ロワール川流域のワイン①

ロワール川流域のワイン①

 

学習のポイント

ロワールのワインは5つのエリアに分割されていてそれぞれにおさえるべきポイントがあります。

広大なエリアですのでとらえづらく感じることもあるかもしれませんが、地域ごとの論点はさほど多くはありません。

エリアごと総論をおさえたら、各論はすぐに覚えられます。

 

 

 

 

【このページでわからないことはこちらにご質問ください】

ロワール地方(Val de Loire)

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県名)ロワール アトランティック(Loire-Atlantique)、ヴァンデ(Vendée)、メーヌ エ ロワール(Maine-et-Loire)、ドゥー セーヴル(Deux-Sèvres)、ヴィエンヌ(Vienne)、サルト(Sarthe)、アンドル(Indre)、アンドル エ ロワール(Indre-et-Loire)、ロワール エ シェール(Loire-et-Cher)、ロワレ(Loiret)、シェール(Cher)、ニエーヴル(Nièvre)、アリエ(Allier)、ピュイ ド ドーム(Puy-de-Dôme)、ロワール(Loire)

 

 

1)ロワール地方について

1000kmにも及ぶ、フランス最大の大河ロワール川沿いに広がるワイン産地です。

広大なワイン産地であるため、様々なタイプのワインが生産されています。

その気候、土壌などの違いにより5つの地区に分けて考えられています。

 

気候:下流域は海洋性気候、上流域に向かうほど半大陸性気候

土壌:多様な土壌構成

 

※AOCワイン生産量 約2,500,000hℓ(うちAOCワイン比率 赤21%、ロゼ24%、白55%)

ブドウ栽培面積 約58,000ha

 

 

・ロワールの歴史

ロワール川流域に本格的にブドウ畑が広がったのは、5世紀以降だと言われています。

その後修道僧によってワイン造りは発展。

ロワール川がロワールワインの流通に寄与しました。

ヘンリー2世が即位すると宮廷でアンジューのワインがもてはやされました。

その後、フランス革命やフィロキセラ、二度の世界大戦など苦難はありましたが、徐々ブドウ畑は発展を遂げ、多くの産地がA.O.C.に昇格を果たしています。

 

・ロワールの経済や文化

様々な古城がロワール地方には立ち並んでおり、2000年にはユネスコの世界文化遺産に登録されています。

造船業や農業、漁業なども盛んです。

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・ブドウ品種

ロワール地方は広大なため、地区によって主となるブドウ品種が異なります。

(白ブドウ品種)

ムロン ド ブルゴーニュ=ミュスカデ(Melon de Bourgogne=Muscadet)

主に下流域のペイ ナンテ地区で栽培されています。

ブルゴーニュ原産のブドウ品種。

 

シュナンブラン=ピノー ド ラ ロワール(Chenin=Pineau de la Loire)

中流域のアンジュー・ソミュール地区、トゥーレーヌ地区で栽培されています。

甘口~辛口、発泡など様々なタイプのワインが生産されています。

 

ソーヴィニヨンブラン=ブラン フュメ(Sauvignon = Blanc Fumé)

主に上流域、サントル ニヴェルネ地区で栽培されています。

 

シャルドネ(Chardonnay)

主に上流域の中央高地地区で栽培されています。

 

 

(黒ブドウ品種)

カベルネフラン=ブルトン(Cabernet Franc=Breton)

主に中流域のアンジュー・ソミュール地区、トゥーレーヌ地区で栽培されています。

 

ピノノワール(Pinot Noir)

主に上流域のサントル ニヴェルネ地区で栽培されています。

 

ガメイ(Gamay)

主に上流域の中央高地地区で栽培されています。

 

グロロ―(Grolleau)

主に中流域のアンジュ―地区で栽培されています。

 

・郷土料理やチーズ

ブロシェ オ ブール ブラン(Brochet au Beurre Blanc):カワカマスのブールブランソース

ポテ ド ランティーユ デュ ベリー(Potée de Lentilles du Berry):ベリー産レンズ豆煮。

リエット ド トゥール(Rillette de Tours):トゥール産豚肉のペースト。

マトロット ダンギーユ(Matelote d’Anguilles):うなぎの赤ワイン煮込み。

タルト タタン(Tarte Tatin):タルト タタン。リンゴをカラメルで煮込んだタルト。

 

