ジュラ・サヴォワ地方

ジュラ・サヴォワ地方

 

学習のポイント

実生活にもなじみが薄く、よほどのことがない限り見かけないワインが多いです。

そのため苦手意識を持っている人も多い地域ですが、押さえるポイントは多くはありません。

ポイントさえ押さえれば当初は構いませんので、避けずに取り組んでいきましょう。

【このページでわからないことはこちらにご質問ください】

 

 

ジュラ地方(Jura)

県名)ジュラ(Jura)

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1)ジュラ地方について

フランス東部にあるジュラ山脈の西に位置しているワイン産地です。

現在はブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域圏に属しています。

ブルゴーニュに品種構成など近いところはありますが、酸化熟成タイプのワインの生産地ということがジュラ地方の特徴です。

※現在は酸化を抑えたワインが主流になりつつあります。

 

気候:半大陸性気候

春に雨が降り、暑く乾燥した夏が特徴的です。

日照時間は多くはないですが、南向きの畑が多い為、日当たりに問題はありません。

フランスで3番目に雨が多い県です。

 

土壌:多様な土壌構成

6割程度をジュラ紀前期のリアス灰色泥灰岩が占めています。

※ワイン生産量 約90,486hℓ(うちA.O.C.ワイン生産量が88,246ha、比率赤20%、ロゼ2%、白78%)

ブドウ栽培面積 約2,168ha(うちA.O.C.は2.000ha程度)

雨が多い地方ですが、ビオロジック栽培を実践している生産者が多く、栽培面積の15%程がビオロジック栽培です。

 

・ジュラ地方の歴史

紀元80年にはジュラ地方でブドウ栽培が始まっていたとされています。

フランス革命からブドウの栽培面積は増えていき、19世紀末には20.000haにまで広がりを見せたジュラのブドウ畑ですが、フィロキセラによって壊滅状態になってしまいました。

その後徐々にブドウ畑は復活をみせ、いくつもの産地がA.O.C.に認定されました。

 

・ジュラ・サヴォワの経済や文化

ブザンソンの城塞や王立製塩所がユネスコの世界遺産に登録されています。

細菌学の父 ルイ パストゥールはアルボワの町で生まれ育ちました。

その家は博物館になっています。

ジュラ地方は自動車や鉄道の工場があり、製造業が盛んです。

ワイン産業も活発ではありますが、輸出量は販売量の25%程度に留まっています。

 

・ブドウ品種

(白ブドウ品種)

サヴァニャン=ナチュレ(Savagnin=Naturé)

ヴァン ジョーヌで使用される、ジュラ地方にとって重要な白ブドウ品種です。

十字軍の時代にオーストリア、またはハンガリーから持ち帰ったとされています。

 

シャルドネ=ムロン ダルボワ(Chardonnay=Melon d’Arbois)

ジュラ地方のブドウ栽培面積の半分ほどをシャルドネが占めています。

古くからジュラ地方で栽培されています。

(黒ブドウ品種)

プールサール(Poulsard):ジュラ原産。泥灰岩を好み、栽培面積の25%弱を占めます。

トゥルソー(Trousseau):ジュラ原産。晩熟。

ピノノワール=グロ ノワリアン(Pinot Noir=Gros Noirien)

 

 

 

・郷土料理やチーズ

山岳地帯ということもあり、ワインだけでなくチーズの生産も盛んです。

コック オ ヴァン ジョーヌ(Coq au Vin Jaune):鶏のヴァンジョーヌ煮込み。

フォンデュ ジュラシエンヌ(Fondue Jurassienne):コンテのジュラ風チーズフォンデュ。

エクルヴィス ソース ナンチュア(Ecrevisse Sauce Nantua):ザリガニのナンチュアソース。

コンテ(Comté):牛乳。ハードタイプ。AOCチーズで最も生産量が多いチーズ。

モンドール(Mont-d’Or):牛乳。ウォッシュタイプ。8月15日~翌3月15日まで生産可。

モルビエ(Morbier):牛乳。セミハード。中心に植物性の炭でできた黒い線が入っています。

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2)特殊なワイン

・ヴァン ジョーヌ(Vin Jaune)

サヴァニャンを100%使用した白ワインにフロール(産膜酵母)をつけて長期熟成させたものです。

ジョーヌ=黄色、という名の通り黄色に近い色調です。

シェリーに似た風味ですが、酒精強化はしていません。

ナッツやスパイスなどの複雑な香りはソトロンと呼ばれる芳香成分によるものだと考えられています。

 

