フェルミエ ワイナリー ツアー訪問レポート!

【最終更新日】2024年8月1日

フェルミエは日本一の大河、信濃川が注ぐ日本海にほど近い海岸砂丘、新潟市西蒲区の「新潟ワインコースト」の一画に位置しています。

1992年創設のカーブドッチワイナリーに次ぐ、新潟ワインコースト2軒目のワイナリーで2006年に設立されました。

カーブドッチワイナリーからも徒歩3分ほどの場所にあります。

 

栽培・醸造家である本多孝さんは元証券マンでしたが、

「海と砂のテロワールが育む新潟の個性溢れるワインを造りたい」

と決意し、脱サラしてカーブドッチワイナリー主宰のワイナリー経営塾で栽培・醸造・ワイナリー経営について学び、自身のワイナリーを創業されました。

 

近年注目のスペインの白ブドウ品種アルバリーニョの日本におけるパイオニアとしても知られています。

ワイナリー名の「Fermier」はフランス語で「農家」の意味。

「ワインはその土地の自然を現す農産物であるべき」との考えから名付けられました。

 

【日本ワイナリーを巡っています】

 

フェルミエワイナリー ツアーレポート!

ワイナリーツアー

ワイナリーツアーは金、土、日、月曜日の開催で予約制。

時間は不定期で変更になる場合があるため、確認してからの予約がおすすめです。

ワイナリーのホームページから問い合わせし、折り返しの日程確認を持って予約完了となるため、余裕をもって予約しましょう。

 

ブドウ畑と醸造所の見学、テイスティングで料金は一人¥2750(税別)。

1時間弱のツアーです。

 

入り口にあるショップの受付で料金を支払い、ワイナリー前に広がる畑の見学からツアーは始まります。

海から約1kmのワイナリーの背後には日本海が垣間見え、晴れた日には遠くに佐渡島が見えるのだとか。

この佐渡島の山脈やワイナリーの西側に位置する角田山が積乱雲を遮ってくれることから、積雪や降水量が少ないのだそうです。

ワイナリー前の畑にはアルバリーニョ、カベルネ・フラン、ピノ・ノワールが中心に植えられており、全て垣根仕立てで栽培されています。

手前の畑はアルバリーニョ、収穫は早く9月上旬頃、そして奥の畑がカベルネ・フランで10月上旬に収穫されるそうです。

 

その他40kmほど内陸の新飯田地区にもアルバリーニョの畑を所有しており、こちらはもともと生食用ブドウを始め果樹栽培の盛ん地域であったことから、スペインのリアスバイシャスと同じ棚仕立てで栽培されているとのことです。

海のテロワールの影響を受けてミネラル感を感じるワイナリー前の越前浜の畑に対して、新飯田の方は、信濃川がたびたび氾濫・決壊してもたらされた川砂のテロワールであり、この違いもワインにどのように反映されるかテイスティングが楽しみです。

 

ワイナリー前に広がる越前浜の地質は、かつて海底火山だった角田山の噴火により流出したマグマの安山岩層の上に、氷河期以降の海面上昇により形成された沖積層が重なり、さらにその上に、新潟ワインコーストのテロワールを特徴づける約10mの深さの砂質土壌の海岸砂丘が形成された、なかなかに複雑な土壌なのだそうです。

ブドウは日本海のミネラルを含む砂地に根を張り、水分や養分を吸収して、ワインにはアルバリーニョの塩味や、カベルネ・フランのヨード香など海に近いテロワールの特徴が現れます。

 

畑を案内いただいた後はワイナリーに戻り、レストランとショップ裏の醸造所の見学です。

醸造所はこじんまりとしていますが、振動徐梗機や2000ℓの低温発酵も可能な大型タンク、1000ℓの小型タンクなどが並んでいます。

木樽は全てフレンチオークで新樽から3年目までのものだそうです。

アルバリーニョにはステンレス樽が用いられているとのこと。

 

醸造に関しては、自社畑のブドウから造るドメーヌ・ワインを中心に野生酵母による自然発酵が中心に行われており、極力機械を使用しない醸造方法がとられているそうです。

また、各工程で細かな酸化還元管理が徹底され、亜硫酸の使用も微量に抑えているのだとか。

ワインの移動時や瓶詰め時には重力や不活性ガスで圧送する手法により、極力ワインにストレスをかけない造り方を心掛けているのだそうです。

 

現在ワイナリーでは、自社畑のブドウを使用した「ドメーヌ・ワイン」、貼絵画家、深町めいしゅう氏のエチケットが美しい新潟県産ブドウで醸した「新潟ワインシリーズ」、ベガやアルタイルなど星の名前が付けられた、日本産カベルネ系品種を用いた「カベルネ・ジャポネシリーズ」、新潟や国内産のブドウを使用した「セパージュシリーズ」の4つのシリーズがリリースされています。

 

ワイナリーでのテイスティング

約1時間の見学後ショップに戻って試飲させていただきました。

この日の試飲は4種類。

①アルバリーニョノンバリック新飯田2022

内陸の新飯田にある自社畑で、棚仕立てで育てられたアルバリーニョを100%使用し、ステンレスタンクで発酵・熟成させたワイン。柑橘や、アプリコットのような香りとキレイな酸が特徴です。

 

②シャルドネ 2021

柑橘や蜂蜜、樽由来のバニラの香りを感じる、芳醇な辛口白。

 

③シュペートブルグンダー2021

ピノ・ノワールのシノニムですが、“ピノ・ノワール”でリリースしているワインはフランスのディジョン株、こちらはドイツの株を使用しているので名前を分けているのだとか。繊細で優しい味わいです。

 

④カベルネ・フラン 2020

自社畑のカベルネ・フランを樽熟成させた赤。

フレッシュなベリーの香りで余韻の長い上品なワイン。フレンチオーク樽で熟成。

 

フェルミエのワインはどれも繊細で優しく、特に越前浜のワイナリー前の自社畑のブドウで造られるワインは砂質土壌らしいエレガントな香りと長い余韻を楽しめます。

特にフェルミエの代名詞ともいうべきアルバリーニョで造られるワインは種類が多く、どれも香り高く、キレイな酸は共通しているものの、それぞれに個性的なのが楽しいです。

ただし、生産量が少なく、人気な為、リリースされてもすぐに完売してしまうので、出会えたら即買いがオススメです。

また、カーブドッチでワイン造りを学んだからといって、のれん分けのように同じ味という訳ではなく、同じブドウ品種でもまったく異なる個性が魅力です。

 

今回はワイナリーツアーに付いているテイスティングを楽しみましたが、ツアーに参加しなくても、併設のショップカウンターで数百円からテイスティングが楽しめ、気に入った物は購入することも可能ですので、曜日や時間が合わない方でも新潟ワインコーストに行かれた際にはぜひ立ち寄ってみていただきたいワイナリーです。

併設のレストランはミシュランガイド新潟2020 にも掲載された人気のフレンチレストランで、ブドウ畑を眺めながら、ゆったりとワインや料理を楽しむことができます。

 

ワイナリーツアーインフォメーション

〒953-0012 新潟県新潟市西蒲区越前浜4501

開催日時

[金曜・土曜] 14:30~15:30

[日曜・月曜] 10:30~11:30

不定期で開催時間が異なります。インフォメーションにてご確認ください。

料金        ¥2,750(税別)/1名

定員        1日 6名まで

予約:https://fermier.jp/pages/wine-tourism/


 

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