コート・ド・ニュイとは?総論、村やワインの解説

【最終更新日】2022年11月23日

コート・ド・ニュイ(仏:Cote de Nuits)は、フランス東部、ブルゴーニュ(仏:Bourgogne)地方にある黄金丘陵=コート・ドール(仏:Cote d’Or)の北側に位置する、ワイン生産地の地区名称です。

赤ワインの銘醸地として知られており、その多くはピノ・ノワール(仏:Pinot Noir)という黒ブドウ品種から造られ、アペラシオン(仏:Apellasion)にもよりますが他国や他地域と比較すると総じて「エレガント」と評されることが多いです。

 

全てのアペラシオンで非常に秀逸な赤ワインが生み出されており、中でも「ジュヴレ・シャンベルタン(仏:Gevrey-Chambertin)」「シャンボール・ミュジニー(仏:Chambolle-Musigny)」「ヴォーヌ・ロマネ(仏:Vosne-Romanee)」の3アペラシオンはブルゴーニュ赤ワインの三大銘醸地とされています。

 

また、ロマネ・コンティ(仏:Romanee-Conti)といえば、ワインに明るくない方でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

同地区では、この「ロマネ・コンティ」を始めとして、「シャンベルタン(仏:Chambertin)」「ミュジニー(仏:Musigny)」など、多くの超有名・超高級・超実力派の赤ワインが群雄割拠の様相を呈して存在します。

ワインを愛する者、特にブルゴーニュ・赤ワインを愛する者にとっては、同地区は正に聖地といっても過言ではないでしょう。

 

8つの村名アペラシオンを擁し、それぞれに個性的な特徴があります。本記事では、コート・ド・ニュイの抑えるべき特徴をご紹介していきたいと思います。

 

【ピノノワールについてはこちらをご覧ください】

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コートドニュイのワインの基礎知識

産地の特徴

ブルゴーニュ地方は、ボルドー地方とその地位を二分する世界的銘醸地です。

遅くとも3世紀にはブドウが植えられ、ブドウ栽培の歴史は続きました。

その後、中世に修道僧たちによって本格的な開墾が始められ、以降、偉大な銘醸地として名声を得てきました。

 

ブルゴーニュ地方は5つの地区に分かれます。

北から南へ順に「シャブリ(仏:Chablis)」「コート・ド・ニュイ」「コート・ド・ボーヌ(仏:Cote de Beaune)」「コート・シャロネーズ(仏:Cote Chalonnaise)」「マコネ(仏:Maconnais)」「ボージョレ(仏:Beaujolais)」となります。

今回のテーマであるコート・ド・ニュイ地区は、その中でも赤ワインの世界的銘醸地として特に有名です。

 

AOC規定により、その多くはピノ・ノワールから造られる赤ワインですが、シャルドネ(仏:

Chardonnay)による白ワインも造られています。

 

【シャルドネについてはこちらをご覧ください】

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8つの村名アペラシオンがあり、北から南へ順に

マルサネ(仏:Marsannay)

フィサン(仏:Fixin)

ジュヴレ・シャンベルタン(仏:Gevrey-Chambertin)

モレ・サン・ドニ(仏:Morey-Saint-Denis)

シャンボール・ミュジニー(仏:Chambolle-Musigny)

ヴージョ(仏:Vougeot)

ヴォーヌ・ロマネ(仏:Vosne-Romanee)

ニュイ・サン・ジョルジュ(仏:Nuits-Saints-Georges)

と並んでいます。

それぞれのアペラシオンに特筆すべき特徴があり、それぞれが多くのワイン愛好家を抱えます。

 

所属する8つの村名アペラシオン

コート・ド・ニュイに所属する8つの村名アペラシオンを以下に記載します。

 

マルサネ (仏:Marsannay)

コート・ド・ニュイ最北のアペラシオンにして、ピノ・ノワールによるロゼワインが有名な産地です。

同地に特級畑=グラン・クリュ(仏:Grand Cru)や1級畑=プルミエ・クリュ(仏:Premier Cru)がないこと、売りがロゼであることなどから、軽視されがちなアペラシオンですが、そんな扱いをするのは早計です。

 

⓵ロゼを造ることができるアペラシオンはブルゴーニュ地域全体においてマルサネのみであること(そしてそのロゼは「フランス三大ロゼ」に数えられています)

⓶ロゼのみならず、赤、白、ロゼの3色造ることをみとめられていること

⓷他のコート・ド・ニュイと同様、赤ワインが秀逸であること

などなど、見るべきところが多くあることをワイン通であればあるほど知っている、そんなアペラシオンであると言えます。

 

フィサン(仏:Fixin)

特級畑はなく、1級畑が8面あります。

1級畑も赤・白共に生産が可能ですが、そのほとんどは赤を生産しています。

現在、白を生産しているのはモノポールでもある「クロ・ド・ラ・ペリエール(仏:Clos de la Perrieres)」のみで、この畑はドメーヌ・ジョリエ(仏:Domaine Joliet)が所有しています。

 

また同じく1級畑の「クロ・ナポレオン(仏:Clos Napoleon)」も有名です。

この畑から生まれるワインは、長期熟成させることで力強さに複雑さが同梱する素晴らしい酒質になるとされています。

ちなみに同村には「ナポレオンの目覚め」と呼ばれる有名な銅像があります。

この辺のフィサンとナポレオンのエピソードについては、今後の記事に記載できればと思います。

 

ジュヴレ・シャンベルタン(仏:Gevrey-Chambertin)

