飲食店の創業融資|有名店での勤務経験があると有利なの?

【最終更新日】2020年8月30日

飲食店の創業融資では、さまざまな融資要件があって、なかでも業務経験と自己資金の要件は最も重要です。

自己資金についてはあればあるだけいいのですが、業務経験についてはたまに

「有名店で修業していないけどいいですか?」

と相談されることがあります。

結論から言えば有名店で修業経験がある場合もちろんプラスの面もありますが、修行していてもいなくてもまったく関係ありません。

ひとによっては、逆に有名店で修業することがマイナスに影響することもありますのでご注意ください。

 

 

有名店での修行と創業融資

融資する側の本音

飲食業界には、例えばカジュアルなお店やチェーン店のようなところで働いている場合には、それが専門性に欠けるとか技術が足りないんじゃないかとの負い目を感じる人もいるようです。

最近は高級料理店もミシュランに掲載されたり、ガイドブックで知られているようなお店で修業した人が独立する話もよく聞きます。

そうなると、やはり有名店で修業したほうが有利なのかとも思いたくなるのはその通りでしょう。

 

では、少し目線を変えてあなたが融資担当者だとして、次のひとのうち、だれに融資をしたくなりますでしょう。

①有名店で修業したひと

②おいしい料理を作れる人

③借りたお金を返済できる人

当たり前ですが③の人にしか怖くて貸せません。

もちろん①や②のひとが③を兼ねるということはありますし、それが最高の形でしょう。

その逆に①だけのひと、②だけの人では最悪で、これではダメな人になってしまうのです。

 

有名店で修業しても返済できない人はたくさんいますし、おいしい料理を造れても商売がうまくいかない例もたくさんあるという事実を受け入れましょう。

 

有名店で修業した人の典型例

これは仕方がない部分もあるのですが、例えば和食の有名店で修業した人や、フランスやイタリアの本場で修業した人からすればやはり「俺は普通の人とは違うんだ」という意識が芽生えてしまうものです。

有名店やミシュランの星付きレストランは、当然お客がじゃんじゃん入りますから「いい料理を作ること」に集中する環境が整っています。

しかし、この状況を特殊な状況だということを理解できないと開業でつまづくのは目に見えています。

お客が入らなければいい材料も使えないし、スタッフも増員できません。

きれいな内装にしたければ初期費用が掛かり、それが経営を圧迫します。

この辺りが理解できずに創業計画書が現実離れしてしまうことが、有名店で修業した人には多いのです。

「いい料理さえ作っていればお客は入る」という話を聞いてもそれを真に受ける間抜けな融資担当者はいないと考えましょう。

 

有名店で修業するメリット

では、開業するのに有名店で修業するメリットはないのかと言われればそれは違います。

有名店で修業した人は料理に対する意識が高く、その結果おいしい料理、お金の取れる料理をつくれるようになります。

例えば、カジュアルなお店やチェーン店では一皿2000円のパスタを習得するのは難しいかもしれません。

しかし、高級店や有名店では一皿2000円のパスタはしょっちゅう出ますから、習得はしやすいでしょう。

 

また、修業先が有名店であれば雑誌などのメディアも取り上げやすく、その結果集客につながるということもあるでしょう。

もともとの腕が良ければ、お客さえ入れば雪だるま式になることも想定できますから、大きなメリットといえます。

 

一握りの人の場合

これは本当の一握りの人ではありますが、中には独立する前にメディアなどで有名になる人もいます。

・雇われシェフですでに有名

・料理やソムリエのコンクールで優勝してすでに有名

・ウェブやSNSで有名で、フォロワーが無数にいる

これらの場合は、すでに実績としては十分で、かつ、開業しても注目されることが予測されます。

創業計画書でこれらの実績をアピールし、それをどのように売り込むかを丁寧に説明することで納得感が増すでしょう。

 

もちろん、ただ実績があるだけでは何の説得力もありません。

その実績をどう集客に結び付けるかの具体論が必要なのです。

 

有名店で修業していない場合はどうなの?

では、有名店で修業していない人はどうでしょうか?

これはまるっきり関係ないと考えていいでしょう。

前述のように融資担当者は貸したお金が返ってくるかが唯一のポイントなので、凝り固まった修業経験を押し付けられても面倒くさいだけなのです。

それであれば料理や接客、マーケティング全体が見渡せていて、バランスのいい人のほうがよほど融資しやすいでしょう。

 

ただし、当たり前ですが経験がないような高級店を出店しようとしたりすればそれは違うということになります。

業務経験を見ていると店長業務はあるけど料理の経験がない人であれば商品力が貧弱じゃないかと思われるのは当然でしょう。

せっかくチェーン店で働いていたのにマーケティング力が感じられなかったりすれば、業務経験を何も行かせていないということで評価はされません。

 

まとめ

しつこいようですが融資担当者は、貸したお金が返せるかしか興味がありません。

そして、創業融資の特徴はゼロイチなので、全くの何の保証もないところからどうやって組み立てるのかが唯一のポイントなのです。

有名店で修業した人はこの辺りのことがわかっていないことが多く、典型的な失敗例だということも少なくありません。

料理人仲間や業界内ではちやほやされますので特権意識も芽生えてしまうでしょう。

こうなるとプライドが捨てきれずにビラ配りができなかったりマーケティングを無視して高級店を出店しようとしたりすることも多くあります。

 

もちろん、有名店で修業したうえでマーケティング能力もあり、売り込む力もある人もいます。

実際にお客が入り始めるとやはり有名店で修業した人は色々な面で有利なことも確かです。

潜在的なメリットはあるのですから、あとは創業計画をしっかりと作りこめばいいということも少なくありません。

 

融資を受ける場合は、融資をする側の気持ちになって一度それまでの経験を否定し、再構築しなおすことも重要ではないでしょうか。

 


 

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