワインに託しました。セツコはユネスコ親善大使も務め、東西文化の架け橋として国際的に活躍し続けています。その存在は、女性芸術家としての独自の歩みと、文化交流の象徴といえるでしょう。
, 1942– )は、日本生まれでフランスを拠点に活動する画家・陶芸家です。1960年代に渡仏し、フランスの著名画家バルテュス(Balthus)の妻として知られる一方、自身も芸術家として高く評価されています。彼女の作品は、静謐で抒情的な気配をたたえ、自然や花、動物など身近なモチーフを繊細な筆致で描き出すのが特徴です。日本的な感性と西洋美術の技法が融合した表現は、清らかさと気品を兼ね備え、観る者に安らぎを与えます。絵画だけでなく陶芸にも活動の幅を広げ、日常生活に根ざした芸術を追求しています。1991年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、優美で調和的な世界観をワインに託しました。セツコはユネスコ親善大使も務め、東西文化の架け橋として国際的に活躍し続けています。その存在は、女性芸術家としての独自の歩みと、文化交流の象徴といえるでしょう。
- 収穫年
- 1990年
- 作者(カタカナ)
- フランシス・ベーコン
- 作者(原語)
- Francis Bacon
フランシス・ベーコン(Francis Bacon, 1909–1992)は、20世紀を代表するイギリスの画家で、人間存在の不安や苦悩を鋭く描き出したことで知られます。アイルランド生まれの彼は独学で絵画を学び、戦後のロンドンで活動を本格化しました。特徴的なのは、歪みや変形を伴った人物像で、強烈な感情表現と暴力的ともいえる筆致によって、人間の孤独や死の影を描き出した点です。代表作には「叫ぶ教皇」シリーズや、「三幅対」形式による人物画などがあり、存在の根源に迫る迫力で世界的評価を得ました。写真や古典絵画からの引用を大胆に取り入れながらも、強烈に個性的な画風を築き上げました。1990年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、その内面的な力強さと緊張感がワインの深遠な世界観と重ねられました。ベーコンは20世紀後半の具象絵画における孤高の巨匠として、今も強烈な存在感を放っています。
- 収穫年
- 1989年
- 作者(カタカナ)
- ゲオルク・バゼリッツ
- 作者(原語)
- Georg Baselitz
ゲオルク・バゼリッツ(Georg Baselitz, 1938– )は、ドイツを代表する現代美術家で、戦後ヨーロッパ絵画における革新者のひとりです。旧東ドイツに生まれ、戦後の荒廃や分断の記憶を背景に独自の表現を追求しました。1960年代には具象と抽象を横断する挑発的な作品で注目され、暴力性や人間の不安を赤裸々に描き出しました。特に1969年以降は、モチーフを逆さまに描く「倒立絵画」で知られます。これは主題を無効化し、形態や色彩そのものを純粋に見せる試みであり、彼の代名詞的手法となりました。力強い筆致と荒々しい構成は、戦後ドイツの精神的葛藤を象徴しています。1989年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、大胆で挑戦的な表現をワインに重ね合わせました。バゼリッツは今なお国際的に活躍し、伝統と反逆を同時に体現する存在として、現代美術の最前線に立ち続けています。
- 収穫年
- 1988年
- 作者(カタカナ)
- キース・へリング
- 作者(原語)
- Keith Haring
キース・へリング(Keith Haring, 1958–1990)は、アメリカを代表するストリートアーティストで、1980年代のニューヨークを象徴する存在です。地下鉄の広告板にチョークで描いたシンプルな線画で注目を集め、エネルギッシュな躍動感を持つキャラクターや記号的モチーフで独自のビジュアル言語を確立しました。彼の作品は、子どものように純粋な形態でありながら、愛、平和、自由、そしてエイズや人種差別など社会問題へのメッセージを込めています。明快なアウトラインと鮮烈な色彩は誰にでも理解しやすく、アートを街頭や日常生活へと解放した点で革新的でした。1988年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ポップで生命力あふれる図像をワインに重ね、伝統と現代カルチャーを結びつけました。わずか31歳でエイズにより早逝しましたが、短い生涯で「誰もが楽しめるアート」を実現した彼の精神は今も世界中で生き続けています。
- 収穫年
- 1987年
- 作者(カタカナ)
- ハンス・エルニ
- 作者(原語)
- Hans Erni
ハンス・エルニ(Hans Erni, 1909–2015)は、スイスを代表する画家・グラフィックデザイナーで、20世紀を通じて国際的に活躍した芸術家です。ルツェルン生まれの彼は、パリやベルリンで学び、ピカソやレジェら前衛芸術の影響を受けながらも、独自のスタイルを築きました。柔らかな線描と明快な色彩を用い、人間・自然・科学技術を調和的に表現する作品が多く、モダンで普遍的な造形美が特徴です。ポスター、切手、壁画など幅広い分野で活動し、公共空間や社会に開かれた芸術を実践しました。その活動は美術館のみならず、日常生活の中で人々に芸術を届ける役割を果たしました。1987年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、流麗な線と象徴的イメージによってワインの気品と普遍性を表現しました。100歳を超えても創作を続けたエルニは、スイス美術の象徴的人物として高く評価されています。
- 収穫年
- 1986年
- 作者(カタカナ)
- ベルナール・セジュルネ
- 作者(原語)
- Bernard Séjourné
ベルナール・セジュルネ(Bernard Séjourné, 1947–1994)は、ハイチ出身の画家で、カリブ海美術を代表する存在のひとりです。ハイチの豊かな自然や文化、そして精神性を背景に、鮮やかな色彩と装飾的な構成を駆使した独自の作風を確立しました。彼の作品は幻想的で詩的な雰囲気を持ち、女性像や自然のモチーフを多用しながら、神話的・精神的な世界を描き出しています。色彩は鮮烈でありながら調和に満ち、観る者に生命力と静謐さを同時に感じさせるのが特徴です。1986年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ハイチ人アーティストとして初めての抜擢となりました。彼の描いたラベルは、ワインに異国的な詩情とエレガンスを与え、国際的な注目を集めました。セジュルネは短い生涯ながら、カリブ美術を世界に広めた重要な画家であり、その独自の表現は今も高く評価されています。
- 収穫年
- 1985年
- 作者(カタカナ)
- ポール・デルヴォー
- 作者(原語)
- Paul Delvaux
ポール・デルヴォー(Paul Delvaux, 1897–1994)は、ベルギーを代表するシュルレアリスム画家で、静謐で幻想的な女性像を描き続けたことで知られます。初期は印象派や表現主義に傾倒しましたが、1930年代以降は独自のシュルレアリスム様式を確立しました。彼の作品には古典的な建築、無人の街並み、月光に照らされた風景などが登場し、その中に裸体の女性や眠るように佇む人物が配置されます。そこにはエロティシズムと夢幻的な詩情が漂い、観る者を非現実的な時間と空間へと誘います。デルヴォーの画面はダリの奇想やマグリットの謎とは異なり、静けさと叙情性が際立っているのが特徴です。1985年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、幻想的な女性像によってワインの優雅さと神秘性を表現しました。デルヴォーは20世紀美術において「夢見る画家」と呼ばれ、その独自の世界観で今も人々を魅了し続けています。
