【最終更新日】2023年7月9日
ゲヴュルツトラミネール(Gewurztraminer)はピンクや赤い果皮をした白ワイン用のブドウ品種です。
酸味は控えめで糖分を多く含み、熟成に耐えうる辛口から甘口まで多様なフルボディに近いワインとなります。
香りが特徴的で、バラのような花やライチの甘く感じる香りと生姜のような香りもあり、熟成するとより際立ってきます。
あらゆるブドウ品種の中でも特に個性が強く、わかりやすく魅力が伝わりやすい品種の為、ワイン初心者の方にもお勧めなブドウ品種です。
ただしその分個性が強いため、好き嫌いが分かれることもありますので、ワイン選びの際にはまずはグラスワインなどの気軽に注文できるときに試してみるのがいいかもしれません。
目次
ゲヴュルツトラミネールとは?基礎知識、特徴と味わい
総論・起源
イタリア北部のアルト・アディジェ州で栽培されていたトラミナーという緑色の果皮をしたブドウが起源とされていて、近辺のドイツ語圏の地域で栽培が進みました。
その中で変異してピンク色になったブドウをドイツ語で“スパイシー“という意味のゲヴュルツを付けて、ゲヴュルツトラミネールと命名されたそうです。
スパイスの香りもありますが、実際には“アロマティック“と呼ばれる華やかな香りの方がより強いです。
非常に早く熟す品種なので冷涼な気候が栽培には適しており、現在ではヨーロッパだけでなく、南北アメリカ大陸やオーストラリア、ニュージーランドでも栽培されている国際品種です。
世界的な栽培面積としては白ワインのブドウ品種として有名なシャルドネの10%に満たないので、生産量もそれほど多くありませんが、世界中の様々な国で栽培されています。
またその特徴的な香りから、カレー、ハーブたっぷりのサラダや魚介類、スパイスを効かせたチキン等、一見料理の香りが強くてワインが合わせづらそうなアフリカやアジア各国の料理にもとても相性が良いです。
おもな産地
フランス
栽培面積が最も多いのがフランスで、北東部でドイツと国境を接するアルザス地方での栽培が盛んです。
土壌や製造方法の違いで甘口から辛口まで幅広いスタイルのワインが生産されており、他国と比べると果汁がより凝縮されたワインが多いです。
アルザスでは特定の基準をクリアした甘口ワインにヴァンダンジュ・タルティーヴ、セレクシオン・ド・グラン・ノーブルと名乗る事が許されており、ゲヴュルツトラミネールも使用可能品種の一つです。
どちらも遅摘みで糖度を高めた、10年以上の熟成も可能な高級ワインです。
ドイツ
ドイツ語表記の名前から生産量が多そうですが、実際はフランスの1/4程の栽培面積となっています。
南東部のバーデン、ファルツで栽培されており、アルザスより軽めの早飲みスタイルの辛口白ワインが生産されています。又、アウスレーゼと呼ばれる甘口の高級ワインもあります。
イタリア
イタリア北東部、アルプス山脈の麓のトレンティーノ・アルト・アディジェ州での生産が多く、この地ではトラミネール・アロマティコと呼ばれています。
アルザスと比べるとライトボディでフレッシュな酸味がある辛口の白ワインで、料理に非常に合わせやすいです。
アメリカ
アメリカでは生産量は多くはないものの、根強いファンに支えられ、個性的で高品質なワインが生産されています。
ワイン産地として有名なカリフォルニア、ワシントン、オレゴンといった州だけでなく、ニューヨークやオハイオ等、高緯度であったり、標高が高い冷涼な地域で広く栽培されており、ドイツと同程度の栽培面積があります。
オーストリア
南東部のシュタイヤーマルク州で栽培されています。
この地ではトラミーナーと呼ばれ、香り豊かな高品質辛口白ワインが生産されており、ドイツ同様の甘口白ワインも有名です。
その他の地域
栽培面積としてはモルドバやウクライナ等の中央、東ヨーロッパで多く見られますが、オーストラリアやニュージーランド、カナダ、チリ、南アフリカでも栽培されており、カナダでは甘口のアイスワインも生産されています。
著名なワイン
ゲヴュルツトラミネール・キュヴェ・テオ ドメーヌ・ヴァインバック(Gewurztraminer Cuvée Theo Domaine Weinbach)
[itemlink post_id=”3410″]“ワインの小川“を意味するアルザスを代表する生産者の一つです。
1612年にカプチン派の修道士が設立した時から始まった、4世紀以上の歴史あるドメーヌです。
早くから有機農法やビオディナミに取り組み、ブドウを全て手摘みで行う等、丁寧な仕事で収穫量を抑え、高品質なワインを生産し続けています。
フランスのワインガイド誌では、アルザスの中で数少ない三ツ星がついている程評価が高く、品種の個性がしっかりと味わえる辛口白ワインです。
ファミーユ・ヒューゲル ゲヴュルツトラミネール・クラシック(Famille Hugel Gewurztraminer Classic)
[itemlink post_id=”3411″]こちらも創業1639年と、4世紀近くの歴史ある100%家族経営の生産者です。
アルザスにおける遅摘みワインの先駆者で、品質管理が徹底されています。
樽の香りをつけず、補糖も行わない為、品種の個性がはっきりと分かるワインです。
ゲヴュルツトラミネールに馴染みが薄い方にもオススメの一本です。
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