【最終更新日】2024年8月1日
「ワインエキスパートは料理に弱い」そう言われないために。
皆さんはフランス料理のイメージはどのようなものでしょうか?
多くの方は、綺麗に盛り付けられたお料理が順番に出てくるコース料理を思い浮かべられると思います。もちろん、お値段もそれなりにしていて、何か特別な日に食べる料理。
そのようなところではないでしょうか。
実は、このようなフランス料理を一般市民が口に出来るようになったのは、フランス革命以降の18世紀後半になってからです。
それ以前はフランス料理は宮廷内のみで楽しまれる料理であり、一般市民は口にすることはできませんでした。
また、提供方法が現在のように小分けになったのは、さらにその後の19世紀に入ってからになります。
このように一皿一皿提供する方法は、寒冷地のロシアが起源とされており、ロシア式サービスとも言われています。
このように見てみると、伝統と格式が高いと思われているフランス料理ですが、実は歴史的にはそこまで古くないようです。
ではなぜフランス料理は高級とイメージがついたのか?
それは、フランスが料理を広める際に地方料理ではなく、宮廷料理をお手本として世界へ広げたからです。つまり、付加価値をつけて料理を広げたということです。
もちろん宮廷料理となると、手間暇かけて仕込みをして、食材も高級なものが多くなってきます。その分、値段も上がりますし、食べに行くのは特別な日にもしたくなりますよね。
今回はその中でも高級食材についてお話できればと思います。食材について知ることができれば、ワインとのペアリングの際、ワインと料理の「格」を合わせることにも役立つかと思います。
ここで、前もってお伝えしておきますが、金銭感覚は人それぞれになります。
今回高級食材として記載させていただくものは、「一般的に」高級と言われている食材になりますので、そこはご了承ください。
そんな記事を書く私ですが、
ワインブックススクールWBSで学習し、2023年度に1発でワインエキスパート試験に合格しました。
ワインエキスパート試験合格以前には、調理学校の通信教育でフランス料理・イタリア料理技術講座を1年間受講し、卒業した経歴があります。
その当時の資料、参考書を中心に今回の記事を作っていきたいと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、早速みていきましょう。
目次
フランス料理に使われる高級食材
世界3大珍味
フランス料理の高級食材、皆さんは何が思い浮かびますか?
私が記事を書くにあたって、いちばん最初に思い浮かんだものは「世界三大珍味」です。そう、キャビア、フォアグラ、トリュフです。まずはこの3つを見ていきましょう。
【キャビア】
キャビアは皆さんご存知かとは思いますが、チョウザメの卵を塩漬けしたものになります。
主な産地はロシアで、どこの国でも高級品として取り扱われています。
生産地がロシアということで、フランスの高級食材というテーマでは、少しずれた内容になるかもしれませんが、ご了承ください。
有名なキャビアとしてカスピ海産のベルーガ、オシェトラ、セブルーガがあります。それぞれで粒の大きさにも違いがありますし、希少性も異なり、もちろん価格も変わってきます。
ランクはベルーガ>オシェトラ>セブルーガの順で希少で、高価になってきます。
海外の商品が目立ってはいますが、実は日本でも養殖は行われています。宮崎県で作られる国産キャビアは2023年にG7広島サミットでも採用されていたようです。
キャビアといえば、色々なお料理に添えられたり、スプーンに盛られた画が思い浮かびますね。ペアリングはやはり、シャンパーニュでしょうか。
【フォアグラ】
フォアグラはガチョウや鴨に強制的に高カロリー食を与えて肥大化させた肝臓になります。製造の過程が残酷なこともあり、フランス以外での生産は出来ないようです。
ワインエキスパートの教本にもあるように、ガチョウのフォアグラはアルザス、鴨のフォアグラは南西地方の名産とされていますね。
ガチョウのものは風味が穏やかなため、テリーヌに向いており、鴨はヘーゼルナッツのような風味を有するため、ポシェやソテーに向くと一般的にはされています。
フォアグラの代表的なものとしては、やはり「牛肉のロッシーニ風」が有名でしょう。牛肉のステーキの上にソテしたフォアグラをのせ、黒トリュフをたっぷり使ったソースペリグーを合わせた豪華なお料理です。
他にも、マッシュルームのロワイヤル(茶碗蒸しのようなもの)にポシェしたフォアグラとトリュフのソースを添えたり、シンプルにソテをして、ソース・ポルトと一緒に供して食べるのもとても美味しいです。
フォアグラのテリーヌなどはソーテルヌやセレクション・ド・グランノーブルなどの貴腐ワインが定番ですね。
ちなみに、フォアグラを食していたのは貴族であり、フォアグラを抜かれた鴨肉は市民が食べていました。この鴨の保存を効かせるために生まれた料理が「鴨のコンフィ」として今日も楽しまれています。
【トリュフ】
