ニュイサンジョルジュとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

【最終更新日】2022年10月13日

ニュイ・サン・ジョルジュ(仏:Nuits-Saint-Georges)はフランスはブルゴーニュ地方、コート・ドールの北側、コート・ド・ニュイ地区のワイン生産地です。

ニュイ・サン・ジョルジュで造られるワインは、そのほとんどはピノ・ノワール(仏:Pinot noir)という黒ブドウ品種から造られる赤ワインで、他に少量の白ワインも造られています。

 

コート・ド・ニュイ地区で面積最大のこのアペラシオンは南北に全長5kmと細長く、北と南でワインの性格が大きく違うことが知られています。

華やかさ、瑞々しい果実感、フィネスを兼ね備えた北側

野性味、力強さ、堅固な骨格を持つ南側と、それぞれが魅力的な個性を持っています。

 

特級畑(グラン・クリュ)はありませんが大変に評価の高い1級畑(プルミエ・クリュ)を多数抱えており、またその中には特級畑への昇格を噂される畑もあります。

同地区内のジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネと共に世界的な赤ワイン銘醸地として名を馳せる、偉大なアペラシオンです。

 

【ピノノワールについてはこちらをご参考ください】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/pinot-noir/”]

 

ニュイサンジョルジュの基礎知識

産地の特徴


ニュイ・サン・ジョルジュはブルゴーニュ地方コート・ドールの北側、コート・ド・ニュイ地区の最南端に位置し、北はヴォーヌ・ロマネ村に接するアペラシオンです。

人口5500前後のニュイ・サン・ジョルジュの街にくわえてプリモー・プリゼ村の畑もニュイサンジョルジュのワインを名乗ることができます。

 

このアペラシオンはコート・ド・ニュイ地区では面積最大で、全コート・ドールの中でもボーヌに次ぐ広さです。

特級畑こそないものの41もの1級畑を持ちます。

赤ワインのアペラシオンとして有名で生産量のほとんどは赤(98.1%)ですが、僅かに白も生産されています(1.9%)。

栽培は赤ワイン用にピノ・ノワール(仏:Pinot noir)、少量ですが白ワイン用にシャルドネ(仏:Chardonnay)、ピノ・グリ(仏:Pinot gris)、ピノ・グージュ(Pinot gouges)が生産されています。

 

全長5km、南北に細長く伸びる同地は町の中心部の背後にあるムザン谷を境に、北と南でワインの性格が大きく違うことが知られています。

ヴォーヌ・ロマネ村と接する北側は斜面が東からやや北向きで急な傾斜をしています。

土壌は小石の多い石灰質です。

 

一方、アペラシオン中央から南に向かって広がるエリアでは斜面は南東向き、土壌は粘土石灰質の混じった泥灰質です。

また、谷の形の影響から風の影響を受けやすく、斜面上部の気温は低いこともこちらのエリアの特徴です。

 

一般的には

北部は華やかさ、瑞々しい果実感、フィネスを兼ね備えた酒質

中央から南側では野性味がありアーシー(英:Earthy,土のニュアンス)、骨格のしっかりした酒質のワインが造られるとされています。

 

 1級畑

ニュイ・サン・ジョルジュには特級畑(グラン・クリュ)はなく、1級畑は41あります。

一般にヴォーヌ・ロマネ村側の北の畑と、中央から南、そしてプリモー・プリゼ村に広がる畑とで性格が分かれるとされています。

 

「レ・サン・ジョルジュ」を筆頭に、特級畑への昇格を噂されるほどの畑もあります。

「オー・ブード」「レ・ダモード」「オー・ミュルジュ」「レ・プリュリエ」「レ・カイユ」「レ・ポレ・サン・ジョルジュ」「クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ」「クロ・デ・コルヴェ」「クロ・デ・ラルロ」「クロ・ド・ラ・マレシャル」などなど、質の高い1級畑を多数抱えています。

以下に、1級畑名を記載します。

 

ニュイ・サン・ジョルジュ村

Aux Boudots

Les Damodes

Aux Cras

La Richemone

Aux Murgers

En la Perrire Noblot

Aux Champs Perdrix

Aux Chaignots

Aux Vignerondes

Aux Thorey

Aux Argillas

Aux Bousselots

Chateau Gris

Les Crots

Rue de Chaux

Les Proces

Les Hauts Pruliers

Les Pruliers

Ronciere

Les Porrets Saint-Georges

Clos des Porrets Saint-Georges

Les Poulettes

Les Perrieres

Les Vallerots

Les Chaboeufs

Les Vaucrains

Les Cailles

Les Saint-Georges

Chaines Carteaux

 

プレモー・プリセ村

Les Terres Blanches

Les Didiers

Clos des Forets Saint-Georges

Aux Perdix

Clos des Corvees

Clos des Corvees Pagets

Clos des Grandes Vignes

Clos Saint-Marc

Le Argilliere

Clos des Argilliere

Clos Arlot

Clos de la Marchale

 