コート・ドール内の特級畑を持つアペラシオンとしては最北に位置します。

ピノ・ノワールから造られる赤ワインは、コート・ド・ニュイの中でも強靭で、大きなスケール感、優雅にして繊細です。

特級畑をブルゴーニュ最多の9面、1級畑=プルミエ・クリュ(仏:Premier Cru)を26面持つこと、同地区内最大の栽培面積を擁すことなどから、「ブルゴーニュの王」と目されることも少なくありません。

ジュヴレ・シャンベルタン村の名前の由来は、同村のグラン・クリュ筆頭に挙げられる「シャンベルタン」からきています。

そして、その優れた畑の高すぎる質ゆえ、村名のみならず、村内の他の特級畑にもその名が冠されることになりました。

 

【ジュブレシャンベルタンについてはこちらをご覧ください】

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モレ・サン・ドニ(仏:Morey-Saint-Denis)

特級畑を5面、1級畑を20面擁する同村は、北をジュヴレ・シャンベルタン、南をシャンボール・ミュジニーと接します。

対極のタイプとして人気を二分するそれらの村に挟まれていることで、モレ・サン・ドニは「地味なアペラシオン」というイメージを持たれる感は否めません。

しかし実際には極めて高い品質のワインが数多く生み出されています。

 

ジュヴレ・シャンベルタンほどではないにしろ力強さと華やかさを、シャンボール・ミュジニーほどではないにしろ繊細さとフィネスを、それぞれ兼ね備えた、大変魅力的な産地です。

モレ・サン・ドニを本拠地とする名門ドメーヌも多数存在するのですが、前述の印象の理由もあり、同品質のジュヴレやシャンボールのワインと比べると1~2割ほど安価に購入できるものも多いです。

高騰著しいブルゴーニュ・ワインにあって穴場的アペラシオンと言えるかもしれません。

 

 

シャンボール・ミュジニー(仏:Chambolle-Musigny)

ブルゴーニュで最も繊細であることで有名です。

2つの特級畑「ミュジニー(仏:Musigny)」「ボンヌ・マール(仏:Bonnes-Mares)」と、24の1級畑を擁します。

特に前者は、数あるブルゴーニュ・ワインの中でも最も偉大なものの一つとして数えられます。

気品、繊細さ、精妙さを纏い、詩的・幻想的に語られるほどのワインは、世界中のワイン愛好家の憧れの対象です。

 

また、シャルドネ(仏:Chardonnay)から稀少なミュジニー・ブラン(ミュジニーの白)が造られています。

特級であるミュジニーは赤・白両方を造ることができる(後述)のに対して、より広範囲で下位の村名格・1級格では赤しか造ることができない、というのはこの村で造られるワインの特徴の一つであると言えるでしょう。

 

1級畑=プルミエ・クリュ(仏:Premier Cru)も24面あります。

中でも有名な「レ・ザムルース(仏:Les Amoureuses)」は、その見事な酒質とロマンチックな名称で、ときにグラン・クリュをも上回る価格で取引されることがあるほどです。

 

【シャンボールミュジニーについてはこちらをご覧ください】

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ヴージョ(仏:Vougeot)

シャンボール・ミュジニーとの村境に流れるヴージョ川が名前の由来です。

北をシャンボール・ミュジニー、南をヴォーヌ・ロマネ村と、それぞれ赤ワインの世界的銘醸地に挟まれる場所に位置します。

特級畑「クロ・ド・ヴージョ」の他に、4面の1級畑を持ちます。

栽培面積の約80%がクロ・ド・ヴージョで約51ha弱もあり、これはコート・ド・ニュイの特級畑中最大で、逆に村名アペラシオンの面積はコート・ドール最小です。

 

ヴォーヌ・ロマネ(仏:Vosne-Romanee)

「ヴォーヌ」は6世紀には「vaona」「voone」などと記され、「森」を意味していました。

村としては、北をフラジェ・エシェゾー(仏:Flagey-Echezeaux)村、南をニュイ・サン・ジョルジュ(仏:Nuits-Saints-Georges)村に挟まれるように位置しており、アペラシオンとしては、フラジェ・エシェゾー村も含めて「ヴォーヌ・ロマネ」を名乗ります。

 

「ジュヴレ・シャンベルタン」「シャンボール・ミュジニー」と並んでブルゴーニュ・赤ワイン三大銘醸地に数えられます。

人気、知名度、実力で他を圧倒する「ロマネ・コンティ」を始めとして、8つの特級畑(内2つはフラジェ・エシェゾー村に所在)と、14の1級畑を持ちます。

繊細且つ優雅な宝石のごとき液体を生み出すこのアペラシオンは、「ネックレスの中央の真珠」と比喩され、世界中のワイン・ファン垂涎の地となっています。

 

【ヴォーヌロマネについてはこちらをご覧ください】

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ニュイ・サン・ジョルジュ(仏:Nuits-Saints-Georges)

地区内最南端に位置し、北はヴォーヌ・ロマネ村に接します。

コート・ド・ニュイでは面積最大で、全コート・ドールでもボーヌ(仏:Beaune)に次ぐ広さです。

特級畑こそないものの、41面もの1級畑を持ち、中には大変に評価の高い畑が多く存在します。

その中には特級畑への昇格を噂される畑もあるほどです。

ジュヴレ・シャンベルタン,シャンボール・ミュジニー,ヴォーヌ・ロマネと共に世界的な赤ワイン銘醸地として名を馳せる,偉大なアペラシオンです。

 

【ニュイサンジョルジュについてはこちらをご覧ください】

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