ソムリエ・ワインエキスパート二次試験 シャルドネの見分け方
ソムリエ・ワインエキスパート試験のブラインドテイスティングにおいて、シャルドネは最重要品種のひとつです。
実際、近年の試験ではおおむね2年に一度のペースで出題されており、「まずシャルドネを押さえること」が合格への近道といっても過言ではありません。
しかし、ここで注意しなければならないのは、「シャルドネ=こういうワイン」と単純に覚えてしまうことです。
シャルドネは世界中で栽培されており、産地や醸造方法によって驚くほど個性が変化します。
そのため、「果実味が豊かだからシャルドネ」「樽香があるからシャルドネ」といった表面的な判断だけでは、大きく外してしまう危険があります。
実際の試験でも、ブルゴーニュの冷涼なシャルドネと、新世界の熟したシャルドネでは印象がまったく異なります。
また、同じブルゴーニュでもシャブリとコート・ド・ボーヌでは特徴が大きく変わります。
そこで本記事では、試験対策として最低限見分けられるようになりたい「3つのシャルドネ」に絞って解説します。
この3タイプを整理するだけで、シャルドネの正答率は大きく向上するはずです。
なお、この記事は二次試験において最低限の見極め方と回答方法について記載しています。
より詳しく産地別の見極め方などについては、有料コンテンツにてご紹介しています。
ソムリエ試験・ワインエキスパート試験 シャルドネの見分け方
■過去の出題分析

まずは直近12年間でシャルドネが出題された試験を下記にまとめました。
2025年 ソムリエ フランス
2024年 ワインエキスパート 日本
2022年 ソムリエ フランス
2021年 ソムリエ フランス
2020年 ソムリエ 日本
2020年 ワインエキスパート フランス
2018年 ワインエキスパート オーストラリア
2016年 ソムリエ フランス
2016年 ワインエキスパート アメリカ
2015年 ワインエキスパート フランス
2014年 ソムリエ アメリカ
2013年 ソムリエ オーストラリア
過去12年間でソムリエ・ワインエキスパート合わせて12回も出題がされています。
単純に考えて2回受験すれば1回は出題されるといったかなり高い出題率です。
また、産地別でみると、フランスが12回中6回と非常に多いです。
やはりフランスはブルゴーニュという世界を代表するシャルドネの銘醸地がありますからこれは自然なことかもしれません。
他の産地はアメリカとオーストラリアといったニューワールドが続きます。
2024年は日本のシャルドネが出題され、話題になりました。
シャルドネ「二極論」は危険
シャルドネの見分け方として、よく「シャブリスタイルのステンレスタンク熟成」と「樽熟成を行った樽ドネ」の二つに分類する説明を見かけます。
もちろん、これは基本的な考え方として間違いではありません。
しかし、ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験対策としては、少し単純化しすぎていると言えるでしょう。
なぜなら、樽熟成というものは決して一種類ではないからです。
新樽比率を高めてバニラやトースト、ナッツの香りがはっきり感じられる「強い樽熟成」もあれば、大樽や古樽を使い、果実味を邪魔しないようにごく繊細に樽のニュアンスを加える「弱い樽熟成」もあります。
現代の高品質なシャルドネでは、むしろ後者のようなデリケートな樽使いの方が増えている印象さえあります。
そのため、「樽香があるか、ないか」という二択で考えてしまうと、本来は樽熟成タイプであるにもかかわらず、ステンレスタンク熟成と誤認してしまうケースが少なくありません。
特に近年の試験では、露骨な樽香だけを頼りに品種を特定するのは危険です。
そこで二次試験対策では、シャルドネを「ステンレス系」「弱い樽熟成系」「強い樽熟成系」の三つに分類して整理することをおすすめします。
この三分類で考えると、香りや味わいの違いが理解しやすくなり、実際の試験でも選択肢を絞り込みやすくなります。
まずはこの三つのタイプを頭の中で明確に区別できるようになることが、シャルドネ攻略の第一歩なのです。
① ステンレス系シャルドネ
まず最初に押さえたいのが、いわゆる「シャブリスタイル」に代表されるステンレスタンク主体のシャルドネです。
試験においても頻出のタイプであり、シャルドネの基準点として覚えておく価値があります。
このタイプの特徴は、余計な要素が少なく、味わいが非常にシンプルであることです。
樽由来のバニラやトースト、ナッツの香りはほとんど感じられず、果実香も派手ではありません。
香り全体としては控えめで、どちらかといえば柑橘類や青リンゴ、柑橘のような清潔感のある印象が中心になります。
テイスティングでは、「何か特徴的な香りがある」というよりも、「余計なものがない」という消去法的な見方が重要です。
樽香が見当たらず、ソーヴィニヨン・ブランのようなハーブ香や、リースリングのような華やかなアロマも感じない。
それでいて酸味がしっかりあり、口中に適度なボリューム感がある場合は、まずステンレス系シャルドネを疑ってみましょう。
