カベルネ・フランとは?味わいの特徴と主な産地、代表的なワイン

【最終更新日】2023年5月6日

カベルネ・フラン(Cabernet Franc)は黒ブドウの一品種で、フランスの南西部、又はフランスとの国境にあたるスペインのバスク地方が原産とされています。

土壌に順応しやすく冷涼な地域でも生育するので、世界中で栽培されており、赤ワインだけでなくアイスワインも生産されています。

フランスでの生産量が7割近くとほとんどですが、イタリア、アメリカ、チリ、南アフリカでも生産されている国際品種です。

 

名前から想像がつき易いですが、ワインを飲む方なら馴染み深い、カベルネ・ソーヴィニヨンの親に当たる品種です。

他にもメルロー、カルメネール等の親にも当たり、ボルドーワインの祖と言ってもいい品種かもしれません。

 

フランスの19世紀ころの気候は現在よりも寒く、カベルネソーヴィニョンでは十分に熟さないことがあり、そのリスクヘッジの意味でカベルネフランが植えられることも多かったとされています。

発芽が遅く、かつ、収穫のタイミングがカベルネソーヴィニョンよりも早いカベルネフランはブドウ栽培者にとってありがたい存在であったはずです。

 

カベルネフランの基礎知識

ブドウ品種の特徴

Par Felloni claire — Travail personnel, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88522067

カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドされる事が多い品種ですが、色調はそれらに比べると赤味が強く、ラズベリー、ブラックベリーの果実の香りがあります。

カベルネ・ソーヴィニヨンにも見られるピーマンの香りが非常に特徴的で、生産地によってはタバコ、バニラ、コーヒーの香りも感じられます。

(ただしカベルネフランの特徴のピーマン香は、日照量に恵まれることで急激に減少することがわかっていて、現在のカベルネフランは以前ほどのピーマン香は感じられないことが多いです。)

タンニンの渋味は控えめで酸味がしっかりとしており、口当たりの優しい果実味の溢れるミディアム・ボディの赤ワインが多く生産されています。

 

主な生産地

フランス

主にボルドー地方とその北部に当たるロワール渓谷で栽培されています。

ボルドーでは現在、カベルネ・ソーヴィニヨンの半分ほどですが、1960年代後半までは同等の生産量を誇り、ジロンド川の右岸であるフロンサック、サンテミリオン、ポムロールといった地域で生産され、メルローとブレンドされる事が多いです。

ロワール渓谷では美しい古城が多く残るトゥーレーヌ地区で栽培されており、ブルグイユ、シノンが有名です。

ボルドーと違い、カベルネ・フランの単一品種、又は主としたブレンドのワインが生産されており、ブルグイユにはタンニンがしっかりしたワインもありますが、滑らかなタンニンの長期熟成型の赤ワインが多く生産されています。

 

イタリア

世界で2番目にカベルネ・フランを栽培しているのがイタリアです。

生産量としては北東部でオーストリア、スロヴェニアと国境を接している、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州が挙げられますが、近年生産量が増えているトスカーナ州がイタリアのカベルネ・フランでは有名です。

どのエリアでもブレンドされる事が多く、トスカーナ州のボルゲリを中心とした“スーパータスカン“と呼ばれるワインに果実味と適度な酸味、渋味を与えるバランス調整役として使用されています。

 

アメリカ

カリフォルニア州、ワシントン州といった著名な産地の他に、ニューヨーク州、イリノイ州、コロラド州などの緯度が高い、もしくは標高の高いエリアでも栽培されています。

冷涼な地域でも早めに熟すカベルネ・フランは国土の広いアメリカの様々な地域で生産されていて、単一品種のワインとしてはカリフォルニア州のシエラ・フットヒルズでは苺やラズベリーの香り溢れるオーク樽で熟成した素晴らしいワインがあります。

 

カナダ

増加傾向にある国がカナダで、ハドソン湾に面したオンタリオ州と西海岸のブリティッシュ・コロンビア州で栽培されています。

他国同様、ブレンド用として生産されていますが、近年では単一品種のワインや冷涼な気候を生かしたアイスワインも増えてきています。

 

その他の地域

ヨーロッパではハンガリー、ギリシャ、ブルガリア、クロアチアでも栽培されており、特にハンガリーでは長期熟成に耐えうる高品質のカベルネ・フランが生産されています。

 

南米ではアルゼンチン、チリが世界的に評価が高いです。

アルゼンチンは主要品種であるマルベックに次いで注目されていて、各ワイン誌でも高得点を取っています。

チリではボルドースタイルのブレンドに長らく使用されていましたが、近年カベルネ・フラン単一のワインも増えており、中でも内陸のコルチャグア渓谷では完熟したブドウから造られるブラックチェリーやチョコレート、ピーマンの芳醇な香り溢れるワインが生産されています。

 

著名なワイン

シャトー・シュヴァル・ブラン(Chateau Cheval  Blanc)

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ボルドーのサンテミリオンにあるシャトーで、“白い馬“という意味ですが、赤ワインです。

1855年から長らくサンテミリオンの格付けのトップに君臨していましたが、2022年の格付け更新時に基準に当てはまらない事を理由に辞退しています。

ここからも生産者のこだわりや自信が伺えると言えます。

カベルネ・フランを多く使用している為、他の著名なボルドーワインに比べエレガントなスタイルで、飲み頃になってからが長いワインとしても有名です。

 

 

シャトー・オーゾンヌ(Chateau Ausone)

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先述のシュヴァル・ブランと双璧を成すサンテミリオンのシャトーです。

こちらも2022年にトップの格付けを辞退しています。当たり年のオーゾンヌは100年の熟成にも耐えうる、と言われる程の長期熟成型ワインで、生産量が少ない、と言われるシュヴァル・ブランよりさらに少なく、入手困難なレアワインです。

ブドウ品種はカベルネフランがおおむね6割弱ほど使用して、メルローとブレンドして造られることが多いです。

 

カベルネフランのペアリング

カベルネ・フランは、独特の風味やタンニンの特徴から、比較的濃厚で風味豊かな料理によく合います。以下に、カベルネ・フランに合う料理をいくつか紹介します。

ただし一部のカベルネフランは軽やかで色調も明るく、ピノノワールのような風味を持ち合わせているものも多いです。

ここでは、比較的しっかりした味わいのカベルネフランのワインをもとにペアリングをご紹介します。

 

ステーキやグリル料理

カベルネ・フランはタンニンが強く、独特の風味があるため、ステーキやグリル料理にもよく合います。

特に、タンパク質の多い肉料理には、タンニンがしっかりと結合し、バランスの良い味わいを生み出します。

 

ラムやジビエの料理

ラム肉や鹿肉などのジビエ料理も、カベルネ・フランに合う料理の1つです。

ジビエ料理は、フルーティーでスパイシーな風味との相性がよく、また、タンニンが強いため、肉の油脂分とのバランスが取れます。

 

カベルネ・フランは、ハーブを使った料理にも合います。風味が強い食材をハーブで香り付けをした様なイメージです。

例えば、ラムやジビエにローズマリーやタイム、バジルなどのハーブを使った料理が良いペアリングです。

 

チーズやデザートなど

カベルネ・フランは、熟成したチーズとの相性も良く、特にブルーチーズやシャープなチェダーチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノなど、濃厚でコクのあるチーズと合います。

また、カベルネ・フランは、甘いデザートにはあまり合いませんが、チョコレートとの相性は抜群です。

カカオの苦味と風味が、カベルネ・フランのタンニンと風味とよく合い、深い味わいを生み出します。

 


 

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