酒類概論①

 

【酒類概論 学習のポイント】

地味な分野ですが、基礎知識としてはかならず押さえておきたい項目です。

試験でも出題数は多く、広い知識を、できる限り知識を定着させていきましょう。

ただし、一つの分野に集中した深い知識までは、今のところ必要ありません。

テキストと教本を中心の学習で全く問題ありません。

 

【このページでわからないことはこちらに質問してください】

 

酒類概論

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お酒とは?

お酒 とは
「 アルコール 分1度以上の飲料」ということが 日本 の 酒税法 で規定されています。

酒税法 第2条

酒類 とは アルコール 分1度 以上の飲料をいう(薄めてアルコール分1度以上の飲料と できるもの、または溶解して アルコール 分1度以上の飲料とできる粉末状のものも含む)

酒税法 第3条

アルコール分 とは、温度15度 の時において原容量100分中に含有する エチルアルコール (エタノール)の容量をいいます。

 

酒税法上の酒の分類

酒税法 では、発泡性酒類 ・ 醸造酒類 ・ 蒸留酒類 ・ 混成酒類 の4つに分けられています。

例)

発泡性酒類 :ビール、発泡酒 ※度数10度未満

醸造酒類 :ワイン、清酒

蒸留酒類 :ブランデー、ウイスキー、焼酎、スピリッツ

混成酒類 :リキュール、 ヴェルモット などの甘味果実酒

 

醸造酒と蒸留酒

醸造酒 :液体に含まれた糖分を 酵母 によって アルコール と 炭酸ガス に分解し、 アルコール が液中に残ったお酒を指します。

蒸留酒 :液体に含まれた糖分が アルコール発酵 した 醸造酒 を基本にして、醸造酒 に含まれた アルコール を 蒸留 の技術で造ったお酒を指します。

 

* 蒸留とは?

水とアルコールの沸点の差を利用します。

水の沸点は100度、アルコールの沸点は78度ですので、この中間の温度にすることでアルコールが優先的に蒸発します。

この蒸発したアルコールを冷却して液体に戻したものが蒸留アルコールとなります。

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実社会での”お酒”とは?

1)ビール

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ビールとは

① 麦芽 、 ホップ 、水、および麦その他の政令で定める物品※を原料として発酵させたもので、原料中の麦芽の重量が ホップ 及び水以外の原料の重量の合計100分の50以上のもの

とされています。

 

②上記の酒類に ホップ 又は政令で定める物品を加えて発酵させたものでアルコール度数が20度未満のもの

※麦、米、トウモロコシ、こうりゃん、馬鈴薯などに加え、麦芽重量の5%以内の範囲で果実又はコリアンダー、香辛料やハーブ、花、はちみつなどが使用可能になりました。

 

①②の規定を満たしていないものは、「 発泡酒 」という扱いになります。

 

生産量と消費量

・2022年の世界のビール生産量は約1.92憶klです。ワインの8倍近くの量が生産されています。

・中国が国別の生産量では1位となっています。

・年間一人当たり消費量はチェコが1位(183ℓ)で、日本は38.4ℓです。

・日本は ビール の税率が高いため、発泡酒などが多いことが特徴です。

 

ビールの歴史

ビールが初めて飲まれたのはシュメール文明だと言われており、紀元前4000年以上前までさかのぼります。

紀元前1700年代に制定された「ハンムラビ法典」にもビールに関する記述があり、以後香辛料を使用するなど発達していきました。

1516年にドイツで制定された「ビール純粋令」は麦芽、ホップ、水以外を原料として使用してはいけないことを定め、品質向上に寄与しました。

 

(ビールの三大発明)

①1866年  パスツール による 低温殺菌法 →長期間の保存に耐えられ、腐敗を防止する

②1873年  リンデ によるアンモニア冷凍機の発明→低温を実現させ安定したビールの生産を実現する

③1883年  ハンセン による 酵母 の 純粋培養法 の発明→ 発酵 をコントロールし、安定した生産を可能にする

 

