こんにちは。WBSの前場です。
昨日行われました2024年度ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験、本当にお疲れさまでした。
いろいろな思いが駆け巡ることかと思いますが、まずはご自身の体をいたわっていただき、しっかり休憩をとってください。
ワインエキスパートについてはこれが最終試験ですので、合格発表を待ちましょう。
ソムリエについては残すは3次試験です。WBS生の声を聞きますと、論述はしっかりと書けているようですので、安心して次に進みましょう。
3次試験については決して難しいものではありません。
WBSでこれまでしっかり学習してくださった皆様であれば、1週間程度あれば十分に準備ができますので、しっかり休憩をとった後に準備を再開してください。
さて、WBSでは、二次試験終了後の銘柄発表のあとに、どのようにお感じになったのか、アンケートを実施をしました。
お疲れの中アンケートにお答えくださったWBS生の皆様、本当にありがとうございました。
この試験はこれまで、うわさ話や口伝えに「ブドウ品種はこうした」「総合評価はこうした」などの声が耳に入ることはあっても、実数値で把握することはできませんでした。
実数値で把握できなければただのうわさ話でしかありませんし、噂話をする人の母数のサンプルサイズ、レベル、話の聞き方によっても回答はまちまちになります。
言いづらいですが根拠のないうわさ話レベルの話が独り歩きをすることも多く、こうなると受験生としては経験則によるものか、発信力の強い人の話を丸呑みするかしかなかったのです。
ただしこれでは受験生は何をよりどころにしていいか確信が持てずに時間を過ごすことになってしまい、試験そのものの価値を落とすことにもなりかねません。
ブラックボックスの部分が多いため仕方のない面もありますが、これでは質の高い受験生ほど試験そのものに信頼を置かなくなってしまいます。
もちろんこのデータがすべて、というわけではありませんが、それであっても一定のサンプルサイズを、できるかぎりフラットにお答えいただいた数値になります。
受験生はもちろん、来年度以降受験をご検討いただいている方におかれましても、参考になるデータかと思いますので、是非ご活用ください。
このアンケートは、
①受験生ができる限り心理的ストレスを感じないようにする
②できる限り答えやすい雰囲気にする
③盛った回答をしない気にさせる(盛る意味がないようにする)
④回答については一定レベルのスクリーニングがされている
ように以下の工夫をしております。
そこで、
・アンケートはWBS一般会員のみ
・スクールネーム、メールアドレスは収集しない
・選択肢はできる限り少なくする
・文体は丁寧に、フラットな関係性であること
としました。
そのため、サンプルの分母はWBS一般会員であり、かつ、一次試験に合格した層ですので、回答の質は高く、かつ、絞られたものになっています。
なお、このコンテンツは部分的にクローズコンテンツになっています。
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なお、グラフについてはリアルタイムで反映されるものですので、今後変動することもあることを予めご了承ください。
目次
2024年度ソムリエ・ワインエキスパート二次試験 テイスティング試験の分析
総論
アンケートに行く前に、最初に総論です。
ソムリエ協会が10月7日17:00頃に発表した銘柄は以下の通りです。
ソムリエ
1 リースリング ドイツ 2021年
2 ソーヴィニヨン・ブラン フランス 2022年
3 シラー/シラーズ オーストラリア 2021年
4 泡盛
5 トウニーポート
ワインエキスパート
1 ミュスカデ フランス 2021年
2 シャルドネ 日本 2023年
3 カベルネ・ソーヴィニヨン アメリカ 2021年
4 サンジョベーゼ イタリア 2020年
5 バーボンウイスキー
以下にWBSの判断した難易度を5段階で表記します。難易度については模範解答が発表されるまでの暫定的なものとお考え下さい。
ソムリエ 3/5
ソムリエについては昨年度に比べると易化したと判断します。
昨年度のソムリエは過去最高の難易度で、WBSは5/5と判断していますが、昨年度の難易度の高さからやや調整が入ったと推測をすることもできます。
2番目のソーヴィニョンブランは難問のようでした。
いろいろ推測をすると、昨年同様にボルドースタイルの樽熟成をさせたソーヴィニョンブランの可能性は捨てきれません。
仮にそうであれば、2年連続同じ国、同じ生産地域のワインということになります。
それ以外は比較的正解を導きやすい、素直な問題が多かったようです。
ただし、リースリングやシラーズについても近年の傾向から平準化した味わいのものが出題されたようですので、ここについては後ほど解説します。
ワインエキスパート 4/5
ワインエキスパートについては昨年度に比べるとやや難化したと判断します。
ミュスカデは2017年ソムリエまでさかのぼらないと出題がなく、かつ、2017年から現在まででかなりワインのスタイルが変わっているため特定のできる端緒は見出しにくかったはずです。
また、2番目の日本のシャルドネも特徴は見出しにくく、かつ、収穫年も2023年と若く、多くの受験生にとって初めてのワインだったでしょう。
赤ワインのカベルネソーヴィニョンについては素直な出題の為、ここは当てたいところです。
サンジョベーゼについてはオレンジがかった色調だったというご報告も多いため、ここからネッビオーロやピノノワールを推測された方も多くいらっしゃいました。