- 収穫年
- 1984年
- 作者(カタカナ)
- ヤコブ・アガム
- 作者(原語)
- Yaacov Agam
ヤコブ・アガム(Yaacov Agam, 1928– )は、イスラエル出身の現代美術家で、オプ・アートやキネティック・アートの第一人者として国際的に知られています。絵画、彫刻、インスタレーションにおいて「動き」と「変化」を主題とし、観る角度や光の当たり方によって作品が姿を変える独自の表現を追求しました。幾何学的な形態や鮮烈な色彩を組み合わせ、動的で多層的な視覚体験を生み出すのが特徴です。彼の代表作「アガムグラフ」は、複数のイメージを一つの作品に組み込み、鑑賞者の動きによって異なる像が浮かび上がる仕組みを持ちます。1984年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、変化と生命力を象徴する構成でワインの多様性と豊かさを表現しました。アガムは「静止する芸術」から「動く芸術」への転換を試みた革新者であり、その作品は今も世界各地の公共空間や美術館に設置され、観る者に新鮮な驚きと感動を与え続けています。
- 収穫年
- 1983年
- 作者(カタカナ)
- ソール・スタインバーグ
- 作者(原語)
- Saul Steinberg
ソール・スタインバーグ(Saul Steinberg, 1914–1999)は、ルーマニア出身でアメリカを拠点に活動した画家・イラストレーターで、20世紀を代表するユーモアと知性あふれる線の魔術師です。建築を学んだのち、第二次大戦を機にアメリカへ移住し、『ニューヨーカー』誌で長年にわたり数多くの風刺的・詩的イラストを発表しました。単純な線でありながら人間や社会の本質を鋭く描き出し、時に哲学的な深みや風刺を込めた作品は世界中で高く評価されています。地図を戯画化した名作「ニューヨークの見方」などに見られるように、彼の作品は軽妙さと洞察を兼ね備えていました。1983年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、軽快な線と機知によってワインに遊び心を添えています。スタインバーグはジャンルを超えた表現者として、イラストレーションを芸術の域へと高め、20世紀の視覚文化に大きな影響を与えた存在です。
- 収穫年
- 1982年
- 作者(カタカナ)
- ジョン・ヒューストン
- 作者(原語)
- John Huston
ジョン・ヒューストン(John Huston, 1906–1987)は、アメリカの映画監督・脚本家・俳優で、ハリウッド黄金期を代表する巨匠のひとりです。父は俳優ウォルター・ヒューストンで、自身も俳優として活動しましたが、1941年の監督デビュー作『マルタの鷹』で一躍名声を獲得しました。その後『黄金』、『アフリカの女王』、『白鯨』、『逃走のメロディ』など数々の名作を手掛け、骨太で人間味あふれるドラマを得意としました。文学作品の映画化にも秀で、緻密な脚本と力強い演出で高く評価されました。また晩年の『ザ・デッド』(ジェイムズ・ジョイス原作)は、自身の死の直前に完成させた感動的な遺作として知られます。1982年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、映画人ならではの独特な感性でワインを芸術的に表現しました。ヒューストンはアカデミー賞をはじめ数々の栄誉に輝き、20世紀映画史において不滅の足跡を残した存在です。
- 収穫年
- 1981年
- 作者(カタカナ)
- アルマン
- 作者(原語)
- Arman
アルマン(Arman, 1928–2005、本名アルマン・ピエール・フェルナンデス)は、フランス・ニース生まれの彫刻家・現代美術家で、ヌーヴォー・レアリスム運動を代表する存在です。彼は身近な日用品や大量生産品を題材に、消費社会や物質文明を鋭く映し出しました。特に有名なのは、同じ物を大量に集めて配置する「アキュムレーション(集積)」や、物を切断・破壊して再構成する「コルプス(分断)」のシリーズです。これにより「モノそのもの」を芸術の中心に据え、従来の彫刻概念を覆しました。また、ヴァイオリンや楽器を破壊した作品は、破壊と再生の象徴として強烈な印象を与えています。1981年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ワインと芸術を結びつける独創的な視点を示しました。アルマンは物質と社会を映す鏡のような作品で国際的に評価され、20世紀美術における「オブジェ芸術」の旗手として確固たる地位を築きました。
- 収穫年
- 1980年
- 作者(カタカナ)
- ハンス・ハルトゥング
- 作者(原語)
- Hans Hartung
ハンス・ハルトゥング(Hans Hartung, 1904–1989)は、ドイツ生まれでフランスを拠点に活動した抽象画家で、戦後ヨーロッパ美術を代表する存在です。彼は1920年代からカンディンスキーらの抽象芸術に影響を受け、独自に線と色彩のリズムを探求しました。第二次世界大戦ではフランス外人部隊に参加し、戦傷によって片足を失うという壮絶な経験を経ながらも制作を続けました。作品は激しい筆致やスプレー、ローラーなど多様な手法を駆使し、力強さと繊細さを併せ持つ「ジェスチュラル・アブストラクション」の典型とされています。黒い線やストロークと鮮やかな背景色の対比は、緊張感とダイナミズムを画面に与え、観る者に強烈な印象を残します。1980年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、鋭い線の躍動によってワインの生命力と情熱を象徴しました。ハルトゥングは「抒情的抽象」の旗手として、ヨーロッパ抽象絵画の発展に大きな役割を果たしました。
- 収穫年
- 1979年
- 作者(カタカナ)
- 堂本尚郎
- 作者(原語)
- Domoto Hisao
堂本尚郎(Domoto Hisao, 1928–2013)は、日本を代表する現代美術家の一人で、戦後フランスを拠点に国際的に活躍しました。京都に生まれ、画家堂本印象の甥にあたります。1950年代に渡仏し、抽象表現を追求する中でアンフォルメル運動に参加し、ヨーロッパ前衛美術の中心に身を置きました。彼の作品は鮮やかな色彩と大胆な筆致が特徴で、しばしば幾何学的な要素と有機的な形態を融合させ、宇宙的・精神的な広がりを感じさせます。伝統的な日本美術の感性を背景に持ちながらも、西洋の抽象絵画と融合させた独自の表現は高く評価されました。1979年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、鮮烈な色面と躍動的構成によってワインの生命力と国際性を表現しました。堂本尚郎は東西文化を架橋する芸術家として評価され、作品は欧米の美術館にも多く収蔵されています。
- 収穫年
- 1978年
- 作者(カタカナ)
- ジャン=ポール・リオペル
- 作者(原語)
- Jean-Paul Riopelle
ジャン=ポール・リオペル(Jean-Paul Riopelle, 1923–2002)は、カナダ・モントリオール出身の画家で、20世紀を代表する抽象表現の巨匠の一人です。若くして自動筆記を試みるなどシュルレアリスムの影響を受けましたが、やがて独自のスタイルを確立。絵具をナイフで厚く塗り重ね、モザイクのように色彩を重層的に配置する手法は「ナイフ・ペインティング」として知られ、力強さと繊細さを兼ね備えた画面を生み出しました。1940年代後半からパリに渡り、国際的評価を確立するとともに、カナダ現代美術を世界に押し上げる役割を果たしました。作品は自然との深い結びつきを感じさせ、カナダの大地や四季を思わせるダイナミズムが宿っています。1978年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、鮮烈な色彩と力動的構成によってワインの豊かさと生命力を象徴しました。リオペルは国際的に高い評価を受け、カナダ美術史における最重要人物の一人とされています。
