プロヴァンス、コルシカ島
学習のポイント
範囲は広いのですが出題のポイントは絞られています。
手を広げすぎずにおさえるべきところに集中し、残りは聞き流しながら知識の定着に徹しましょう。
【このページでわからないことはこちらにご質問ください】
プロヴァンス地方(Provence)
🔒 ログインしてください。県名)ブーシュ デュ ローヌ(Bouches du Rhône)、ヴァ―ル(Var)、アルプ マリティーム(Alpes maritimes)、アルプ ド オート プロヴァンス(Alpes-de-Haute-Provence)
1)プロヴァンス地方について
フランス南東部、ローヌ川左岸からニースにかけて広がるワイン産地です。
リゾート地として有名である一方、辛口ロゼワインの産地として知られています。
近年ロゼの輸出量が著しく伸びています。
気候:地中海性気候
ミストラルという風により暑さは和らげられます。
土壌:多様な土壌構成
西側が石灰質・粘土石灰質であり、東側がシストや結晶化した岩石。
※ワイン生産量 1,986,953hℓ(うちA.O.C.ワイン1,319,059hl 比率 赤6.5%、ロゼ89%、白4.5%)
ロゼの生産量が多く、フランス内のA.O.C.ロゼの42%、世界中のロゼの5%を占める。
ブドウ栽培面積 約39,653ha(うちA.O.C.は30,000ha程度)
乾燥した気候により、24%ほどの畑が有機農法を実践しています。
・プロヴァンス地方の歴史
プロヴァンス地方は、フランスのブドウ栽培発祥の地として知られています。
ギリシャの一民族であるフォカイア人が、紀元前600年頃にマルセイユへとブドウを持ち込んだとされています。
マルセイユ近郊のカシスが、1936年にプロヴァンス地方で最初にA.O.C.に認められています。
・プロヴァンス地方の経済や文化
ニースやカンヌなどのリゾート地が含まれており、プロヴァンスにとって観光業は重要な産業です。
マルセイユはフランスでパリに次ぐ2番目の大都市であり、プロヴァンス地方が含まれるプロヴァンス アルプ コート ダジュール地域圏は国内3位の経済圏です。
・ブドウ品種
(白ブドウ品種)
ロール=ヴェルメンティーノ(Rolle=Vermentino)、ユニ ブラン(Ugni Blanc)、クレレット(Clairette)、ブールブーラン(Bourboulenc)、グルナッシュ ブラン(Grenache Blanc)
(黒ブドウ品種)
シラー(Syrah)、グルナッシュ(Grenache)、サンソー(Cinsault)、ティブーラン(Tibouren)、ムールヴェードル(Mourvèdre)、カリニャン(Carignan)、クノワーズ(Counoise)
・郷土料理やチーズ
サラダ ニソワーズ(Salade Niçoise):ニース風サラダ。
タプナード(Tapenade):アンチョビ、ブラックオリーブ、ケッパーのペースト。
ブイヤベース(Bouillabaisse):魚介の鍋料理。サフランで風味づけをします。
ラタトゥイユ(Ratatouille):夏野菜のトマト煮込み。
ジゴ ダニョー アンクルート(Gigot d’Agneau en Croûte):仔羊もも肉のパイ包み。
バノン(Banon):チーズ。山羊乳。シェーヴルタイプ。栗の葉に包み、熟成させています。
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2)主なA.O.C.
コート ド プロヴァンス(Côtes de Provence)
赤・ロゼ・白が生産可能な、プロヴァンス地方最大のA.O.C.です。
924.000hℓを誇る生産量のうち、89%はロゼワインです。
赤・ロゼ:サンソー、グルナッシュ、ムールヴェードル、シラー、ティブーランが主要品種。
主要品種を1つは含み2品種以上ブレンド、主要品種の合計が50%を越えなければいけません。
白:ロール、クレレット、セミヨン、ユニ ブランが認められています。
地域が広範囲にわたるため、4つのA.O.C.が存在しています。
最大収量が55hℓ/haですが4つのサブA.O.C.は50hℓ/haです。
(地理的名称の付いた5つのサブA.O.C.)
