ネゴシアン・マニピュランとは?意味・基礎知識と代表的な銘柄

【最終更新日】2023年1月13日

ネゴシアン・マニピュラン(Negociant-Manipulant 以下NM)はフランスのシャンパーニュ製造業の形態の1つです。

フランス語でNegociantは交渉人、卸売業、Manipulantは操作する、取り扱う、という意味で、自社畑を所有する生産者もいますが、契約農家等、他の畑から買い付けたブドウを醸造し、販売する業態をNMと言います。

誰でも一度は耳にした事のある様なシャンパーニュを生産している大手メゾンがこれにあたります。

 

NMはシャンパーニュ全生産量の約70%を占めていますが、保有畑は約10%に過ぎず、残りの約90%は栽培農家の所有です。

この地方で如何にブドウ栽培業に従事している人が多いか分かります。

 

シャンパーニュは瓶に生産者番号の記載があります。

この番号は各生産者、業者に対して固有の番号で、生産、流通の違いから最初の2文字で7つに区分けしています。

 

NMは総輸出量の2/3を占めており、日本で購入できるシャンパーニュの多くはNMになっています。

他には近年需要が増えてきたRM(Recoltant-Manipulant)と呼ばれる自社畑で栽培したブドウのみを使った製造業者や、CM(Cooperative de Manipulantion)と呼ばれる生産者協同組合が醸造、販売したシャンパーニュも少ないですが、流通しています。

 

【レコルタンマニピュランについてはこちらをご覧ください→】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/recoltant-manipulant/”]

 

ネゴシアンマニピュランとは?

歴史・経緯

そもそもシャンパーニュではワイン作りは分業されていて、ネゴシアンと呼ばれる製造、販売業者が栽培農家から買い付けたブドウからシャンパーニュを生産していました。

ブドウ栽培の北限に近く、年によって違う収穫量から安定した品質のワインを作るには単一畑ではリスクが高い為です。

 

その後、経済状況や技術革新、気候変動を経て様々な生産スタイルが生まれました。

1914年に始まった第一次世界大戦は、当然シャンパーニュ地方にも影響を与え、ブドウ畑の40%が壊滅状態となりました。

戦争が1918年に終結すると、ヨーロッパ全土を巻き込んだ戦争から解放された人々の祝杯シーンでシャンパーニュは楽しまれ、各地で消費が進みました。

 

しかし、つぎに1929年にアメリカから始まり、10年近く続いた世界恐慌が訪れます。

当初フランス経済には影響が少なかったですが、1931年頃から失業率は上昇し、物価も不安定になり影響が目に見えてきました。

 

1936年には原産地呼称認定を受け、これから、という時に第二次世界大戦が勃発します。

1939年から1945年まで続いたこの戦争で、シャンパーニュ地方はドイツの占領下に置かれ、シャンパーニュ製造、市場も甚大な影響を受けました。

 

その最中の1941年、シャンパーニュ委員会(CIVC)が設立され、シャンパーニュというブランドと、生産者、関係業者を保護する為、フランス政府指導の下、様々な規定を設けます。

シャンパーニュ地方の生産者は長い間、国内外でシャンパーニュという名前の無断使用に悩まされていました。

 

しかしCIVCに登録し、生産者番号の記載があるワインが本物のシャンパーニュであるという、消費者にとっても非常に分かりやすいものとなったのです。

これにより、生産者とともに消費者の保護につながったことは言うまでもありません。

 

NMの特徴

NMの特徴は安定した品質でありながら、大量生産が可能である事です。

複数年の複数畑から作ったワインを潤沢に保管しており、毎年それらをブレンドして生産しています。

その為、基本的にシャンパーニュの瓶にはヴィンテージの記載がありません。

 

又、ブレンド用のワインから選りすぐったプレステージシャンパーニュや、特に優れた年にはヴィンテージを記載したものなど、多くの商品を生産しています。

世界中のどこの国に行っても同じ味のシャンパーニュが楽しめるのはNMの努力の賜物です。

 

主なNM

モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)

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モエ・エ・シャンドンや高級シャンパーニュの代名詞の1つである、ドン・ペリニョン(Dom Perigon)を製造しているメゾンです。

かのナポレオン1世やポンパドゥール夫人がこよなく愛したと言われています。

世界各地にもワイナリーを所有しており、そこで作られるスパークリング・ワインはシャンドンという名前で広く流通しています。

 

パイパー・エドシック(Piper-Heidsieck)

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フランス王室御用達のメゾンです。

数々のハリウッド映画でも登場しており、マリリン・モンローのお気に入りだったというのは有名な話です。

カンヌ映画祭の公式シャンパーニュを務めており、映画好きの方なら一度はその赤いラベルを見たことがあると思います。

 

ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)

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1805年に未亡人となり、27歳の若さで事業を引き継いだマダム・クリコが築き上げたメゾンです。

女性がビジネスで成功する事の難しかった時代に会社をまとめ、世界各地に展開した偉大なる女性です。

最高級にこだわった彼女の信念は今も受け継がれ、品質だけでなく、プロモーションにもよく現れています。


 

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