- 収穫年
- 1977年
- 作者(カタカナ)
- イギリスの「クイーン・マザー(エリザベス王太后)」へのオマージュ
- 作者(原語)
- Hommages a la reine mere d'angleterre
1977年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは特別な年で、通常の画家による作品ではなく、イギリスの「クイーン・マザー(エリザベス王太后)」へのオマージュとして制作されました。この年は、エリザベス2世の母である王太后の77歳の誕生日と、イギリス王室にとって重要な記念が重なったことから、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵が敬意を表し、特別な献辞ラベルを採用したのです。デザインは豪奢でクラシカルな紋章的意匠が中心となり、王冠や百合、盾といった王室を象徴するモチーフが描かれ、気品ある装飾がワインの格調と響き合っています。通常のアーティスト起用ラベルとは異なり、格式と伝統を重んじた構成は、ムートンが芸術性だけでなく文化的・外交的メッセージを担っていることを示しました。これにより1977年のボトルはコレクターズ・アイテムとしても希少価値が高く、ワイン史と英国王室史が交差する象徴的な1本となっています。
- 収穫年
- 1976年
- 作者(カタカナ)
- ピエール・スーラージュ
- 作者(原語)
- Pierre Soulages
ピエール・スーラージュ(Pierre Soulages, 1919–2022)は、20世紀から21世紀にかけて活躍したフランスの画家で、「黒の画家」として世界的に知られます。彼は黒を単なる色としてではなく「光を引き出す媒介」としてとらえ、筆跡やマチエールの変化によって表情豊かな表面を生み出しました。特に1970年代以降に展開した「アウトルノワール(Outrenoir=黒の彼方)」は、黒の奥から反射する光を探求し、絵画に新たな精神性を与えました。彼の作品はミニマルでありながら力強く、観る者に深い集中と瞑想を促します。国際的な評価も高く、ルーヴル美術館やニューヨーク近代美術館などに作品が収蔵されています。1976年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、漆黒と光のコントラストによってワインの奥行きと高貴さを象徴しました。スーラージュは100歳を超えてなお制作を続け、絵画における黒の可能性を極限まで追求した巨匠として高く評価されています。
- 収穫年
- 1975年
- 作者(カタカナ)
- アンディ・ウォーホル
- 作者(原語)
- Andy Warhol
アンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928–1987)は、アメリカのポップアートを代表する芸術家で、20世紀美術における最も革新的で挑発的な存在の一人です。商業デザイナーとして出発した彼は、日用品や大量消費社会の象徴を題材に取り込み、芸術と大衆文化の境界を打ち破りました。代表作「キャンベルスープ缶」や「マリリン・モンロー」シリーズは、シルクスクリーンを用いた反復表現により、商品やスターをアイコン化し「アートの民主化」を体現しました。彼の活動は絵画にとどまらず、映像、音楽、出版、ファッションなど幅広く、ニューヨークのアトリエ「ファクトリー」は前衛文化の発信地となりました。1975年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、ワインの伝統とポップアートを融合させる試みを実現。大胆な色彩とアイコニックなスタイルで、クラシックなワインに現代性を付与しました。ウォーホルは「誰もが15分間は有名になれる」と語り、芸術の在り方そのものを刷新した存在として今も影響力を持ち続けています。
- 収穫年
- 1974年
- 作者(カタカナ)
- ロバート・マザウェル
- 作者(原語)
- Robert Motherwell
ロバート・マザウェル(Robert Motherwell, 1915–1991)は、アメリカの画家で「抽象表現主義」の代表的な存在です。スタンフォード大学などで哲学や美術史を学んだ知性派であり、ヨーロッパのシュルレアリスムの思想を吸収しつつ、ニューヨーク派の中心人物として活動しました。彼の代表的連作「エレジー・トゥ・ザ・スパニッシュ・リパブリック」は、黒い楕円形や縦のストロークを反復することで、スペイン内戦への追悼と人間存在の悲劇性を象徴しています。マザウェルの作品はシンプルな形態と力強い筆致を特徴とし、知的で詩的な抽象表現を展開しました。批評家や理論家としても活動し、抽象表現主義の理念を広めた重要な役割を果たしています。1974年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、抑制された抽象の力強さでワインの精神性を視覚化しました。彼は理論と感性を兼ね備えた芸術家として、20世紀美術に深い足跡を残しました。
- 収穫年
- 1973年
- 作者(カタカナ)
- パブロ・ピカソ
- 作者(原語)
- Pablo Picasso
パブロ・ピカソ(Pablo Picasso, 1881–1973)は、20世紀美術を象徴するスペイン生まれの巨匠で、絵画・彫刻・版画・陶芸など多彩な分野で革新的な作品を残しました。幼少期から卓越した写実力を示し、青の時代、バラ色の時代を経て、ジョルジュ・ブラックとともにキュビスムを創始。対象を幾何学的に分解し再構成することで、従来の絵画表現を根底から変革しました。代表作「ゲルニカ」では戦争の悲惨さを告発し、社会的メッセージを込めた芸術家としても知られます。生涯を通じて旺盛な制作意欲を持ち続け、様式を自在に変化させながら創造の幅を広げました。1973年、彼の死去を悼み、シャトー・ムートン・ロートシルトは追悼の意を込めてピカソ作品をラベルに採用しました。芸術の革新と自由を体現したピカソは、「近代美術最大の巨人」と称され、その影響力は今なお世界中の芸術に息づいています。
- 収穫年
- 1972年
- 作者(カタカナ)
- セルジュ・ポリアコフ
- 作者(原語)
- Serge Poliakoff
セルジュ・ポリアコフ(Serge Poliakoff, 1900–1969)は、ロシア出身でフランスを拠点に活躍した抽象画家です。革命後の混乱からヨーロッパへ移り、最終的にパリで芸術活動を展開しました。初期は具象表現を試みましたが、やがて色彩と形態の純粋な関係を探る抽象絵画へと移行します。彼の特徴は、不規則に組み合わされた色面構成で、色彩が互いに響き合うことで画面全体に深い調和と緊張感をもたらす点にあります。赤や青、緑などを重層的に配置しながら、静けさと力強さを併せ持つ独自の世界を築きました。戦後フランス抽象の代表的存在として国際的に高く評価され、作品は主要美術館に収蔵されています。1972年には没後の敬意を込め、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルに彼の作品が採用されました。ポリアコフの色彩と形態のハーモニーは、ワインの奥深さと芸術性を重ね合わせるものとして、今も高い評価を受けています。
- 収穫年
- 1971年
- 作者(カタカナ)
- ワシリー・カンディンスキー
- 作者(原語)
- Wassily Kandinsky
ワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky, 1866–1944)は、ロシア生まれの画家で「抽象絵画の父」と称される20世紀美術の先駆者です。法律を学んだ後にドイツへ渡り、絵画に専念。初期は印象派や象徴主義の影響を受けましたが、やがて音楽的リズムを思わせる色彩と形態を駆使し、具象から完全抽象へと移行しました。カンディンスキーは「色彩は魂に直接訴える」と考え、精神性を重視した理論を著作でも展開しました。バウハウスで教育活動にも携わり、幾何学的な構成を通じて新たな造形言語を探求しました。没後もその影響力は大きく、抽象芸術の礎を築いた存在として高く評価されています。1971年、シャトー・ムートン・ロートシルトは彼を追悼し、過去の作品をラベルに採用しました。鮮烈な色彩とリズミカルな構成は、ワインの豊かな個性と響き合い、芸術と文化の融合を象徴しています。
- 収穫年
- 1970年
- 作者(カタカナ)
- マルク・シャガール
- 作者(原語)
- Marc Chagall
マルク・シャガール(Marc Chagall, 1887–1985)は、ロシア帝国(現ベラルーシ)出身のユダヤ系画家で、20世紀を代表する幻想的表現の巨匠です。幼少期のユダヤ教的伝統や村での生活体験を基盤に、夢や記憶を鮮やかな色彩と詩的イメージで描きました。空を舞う恋人たち、逆さまの動物、象徴的な花などは、彼の絵画にしばしば登場するモチーフです。パリ留学を経てキュビスムやシュルレアリスムの影響を受けながらも、独自の抒情的スタイルを築き上げました。第二次世界大戦では亡命を余儀なくされましたが、その後はフランスを拠点に国際的評価を確立し、オペラ座の天井画や教会のステンドグラスなども手掛けています。1970年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、愛と夢に満ちた独自の色彩世界をワインに重ね合わせました。シャガールは「色彩の詩人」と称され、幻想と現実を融合した作品で世界中の人々を魅了し続けています。
- 収穫年
- 1969年
- 作者(カタカナ)
- ジョアン・ミロ
- 作者(原語)
- Joan Miró
ジョアン・ミロ(Joan Miró, 1893–1983)は、スペイン・カタルーニャ出身の画家・彫刻家で、20世紀美術を代表する巨匠のひとりです。パリでシュルレアリスムの芸術家たちと交流しつつ、独自の詩的抽象表現を発展させました。彼の作品は、鮮やかな色彩、シンプルで象徴的な形態、そして自由な線描によって構成され、無邪気さと幻想性を兼ね備えています。太陽や星、人間や動物を思わせるシンボル的なモチーフを多用し、子どものような純粋さと宇宙的な広がりを同時に感じさせるのが特徴です。1969年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、明快な色彩と象徴的形態でワインの生命力と喜びを表現しました。ミロは絵画だけでなく彫刻や陶芸、版画など幅広く活動し、芸術を「詩の視覚化」として捉え続けました。その自由で革新的な表現は、今も多くの人々に愛され続けています。
- 収穫年
- 1968年
- 作者(カタカナ)
- ボナ
- 作者(原語)
- Bona de Mandiargues
ボナ(Bona de Mandiargues, 1926–2000)は、イタリア・ローマ生まれの画家で、本名はレオノール・ボナファーチェ。のちにフランスに渡り、シュルレアリスムの流れを受け継ぐ独自の幻想的絵画で知られるようになりました。彼女の作品は女性的で詩的な感性を特徴とし、夢や無意識の世界を繊細な線と鮮やかな色彩で表現しています。人物や動植物、幻想的な形態が混じり合う画面には、現実と想像の境界を超えた独特の物語性が漂います。作家アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグと結婚し、文学と美術を結びつける存在としても活動しました。1968年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、優美で幻想的な画風をワインのラベルに託し、コレクターに強い印象を与えました。ボナは女性アーティストとして、戦後ヨーロッパ美術において独自の地位を築き、感性豊かな作品で今も高く評価されています。
- 収穫年
- 1967年
- 作者(カタカナ)
- セザール
- 作者(原語)
- César Baldaccini
セザール(César Baldaccini, 1921–1998)は、フランスの彫刻家で、一般的には「セザール」として知られます。戦後のヌーヴォー・レアリスム運動を代表する芸術家で、金属廃材や工業素材を用いた革新的な作品で名を馳せました。特に自動車をプレス機で圧縮した「コンプレッション」シリーズや、膨張ポリウレタンを使った「エクスパンション」などは、日常素材を大胆に変形させて彫刻へと昇華させた代表作です。従来の彫刻の概念を覆し、現代社会の大量生産・消費の象徴を芸術として提示しました。1967年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、エネルギッシュで独創的な感性をワインの世界に持ち込みました。また、フランス映画界の「セザール賞」のトロフィーデザインを手掛けたことでも広く知られています。セザールは素材そのものの力を引き出し、芸術と産業の境界を打ち破った革新者として、20世紀彫刻史に大きな足跡を残しました。
- 収穫年
- 1966年
- 作者(カタカナ)
- ピエール・アレシンスキー
- 作者(原語)
- Pierre Alechinsky
ピエール・アレシンスキー(Pierre Alechinsky, 1927– )は、ベルギー出身の画家で、戦後ヨーロッパ前衛美術を代表する存在です。若くして版画や挿絵に親しみ、1949年には表現主義的グループ「コブラ(CoBrA)」に参加しました。彼の作品は自由奔放な線描と鮮やかな色彩が特徴で、しばしば東洋の書やカリグラフィーから影響を受けた流麗な筆致が見られます。画面にはユーモラスで幻想的なイメージが躍動し、余白や周縁に物語性を持たせる独特の構成を生み出しました。1950年代以降は日本にも滞在し、墨や和紙を用いた作品制作を行い、東西の美意識を融合させた表現を展開しました。1966年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、流動的な線と色彩でワインの生命力や遊び心を象徴しました。アレシンスキーは絵画だけでなく版画や書物の挿絵など多方面で活動し、今なお現役で国際的に高い評価を受けています。
- 収穫年
- 1965年
- 作者(カタカナ)
- ドロテア・タニング
- 作者(原語)
- Dorothea Tanning
ドロテア・タニング(Dorothea Tanning, 1910–2012)は、アメリカ出身の画家・彫刻家・詩人で、シュルレアリスムを代表する女性芸術家の一人です。初期は幻想的で夢のようなイメージを描き、現実と無意識の境界を探る作品で注目されました。人物や動物が変容し、現実には存在しない空間が広がるその作風は、観る者に不安と魅惑を同時に与えます。1940年代にパリで活動し、マックス・エルンストと結婚したことでも知られ、彼との交流を通じて国際的な芸術シーンで存在感を高めました。1960年代以降は、抽象性の強い表現へと移行し、絵画のみならず立体作品や詩作へも活動領域を広げています。1965年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、幻想と優美さを併せ持つ独自の感性でワインに芸術的な深みを与えました。タニングは女性芸術家としての道を切り開き、長寿を全うするまで精力的に創作を続けた革新的な存在です。
- 収穫年
- 1964年
- 作者(カタカナ)
- ヘンリー・ムーア