また、試験で混同しやすいのが甲州種です。
両者とも香りが穏やかで、すっきりした印象を持つことがあります。
しかし、外観を見ると違いが現れます。
甲州はグリ品種由来の特徴として、グレーがかった緑色、いわゆる「グレーグリーン」の色調を示すことがあります。
一方、シャルドネはより素直なレモンイエロー系の色合いになることが多く、外観の段階である程度の見当をつけることが可能です。
派手な特徴が少ないため難しく感じるかもしれませんが、「樽がない」「アロマティックではない」「酸がありながら適度な厚みがある」という三点を押さえることで、ステンレス系シャルドネの正答率は大きく向上するでしょう。
②穏やかな樽シャルドネ
次に押さえたいのが、多くの受験生が苦手意識を持つ「穏やかな樽熟成系シャルドネ」です。
実は試験において最も判断が難しいのは、このタイプかもしれません。
強い樽熟成タイプであれば、バニラやトースト、ナッツなどの香りが比較的わかりやすく現れます。
しかし、穏やかな樽熟成系では、最初のひと嗅ぎで樽の存在を明確に感じられないことも少なくありません。
そのため、「樽香がないからステンレス系だろう」と早合点してしまう受験生が非常に多いのです。
このタイプを見極めるポイントは、香りだけではなく余韻まで丁寧に確認することです。
ワインを飲み込んだ後、口の中や鼻に抜ける香りの中に、ほんのわずかなバニラやトースト、ローストしたナッツのようなニュアンスが残る場合があります。
はっきりとした樽香ではなく、「なんとなく樽っぽい」「少しだけ甘いスパイス感がある」と感じたら、このカテゴリを疑ってみましょう。
試験対策上、ここは非常に重要なポイントです。
なぜなら、穏やかな樽熟成系であっても、解答ではトーストやバニラといった樽由来の選択肢が正解として含まれることが多いからです。
これをステンレス系シャルドネと誤認すると、香りや醸造法に関する設問でまとめて失点する危険があります。
「樽香が強いか弱いか」ではなく、「樽の痕跡があるかどうか」という視点で判断することが、このタイプ攻略の最大のコツと言えるでしょう。
③強い樽シャルドネ
最後が、カリフォルニアのシャルドネに代表される「強い樽熟成系シャルドネ」です。
もし本試験でこのタイプが出題されたら、むしろラッキーだと考えてよいでしょう。
なぜなら、このタイプは樽由来の特徴が非常にわかりやすく現れるからです。
香りにはバニラ、トースト、バター、ナッツ、時にはカラメルのようなニュアンスまで感じられます。
グラスに鼻を近づけた瞬間に、「これは樽がしっかり入っているな」と判断できることも少なくありません。
味わいも豊かで、酸味は比較的丸く感じられ、全体としてリッチでまろやかな印象になります。
アルコール感やボリューム感もしっかりしており、ステンレス系シャルドネと比べると存在感は圧倒的です。
そのため、多くの受験生は品種だけでなく、トーストやバニラといった表現も含めて正解にたどり着くことができます。
ただし、だからこそ注意も必要です。
本来は最もわかりやすいタイプであるにもかかわらず、樽の風味を十分に捉えられなかった場合、失点のダメージは大きくなります。
周囲の受験生が正解している可能性が高いため、ここを外すと相対的に不利になってしまうのです。
強い樽熟成系シャルドネは、「樽を感じるかどうか」で迷うワインではありません。
バニラ、バター、トーストというキーワードが明確に浮かんだら、自信を持ってシャルドネを選びましょう。このタイプは確実に得点源にしたいところです。
まとめ
シャルドネは二次試験の本命品種ですが、「シャブリタイプ」と「樽ドネ」の二択だけで覚えてしまうと、近年の試験では思わぬ失点につながる可能性があります。
まずは「ステンレス系シャルドネ」「穏やかな樽熟成系シャルドネ」「強い樽熟成系シャルドネ」の3タイプに分類し、それぞれの特徴を整理することが重要です。
特に実際の試験では、穏やかな樽熟成系をステンレス系と誤認するケースが非常に多く、この部分が合否を分けるポイントになることも少なくありません。
しかし、テイスティングは文章を読むだけではなかなか上達しません。
本当に力を付けるためには、「実際に飲み比べること」が何より大切です。
WBSでは、今回ご紹介した3タイプの特徴が最もわかりやすく表現されているシャルドネを厳選し、テイスティング教材として販売しています。
また、単にワインを飲むだけではなく、受験生やワイン愛好家がどのような表現をしているのか、自分の感覚とどこが同じでどこが違うのかが一目でわかるようになっています。
「樽の強弱がよくわからない」「自分のテイスティングに自信が持てない」「本番前にシャルドネを確実に得点源にしたい」という方は、ぜひこの機会に教材をご活用ください。
実際に飲み比べることで、テキストだけでは得られない感覚的な理解が身につき、二次試験の精度は大きく向上するはずです。
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