※オークの小樽で6年目の12月15日まで熟成義務です。

(そのうち60カ月は産膜酵母下での熟成)

熟成期間中のウイヤージュ(目減り分の補酒)、スーティラージュ(澱引き)は禁止。

クラヴラン(Clavelin)と呼ばれる620mℓのボトルに詰め、収穫から7年目の1月1日以降販売可能。

 

・ヴァン ド パイユ(Vin de Paille)

藁(パイユ)の上で陰干ししたブドウから造っていたことから名づけられた甘口ワイン。

現在は藁、またはすのこの上に並べるか、吊り下げて最低6週間乾燥させます。

 

※ブドウを陰干しにする作業=パスリヤージュ(Passerillage)

品種:サヴァニャン、シャルドネ、プールサール、トゥルソー

圧搾時の糖度は320g/ℓ~420g/ℓでなければなりません。

収穫から3年目の11月15日まで熟成義務です。

(そのうち18カ月は木樽での熟成)

ポ(Pots)またはドゥミ クラヴラン(Demi Clavlin)と呼ばれる375mℓのボトルで出荷されます。

 

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3)主なI.G.PとA.O.C.

IGP

フランシュ コンテ(Franche-Comté)

ジュラ地方を包括するIGPです。赤・ロゼ・白・発泡(赤・ロゼ・白)が生産可能です。

2015年以降はACコート デュ ジュラの105村は除外されています。

ドゥ―県、オート・ソーヌ県で収穫されたものは地理的名称を付記できます。

※ドゥー県→Doubs、オート・ソーヌ県→Haute-Saône

 

上記以外にも規定をクリアした場合に名乗ることができる地理的名称が7つあります。

(7つの地理的名称)

コトー ド シャンプリット(Coteau de Champlitte)、モテ ブスュシュ(Motey-Besuche)、ジ(Gy)、ヴュイヤファン(Vuillafans)、ビュファール(Buffard)、オフランジュ(Offlanges)、ユジエ(Hugier)

 

(A.O.C)

アルボワ(Arbois)

赤・ロゼ・白・ヴァン ジョーヌ・ヴァン ド パイユが認められているA.O.C.です。

生産量の70%が赤ワインです。

ジュラの北部12の村に認められ、そのうちピュピヤン村で造られたものはアルボワ ピュピヤン(Arbois Pupillin)と名乗ることができます。

白:主要品種はシャルドネ、サヴァニャンです。補助品種として黒ブドウの使用も認められています。

赤・ロゼ:主要品種はプールサール、トゥルソー、ピノノワールです。補助品種として白ブドウの使用も認められています。

 

シャトー シャロン(Château-Chalon)

ヴァン ジョーヌのみ認められたA.O.C.です。

サヴァニャン100%です。

収穫時のブドウ糖度の規定が他のヴァンジョーヌよりも厳しく、204g/ℓ~必要です。

250~400mと標高の高い場所に畑は広がり、土壌はリアスの灰色泥灰岩からなります。

 

レトワール(L’Etoile)

白ワイン・ヴァン ジョーヌ・ヴァン ド パイユのみ生産可能です。

シャルドネ主体の白が多く、酸化熟成タイプが多い産地です。

白:主要品種はサヴァニャン、シャルドネ。補助品種はプールサールが認められています。

 

 

コート デュ ジュラ(Côtes du Jura)

ジュラ地方を広く包括し、多様な土壌を持つA.O.C.です。

赤・ロゼ・白・ヴァン ジョーヌ・ヴァン ド パイユが生産可能です。

アルボワと品種構成などにていますが、生産量はアルボワの方が多い。

比較的白の生産が主流の産地です。

 

クレマン デュ ジュラ(Crémant du Jura)

コート デュ ジュラのエリアで造られる発泡(白・ロゼ)のA.O.C.です。

瓶内二次発酵が義務であり、最低9カ月の瓶内熟成が必要です。

瓶詰から出荷までは最低12カ月待つ必要があります。

ジュラで主に栽培されている5品種に加え、ピノ グリも使用できます。

 

【ジュラ5品種】

サヴァニャン、シャルドネ、プールサール、トゥルソー、ピノノワール

 

マクヴァン デュ ジュラ(Macvin du Jura)

