【最終更新日】2023年2月2日
リースリング(Riesling)は白ブドウの品種の一つで、ドイツのライン川沿岸が原産とされています。
土壌の影響を受けやすい品種で、ドイツでの栽培が最も盛んですが、アメリカ、オーストラリア、フランスのアルザス地方、オーストリア等、世界各国で栽培されており原産国の違いでワインも様々なスタイルがあります。
ヴァイサー・リースリング(Weisser Riesling)、ライン・リースリング(Rhein Riesling)、ホワイト・リースリング(White Riesling)、ヨハニスベルグ・リースリング(Johannisberg Riesling)等、土地により呼び方が多くあります。
一方で、ヴェルシュリースリング(Welschriesling)、シュヴァルツリースリング(Schwarzriesling)、ケープ・リースリング(Cape Riesling)、グレイ・リースリング(Gray Riesling)はリースリングと名が付くものの別品種です。
目次
リースリングの基礎知識
ぶどうの特徴
一般的にはライムや青リンゴ、桃やハチミツ、ジャスミンのような花の香りがあり、しっかりとした酸味と軽い口当たりのフルーティーなワインとなります。
熟成したリースリングの中にはペトロール香と呼ばれる、ガソリンの様な香りがあるワインもあります。
辛口、中甘口、甘口の白ワインの他、スパークリングワインも生産されており、日常で楽しめる求めやすい価格のものから高品質な白ワインまで、多種多様なワインを産む品種です。
酸味が強いので、収穫時期を遅くして糖度を高める事でも有名です。
主な生産地
ドイツ
全ブドウ栽培面積の1/4をリースリングが占めており、13あるワイン生産地域全てで栽培されています。
他品種とブレンドされる事があまり無く、単一品種のワインが多い事が特筆で、オーク樽での熟成も稀です。
ドイツそのものがブドウ栽培の北限にあり、寒冷地が多い為ブドウの糖分が少なく、アルコール度の低いワインが多くなります。
極甘口の貴腐ワインと呼ばれる、ボトリティス・シネレア菌(貴腐菌)に感染させた果実を収穫時期を遅くして乾燥させ、糖分を凝縮して造ったワインや、果実を凍結させて糖度を高めるアイスワインも多く生産されています。
以前のワイン法での格付けは収穫時の果汁糖度で行われていました。
フランス
主にドイツとの国境いにあたる、アルザス地方で15世紀後半から栽培されています。
ドイツのリースリングに比べ、気候、生産工程の違いからアルコールがやや高い事が特徴です。
辛口の白ワインが有名ですが、ヴァンダンジュ・タルディヴ(Vandanges Tardives)やセレクシオン・ド・グラン・ノーブル(Selection de Grands Nobles)と呼ばれる、遅摘みの甘口ワインも生産されています。
アメリカ
1861年にドイツからの移民によりカリフォルニア州に初めて植栽されました。現在ではワシントン州、ミシガン州とニューヨーク州のフィンガーレイクで多く栽培されています。桃やミネラル香のする飲みやすいワインから、遅摘みの甘口ワインまで様々です。
オーストラリア
[itemlink post_id=”2979″]暖かい気候ですが、オーストラリアでも生産が増えており、中でも南中央部に当たる南オーストラリア州のクレアヴァレー、イーデンヴァレーはオーストラリアのリースリング生産地の双璧と言われています。
風味を強く感じるワインが多く、若いうちは柑橘系の香りが特徴ですが、年を経るに連れて酸味とフレッシュさのバランスが取れてきます。
ニュージーランド
南島にあるマールボロ周辺は冷涼な気候で、ソーヴィニヨン・ブランが多く栽培されている事で有名ですが、リースリングの栽培にも適した環境です。
口当たりが軽く、繊細な味わいのワインが多く、甘口から辛口まで生産されています。
オーストリア
[itemlink post_id=”2978″]生産量は少ないですが、世界的にも評価が高い辛口ワインを生み出しています。
ヴァッハウ、クレムスタール、カンプタール、トライゼンタールといった東北部での栽培が多く、ドイツに比べると酸味が柔らかく、柑橘系や花、ミネラルの香りがバランスよく感じます。貴腐ワインも生産しています。
著名なワイン
エルデナー・プレラート・アウスレーゼ・ローゼン(Erdener Praelat Auslese Loosen)
[itemlink post_id=”2977″]ドイツのモーゼル地域で200年以上の歴史あるワイナリーです。
現在代表を務めるエルンスト・ローゼン氏が1988年に後を継ぐと、土壌の個性に徹底的にこだわり、ドイツのリースリングを世界的に再評価されるようになりました。
モーゼル地方で多くの畑を所有しており、中でもプレラートは中部モーゼルの銘醸畑として有名です。
このワインは甘口でアルコール度数が8.1%と低いですが、エレガントな香りと味わいは力強く感じます。他にも辛口から極甘口のワインまで生産しています。
エロイカ・リースリング(Eroica Riesling)
[itemlink post_id=”2976″]アメリカのワシントン州で最初にワイン造りを始めたシャトー・サン ・ミッシェル(Chateau Ste. Michelle)というワイナリーと先述のエルンスト・ローゼン氏のパートナーシップにより生まれたワインです。
このワイナリーは様々な品種からワインを生産しており、カベルネ・ソーヴィニヨンも評価が高いです。酸味の中にほのかに甘味があり、味が濃過ぎない和食には非常に相性がいいワインです。
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