それでは、ここからがアンケート結果とWBSの分析になります。
執筆時点では記憶のフレッシュな二次試験当日の数値をもとに記載しております。
全体の感想
全体の感想としては、とても難しく感じたが20%を下回る数値となっています。これは何を意味しているのかというと、全体の8割以上の方は事前の予想通り、あるいはやや難しく感じた、と感じており、予想を超える難しさに感じた人はいないことを意味しています。
WBSは二次試験についても決して安易なものではなく、しっかりと準備をしないといけない重要な局面である、とアドバイスをしております。
それが奏功する形となったことは嬉しいことですが、その一方で「とても難しく感じた」方も一定数いらっしゃるので、来年度以降のアドバイスに役立てていきたいと思います。
制限時間はソムリエで40分、ワインエキスパートで50分ですが、これもWBSの日ごろのトレーニングの成果が表れた結果となりました。
いまのところ時間が足りなかった(途中で時間切れ)のかたはいらっしゃいませんので、全員が時間内に終えることができた、ということになります。
その一方で、やや足りなかった(焦って回答を埋めた)かたも3割ほどいらっしゃいました。
正直にお答えいただいたことに感謝するとともに、至らなかった点として、しっかり反省します。すべてWBSの力不足です。
来年度以降、しっかりと反映をさせていただき、少しでも減らせるように努力をいたします。
区分
区分分けはソムリエがおおむね4割、ワインエキスパートが6割となっています。
これは受験者数の比率をおおむね表しているものと思われます。
試験本番と練習の違いを計る
このアンケートは、二次試験直後のできる限り記憶がフレッシュなうちにお答えいただけるようにお願いしています。
お疲れの中大変に申し訳ないとは思いますが、それでも当日中にお願いするには理由があります。
それが、二次試験については試験本番と練習とでは大きな乖離があり、それを感覚ではなく、実数値で把握することが非常に重要だからです。
いくら言葉で「本番と練習では違うから」といっても、聞く側は可視化されていないと、経験則に基づくただの言葉だくらいにしかとらえません。
優秀な受験者になればなるほど経験則の言葉に信頼を置いていません。現代社会は優秀な方ほど物事を適切に疑う力を持っているからです。
そのためWBSとしてはあらゆるデータをできる限り可視化させて、事実ベースでお伝えすることで理解しやすく、取り入れやすい形にフォーマットをするようにしています。
さて、ここからいよいよ個別の分析に進みます。
ソムリエ
①ドイツ リースリング 2021年
ソムリエの1番目はドイツのリースリング2021年でした。
ブドウ品種は、ざっくりいえば半数近くの方が正解をされていることがわかります。
リースリングについては直近では2023年度ワインエキスパート(オーストラリア)、2022年ソムリエ(ドイツ)、2021年ワインエキスパート(フランス)、2018年ソムリエ(フランス)、2018年ワインエキスパート(ドイツ)で出題があります。
毎年のように出題がされているため、WBSとしても最も注意するべき品種ということで強くアドバイスをしていました。
リースリングには特徴香として石油のようなテルペン香がありますが、近年のワインはほとんどこの香りを感じられずに、香りだけではリースリングと特定できないものがほとんどになっています。
今回のワインについては特徴香を強く感じた方もいらっしゃる一方で、全くなかったと感じた方も同じ程度いらっしゃることがわかります。
WBSとしては、リースリングについては香りで判別するのではなく、味わいの酸味で判別できるようにアドバイスをさせていただいております。
そのためテルペンを感じなかった方の中にもリースリングと特定できた方もいらっしゃいますので、ここについては引き続き分析を進めていきたいと思います。
そして重要なのが総合評価です。
ほとんどの方はシンプル・フレッシュ感を楽しむにチェックを入れているところからも、おそらく全体の味わいとしては酸味が基調になっている、ドライタイプのリースリングなのかと思われます。
以前は模範解答はボラティリティがありましたが、近年はシンプル・フレッシュ感を楽しむに集中しているため、おそらく今年度もシンプル・フレッシュ感を楽しむが入ることが推測されます。
国名については、ドイツと回答できた方は全体の10%程度です。
リースリングと回答はできても、おそらくほとんどの方は積極的にドイツにチェックを入れられない心理が働いたのでしょう。
これは、先ほど解説した「試験本番と練習の違いを実数値で把握する」ことの重要性が端的に表れています。
おそらく練習であればもっと気楽に回答できるので、ドイツとフランスでは回答は割れるはずですが、本番ではそうは簡単にドイツにチェックを入れられないプレッシャーが働くのです。
正解はドイツであるにも関わらず、多くの人は何となく選びやすいフランスを選択した。
ここについてはWBSとしても分析を進めて、来年度以降のWBS生へのアドバイスに適切に反映させていきたいと思います。
受験生にすると気になるのが、国名は致命的なミスになるかならないか、でしょう。
正解率が10%の問題が致命的なミスになるのであれば、毎年の二次試験の合格率はもっと低いものになるはずです。
合理的に推測すれば、ここについてはドイツと正解できなくても致命的なミスにはならないものと思われます。
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