ビールの原料

麦芽:主に二条大麦を使用します。

ホップ:ホップに含まれるルプリンの効果により特有の苦みや香りが添加されます。

また、ホップの効果として泡持ちの持続、雑菌繁殖の抑制も挙げられます。

 

副原料:麦、米、トウモロコシやデンプンなどが使用されます。

2018年より、

コリアンダーや香辛料、ハーブなども使用可能になりました。

コリアンダー

ビールの分類

上面発酵ビール :発酵中に液面に浮き上がる酵母を使用したビール。

下面発酵ビール :発酵が終わると下に沈む酵母を使用したビール。

ラガービール :貯蔵する工程で熟成を経たビール。

生ビール (ドラフト):非熱処理のビール。

黒ビール :濃色の麦芽を一部使用した色の濃いビール。

 

世界のビール

大きく分類すると 上面発酵 ビール 、 下面発酵ビール に分類されます。

 

(下面発酵ビール)

ピルスナー:発祥はチェコのピルセンです。世界的に普及している爽快な淡色ビール。

日本の淡色ビールはほとんど ピルスナー です。アルコール度数は4~5%程。

 

ボック:発祥は ドイツ のアインベックです。元は濃色でしたが今は淡色が多いです。

豊かなコクがあり、アルコール度数は6~6.5%。

7.5~13%とより度数が高いものはドッペルボックと呼ばれています。

 

(上面発酵ビール)

エール :イギリスで発展したビール。

アルコール度数は2.5~5.5%。

色などの違いでペールエール、マイルドエール、ビターエールなどがあります。

 

アルト :ドイツのデュッセルドルフで発展しました。ホップの香りが強い濃色ビールです。

アルコール度数は4.5~5%。

 

バイツェン :ドイツのバイエルン地方で発展した小麦麦芽を使用したビール。

淡色が多いですが、濃色ビールもあります。アルコール度数は5~5.5%。

少ない苦味と炭酸ガスの強さから清涼感があります。

 

トラピスト :ベルギーの 修道院 で造られていた濃色ビール。

アルコール度数は6~10%。

瓶内で後発酵を行うことが特徴です。

 

スタウト :砂糖が原料に認められ、イギリスで造り始められた濃色ビールです。

濃厚で苦味が強いのが特徴。甘みのあるスイートスタウトもあります。

アルコール度数は4~8%。

 

ランビック :※1~2年ほどかけて自然発酵しています。

ブリュッセル地方で造られるベルギービール。

アルコール度数は5~6%。

大麦麦芽と小麦も使用し、古いホップも使用します。

できたランビックと古いランビックを混ぜて1年ほど発酵、その後瓶内でも発酵させます。

 

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2)ウイスキー

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・ウイスキーとは

穀物が原料で、糖化した液体を 発酵 、 蒸留 させ、木樽で熟成させた 蒸留酒。

 

モルト ウイスキー :二条大麦麦芽を使用し、単式蒸留機で二回 蒸留。

グレーン ウイスキー :とうもろこしや小麦を使用し、連続式蒸留機で 蒸留。

ピュア モルト ウイスキー :モルトウイスキーのみをブレンドしたウイスキー。

シングル モルト ウイスキー :一つの蒸留所のモルトウイスキーのみをブレンドしたウイスキー

ブレンデッドウイスキー :モルトウイスキーと グレーン ウイスキーをブレンドしたウイスキー

 

・世界5大ウイスキー

アイリッシュ :多様な原料が特徴です。単式・連続式共に使用します。

 

スコッチ : ピート を使用したスモーキーフレーバーが特徴的です。

強い味わいの モルト ウイスキーと グレーン ウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーが世界的に普及しています。

 

アメリカン :トウモロコシを主原料とした新樽熟成の バーボン が有名です。

その他にもライ麦を使用したものや、テネシーウイスキーなどもあります。

 

カナディアン :連続式蒸留機を使用した癖のない味わいが特徴的です。

 