- 作者(原語)
- Henry Moore
ヘンリー・ムーア(Henry Moore, 1898–1986)は、20世紀を代表するイギリスの彫刻家で、有機的で抽象的なフォルムを特徴とする大型彫刻で知られています。彼は炭鉱夫の家庭に生まれ、王立美術大学で学んだのち、ロンドンを拠点に活動しました。作品は人間の身体や自然の形態から着想を得ており、特に「横たわる人物(Reclining Figure)」のシリーズは代表的です。丸みを帯びた造形と空洞を巧みに組み合わせることで、物質感と空間との関係を探求しました。第二次世界大戦中にはロンドン空襲を描いた素描でも注目され、戦後は世界各地の公共空間に monumental な彫刻を設置し、国際的評価を確立しました。1964年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛け、象徴的な形態感覚をワインの品格と調和させています。ムーアは人間存在の普遍性を造形に託した芸術家として高く評価され、今なお近代彫刻の巨匠と称されています。
- 収穫年
- 1963年
- 作者(カタカナ)
- ベルナール・デュフール
- 作者(原語)
- Bernard Dufour
ベルナール・デュフール(Bernard Dufour, 1922–2016)は、フランス出身の画家で、戦後ヨーロッパの抽象絵画と具象表現の両領域で活動した独自の存在です。第二次世界大戦後に芸術活動を始め、当初は抽象的で幾何学的な構成を中心に制作しましたが、1960年代以降は人間の裸体や肉体表現に強い関心を寄せ、より具象的かつ官能的なテーマへと移行しました。その作品は時に挑発的で、エロティシズムや死、存在の不安といった人間の根源的テーマを描き出しています。1963年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、流麗な筆致と感覚的な色彩でワインの生命感を表現しました。デュフールはまた、文学や哲学との交流も深く、芸術を通じて人間の本質を問い続けた画家です。彼の作品は、戦後フランス美術において「抽象と具象の橋渡し」を果たす存在として位置づけられ、独自の緊張感と詩情を湛えています。
- 収穫年
- 1962年
- 作者(カタカナ)
- ロベルト・マッタ
- 作者(原語)
- Roberto Matta
ロベルト・マッタ(Roberto Matta, 1911–2002)は、チリ生まれの画家で、20世紀シュルレアリスムを代表する国際的芸術家の一人です。建築を学んだのち、パリでル・コルビュジエの助手を務めましたが、アンドレ・ブルトンらと交流しシュルレアリスムに参加しました。彼の作品は「インサケープ(内的景観)」と呼ばれる独自の表現が特徴で、宇宙的な空間、心理の深層、エネルギーのうねりを描き出しました。抽象と具象の間を揺らぐダイナミックな画面は、アメリカ抽象表現主義にも影響を与えています。1962年、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛け、幻想的かつ有機的な形態を用いてワインの奥行きと精神性を視覚化しました。マッタは南米出身として初めて国際的に注目された画家の一人であり、その作品は人間存在の内的宇宙と外的宇宙の融合を試みた革新的表現として高く評価されています。
- 収穫年
- 1961年
- 作者(カタカナ)
- ジョルジュ・マチュー
- 作者(原語)
- Georges Mathieu
ジョルジュ・マチュー(Georges Mathieu, 1921–2012)は、フランスの画家で「リリカル・アブストラクション(抒情的抽象)」の旗手として知られます。法律や文学を学んだ後に美術へ転じ、1940年代後半からヨーロッパにおける抽象表現主義を牽引しました。彼の特徴は、即興性を重視したエネルギッシュな筆致にあり、巨大なキャンバス上でスピード感あふれる線や形を描き出すことで、感情や精神の解放を表現しました。その制作はしばしば観客の前で行われ、パフォーマンス性を帯びていたのも特徴です。1961年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、爆発的な線の構成によってワインの生命力や躍動感を象徴しました。マチューは「抽象は知性ではなく感情の言語である」と考え、装飾性や秩序よりも即興と自由を重視しました。彼の作品は、戦後フランス美術の復興と国際的評価を高める上で大きな役割を果たし、今日でもその独自性と革新性で高く評価されています。
- 収穫年
- 1960年
- 作者(カタカナ)
- ジャック・ヴィヨン
- 作者(原語)
- Jacques Villon
ジャック・ヴィヨン(Jacques Villon, 1875–1963)は、フランス生まれの画家・版画家で、本名はガストン・デュシャン。あのマルセル・デュシャンの兄としても知られ、20世紀初頭の前衛美術に大きな影響を与えました。彼はもともと法律を学びましたが芸術に転じ、ポスターやイラスト制作を経て画家として独自の道を歩みます。初期は印象派や象徴主義に影響を受けましたが、やがてキュビスムを基盤に、幾何学的な形態と鮮やかな色彩を組み合わせた独自の様式を確立しました。抽象性を帯びつつも、抒情的で温かみのある表現が特徴です。1960年、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、洗練された色面構成でワインの格調を視覚化しました。ジャック・ヴィヨンは版画家としても高く評価され、エッチング技法に革新をもたらしました。彼の作品はフランス近代美術の架け橋として、感覚的な美と理知的構成の調和を体現しています。
- 収穫年
- 1959年
- 作者(カタカナ)
- リチャード・リッポルド
- 作者(原語)
- Richard Lippold
リチャード・リッポルド(Richard Lippold, 1915–2002)は、20世紀アメリカを代表する彫刻家の一人で、特に金属ワイヤーを用いた大規模な抽象彫刻で知られています。彼は工業デザインを背景に持ち、幾何学的秩序と詩的な空間表現を融合させる独自の作風を確立しました。ステンレススチールや銅線を繊細に張り巡らせ、光や建築空間との調和を重視した作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やリンカーン・センターなどの公共空間にも設置されています。1959年にはシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを担当し、精緻な線の構成美を通じてワインのエレガンスを抽象的に表現しました。彼の作品は工学的な精密さと芸術的な直感を兼ね備え、戦後アメリカのモダニズム彫刻を象徴する存在と評価されています。リッポルドは、秩序と調和の中に精神性を見出すアーティストとして、今も高い評価を受けています。
- 収穫年
- 1958年
- 作者(カタカナ)
- サルヴァドール・ダリ
- 作者(原語)
- Salvador Dali
サルヴァドール・ダリ(Salvador Dali 1904–1989)は20世紀を代表するスペインのシュルレアリスム画家で、その奇抜な発想と強烈な個性で芸術界に大きな足跡を残しました。カタルーニャ地方に生まれ、幼少期から卓越した描写力を示し、やがて夢や潜在意識を描き出すシュルレアリスム運動に参加しました。代表作「記憶の固執」に見られる柔らかい時計など、現実と幻想を融合させた独自の世界観は広く知られています。1958年、シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛け、その幻想的かつ象徴的なデザインでワインと芸術の融合を体現しました。彼のラベルは、単なる装飾を超えてワインに文化的価値を与え、コレクターや愛好家に強い印象を残しています。ダリは絵画だけでなく、彫刻、映画、舞台美術など幅広い分野で活動し、常に挑発的で革新的な芸術家として名を刻んでいます。