様々なシェーヴルチーズ

ロワール地方では様々なシェーヴルチーズが作られています。

サントモール ド トゥーレーヌ(Sainte-Maure de Touraine)

セル シュール シェール(Selles-sur-Cher)

ヴァランセ(Valençay)

プーリニィ サン ピエール(Puligny-Saint-Pierre)

シャヴィニョル(Chavignol)

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2)5つの地区と主なA.O.C.

・広域A.O.C.と主なI.G.P.

(A.O.C.)

クレマン ド ロワール(Crémant de Loire)

主に中流域に広がる、瓶内二次発酵の発泡(白・ロゼ)を生産するワイン産地です。瓶内熟成9カ月以上。

 

ロゼ ド ロワール(Rosé de Loire)

主に中流域に広がる、残糖3g/ℓ未満の辛口ロゼのみ生産可能です。

 

IGP

ヴァル ド ロワール(Val de Loire)

ロワール地方を包括するIGP。赤・ロゼ・白・グリが生産可能です。

ピュイ ド ドーム県、ドゥー セーヴル県を除く12県は県名を付記できます。

二つの特定地域は別の地理的名称を付記できます。

※マルシュ ド ブルターニュ(Marches de Bretagne)、ペイ ド レ(Pays de Retz)

 

 

 

・ペイ ナンテ地区(Pays Nantais)

ロワール川河口付近、ナント市を中心として広がるワイン産地です。

ミュスカデを使用した辛口ワインの産地として知られています。

温暖な夏と穏やかな冬をもつ海洋性気候であり、土壌は片麻岩や花崗岩などです。

 

(主なA.O.C.)

ミュスカデ(Muscadet)

ナント市を中心に広い区域で認められているA.O.C.です。

ミュスカデを使用した白ワインのみ生産可能です。

澱と共に収穫翌年の3月1日まで熟成させると、シュールリー(Sur Lie)と表記できます。

シュール リーと表記する場合、最大収量などの厳しい規定をクリアしなければなりません。

 

シュールリー sur lie

ミュスカデは多くの場合、シュールリー製法 を用いて独特の風味をワインに加えます。

シュールリー は、発酵後のワインを樽で熟成させる際に、澱引きをしないで、澱と接触させながらワインを熟成させる手法です。

こうすることで、澱のうまみ成分と香りがワインに加わり、複雑味が生まれるとされています。

 

ミュスカデ セーヴル エ メーヌ(Muscadet Sèvre et Maine)

セーヴル川とメーヌ川流域で生産される辛口白ワインのみ認められたA.O.C.です。

ミュスカデを100%使用するA.O.C.では最大規模のワイン産地です。

2011年より、クリソン(Clisson)、ゴルジュ(Gorges)、ル パレ(Le Pallet)の3つの地理的名称を名乗ることができるようになりました。

規定をクリアした場合、シュール リー表記が可能です。

 

【2021年現在のミュスカデセーヴルエメーヌの地理的名称】

Chateau-Thebaud シャトーテボー

Clisson クリッソン

Gorges ゴルジュ

Goulaine グーレーヌ

Monnieres-Saint-Fiacre モニエール サン フィアークル

Mouzillon-Tillieres ムージヨン ティリエール

Le Pallet ル パレ

 

ミュスカデ コトー ド ラ ロワール(Muscadet Coteaux de la Loire)

ロワール川の両岸に広がる、ミュスカデのみを使用した辛口白ワインのA.O.C.です。

規定をクリアした場合、シュール リー表記が可能です。

 

ミュスカデ コート ド グランリュー(Muscadet Côtes de Grand Lieu)

ナント市南西に位置するグランリュー湖の周囲に広がっています。

ミュスカデを使用した白ワインのみ生産可能です。

規定をクリアした場合、シュール リー表記が可能です。

 

