【最終更新日】2022年10月21日
ポムロール(Pomerol)はボルドーワインの中でも最も小さな地区のひとつながらも、最高評価のワインを産み出す産地です。
ボルドー地方、右岸エリアのリブルヌの街の後背地に広がるAOCです。
もともとこの地方では高品質なワインを生産するエリアとして知られていて、1923年には当時の法律でサンテミリオンとリブルヌのエリアとは別の呼称が認められていました。
ポムロールはボルドーの高級ワイン産地の中では小さく、地続きのサンテミリオンの約7分の1の栽培面積になっています。
ただし専門家から極めて高い評価を受けるワインも多く、そのためワインにはプレミアがつくことも多いです。
ポムロールもともとはサンテミリオンの陰に隠れていて評価が伴わず、これが1990年代ころから評論家に評価をされ始めました。
そのため近年になって急激にワインの価格が高騰した背景があります。
メルロー種を主体にした赤ワインは熟成が進むことによって滑らかで複雑、豊潤な第三アロマを感じることのできる上質なワインを造ります。
目次
ポムロール
小さなボルドーのAOC
ポムロールは、リブルヌ地域に位置し、ドルドーニュ川の右岸に広がる地域です。
ブドウ畑は800haほどと小さく、ポムロール村と南西のリブルヌ村とラランド・ド・ポムロールの一部を含みます。
800ヘクタールは、おおよそメドックの格付け1級シャトーの面積を合わせた程度なので、ボルドーの中ではかなり小さなエリアということがわかります。
サンテミリオンと違い、歴史的建造物などはほとんどなく、起伏の少ない平坦な台地にただブドウ畑が広がります。
そのため観光地としては、コアなワインファン以外は見る所が何もないため、これがポムロールにとって損をしているところがあります。
土壌は太古の地層とドルドーニュ川によって運ばれた堆積で形成されているので、鉄分を多く含んでいます。
西側の地域は砂交じりの土壌となり、東側はサンテミリオンに近いため粘土質の土壌です。
小さな地域ながらも土壌が少しずつ違うため、個性あるブドウが育ちます。
もとは白ワインの産地だった?
ポムロール地区はもともとオランダや北欧の富裕層に愛されてきた経緯があり、彼らは白ワインを好んだため、白ブドウが植えられていた記録が残っています。
1760年にリブルヌのワイン商Louis-Léonard Fontémongの記録によってはじめてこの地区で黒ブドウを植えたとの記録があります。
その後に相対的にオランダや北欧の経済的存在感が低下し、赤ワインが市場に求められるようになり、19世紀の後半には完全に赤ワインの産地として名を馳せることになります。
そして1935年のAOC策定の際には白ブドウはポムロールの名前で売り出すのに禁止され、現在では黒ブドウのみが認められています。
現在のポムロールのぶどう品種
メルロー種を主体とし、カベルネフラン種をブレンドしたワイン造りが行われています。
カベルネソーヴィニヨン種も栽培されているものの、土壌がマッチしないのか、比率は非常に少ないです。
濃いルビー色の赤ワインとなり、渋みと酸味を感じられるリッチで濃密なワインです。
アルコール分が多いので味わいが深く、熟成に向いています。
良年の質の高いワインであれば30年は持ちこたえると言われています。
シャトーの規模が小さいため、ワインの生産量も少ないので希少価値が高いため、市場価格が高いワインとなっています。
格付けがない?
ポムロールはメドックやサンテミリオンなどのほかの産地にあるような公的な格付けは存在しません。
これはポムロールは小規模な生産者が多く、格付けによってつよく消費が左右されることが予想されるため、生産者が積極的に格付けに賛成をしない素地が強いことがあげられています。
しかし専門家やジャーナリストの多くはこれでは消費者の期待に応えられないと判断したのか、独自にポムロールのワインの格付けを発表するところもあります。
マスターオブワインのクライブコーツ(Clive Coates)は2001年に著書「フランスのワインとドメーヌの百科事典(Encyclopedia of the Wines and Domaines of France)」でポムロールのシャトーの独自格付けを掲載しました。
以下にその格付けを記載します。
First Growth (メドックやサンテミリオンの1級格付けと同等の品質)
Château Pétrus
Outstanding Growth(メドックの2級3級と同等の品質)
Château L’Évangile, Château La Fleur-Pétrus, Château Lafleur, Château Latour à Pomerol, Château Trotanoy, Vieux Château Certan,Chateau Séraphine
Exceptional Growth (メドックの2~4級と同等の品質)
Château Le Pin, Château Certan de May, Château Clinet, Château La Conseillante, Château Clos l’Église, Château La Fleur-de-Gay, Château Gazin.
Very Fine Growth(メドックの2~5級と同等の品質)
Château Beauregard, Château Bon-Pasteur, Château Hosanna, Clos du Clocher, Château la Croix-de-Gay, Château l’Enclos, Château le Gay, Château La Grave-à-Pomerol, Château Lagrange, Château Nenin, Château La Pointe, Château Taillefer , Château Clos-René.
近年になって評価が高騰
ポムロールのワインは20世紀になって高評価を得るようになり、一気に世界に名を広めました。
しかし、それまではポムロールのワインは知られておらず、サンテミリオンと同じものとして扱われていました。
シャトー・ペトリュスやシャトー・ル・パンなど世界的に知られる高級ワインあり、シャトーも平均的に高水準となります。
もともと現地での評価は高かったのですが、ポムロールそのものが知られていなかったため世界的には無名だったのです。
特に20世紀後半に多くの評論家に高得点をつけられることで一気に火が付いたのです。
ポムロールには公的格付けはありません。そこで、「The Best Chateau of Pomerol」に評価の高いシャトーを選出して掲載しています。
現在ではボルドーを代表するワイン産地となっています。
マリアージュ
ポムロールは上質なメルロー種からできる世界最高の赤ワインの生産地域の一つです。
メルロー種はカベルネソーヴィニョンに比べて柔らかい仕上がりで、そのぶん熟成は早く進むとされています。
熟成の進んだポムロールは獣臭や腐葉土、キノコの様な風味が生まれてきます。
そのためジビエの様な風味の強い赤身のお肉をソテーし、赤ワインのソースでいただくようなお料理とは良く合います。
赤身肉のお料理には全般的に合うとされていて、牛肉はもちろん鴨肉、鹿肉、仔羊肉には良く合わせられています。
白身のお肉であれば、風味の強いお肉の方がポムロールの複雑さとよくマッチします。
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