ワインの特徴

ピノ・ノワールから作られる赤ワインが大半を占めますが、少量ながら1級クラス、村名クラスの白ワインも生産されています。

アペラシオンの規定で最低アルコール度数は1級クラス、村名格共に赤11.0%、白11.5%です。

収量は1級格と村名格で概ね同量生産されています。

 

味わいは北と南で大きく性格を異にします。

北側はヴォーヌ・ロマネと同じ土壌のため、優美で華やか,フィネスあるタイプのワインが造られています。

一方中央から南側は粘土質の割合が高く、「ニュイ・サン・ジョルジュ」と聞いたときに思い浮かべる野性的で骨格のしっかりしたワインが造られています。

どちらも長期熟成に耐える高いポテンシャルを持ちます。

 

若いニュイ・サン・ジョルジュはアーシーさと野性味が荒々しく飲み手の好みが分かれますが、適切に熟成されたものは真価を発揮し、飲み手を魅了します。

 

外観・香り・味わい

ニュイ・サン・ジョルジュの赤は一般にタンニン、酸味共に強く、スパイシーで土の風味も豊かなワインとされています。

特に南側の産地はコート・ド・ニュイで最も野性味を感じさせると評価するオーソリティがいることからも、その性格がうかがえます。

 

外観は色調は黒みを帯びたルビー色です。

濃淡はやや濃いですが、それでもピノ・ノワールらしくグラスの向こうが透けて見えます。

きらきらと輝く液面が酸度の高さを感じさせます。

 

香りは若いうちはブルーベリー、カシス、ブラックベリーなどの黒系果実、赤から濃い色調の薔薇、牡丹といった花、黒コショウなどのスパイス、土のニュアンスが

熟成したものはそこに動物の皮やジャーキー、ジビエや茸がそれぞれ鼻腔に広がります。

 

味わいは第一印象(アタック)はやや強く、堅牢ともいえる骨格を感じます。

特に若いものは険しいタンニン(渋み)が口中を支配します。

しかし適切に熟成したものは一転、上品で円やかな甘みと気品のある酸味、きめ細かく滑らかなタンニンが混然一体となり、官能的なワインへと変化を遂げます。

 

1級畑の中でも特に最上のもの、また優良生産者による作品は、そのポテンシャルを発揮するのに長い熟成期間を必要とします。

早く味わいたい、そんな誘惑に耐えるのには大変な忍耐力を要しますが、最低でも10年は待ちたいところです。

 

 

主な生産者

ドメーヌ・フェヴレ/Domaine Faiveley

ネゴシアン業も営む大手にして優良ドメーヌ。

ニュイ・サン・ジョルジュに本社があります。造り出すワインは安定しており、且つ古典的なブルゴーニュ・スタイルを踏襲しています。

 

ドメーヌ・ロベール・シュヴィヨン/Domaine Robert Chevillon

13ha所有する畑は、全てニュイ・サン・ジョルジュにあります。

古木から造られるワインはテロワールを見事に体現しています。

気品があり、洗練された味わいを生み出す実力派ドメーヌです。

 

ドメーヌ・アンリ・グージュ/Domaine Henri Gouges

14.5haの畑を所有し、その全てがニュイ・サン・ジョルジュにある同地の名門です。

悪徳ネゴシアンによって出自や品質を偽られたワインが横行していた時代にアルマン・ルソー、マルキ・ダンジェルヴィルと共に「本物である」ワインを守る組織を結成(1929年)した誇り高きドメーヌです。

堅牢で超熟型のワインを生み出します。

また、ピノ・ノワールの変異種「ピノ・グージュ」を発見したことでも有名です

 

ドメーヌ・ミシェル・エ・パトリス・リオン/Domaine Michel et Patrice Rion

父のダニエル・リオンも優れた醸造家です。

同ドメーヌは独立したパトリス氏によって2000年に設立されました。

造り出すワインはバランスに優れエレガント、ヴォーヌ・ロマネのような風味を感じさせます。

 

ドメーヌ・ジャン・ジャック・コンフュロン/Domaine Jean-Jacques Confuron

プリモー・プリセ村に醸造所を構えるドメーヌです。

黒系果実の香り豊かな気品と堅固な骨格を併せ持ったワインを造ります。

 

マリアージュ

ニュイ・サン・ジョルジュは大まかに北と南で性格が異なりますが、多くは野性的で骨格がしっかりしたピノ・ノワールにしては強い酒質のワインが想定されます。

中でも特に適切に熟成したワインからは黒系のドライフルーツ、動物の皮や熟成肉などのジビエ感、土や茸のニュアンスが力強くも官能的に感じられます。

 

素材は血液を感じさせる赤身肉やジビエが好相性です。

それらを赤ワインでじっくり煮込んだブルゴーニュ地方伝統料理(ブッフ・ブルギニョンやコック・オー・ヴァン)はやはり鉄板です。

 

香草を大胆に利かせた場合でもワインとその香草の組み合わせによっては素晴らしいマリアージュが生まれます。

例えば、香草と共に絶妙な火入れを施した仔羊のロティはいかがでしょうか。

 

【マリアージュについてはこちらをご覧ください】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/mariage/”]

 

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