- 収穫年
- 1957年
- 作者(カタカナ)
- アンドレ・マッソン
- 作者(原語)
- André Masson
1957年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったのは、フランスの画家アンドレ・マッソン(André Masson, 1896–1987)です。
マッソンはシュルレアリスム運動の中心人物の一人であり、アンドレ・ブルトンらとともに自動記述的な描画(オートマティスム)を試み、潜在意識や偶然性を重視した表現で知られています。
その作品は抽象と具象を自在に行き来し、暴力性やエロティシズム、神話的イメージなどを強く孕んでおり、20世紀美術の大きな潮流を形成しました。
ムートン1957年のラベルは、こうしたマッソンの特徴が反映され、抽象的で流動的な線の構成が印象的です。
ワインの豊かさや複雑なアロマが織りなすハーモニーを、彼独自の自動描画的なタッチで視覚化したように見えます。
具体的な形態を追わず、エネルギーや生命力を奔放に表現するその筆致は、ワインの持つ有機的で生き生きとした性格と共鳴し、飲む者の感覚や想像力を刺激します。
また、マッソンはシュルレアリスムから離れた後も東洋思想や神秘主義に傾倒し、自然や宇宙の根源的エネルギーを探求しました。
その思想的背景は、ワインという自然の恵みと人間の叡智が融合した産物と響き合い、ラベルに深い哲学的な広がりを与えています。
1957年のマッソンによるラベルは、ムートンが「単なる装飾」ではなく、ワインを芸術的・精神的次元へと昇華させる象徴的な試みを続けていたことを示す一枚であり、アートラベル史の中でも重要な位置を占めています。
- 収穫年
- 1956年
- 作者(カタカナ)
- パヴェル・チェリチェフ
- 作者(原語)
- Pavel Tchelitchew
1956年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛けたのは、ロシア生まれの前衛画家パヴェル・チェリチェフ(Pavel Tchelitchew, 1898–1957)です。
彼はシュルレアリスムや象徴主義的な要素を取り込みながら、独自の幻想的かつ緻密な作品を描いたことで知られ、特に人体や自然を透過的に捉え、内的な構造を可視化するような表現で高く評価されました。
バレエ・リュスとの関わりや舞台美術の仕事も行い、パリからニューヨークへと活動の場を広げた芸術家です。
ムートン1956年のラベルは、彼の持ち味である幻想性と精神的な深みが反映されており、単なる装飾以上に見る者を異世界へと誘うような印象を与えます。
戦後の芸術潮流の中で、科学や心理学的探究と芸術を結びつけたチェリチェフの作風は、当時のワインラベルとしてはきわめて先進的であり、アートラベルという伝統を確立しつつあったムートンの挑戦的な姿勢を象徴するものでした。
この年は彼にとって晩年の制作期にあたり、翌1957年に没する直前の作品となったことも特筆すべき点です。
肉体の内部を可視化するような表現や、形態を超えた霊的な探求は、ワインが秘める複雑さや時の流れの深遠さとも響き合います。
1956年のラベルは、ムートンの芸術性と時代の前衛精神が重なり合った、歴史的にも意義深い一枚といえるでしょう。
- 収穫年
- 1955年
- 作者(カタカナ)
- ジョルジュ・ブラック
- 作者(原語)
- Georges Braques
1955年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛けたのは、フランス近代美術を代表する巨匠ジョルジュ・ブラック(Georges Braque)です。
ブラックはキュビスムの創始者の一人として、パブロ・ピカソと並び20世紀美術史にその名を刻みました。形を分解し再構築する独自の手法によって、対象の本質を多面的に捉えるスタイルを確立し、現代絵画の方向性を大きく変えた人物です。
その表現は力強さと知性を兼ね備え、絵画を単なる再現から解放し「概念を視覚化する芸術」へと高めました。
ムートンの1955年ラベルにおいても、ブラックの芸術的精神が見事に反映されています。シンプルでありながらも力強い構図は、ワインの持つ深遠な味わいと共鳴し、飲み手に知的な余韻を与えます。
ブラックは生涯を通じて静物画を数多く描きましたが、そのモチーフはワインや楽器、果実など「生活と芸術の境界」を象徴するものが多く、ムートンのラベルもその延長線上にあるといえるでしょう。
限られたスペースに凝縮された造形は、単なる装飾にとどまらず、ボトルそのものを芸術作品に変える力を持っています。
また、この年はムートン・ロートシルトにとっても象徴的な時代でした。
戦後の混乱を抜け、再び世界的評価を高めていく過程で、ブラックのラベルは「伝統と革新の融合」を体現し、ワインの国際的評価を文化面からも後押ししました。
芸術の巨匠とボルドーの一流シャトーが手を取り合うことで、ワインは単なる嗜好品を超え「文化的遺産」としての価値を帯びたのです。
ジョルジュ・ブラックのラベルは、ムートン・ロートシルトのアートシリーズの中でも特に格調高い一枚とされ、キュビスムの精神とワインの豊潤さが融合した記念碑的作品といえるでしょう。
- 収穫年
- 1954年
- 作者(カタカナ)
- ジャン・カルズー
- 作者(原語)
- Jean Carzou
1954年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったのは、フランスで活躍したアルメニア系画家ジャン・カルズー(Jean Carzou、本名:Garnik Zouloumian)です。
カルズーは20世紀を代表する幻想的画家の一人で、独特の線描と色彩感覚によって、都市風景や人物像に夢幻的な雰囲気を与える作風で知られました。
彼の作品は繊細な線が複雑に交錯し、時に廃墟や未来都市を思わせる不思議な世界を描き出し、観る者を現実と非現実のはざまへと誘います。
1954年のラベルにおいても、カルズーの特徴がよく表れています。ワインラベルという小さな画布に込められた彼の線描は、ムートン・ロートシルトの持つ格調の高さと芸術的なオーラを引き立てました。
カルズーは、単に華やかさを追求するのではなく、ワインという液体に宿る「時の流れ」や「夢幻性」を暗示するような表現を加えています。それは、ボルドーの大地が育んだブドウが年月を経て深い熟成を重ねる様子と共鳴し、ラベル自体がワインの哲学を語るかのようでした。
また、このラベルが登場した1950年代半ばは、戦後フランスが再び芸術文化の中心として活気を取り戻しつつあった時代です。
カルズーの幻想的でロマンティックな世界観は、その復興の気運と共鳴し、人々に新しい文化的希望を与えました。
彼のアートは、飲み手に「ボトルを手に取る瞬間から非日常の旅が始まる」ことを予感させるものだったのです。
ジャン・カルズーのラベルは、ムートン・ロートシルトが追求する「ワインと芸術の融合」を象徴するものであり、1954年の特別なヴィンテージをさらに価値あるものへと高めました。
幻想性と洗練が同居する彼のデザインは、今なおコレクターやワイン愛好家に強い印象を残し続けています。
- 収穫年
- 1953年
- 作者(カタカナ)
- -
- 作者(原語)
- Annee de Centenair
1953年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、他の年と大きく趣を異にしています。
というのもこの年は、ムートンが創業100周年を迎えた「Année du Centenaire(創業百周年記念年)」であり、特定の画家による作品ではなく、ワイナリー自身がその歴史と伝統を祝う特別なデザインが採用されたのです。
