イタリア概論

1)イタリアワインについて

イタリアは、イタリア半島とシチリア島、サルデーニャ島といった島々からなります。

国土は日本の80%ほどですが、人口は半分程度であるため人口密度は日本よりも低くなっています。

周囲を海に囲まれ、アルプス山脈やアペニン山脈などが連なっているため、その地形は多様です。

アペニン山脈はイタリアの半島を真ん中で貫き、東と西の気候を別のものにしています。

そのように気候や土壌が多様であるため、栽培されている品種も多様で、イタリア各地には様々な土着品種が存在しています。

温暖な気候で日照にも恵まれているイタリアでは、全20州でワインが作られるほどブドウ栽培に適した環境を持ちます。

そのため古代ギリシャ人はイタリアを「エノトリア・テルス(ワインの大地)」と呼びました。

そのようにブドウ栽培に適したイタリアは、フランス、スペインと共にワインの世界三大生産国として膨大なワインを生産しています。

 

 

イタリアワインの歴史

紀元前8世紀頃、ギリシャ人とエルトリア人がイタリアに本格的なブドウ栽培を伝えました。

ワイン文化はその後発展を遂げていき、地中海を通して運ばれました。

輸送の際にはアンフォラが使用されていましたが、木樽の使用も始まっていきます。

そして中世に入ると修道院が中心となり、ワイン文化は発展を遂げていきます。

近世に入り、1716年にはトスカーナ大公コジモ3世がキアンティ、ポミーノ、カルミニャーノ、ヴァル ダルノ ディ ソプラの生産地の境界線を定めました。

これは原産地呼称制度の最初の例として知られています。

20世紀になると、それまで被害のなかったイタリアにもフィロキセラが広がり、甚大な被害を受けイタリアのブドウ畑は荒廃してしまいます。

それから質より量のイメージが強く根付いてしまったイタリアですが、1970年代になると意欲的な生産者たちがそのイメージを払拭し、ワインの高品質化を目指して動き始めます。

ここからイタリアワインは急速に近代化を進め(イタリアワイン・ルネッサンス)、伝統の殻を破ったスーパータスカンが高い評価を得ていきました。

現在は土着品種や伝統的製法なども再び意識しつつ、高い質を目指したワイン作りが行われています。

 

 

ブドウ品種とワイン法

イタリアには多くの土着品種が残っており、同じ品種であっても地方によって異なる名で呼ばれることもあります。

現在ではカベルネ ソーヴィニヨンやシャルドネなどの国際品種の栽培が増えてきています。

栽培面積の大きい白ブドウ:グレーラ、ピノグリ―ジョ、カタラット ビアンコ コムーネ

栽培面積の大きい黒ブドウ:サンジョヴェーゼ、モンテプルチアーノ、メルロ

 

白ブドウトップ3

グレーラ 26,571 ha
ピノグリ―ジョ 24,501 ha
カタラットビアンコ コムーネ 21,392 ha

 

黒ブドウトップ3

サンジョヴェーゼ 53,865 ha
モンテプルチアーノ 27,434 ha
メルロー 23,631 ha

 

イタリアのワイン法の始まりとされているのは、1716年にコジモ3世がキアンティなどの生産地区の線引きを行ったこととされています。

その後、1920年代にバローロの生産地が指定されるなど、個々のワイン産地についてそのような動きはありましたが、国による原産地呼称制度はありませんでした。

そしてフランスのAOC法制定から遅れること約30年、1963年に最初の原産地呼称法として、「ワイン用ブドウ果汁とワインの原産地呼称保護のための規則」を公布。

この法律によってワインは、厳しい制約をクリアしたD.O.C.と、より厳しい基準と出荷の際に国の検査まで必要なD.O.C.G.に分けられることになりました。

※D.O.C.(Denominazione di Origine Controllata)=統制原産地呼称

D.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)=統制保証原産地呼称

 

 (ワインの格付け)

現在のEUワイン規則によるワインの格付けは、下記3段階になっています。

①保護原産地呼称ワイン(D.O.P.)=Vino a Denominazione di Origine Protetta

②保護地理表示ワイン(I.G.P.)=Vino a Indicazione Geografica Protetta

※I.G.P.はワインの85%以上がその土地で作られたワインである必要があります。

③ヴィーノ(Vino)=地理表示なし

D.O.P.は従来のD.O.C.G.、D.O.C.に代わるもので、I.G.P.はI.G.T、VinoはVino da Tavolaに代わるものです。

従来通りのD.O.C.G.などの表記も認められています。

D.O.P.の中では、地域名(Sottozona)、市町村名(Comune)、地区名(Frazione)、区画名(Microzona)のように産地が限定されていくにしたがって上級です。

 

(様々な規定)

ヴィーノ フリッツァンテ(Vino Frizzante):1~2.5気圧の弱発泡性ワインです。

ヴィーノ リクオローゾ(Vino Liquoroso):リキュールタイプのワイン。

メトード クラシコ(Metodo Classico):瓶内二次発酵。

 

(ヴィーノ ノヴェッロ Vino Novello:新酒の規定)

①D.O.P.とI.G.P.のみ認められています。

②醸造期間は醸造開始後10日以内。

③40%以上マセラシオン カルボニック法で造られたワインを含まなければならない。

④アルコール度数は11%~、残糖は~10g/ℓ。

⑤ブドウ収穫年の12月31日までに瓶詰をする。

⑥ラベルには必ず収穫年を表記する。

⑦10月30日の0:01よりも前の提供は禁止。

 

・特殊なワイン

イタリアでは様々なお酒が生産されています。

フレーヴァード ワインであるベルモットは、発祥の地として知られるピエモンテ州産のヴェルムート ディ トリノ(Vermut di Torino)が有名です。

レモンの皮から作られたレモンチェロ(Limoncello)や、ブドウの搾りかすから作られるグラッパ(Grappa)も人気があります。

 

(ヴィン サント Vin Santo)

トスカーナやウンブリアなどイタリア中部で作られているワインです。

陰干しブドウを使用しており、味わいは辛口~甘口まで様々タイプがあります。

白ブドウを2~5カ月陰干ししてから、カラテッリと呼ばれる小樽で発酵熟成させます。

カラッテリの上部は少し空間を空けておくため、少し酸化しながら熟成を経ていきます。

発酵・熟成はヴィンサイタイアと呼ばれる屋根裏部屋で3~10年ほど行います。

黒ブドウで作られたものは、ヤマウズラの眼という意味のオッキオ ディ ペルニーチェ(Occhio di Pernice)と呼ばれています。


 

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