規定をクリアすると、コート ド プロヴァンスの後に、以下の地理的名称を付記することができます。
サント ヴィクトワール(Côtes de Provence Sainte-Victoire)
2005年に認められたサブA.O.C.です。赤とロゼのみ生産可能。
ミストラルの影響が大きい産地。
フレジュ(Côtes de Provence Fréjus)
2005年に認められたサブA.O.C.です。赤とロゼのみ生産可能。火山性土壌。
ラ ロンド(Côtes de Provence La Londe)
2008年に認められたサブA.O.C.です。赤・ロぜ・白が生産可能。
降雨量が少なく、日照量に恵まれている地域です。結晶化した岩石やシスト。
ピエールフー(Côtes de Provence Pierrefeu)
2013年に認められたサブA.O.C.です。赤・ロゼのみ生産可能。
土壌は赤い粘土や砂、シストなどです。赤の最大収量は45hℓ/haと厳しい条件。
ノートル・ダム・デ・ザンジュ(Côtes de Provence Notre-Dame des Anges)
2019年に認められた地理的名称付きのサブA.O.Cです。赤とロゼが認められています。
コトー ヴァロワ アン プロヴァンス(Côteaux Varois en Provence)
2005年にコトー ヴァロワから改名したA.O.C.。赤・ロゼ・白が生産可能。
暑い夏が特徴的な大陸性気候であり、土壌は火打石が混じる粘土石灰質です。
コトー デクサン プロヴァンス(Côteaux d’Aix en Provence)
1985年に認定された、赤・ロゼ・白が生産可能なA.O.C.です。
4000haに及ぶ広大な産地であり、雨の少ない地中海性気候です。土壌は粘土石灰質と砂質。
白はヴェルメンティーノを50%以上使用し、他品種をもう一つ入れる必要があります。
レ ボー ド プロヴァンス(Les Baux de Provence)
規定はありませんが、全栽培農家が有機農法を実践しているA.O.C.です。
当初は赤・ロゼのみでしたが、2010年の収穫より白も認められました。
土壌には小石がごろごろと転がっており、暑く乾燥する地中海性気候です。
バンドール(Bandol)
1941年に成立したA.O.C.です。赤・ロゼ・白が生産可能です。
長期熟成に可能な赤で有名な産地ですが、生産量の73%がロゼです。
地中海性気候で、レスタンクと呼ばれるテラス状の段々畑が特徴的。泥灰質と石灰質土壌。
赤:主要品種はムールヴェードル(50~95%)、サンソー、グルナッシュです。
補助品種のカリニャンとシラーは各10%以下にする必要があります。
ロゼ:主要品種はムールヴェードル(20~95%)、サンソー、グルナッシュです。
補助品種のブールブーラン、カリニャン、クレレット、シラー、ユニ ブランは各10%以下で、かつ合計で20%を越えてはいけません。
白:主要品種はクレレット(50~95%)、ブールブーラン、ユニ ブランです。
補助品種のマルサンヌ、ソーヴィニヨン ブラン、セミヨン、ヴェルメンティーノは各10%以下で、かつ合計20%を越えてはいけません。
カシス(Cassis)
1936年にソーテルヌなどと共に最初に認定されたA.O.C.です。
赤・ロゼ・白が生産可能です。地中海性気候であり、石灰岩土壌です。
クレレット、マルサンヌを主要品種とした白ワインが、生産量の67%を占めます。
パレット(Palette)
1948年に認められた、栽培面積が51haほどしかない小さなA.O.C.です。
石灰風化物の土壌であり、地中海性気候です。赤・ロゼ・白が生産可能。
ヴァン ド ベレ(Vin de Bellet)
またはベレと呼ばれるA.O.C.です。1941年に成立し、小さな地域で認められています。
赤・ロゼ・白が生産可能で、土壌はプータングと呼ばれる玉砂利が混じる細かな砂の塊です。
赤・ロゼ:ブラケ、フェラネラが主要品種。(2つあわせて60%~)
白:ヴェルメンティーノが主要品種。(60%~)
ピエールヴェール(Pierrevert)
2010年に、コトー ド ピエールヴェールから改称したA.O.C.です。
プロヴァンス地方北部に位置しており、内陸性の地中海性気候です。赤・ロゼ・白が生産可能です。
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コルシカ島(Corse)
県名)オート コルス(Hautes Corse)、コルス デュ シュッド(Corse du Sud)
1)コルシカ島について
イタリア語読みでコルシカ、フランス語読みでコルスといいます。
南北184km、東西83kmあり、コルシカ島は地中海で4番目に大きく(シチリア島、サルデーニャ島、キプロス島に次ぐ)、イタリアのサルディーニャ島のすぐ北に位置しています。