コート デュ ジュラのエリアで造られたVDLです。

VDLの赤・ロゼ・白が認められています。

糖度170g/ℓ~のブドウを収穫し、ミュタージュの際には52%以上のオー ド ヴィーを使用します。

その後10カ月はオーク樽で熟成させます。

※オー ド ヴィーはフランシュ・コンテ産で14カ月以上小樽熟成させたもの。

 

マール デュ ジュラ(Marc du Jura)

2015年に認められたA.O.C.です。

搾りかすから造られたブランデーで、ジュラ5品種にピノグリを加えた6品種から三品種以上混ぜる必要があります。(そのうちの1つはサヴァニャンを使用する)

最大600ℓの木樽で24カ月の熟成義務。

 

Jura-Savoie-JURA Arbois 赤白ロゼ ヴァンジョーヌ、ヴァンドパイユ
Jura-Savoie-JURA Château-Chalon ヴァンジョーヌ
Jura-Savoie-JURA Côtes du Jura 赤白ロゼ ヴァンジョーヌ、ヴァンドパイユ
Jura-Savoie-JURA Crémant du Jura 白ロゼ 発泡性
Jura-Savoie-JURA L’Etoile ヴァンジョーヌ、ヴァンドパイユ
Jura-Savoie-JURA Macvin du Jura 赤白ロゼ VDL
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サヴォワ地方(Savoie)

県名)オート サヴォワ(Hautes-Savoie)、サヴォワ(Savoie)、アン(Ain)、イゼール(Isère)

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1)サヴォワ地方について

アルプス山脈の麓に位置するワイン産地です。フランス東部でイタリア、スイスと国境を接しています。

ラック・レマンからローヌ川沿い、丘陵地コンブ ド サヴォワなどにブドウ畑は点在しています。

 

気候:基本的に海洋性気候、標高や畑の向きにより大陸性・地中海性の影響。

土壌:多様な土壌構成

 

※ワイン生産量 約131,000hℓ(うちA.O.C.ワインの比率赤23%、ロゼ6%、白71%)

輸出はわずか5%程度のみです。

ブドウ栽培面積 約2,000ha(うちA.O.C.は1,800ha程度)

 

・サヴォワの歴史

紀元前1世紀頃には、サヴォワ地方にブドウ畑が広がっていました。

中世に入ると、ブルゴーニュ同様修道士たちの手でブドウ畑は拡大しました。

サルディーニャやピエモンテとともにサヴォワはサヴォワ公の領土でしたが、1860年にはフランスに割譲。

それ以来南仏産ワインとの競争にさらされることになり、フィロキセラ禍の影響もあって衰退していきましたが、二つの世界大戦を乗り越え、ワイン造りは続けられています。

 

・サヴォワの経済や文化

シャンベリーに位置しているサヴォワ公城など歴史的建造物もあり、山々に囲まれた自然の景観が豊かな地域です。

観光客が多く、ワインの消費も観光客による地元消費が多いです。

 

・ブドウ品種

(白ブドウ品種)

ジャケール(Jacquère):サヴォワ地方で最も広く栽培されている品種です。

アルテス=ルーセット(Altesse=Roussette)、シャスラ(Chasselas)、グランジェ(Gringet)

 

(黒ブドウ品種)

モンドゥーズ(Mondeuse):サヴォワ地方を代表する黒ブドウ品種です。

ガメイ(Gamay)、ピノノワール(Pinot Noir)

 

・郷土料理やチーズ

ジュラ地方と同じく、山岳地帯ということもあり、ワインだけでなくチーズの生産も盛んです。

フォンデュ サヴォワイヤルド(Fondu Savoyarde):サヴォワ風チーズフォンデュ。

トリュイット オ ブルー(Truites au Bleu):鱒のクールブイヨン煮。

タルティフレット(Tartiflette):じゃがいもと玉ねぎのグラタン ルブロション乗せ。

ファルスマン(Farcement):ドライフルーツとじゃがいものベーコン巻き。

ボーフォール(Beaufort):牛乳。ハードタイプ。

アボンダンス(Abondance):牛乳。セミハードタイプ。

ルブロション(Reblochon):牛乳。セミハードタイプ。

トム ド サヴォワ(Tomme de Savoie):IGPチーズ。牛乳。セミハードタイプ。

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2)主なA.O.C.