グロ プラン デュ ペイ ナンテ(Gros Plant du Pays Nantais)

2011年に昇格したA.O.C.です。

グロ プラン(=フォール ブランシュ)を主体とした白ワインのみ生産可能です。

規定をクリアした場合、シュール リー表記が可能です。

 

フィエフ ヴァンデアン(Fiefs Vendéens)

2011年に昇格したA.O.C.です。産地は点在しており、赤・ロゼ・白が生産可能です。

5つのエリア名を付記することができます。

※ブレム(Brems)、シャントネイ(Chantonnay)、マルイユ(Mareuil)、ピソット(Pissotte)、ヴィックス(Vix)

赤:カベルネ フラン、ネグレット、ピノノ ワール主体。

ロゼ:ガメイ、ピノ ノワール主体。直接圧搾法。

白:シュナン ブラン主体。

 

コトー ダンスニ(Coteaux d’Ancenis)

ナントの東に位置するアンスニを中心としたA.O.C.です。

2011年にA.O.C.に昇格し、赤・ロゼ・白が生産可能です。

※白はピノ グリ(マルヴォワジー)を使用して残糖20~40g/ℓのやや甘口に仕上げられ、マルヴォワジー(Malvoisie)と表記することができる。

赤・ロゼ:ガメイのみが認められています。

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・アンジュ―・ソミュール地区(Anjou & Saumur)

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ロワール川中流域に広がるワイン産地です。

アンジュー市、ソミュール市の周囲にブドウ畑は広がり、多彩なワインが生産されています。

温暖な海洋性気候であり、土壌は片岩を母岩として粘板岩や砂などが混ざっています。

(主なA.O.C.)

アンジュー(Anjou)

広い地域を包括するA.O.C.です。赤・白・発泡(白・ロゼ)が生産可能です。

土壌は色の濃い片岩(アンジュー ノワール)です。

赤:カベルネ フランとカベルネ ソーヴィニヨン主体。

※ガメイ100%使用した赤ワインはアンジュー ガメイを名乗ることができます。

 

白:シュナン ブラン主体。

 

発泡:瓶内二次発酵。

 

カベルネ ダンジュー(Cabernet d’Anjou)

アンジュ―と同じエリアで造られた、ロゼのみに認められたA.O.C.です。

カベルネ フラン、カベルネ ソーヴィニヨンのみ認められています。

残糖は~10g/ℓとほんのりとした甘さが残ります。

 

ロゼ ダンジュー(Rosé d’Anjou)

アンジューと同じエリアで造られた、ロゼのみに認められたA.O.C.です。

カベルネダンジュ―よりも規定は緩く、コットやガメイ、グロロ―なども使用できます。

残糖は~7g/ℓです。

 

アンジュー ヴィラージュ(Anjou Villages)

アンジューの中でも恵まれたエリアで認められたA.O.C.です。

カベルネ ソーヴィニヨン、カベルネ フランのみ認められており、赤ワインのみ生産可能です。

 

アンジュー  ブリサック(Anjou Brissac)

アンジュー ヴィラージュよりも厳しい規定をクリアした赤ワインのみが生産可能です。

区域はブリサック カンセ村を中心に10カ村です。

長期熟成可能な赤ワインが生産されています。

*アンジューブリサックは2019年にアンジュー・ヴィラージュブリサックからアンジューブリサックに改名をしました。

 

コトー ド ローバンス(Coteaux de L’Aubance)

アンジュー  ブリサックと同じエリアのA.O.C.です。

シュナン ブランを100%使用した甘口の白ワインのみ生産可能です。

ロワール川の支流であるオーバンス川の影響により、霧が発生し貴腐が生じます。

果汁糖度が238g/ℓ~必要であり、貴腐が発生して323g/ℓ~の場合はセレクシオン ドグラン ノーブル(Sélection de Grains Nobles)と付記することができます。

 

アンジュー コトー ド ラ ロワール(Anjou Coteaux de la Loire)

シュナン ブラン100%で造られた甘口白のみ生産可能なA.O.C.です。

果汁糖度238g/ℓ~でなければなりません。

 