また、ナポレオン ボナパルトの生誕地として知られています。
1768年からはフランス領ですが、長くイタリアの都市国家に支配されていたため、イタリアの影響が強く残っています。
気候:基本的に地中海性気候
日照時間に恵まれている一方、山の影響で降雨量もあります。
土壌:多様な土壌構成
西側は花崗岩質、東側はシスト、ところにより石灰質土壌といった構成です。
※ワイン生産量 376,046hℓ(うちA.O.C.ワイン121178hl 比率赤28%、ロゼ56%、白16%)
観光客による地元消費が多いが、20%ほど海外へ輸出されています。
ブドウ栽培面積 約6,049ha(うちA.O.C.は3,058ha程度)
・コルシカ島の歴史
コルシカ島でのワイン作りは、紀元前600年ごろギリシャ人の手によって広められました。
キリスト教教会の手によりブドウ畑は広げられましたが、フィロキセラ禍によって被害を受けてしまいます。
1960年代より安価な大量消費用ワインの生産地となりましたが、近年量よりも質へのワイン生産へと舵を切っています。
・コルシカ島の経済や文化
コルシカ語(イタリアのトスカーナ地方の影響)を話す人もいますが、フランス語が主に使用されています。
ポリフォニーと呼ばれる民族音楽が知られており、コルシカ島は観光業が盛んです。
島には豊かな自然が多く残されています。
・ブドウ品種
(白ブドウ品種)
ヴェルメンティーノ =マルヴォワジー ド コルス =ロール
(Vermentino =Malvoisie de Corse =Rolle)
ユニ ブラン(Ugni Blanc)
(黒ブドウ品種)
シャカレッロ(Sciacarello)
ニエルッキオ(Nielluccio):サンジョベーゼと同一のクローン。
バルバロッサ(Barbarossa)、グルナッシュ(Grenache)
・郷土料理やチーズ
アズィミヌ(Aziminu):コルシカ風ブイヤベース
シヴェ ド サングリウェ(Civet de Sanglier):猪の煮込み
ブロッチュ(Brocciu):チーズ。羊乳&山羊乳。フレッシュタイプ。
2)主なIGPとA.O.C.
イル ド ボーテ(Ile de Beauté)
コルシカ島全域を含むIGPです。赤・ロゼ・白が生産可能。
(A.O.C.)
パトリモニオ(Patrimonio)
コルシカ島の北部、コルス岬の付け根に位置する、コルシカ島最初のA.O.C.です。
1968年に認定され、赤・ロゼ・白が生産可能です。
赤:ニエルッキオ90%~使用。
ロゼ:ニエルッキオ75%~使用。
白:ヴェルメンティーノ100%使用。
アジャクシオ(Ajaccio)
1984年にコトー ダジャクシオから改称した、ナポレオンの生誕地として知られています。
花崗岩質土壌であり、赤・ロゼ・白が生産可能です。
赤・ロゼ:主要品種はシャカレッロ(40%~)、ニエルッキオ、バルバロッサ、ヴェルメンティーノ。
白:主要品種はヴェルメンティーノ(80%~)。
ヴァン ド コルス(Vin de Corse)
またはコルスと呼ばれており、コルシカ島で広く認められているA.O.C.です。
1972年に認定され、赤・ロゼ・白が生産可能です。
赤・ロゼ:主要品種はニエルッキオ、シャカレッロ、グルナッシュ(合わせて50%~)
ニエルッキオとシャカレッロの合計が全体の1/3~でなければなりません。
白:主要品種はヴェルメンティーノ(75%~)です。
規定をクリアしたものは5つの地理的名称を付記することができます。
島の西部は各地理的名称をもつため、ヴァン ド コルス表記は多くの場合東部のワインです。
(5つの地理的名称)
ヴァン ド コルスまたはコルスの後に地理的名称を付記できます。
すべて赤・ロゼ・白が生産可能。
カルヴィ(Calvi):花崗岩質土壌。風は強いが、穏やかな気候。
フィガリ(Figari):コルシカ島の最南端に位置する地理的名称。
サルテーヌ(Sartène):花崗岩質、地中海性気候。
ポルト ヴェッキオ(Porto-Vecchio):コルシカ島東部ですが、花崗岩質土壌。
コトー デュ カップ コルス(Coteaux du Cap Corse):風が強く、シスト土壌。他の地理的名称と若干品種構成が異なる。
ミュスカ ド カップ コルス(Muscat du Cap Corse)
1997年に認定された、VDNの白のみ生産可能なA.O.C.です。
ミュスカ ブラン ア プティ グランのみ使用可能。
補糖はできず、果汁糖度は252g/ℓ~である必要があります。
収穫年中にミュタージュをしなければなりません。
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