私が今注目するワイン産地 ~南アフリカ~ その気候・風土・歴史

【最終更新日】2024年2月15日

今回はタイトルのように私が注目しているワイン産地のお話をさせていただきたいと思います。

なぜ南アフリカなのか?そう思われる方も多いと思います。

 

初めてワインを選ぶといった際に、店員さんからおすすめされるワインはおそらくフランスワインだと思います。フランスワインの安心感は誰しも共感できるものがあるでしょう。

ですが、ワインを勉強し始めると、フランスワイン以外にも面白そうなワイン生産国はたくさんありますし、少し探してみれば、近くのワインショップにも多く取り扱いがあります。

 

最近は円安や物価高がよく言われていますが、ワインも価格高騰の波に襲われています。フランスワインはそれが顕著に現れており、なかなか手が出しにくくなってきました。

「コスパの良いワインはないかなぁ。」、「みんなどんなワイン飲んでるの?」

そんな気持ちでSNSを彷徨っていたところに出会ったのが南アフリカのワインでした。

 

実際に飲んでみると、品質は高く、値段も2000円前後でお手頃。非常にコストパフォーマンスが良いと感じました。

南アフリカワインってすごい!そう感じたので、その魅力を少しでもみなさんに届けたいと思い、記事作成を決めました。

もちろん私も南アフリカワインに関する知識は浅いです。資料などを参考にしつつ、記事作成を行なっております。一個人の意見になりますので、温かい目で見守っていただけますと幸いです。

 

ワイン関連の記事になるので、少し自己紹介をしておきますね。

私は2023年にワインブックススクール:WBSで学習し、ワインエキスパートを取得させていただきました。その後もワインの学習を継続しつつ、この記事を書かせていただいております。

 

今回は南アフリカのワインを理解するため、気候や風土・歴史について解説ができればと思います。

ワインの勉強をするのに、気候や風土・歴史の勉強をするのは・・・と思いますが、ワインにとって重要なことです。ここを抑えておくことで新しい発見もあるかもしれません。

エキスパート試験を受けるのであれば、重要なワードも盛り込んでいますので、勉強の休憩も兼ねて、少しお付き合いください。

それでは、南アフリカの気候、風土、歴史を見ていきましょう。

 

南アフリカワイン

南アフリカの地理・気候


南アフリカは皆さんご存知のように、アフリカ大陸の南端に位置しています。

その中でもワイン産地は、南緯27~34度に集中し、教本的にはほとんどが穏やかな地中海性気候とされています。ブドウの育成期は乾燥した温暖な日が続き、冬は冷涼ですが霜害はほとんどありません。

 

アフリカと聞くだけで亜熱帯~熱帯の気候と考えがちですが、南アフリカは南極からの冷たい海流とインド洋からの温かい海流が合流する、「ベンゲラ海流」の影響で、沿岸部は冷涼な気候となります。

この冷涼な気候のおかげで、ブドウの成熟はゆっくりと進み、ワインに重要な酸味の形成にも役立っています。

ですが、全域が地中海性気候ではないのです。

 

確かにワインの一大産地、ケープタウン周辺の沿岸地域は地中海性気候になりますが、東部になると西岸海洋性気候と呼ばれる温暖で湿潤な気候、西部になると砂漠気候など、場所によってさまざまな気候条件があります。

ケープタウン周辺のワインだけではなく、様々な地域のワインも気になってきますね。

ちなみに、西岸海洋性気候はヨーロッパの西海岸あたりの気候のことです。この気候と類似している地域は世界中にあり、南アフリカの東部もその一つになります。

 

南アフリカの風土

この気候条件に加えて、抑えておきたいのが風です!

南アフリカは春から夏にかけて「Cape Doctor:ケープ  ドクター」と呼ばれる強い乾燥した風が吹きます。この風の影響で病害が少なく、防虫剤や防カビ剤の使用も最小限に留めることが可能になります。

Doctorとはよく言ったものだなぁ。と思いますよね。

 

土壌は世界最古のものと言われており、度重なる地殻変動などにより形成されたケープの谷、花崗岩の露出したパール山や硬い砂質土壌のテーブルマウンテンが有名です。

ブドウ栽培地域では、沿岸部は花崗岩の上に砂岩の山々、内陸部や丘陵部では薄い層が重なってできている頁岩が貴重。

これらが複雑に影響しあって、南アフリカのブドウを作り上げていくのです。

 