サヴニエール(Savennières)

シュナン ブランを使用した白ワインのみ認められているA.O.C.です。

火山性の鉱物や片岩や砂などが混ざった土壌構成です。

主に辛口ですが、甘口も造られています。

 

サヴニエール ロッシュ オー モワンヌ(Savennières-Roche aux Moines)

サヴニエールの、ロッシュ オー モワンヌという区画だけに認められたA.O.C.です。

シュナン ブラン100%の白ワインのみ生産可能です。

 

クーレ ド セラン(Coulée de Serrant)

サヴニエールの、クーレ ド セランという区画だけに認められたA.O.C.です。

シュナンブラン100%の白ワインのみ生産可能です。

ニコラ ジョリー家の単独所有。

 

コトー デュ レイヨン(Coteaux du Layon)

レイヨン川の影響により貴腐が生じる、甘口白のみ認められたA.O.C.です。

シュナン ブランを100%使用しなければなりません。果汁糖度221g/ℓ~必要です。

6つの村のもので、規定をクリアした場合地理的名称を付記できます。

 

(6つの地理的名称)

村名または略称を付記できます。果汁糖度は238g/ℓ~必要です。

 

ボーリュー シュール レイヨン(Beaulieu-sur-Layon)【Beaulieu】

ファイエ ダンジュー(Faye d’Anjou)【Faye】

ラブレー シュール レイヨン(Rabley-sur-Layon)【Rabley】

ロシュフォール シュール ロワール(Rochefort-sur-Loire)【Rochefort】

サントーバン デュ リュイニエ(Saint-Aubin-du-Luigné)【Saint-Aubin】

サン ランベール デュ ラッタイ(Saint-Lambert-du-Lattay)【Saint-Lambert】

 

また、ロシュフォールシュールロワール内のショームに位置しており一定条件を満たしたものは、プルミエ クリュ ショーム(Premier Cru Chaume)を名乗ることができます。

(果汁糖度272g/ℓ~必要です。)

貴腐が生じて果汁糖度323g/ℓ~のものは、セレクション ド グラン ノーブルを表記することができます。

 

カール ド ショーム(Quarts de Chaume)

ショームの中でも恵まれた区画のみ認められているA.O.C.です。

シュナンブランを100%使用した甘口白のみ認められ、グラン クリュ(Grand Cru)と表記することもできます。

果汁糖度298g/ℓ~必要です。

 

ボンヌゾー(Bonnezeaux)

ボンヌゾー近辺において、甘口の白ワインのみ認められたA.O.C.です。

シュナン ブランを100%使用しており、果汁糖度255g/ℓ~必要です。

 

ソミュール(Saumur)

ソミュール市の南に広がるワイン産地です。土壌は主にトゥファと呼ばれる石灰岩。

赤・ロゼ・白・発泡(白・ロゼ)が生産可能です。

 

赤:カベルネ フラン主体。カベルネ ソーヴィニヨンとピノー ドーニをブレンド。

ロゼ:カベルネ フランとカベルネ ソーヴィニヨンを使用した辛口。

白:シュナン ブラン100%使用した辛口。

発泡:白はシュナン ブラン主体、ロゼはカベルネ フラン主体。瓶内二次発酵。

また、ピュイ ノートル ダム(Puy-Notre-Dame)という地理的名称もあります。

 

赤ワインのみ生産されており、カベルネフランを主体として、カベルネソーヴィニヨンを15%までブレンドすることができます。

 

ソミュール シャンピニィ(Saumur-Champigny)

ソミュール市の南東に広がる、赤ワインのみが認められたA.O.C.です。

ソミュール市だけ、ACソミュールと重なっています。

カベルネフランを主体として、カベルネソーヴィニヨンを15%までブレンドすることができます。

 

コトー デュ ソミュール(Coteaux du Saumur)

ACソミュールから6カ村を除いた区域のA.O.C.です。

甘口の白のみ認められています。

シュナンブランを100%使用し、果汁糖度は238g/ℓ~必要です。

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これまでの内容の理解度を10問の練習問題で確認しましょう。


 

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