ジャパニーズ :日本のウイスキーはスコットランドから学んで発展しました。

まだ新興国ですが、高い評価を得ています。

原材料は麦芽、穀類、日本国内で採水された水のみ使用可能。麦芽は必ず使用しなければなりません。

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【ここまでの理解度を10問の基本問題で確認しましょう】

 

3)ブランデー

・ブランデーとは

果実を原料とした蒸留酒。グレープ ブランデーを単に ブランデー と呼ぶことも多いです。

グレープブランデー の場合、原料が穀物ではなくブドウです。

そのため穀物原料では必要な糖化工程を経ずに造ることができます。

ワイン を単式(連続式)蒸留機で蒸留し、樽熟成させて製品化されます。

 

・コニャック(Cognac)

フランス西部、 コニャック地方 で造られた グレープブランデー です。

アルコール度数 は40%以上での販売が義務づけられています。

ピノー デ シャラント (Pineau des Charantes)という VDL も生産しています。

土壌:石灰質土壌

ブドウ品種: ユニブラン ( サンテミリオン )、フォルブランシュ、コロンバール、モンティル、セミヨン、フォリニャン(10%以内で認められている補助品種)

蒸留:単式蒸留機(シャラント型、コニャック型)で二回蒸留。

熟成:350ℓのオーク樽(リムーザン産、トロンセ産、アリエ産)を使用。

収穫翌年の4月1日から二年間は販売できません。

 

(6つの地区)

①が最上級品質で、⑥に向かうにつれて並級品質となります。

 

①グランド シャンパーニュ(Grande Champagne):繊細で力強く熟成して真価を発揮

②プティット シャンパーニュ(Petite Champagne):繊細

③ボルドリー(Borderies):すみれの風味があると言われています。粘土質。

④ファン ボワ(Fins Bois):粘土含む石灰質。最大域。

⑤ボン ボワ(Bons Bois):砂質土壌

⑥ボワ オルディネール(Bois Ordinaires):砂質土壌、最小面積。

※フィーヌ シャンパーニュ(Fine Champagne):プティットシャンパーニュにグランドシャンパーニュを50%以上混ぜたもの。

 

(熟成表示)

アッサンブラージュ (ブレンド)される原酒のうち、最も若い原酒に合わせた表示をしなければなりません。

コントという単位が使用されています。

コント:収穫翌年の4月1日から起算してコント0とし、二年後の4月1日でコント2となります。

※コント数に合わせて以下のような言葉が使用されます。

コント2:3 Etoiles(☆☆☆)

コント3:Supérieur

コント4:V.S.O.P.(Very Superior Old Pale)

コント5:Vieille Réserve

コント6:Napoléon、Trés Vieux

コント10:XO(Extra Old)、Hors d’âge

コント14:XXO(Extra Extra Old)

 

・アルマニャック

フランスの南西部、アルマニャック地方で造られたグレープブランデーです。

アルコール度数は40%以上での販売が義務づけられています。

フロック ド ガスコーニュ(Floc de Gascogne)という VDL も生産しています。

 

土壌:砂質土壌

ブドウ品種:バコブラン、コロンバール、フォルブランシュ、ユニブランなど

 

蒸留:連続式蒸留機(アルマニャック型蒸留機)、または単式蒸留機で二回蒸留。

政令で早まらない限り、収穫翌年の3月31日までに蒸留を終える義務があります。

 

熟成:約400ℓ容量のオーク樽(ガスコーニュ地方産)にて熟成させます。

 

ブランシュ アルマニャック以外のAOCはコント1以上でなければ販売できません。

※ブランシュ アルマニャック(Blanche Armagnac):無色透明のアルマニャックです。

3カ月以上不活性容器での熟成。

 

 

(3つの地区)

①が最高品質、③に向かうにつれて並級になります。

①バ ザルマニャック(Bas Armagnac):フィネスがあり、干しすももの風味があります。

②アルマニャック テナレーズ(Armagnac Ténarèze):すみれの香りと干しスモモの風味。

③オー タルマニャック(Haut Armagnac)

 

(熟成表示)

アッサンブラージュされている原酒で最も若いものに合わせて表示します。

コント1:3 Étoiles、VS

コント4:V.S.O.P.