ラベル中央には「1853 – 1953」と記された記念銘が配され、ムートン・ロートシルトがいかにして世界的な名声を築き上げてきたかを象徴的に示しています。
1853年、ナサニエル・ド・ロートシルト男爵がメドックのこのシャトーを購入したことが全ての始まりでした。
その後、品質向上へのたゆまぬ努力と革新によって、ムートンはボルドーを代表する存在へと成長していきます。
1953年の特別ラベルは、まさにその100年の歩みを祝福するために用意されました。
通常の「アーティスト・ラベル」ではなく、ワイナリーの伝統と誇りを強調するデザインとした点に、特別な意味があります。
戦後間もない時代に、ムートンが再び世界のワイン市場で存在感を取り戻していく過程において、この記念ラベルは単なるボトル装飾以上の役割を果たしました。
それはワイン愛好家に対して「ムートンの歴史を味わう」という特別な体験を与えたのです。
このラベルはまた、ムートンが芸術性と文化性を重んじる姿勢を継続する上での重要な転換点ともなりました。
翌年以降は再び世界的な芸術家によるデザインが復活し、アートラベルの伝統はさらに強固なものとなっていきます。
1953年の「Année du Centenaire」は、その流れの中で唯一無二の存在であり、ムートンの歴史における大切な記念碑的ヴィンテージと言えるでしょう。
- 収穫年
- 1952年
- 作者(カタカナ)
- レオノ―ル・フィ二
- 作者(原語)
- Leonor Fini
1952年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったのは、アルゼンチン出身でフランスを拠点に活躍した女性画家レオノール・フィニ(Leonor Fini)です。
彼女は20世紀を代表するシュルレアリスムに近い芸術家のひとりでありながら、特定の運動に縛られることなく、独自の幻想的で官能的な世界を築き上げました。
フィニの作品は、夢と現実が交錯するような不思議な空気を漂わせ、特に女性像を神秘的かつ強靭な存在として描き出す点に特徴があります。
そのイマジネーション豊かな表現は、男性中心の美術界で強い個性を放ち、女性アーティストとして異彩を放った存在でした。
1952年のムートンのラベルにおいても、フィニらしい幻想性と女性的な感性が感じられます。
彼女の筆致は単なる装飾を超え、ワインを芸術的体験へと引き上げる役割を担いました。
ワインが秘める官能的な香りや味わいは、フィニの描く女性像や夢幻的な世界観と重なり合い、飲み手に視覚と味覚の両面から豊かな想像力を呼び起こさせます。
そのラベルは、ワインを「物質的な嗜好品」から「精神的な芸術体験」へと昇華させるものとなりました。
また、戦後のフランスにおいてフィニのような女性芸術家がラベルを飾ることは象徴的であり、ムートンが多様な芸術表現を積極的に取り入れていたことを示しています。
力強さと繊細さを併せ持つ彼女の作品は、1950年代の文化的復興の気運にふさわしく、ムートン・ロートシルトの「芸術とワインの融合」という理念を鮮烈に体現しました。
レオノール・フィニによる1952年のラベルは、ワインと芸術が互いに高め合い、幻想と現実をつなぐ橋渡しとなった象徴的な一枚として、今なおコレクターや愛好家に強い魅力を放ち続けています。
- 収穫年
- 1951年
- 作者(カタカナ)
- マルセル・ヴェルテス
- 作者(原語)
- Marcel Vertes
1951年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛けたのは、マルセル・ヴェルテス(Marcel Vertès)です。
彼はハンガリー出身で、後にフランスを拠点に活躍した画家・イラストレーターであり、衣裳デザイナーとしても知られる芸術家です。
20世紀前半のパリで名声を博し、映画『ムーラン・ルージュ』(1952年)の衣裳と美術でアカデミー賞を受賞するなど、多彩な分野でその才能を発揮しました。
軽快で流れるような線と柔らかな色使いにより、都会的で洗練された情景を描き出すことを得意とし、彼の作品には常にエスプリと華やぎが漂っています。
1951年のムートン・ラベルも、そのようなヴェルテス独自のスタイルが反映されています。
彼はパリの社交界やキャバレーの雰囲気を軽妙に描き出すことで知られており、その筆致はワインの祝祭性や悦楽性と見事に響き合いました。
ラベルは単なる装飾ではなく、飲み手に「人生の愉しみ」や「社交の華やかさ」を想起させ、ボトルを手にする瞬間から特別な時間が始まることを示唆しています。
また、戦後のフランス社会が再び文化と娯楽を楽しみ始めた時代背景において、ヴェルテスの描く軽やかさと優雅さは大きな意味を持ちました。
彼のラベルは、厳しい時代を超えて再び訪れた希望や喜びを象徴し、ワインを「生きる歓び」の象徴として高めたのです。
マルセル・ヴェルテスの参加は、ムートン・ロートシルトが世界的な芸術家とのコラボレーションを深めていく過程における重要な一章です。
1951年のラベルは、芸術とワインの融合がいかに人々の感性を刺激し、文化的価値を高めるかを示す典型例といえるでしょう。
- 収穫年
- 1950年
- 作者(カタカナ)
- ジョルジュ・アルヌルフ
- 作者(原語)
- Georges Arnulf
1950年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったのは、フランスの画家ジョルジュ・アルヌルフ(Georges Arnulf)です。
アルヌルフは20世紀中葉に活躍した芸術家で、幻想性とユーモアを交えた独自のスタイルを持ち、人物や動物を軽やかな線と豊かな色彩で描き出すことで知られています。
彼の作品はどこか寓話的でありながらも、観る者に親近感を抱かせる温かさを湛えており、パリの芸術界においてユニークな存在感を放ちました。
1950年のムートン・ラベルにおいても、その特徴が色濃く表れています。アルヌルフは祝祭性や遊び心を重視し、ワインを楽しむ時間を「芸術的な愉悦」として表現しました。
明るく自由な筆致は、戦後の重苦しい空気を払拭し、人々に未来への希望や喜びを伝えています。
当時のフランスにおける文化再生の気運とも重なり、ワインを単なる高級嗜好品ではなく「人生を彩る文化の象徴」として提示する役割を果たしました。
また、このラベルはムートン・ロートシルトが継続的に試みてきた「ワインと現代芸術の融合」を強調するものでもあります。
アルヌルフの作品は、難解さよりも軽快さと温かみを優先するため、飲み手にとっては親しみやすく、同時に芸術的な奥行きを感じさせます。
そのバランス感覚が、ムートンの自由で国際的な精神と共鳴しました。
ジョルジュ・アルヌルフによる1950年のラベルは、戦後10年を迎えようとする時代にふさわしい「再生と喜びの象徴」として輝きを放ち続けています。
それは、ワインを通じて芸術を身近に感じさせ、飲む人の心を豊かにするラベルアートの真価を示す一例といえるでしょう。
- 収穫年
- 1949年
- 作者(カタカナ)
- アンドレ・ディニモン
- 作者(原語)
- Andre Dignimont
1949年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛けたのは、フランスの画家・イラストレーターであるアンドレ・ディニモン(André Dignimont)です。
彼は20世紀前半から中頃にかけて活躍し、主に女性像やパリの都市風俗を題材とした作品で知られました。
鋭くも繊細な線描と、軽やかで洒脱なタッチによって、観る者に親しみやすさとエスプリを同時に伝えるスタイルを確立しました。
また、書籍の挿絵や舞台装置、雑誌の挿画など多方面で才能を発揮し、当時のパリ文化に深く根付いた芸術家の一人でした。