皆さんご存知のように、トリュフはキノコの仲間です。フランス料理でもキノコはよく使われていて、モリーユ茸やジロール茸、セップ茸(ポルチーニ茸)など種類も豊富です。
その中で最も有名と言っても過言ではないのがトリュフでしょう。
トリュフは主に「白トリュフ」、「黒トリュフ」、「サマートリュフ」に分けられます。希少価値、価格も異なってきますが、収穫時期も異なってくるため、時期に応じて使い分けされることもあるようです。
白トリュフ
世界でも限られた地域でしか収穫できない白トリュフ。イタリア、ピエモンテ州のアルバ産が一番有名な産地になります。
収穫の時期は9月~1月、強い香りが特徴的。しかしながら、その香りは時間を追うごとに減弱するため、フレッシュさが命ともいえます。
美食家からの強い人気と希少性も相まって、価格は高価になります。
黒トリュフ
トリュフといえば、この黒トリュフを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
12月~3月が旬で、徐々に中の色味も濃くなり、香りと味がしっかりとしてきます。中でもフランスのペリゴール産のものは「黒いダイヤモンド」と呼ばれ、高い評価を得ています。
サマートリュフ
4月~8月にかけて収穫できる、近年人気が高いトリュフ。外観は黒っぽい色味ですが、断面は白色です。
白トリュフ、黒トリュフに比べて廉価なため、贅沢使いできるのが魅力の一つです。香り自体は控えめになるため、サラダやカルパッチョなどさっぱりとしたお料理との相性が良いとされています。
トリュフはキャビアやフォアグラとは異なり、ソースに用いたり、料理に添えられたりとトリュフが主役というのは少ないように思います。
他の高級食材
それでは、そのほかの高級食材はどのようなものがあるでしょうか?
日本でもよく食べられている鹿や猪に加え、野うさぎや鳩、キジなどのジビエ、魚介類では舌平目やオマール海老などがあります。
今回は、日本でもよく食べられる舌平目とオマール海老をご紹介していきます。
【舌平目】
日本でよく見かける舌平目は「赤舌平目」や「黒うしの舌」ですが、フランス料理で用いられる高級食材としては、なんといっても「ドーバー・ソール」でしょう。
ドーバー・ソールはその名の通り、ドーバー海峡で獲れる舌平目のことです。赤舌平目や黒うしの舌に比べ、身に弾力があり、肉厚です。
脂肪分の少ないタンパクな魚で、丸ごと火を通して使用する他、フィレにしたり、すり身にしてムースに使用することもあります。
代表的な料理として、ムニエルした舌平目をブール・ノワゼットでいただく「舌平目のムニエル、グルノーブル風」、少量のフュメでポシェした上身を濃厚なバターのソースでいただく「舌平目のデュグレレ風」などがあります。。
【オマール海老】
オマールはフランス、ブルターニュ地方が名産の高級食材になります。海老とついていますが、正確にはザリガニの仲間になるようです。
フランス語ではオマールですが、英語ではロブスターです。
ヨーロッパ産とアメリカ産で呼び方も異なり、ヨーロピアン・ロブスター(オマール・ブルトン/オマール・ブルー)、アメリカン・ロブスター(オマール・カナディアン)と言われます。
ヨーロピアン・ロブスターは殻が青く、白い斑点があるのに対して、アメリカン・ロブスターは殻が赤茶色と外観で違いが分かります。ヨーロピアン・ロブスターの方が食感は弾力があり、美味とされ、希少性も相まって、より高価とされています。
オマールの代表的な料理として「オマールの煮込み、アメリカ風」や「オマールのグラタン」、「オマールのビスク」など日本でも馴染みの深い料理があげられます。
そんなオマールですが、料理に用いられるのは身だけではありません。
殻はソースやスープ、頭の部分は料理の飾りにも使えます。濃厚なミソは合わせバターに、コライユと呼ばれる卵は料理の付け合わせにと、一匹無駄なく使うことができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、世界三大珍味の【キャビア】、【フォアグラ】、【トリュフ】、それに加えて【舌平目】、【オマール海老】について解説をさせていただきました。
どれも高級食材でフランス料理を知る上で、避けては通れない食材ばかりになっています。
しかしながら、これらの食材に触れる機会は私を含め、一般の方々はなかなかないと思います。なので、レストランなどで見かけたときは是非、チャレンジしてみてくださいね。
高価な分、期待も膨らみますし、テンションだって上がります。そんな時にこの記事のことをふっと思い起こしていただけますと嬉しいです。
3回にわたってフランス料理の①ソース②調理技法③高級食材について投稿させていただきました。少しは参考になったでしょうか?
いつも長文にお付き合いいただきありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。
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