また、ワイン一大生産地の西ケープ州はユネスコ世界自然遺産に登録された自然保護区であり、「世界一美しいワイン産地」や「世界で最も環境に配慮したワイン生産国」とも言われています。

 

南アフリカワインの歴史

南アフリカは360年以上にわたるワインの歴史を誇っている生産地域になります。

ワイン産業が始まった17世紀の大航海時代。ヨーロッパとインドのスパイス貿易の真っ只中にありました。

主な移動手段は船であり、ヨーロッパからインドへ向かうにはアフリカ大陸を迂回する必要がありました。その経由地として利用されたのが、中間地点である南アフリカだったのです。

貿易の経由地としてケープタウンは多くの人々が流入し、食料の供給を求められました。食料供給地として重大な役割を担っていたことを考えると、ワインを求める声も多かったことは想像に難しくありません。

 

そのような状況下、オランダ人のヤン・ファン・リーベック↑は南アフリカの地中海性気候に着目し、ブドウ栽培を1655年に開始。4年後の1659年2月2日に南アフリカ初のワインが誕生したのです。

このことはヤン・ファン・リーベックの手記に「ケープのブドウから最初のワインが造られた」ことを記録しており、起源が日付までまでわかる、稀有な生産地域になっています。

この記録にちなんで、現在は2月2日が「南アフリカワインの日」と定められ、南アフリカワインを楽しまれています。

 

1685年には、フランスでナントの勅令が廃止されたことにより、ユグノー派の人々が宗教迫害を受け、南アフリカへ入植を始めました。

入植した人々の多くはロワール地方の出身だったようです。ロワールの白ワイン用ブドウといえばシュナン・ブランですね。南アフリカでシュナン・ブランが広く栽培されていることもここに関係しています。

 

ナントの勅令が廃止されたのと同年の1685年、シモン・ファン・デル・ステルがフォルス湾に面した渓谷をコンスタンシアと名付け、ブドウの植樹を行い、1692年にワインの生産を開始しています。

これが、かの有名な極上の甘口ワイン「Vin de Constance:ヴァン・ド・コンスタンス」の起源になります。

 

文面で見ると、いかにもフォルス湾ギリギリに接した海の見える渓谷のイメージですが、地図で見てみるとほとんど海は見えません(笑)

「Vin de Constance」はアメリカのジョージ・ワシントンから、ナポレオンまで、各国の著名人を虜にし、国境を超えて愛されていました。

 

19世紀に入ると、南アフリカもヨーロッパと同じようにフィロキセラの甚大な被害を受けます。

フィロキセラ終焉後の1918年にはケープのワイン産業の健全な発展を目指し、「KWV:南アフリカブドウ栽培者協同組合」が発足。ブドウの最低価格を保証することで、農家を保護し、需要の調整を行ったとされています。

ただし、KWVの働きに関しては品質の底上げがあった一方で、並質のワインに統一されてしまったという意見もあります。KWVのワインは自分の舌で確認して、どのように考えるかも面白そうです。

 

1925年には南アフリカを代表する品種、ピノタージュがアブラハム・ペロード博士により生み出されました。

そのような発展を見せていたワイン産業ですが、1948年から1994年まで続いた人種隔離政策、アパルトヘイトによって国際社会から締め出しをされてしまいます。

1994年、ネルソン・マンデラ大統領の就任に伴い、アパルトヘイトは廃止。以降は生産者が海外市場への輸出に積極的に取り組み、品質の向上や海外からの投資が進んだことで、現在のように国際的に高い評価を受けるようになってきたのです。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は、南アフリカの気候・風土と、ワインの歴史について解説をさせていただきました。

南アフリカは気候、風土に恵まれており、ナチュラルな造りを行なっていることでも有名です。自然環境にも配慮されている素晴らしいワイン生産地域で、品質も見事なものも多いです。

 

歴史的にも興味深く、Vin de ConstanceやKWV、ピノ・タージュの開発など多くの出来事があります。実際のワインを味わいながら当時の事情などにも思いを馳せると、より一層ワインが奥深くなると思います。

南アフリカワインのこれからには期待大ですね。

ここまでご一読いただきありがとうございました。

次回は南アフリカワインのサスティナブルについて触れていければと思います。


 

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