・ヴァン ド サヴォワ(Vin de Savoie)

またはサヴォワ、と呼ばれるA.O.C.です。

サヴォワ地方全体を包括しており、赤・ロゼ・白・発泡ロゼの生産が可能です。

 

赤・ロゼ:ガメイ、モンドゥーズ、ピノノワールが主要品種です。

※例外として、サヴォワ県はカベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ペルサンも認められ、イゼール県ではエトレール ド ラデュイ、セルヴァナン、ジュベルタンが認られています。

 

白:アリゴテ、アルテス、シャルドネ、ジャケール、モンドゥーズ ブランシュ、ヴェルトリーナー ルージュ プレコスが主要品種です。

※例外として、オート サヴォワ県ではシャスラ、グランジェ、ルーセットデーズが認められ、イゼール県ではマルサンヌ、ヴェルデスも認められています。

 

発泡ロゼ:瓶内二次発酵、瓶内熟成9カ月以上が規定されています。

 

白ブドウ→アリゴテ、アルテス、シャルドネ、ジャケール、モンドゥーズ ブランシュ、

※オートサヴォワ県のみシャスラ、モレットが認められています。

 

黒ブドウ→ガメイ、モンドゥーズ、ピノノワール

 

規定をクリアした場合、以下の地理的名称を付記することができます。

【重要度は低いので飛ばしても問題ありません】

(16の地理的名称)

クレピー(Crépy)、マリニャン(Marignan)、リパイユ(Ripaille)、マラン(Marin)
シャスラを主体とした白ワインのみ生産。

エーズ(Ayze):グランジェを主体とした白・発泡白のみ生産。

ショターニュ(Chautagne)

ジョンジュー(Jongieux)

アプルマン(Aprement)

クリュエ(Cruet)

モンメリアン(Montmélian)

サン ジョワール プリウレ(Saint Jeoire Prieuré)

アビーム(Abymes)

シニャン(Chignin)

シニャン ベルジュロン(Chignin-Bergeron):ルーサンヌ100%を使用した白ワインのみ。

アルバン(Arbin)

 

 

・クレマン(Crémant)

ACサヴォワの地域内で、エーズを名乗る3カ村を除いた地域のA.O.C.です。

瓶内二次発酵による発泡白のみ生産可能です。

瓶内熟成は最低9カ月必要とし、瓶詰から12カ月出荷まで待ちます。

 

・ルーセットドサヴォワ(Roussette de Savoie)

ACサヴォワの地域内で、ルーセット(アルテス)100%を使用した白ワインのみ生産できるA.O.C.です。

規定をクリアすると下記の地理的名称を付記することができます。

(4つの地理的名称)

フランジ―(Frangy)、マルテル(Marestel)、モントゥー(Monthoux)、モンテルミノ(Monterminod)

 

・セイセル(Seyssel)

白と発泡白のみ生産可能なA.O.C.です。ローヌ川両岸にブドウ畑が広がっています。

白:アルテス100%を使用。モレット100%のものはセイセル モレット(Seyssel Molette)を名乗ることができます。

発泡白:セイセル ムスー(Seyssel Mousseux)と呼ばれ、アルテス、シャスラ、モレットの3品種が認められています。

瓶内熟成9カ月以上。

 

・ビュジェイ(Bugey)

サヴォワ地方に含まれていませんが、セイセルの西に点在しているワイン産地です。

赤・ロゼ・白・発泡(白・ロゼ)が生産可能です。発泡は瓶内二次発酵で、瓶内熟成9カ月以上。

 

規定をクリアすると3つの地理的名称を付記できます。

(3つの地理的名称)

マニクル(Manicle):シャルドネ100%の白とピノノワール100%の赤のみ。

モンタニュー(Montagnieu):モンドゥーズ100%の赤と発泡白のみ。

発泡は瓶内二次発酵、瓶内熟成は12カ月以上。

セルドン(Cerdon):ガメイ、プールサールを使用した発泡ロゼのみ。

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【ここまでの理解度を10問の基本問題で確認しましょう】

Jura-Savoie-SAVOIE Bugey 赤白ロゼ 発泡性が白ロゼ
Jura-Savoie-SAVOIE Roussette de Savoie
Jura-Savoie-SAVOIE Seyssel 発泡性もあります。
Jura-Savoie-SAVOIE Vin de Savoie ou Savoie 赤白ロゼ 発泡性はロゼのみ
Jura-Savoie-SAVOIE Crement 発泡性、ヴァンドサヴォワの付記

 

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