1949年のラベルは、戦後復興期のフランスに漂う明るさと、都市生活の華やぎを反映しています。
ディニモンが得意とした女性像や軽妙な筆致は、ムートン・ロートシルトの華やかな個性とも呼応し、ワインの「祝祭性」を視覚的に表現しました。
ワインが単なる飲み物ではなく、人生の喜びや人々の社交を彩る存在であることを、彼のイラストレーションは軽やかに伝えています。
また、彼のラベルは1940年代後半という時代背景にも意味を持ちます。
第二次世界大戦の混乱から立ち直りつつあったフランスでは、芸術や文化が「再び楽しむべきもの」として人々に求められていました。
その空気を映すように、ディニモンの作品は華やかさと日常の愉悦を兼ね備え、ワインのラベルを「芸術と生活の接点」として高めています。
アンドレ・ディニモンの参加は、ムートンのアートラベル史における「多様性」の象徴でもあります。
彼の軽妙洒脱なスタイルは、他の画家たちの壮大さや幻想性とは一線を画し、親しみやすさと都会的な洗練をムートンのボトルに与えました。
1949年のラベルは、芸術とワインが寄り添うことで生まれる「文化の華やぎ」を、今なお語りかけてくれる作品なのです。
- 収穫年
- 1948年
- 作者(カタカナ)
- マリー・ローランサン
- 作者(原語)
- Marie Laurencin
1948年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを飾ったのは、フランスの女性画家マリー・ローランサン(Marie Laurencin)です。
彼女は20世紀前半のパリで活躍し、キュビスムの潮流に身を置きながらも独自の柔らかな画風を築きました。
灰色や淡いピンク、ブルーなどパステル調の色彩を用い、女性や少女、動物を幻想的に描く作風は「女性的抒情」と称され、硬質なキュビスムの中で独特の存在感を放ちました。彼女はまた、詩人ギヨーム・アポリネールやパリの前衛芸術家たちとの交流を通じて、文学や音楽とも深く結びついた芸術活動を展開しました。
ムートンの1948年ラベルにおいても、ローランサンらしい優美で夢幻的な筆致が感じられます。
戦後のフランスにおいて、人々が求めたのは力強さよりもむしろ「慰め」や「希望」であり、彼女の描く柔和な女性像や穏やかな色調は、ワインという文化的贅沢品に新たな詩情を与えました。
ラベルは、ワインを単なる嗜好品にとどめず、芸術作品と同じ次元で語られる存在へと高める役割を果たしています。
マリー・ローランサンが参加したことは、ムートンのアートラベルの歴史においても重要な意味を持ちます。
女性画家がまだ少数派であった時代に、その繊細な感性を堂々と表現した彼女の作品は、ワインと芸術の共鳴を鮮やかに体現しました。
1948年のラベルは、淡い色彩のなかに潜む静かな強さと優雅さで、今日でもコレクターや愛好家の心を惹きつけ続けています。
- 収穫年
- 1947年
- 作者(カタカナ)
- ジャン・コクトー
- 作者(原語)
- Jean Cocteau
1947年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルを手掛けたのは、フランスを代表する芸術家ジャン・コクトー(Jean Cocteau)です。
詩人、小説家、劇作家、映画監督、そして画家としても活動した彼は、20世紀前半のフランス芸術界を象徴する多才なクリエイターでした。
コクトーの作品は、常に現実と幻想の境界を軽やかに往来し、観る者に独自の感覚的世界を提示します。シュルレアリスムや前衛芸術とも親和性を持ちながら、彼独自の抒情性と簡潔な線描による表現が特徴です。
1947年のラベルは、戦後間もないフランスの空気を背景に生み出されたもので、再生と希望を象徴するコクトーらしい詩的なイメージが描かれています。
彼の線描は装飾的でありながらも無駄がなく、シンプルな中に強い存在感を宿しており、ワインラベルという限られた空間に「芸術としての気高さ」と「消費者への親しみやすさ」を同時に与えました。
戦争を経た時代において、ムートンのラベルが芸術家の個性を投影し続ける姿勢は、ワインそのものを文化的な象徴へと高めていきました。
ジャン・コクトーの参加は、ムートン・ロートシルトが「アートとワインの融合」という独自の伝統を確立する過程における重要な一歩でもあります。
彼のラベルは、単なる装飾を超えて、飲み手に時代精神と芸術性を感じさせる力を持っており、今日に至るまで高い評価を受けています。
ムートン1947年を所有することは、稀少なヴィンテージワインを手にする喜びと同時に、20世紀フランス芸術の巨匠の感性に触れる体験でもあるのです。
- 収穫年
- 1946年
- 作者(カタカナ)
- ジャン・ユゴー
- 作者(原語)
- Jean Hugo
1946年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、フランスの芸術家ジャン・ユゴー(Jean Hugo)によって描かれました。
ジャン・ユゴーは、あの文豪ヴィクトル・ユゴーの曾孫として知られ、画家・舞台美術家・デザイナーとして20世紀前半のフランス文化に大きな足跡を残した人物です。
彼の作風は、素朴でありながら詩情豊かで、独特の抒情性と装飾的な美しさを併せ持っていました。
ユゴーはまた、舞台芸術の分野で多くの仕事を手がけ、演劇やバレエの舞台美術や衣装デザインでも高い評価を得ています。
1946年という年は、第二次世界大戦終結直後の混乱と再生の狭間にあたり、フランス社会が徐々に平和を取り戻し、文化芸術が再び花開き始めた時期でした。
ユゴーの描いたラベルもまた、その時代を映し出すように、軽やかさと希望を漂わせた意匠となっています。
戦勝の喜びを直接的に表した1945年のフィリップ・ジュリアン作の「V」とは対照的に、1946年のラベルはより穏やかで、人間の精神的な豊かさや文化の復興を感じさせるものであり、時代の空気を繊細に反映しています。
ジャン・ユゴーは生涯を通じて絵画、文学、舞台芸術に携わり、フランスの芸術の伝統を継承するとともに、新たな感性を吹き込んだ存在でした。
ムートン1946年のラベルは、彼の芸術性と時代背景が見事に融合した作品として、今なお高い評価を受けています。
- 収穫年
- 1945年
- 作者(カタカナ)
- フィリップ・ジュリアン
- 作者(原語)
- Philippe Julian
1945年のシャトー・ムートン・ロートシルトのラベルは、フランスの画家フィリップ・ジュリアン(Philippe Julian)によって手掛けられたもので、ワイン史上においても特別な意味を持つ作品です。
この年は第二次世界大戦が終結した記念すべき年であり、勝利と解放の象徴をデザインに込めることが求められました。ジュリアンはその要請に応え、力強く掲げられた「V」の文字、すなわち「Victory(勝利)」をモチーフとしたラベルを描きました。
「V」は連合国の勝利を象徴するとともに、フランスの誇りと再生を表現しており、ムートンが単なるワインを超え、時代の証人として存在することを示しています。ラベル全体はシンプルでありながらも鮮烈な印象を与え、戦後復興の希望を力強く伝えるデザインです。
この1945年ヴィンテージ自体も、ボルドーの歴史的なグレートヴィンテージとして名高く、ワインとラベルの両面から伝説的存在となりました。
フィリップ・ジュリアンはイラストレーター、作家としても知られ、戦後フランスの文化を彩った人物であり、彼の手によるこのラベルは、美術的にも歴史的にも大きな意味を持っています。
結果として1945年ムートンのボトルは「勝利の年」を象徴するアイコンとなり、今日でもワインコレクションの頂点として特別な地位を占めています。
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