コント10:XO、Hors d’âge

※ヴィンテージ アルマニャック:最低10年の熟成が必要。

単一年のブドウを使用した 場合、その収穫年を記載できる。

 

その他のグレープブランデー

フランス : コニャック 、 アルマニャック 以外の グレープブランデー は オード-ヴィー ド ヴァン(Eaux-de-vie de vin)と呼ばれています。

品質が良い地方のものはフィーヌ(Fine)という名前が使用されます。

例)Fine de Bourgogne フィーヌ ド ブルゴーニュ

 

スペイン:ブランデー デ へレス(Brandy de Jerez)は シェリー の産地で熟成。

 

イタリア:ブランデー イタリア―ノ(Brandy Italiano)

 

※ ピスコ (Pisco): チリ やペルーで楽しまれている ブランデー です。

カクテル  にしたピスコサワーも人気があります。

 

・粕取りブランデー

ブドウの搾りかすを使用したブランデーも各国で造られています。

最も有名なものは、 フランス の マール と イタリア の グラッパ です。

 

(マール Marc)

マール とは圧搾後に残った固形分(搾りかす)を意味しています。

残った果皮や種などを発酵・蒸留させたものも マール と呼びます。

木樽熟成により色付いたものが多く製品化されています。

三大マール: アルザス 、 シャンパーニュ 、 ブルゴーニュ

 

(グラッパ Grappa)

イタリア  で造られている粕取り ブランデー  。

マールに比べて無色透明であり、樽熟成を経ずに製品化されているものが多いです。

 

I.G.(Gepgraphical indication)認定グラッパは以下の通りです。

Grappa

Grappa di Barolo

Grappa piemontese/ Grappa del Piemonte

Grappa lombarda/ Grappa di Lombardia

Grappa trentina/ Grappa del Trentino

Grappa friulana/ Grappa del Friuli

Grappa veneta/ Grappa dell’Alto Adige

Grappa siciliana/ Grappa di Sicilia

Grappa di Marsala

 

 

・カルヴァドス(Calvados)

オード-ヴィー ド シードルはリンゴが原料のブランデーですが、フランス北部のカルヴァドス地方で造られたものは カルヴァドス と呼ばれています。

アルコール度数40%以上で販売することが決められています。

 

※ シードル (Cidre)はリンゴが原料のワインのことです。

アメリカではアップル ブランデーのことをアップル ジャックと呼びます。

 

品種:230種類のリンゴと121種類の梨が認められています。

リンゴはフェノール豊かなもの(Phénolique)と酸味の豊かなもの(Acidulée)の二つのタイプに分けられます。

 

蒸留:単式蒸留機で二回、または連続蒸留機を使用します。

洋梨の 醸造酒 であるポワレ(Poiré)を30%まで加えることができます。

 

熟成:カルヴァドス、カルヴァドス ド ペイドージュは2年以上の熟成義務。

カルヴァドス ドンフロンテは3年以上の熟成義務。

 

(熟成表示)

2年:3 Étoiles(3 Pommes)、VS

3年:Vieux、Réserve

4年:V.O.、Vieille Réserve、V.S.O.P.

6年:Napoléon、Hors d’age、Trés Vieille

 

・その他のブランデー(Eaux-de-Vie de Fruits)

サクランボ原料:キルシュ(フランス)、キルシュワッサー(ドイツ)

※黄色プラム=ミラベル(Mirabelle)、紫プラム=クェッチ(Quetche)

木苺=フランボワーズ(Framboise)、スモモ=プリュヌ(Prune)

コケモモ=ミルティーユ(Myrtille)

コケモモ

 

【ここまでの理解度を10問の基本問題で確認しましょう】

 


 

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