ワインの”クロ―ジャー”とは?種類とメリットデメリットを解説!

【最終更新日】2022年9月17日

ワインは多くの場合、瓶詰なので、瓶を抜栓してグラスなどに注いで飲むことになります。

当たり前ではありますが瓶は流通に耐えられないといけませんので、流通時には密閉されていて、飲む前に消費者があけて飲むことになります。

この、飲むときに開ける瓶の口の部分をワインの世界ではクロ―ジャー(Closure)と呼んでいます。

今回は、このクロ―ジャーの種類と、それぞれのメリットデメリットを検討してみたいと思います。

 

ワインのクロ―ジャーとは?

天然コルク以外クロ―ジャーじゃない?

ワインを密閉するものをクロ―ジャーと呼びますが、何十年か前まではクロ―ジャーと言えばコルクで、しかも天然素材のもの一つに絞られていました。

そのためご経験の長いワインファンの方ですよクロ―ジャー=コルクで、それ以外のクロ―ジャーは何となく安っぽく映るかもしれませんし、品質に不安を感じる方もいらっしゃると思います。

確かに天然コルクのクロ―ジャーを見慣れた方であればそれ以外のクロ―ジャーが安っぽく映るのはその通りでしょう。

ですが、品質に不安がある場合は、その不安は不必要なものだととらえていいかもしれません。

 

逆に品質の面では天然コルクの方が不安が多かったりする場合もありますので、しっかりとした検討が必要です。

 

それでは、実際にワインのクロ―ジャーの種類を見てみたいと思います。

ここでご紹介するもの以外もありますが、おおむねこれらをおさえれば現代のワインライフでは十分でしょう。

 

天然コルク

天然コルクはコルク樫の樹皮をはがして加工、整形したものです。

天然ものなので品質にはばらつきがあり、決して一様というわけではありません。

また、天然コルクにはコルク臭問題と言って、コルクの様なすえた香りをワインに与える物質が含まれていて、これがワインマーケットでは長いこと悩みの種だったのです。

 

そのうえで、天然コルクは長年使われてきた歴史と伝統があるため、安全で安心感があり、かつ、高級感も最も高いと思います。

ただし、そのうえでコルク臭の問題や自然物質であるがゆえの物質の不安定さは指摘をされています。

また、コルク樫も植物ですので消費し続ければいつかは枯渇し、一度はがしたコルク樫の樹皮は再度蘇生するまでに10年はかかるとされているので、決して無限にあるというわけではありません。

 

 

圧搾コルク(Bouchon Agglomeres,Agglomerated Cork)

このように、天然コルクはコルク臭問題と、自然物質であるため品質にばらつきがあるという決定的な問題点がありました。

そこを改善したものが圧搾コルクです。

 

圧搾コルクは天然コルクを細かく砕いたものを、合成樹脂などで再度整形したものです。

天然コルクは丸くくりぬいて使うのですが、その際にでるコルクの端の部分をつかって造ることができますし、天然コルクでは品質に達しないと判断されたコルクも使用することが可能です。

また、圧搾コルクは天然コルクを一度破砕して細粒化しますが、その際にコルク臭の原因物質であるTCAを除去することで、コルク臭問題を限りなくおさえることに成功しています。

 

ただし圧搾コルクは見た目の通り天然コルクの様な繊維質は見られませんので、天然コルクに比べると高級感には欠けますので、特にフランスをはじめとする伝統的生産国の高級ワイナリーではほぼ使われていません。

 

 

合成コルク(Bouchon Synthetique,Synthetic Cork)

プラスチック素材などの合成樹脂で形成されたコルク上のクロ―ジャーを合成コルクと呼んでいます。

実際にはコルクではないのですが、コルク状ということでワインの世界ではコルクと呼んでいるのでしょう。

 

プラスチック素材のため気密性が高く、品質は安定し、かつ、コルク臭は事実上完全にゼロにすることができるメリットがあります。

気密性は高いのですが、素材によっては透過性といって、微量の空気の流動をさせることで瓶熟成を促すものもあります。

 

メリットは大きいのですがプラスチックということで抵抗感のある人は多いし、高級感には欠けるため、シェアは限定的となっています。

 

 

スクリューキャップ(Screw Cap)

スクリューキャップはひねれば簡単に開けることができ、かつ気密性も高く、そして品質に均一性があるというメリットがあります。

特にユーザーフレンドリーさは他のクロ―ジャーとは全く違い、ソムリエナイフも必要ないため断トツの優位性があるといっていいでしょう。

スクリューキャップの大手のStelvinが、当時ヤルンバワイナリーのワインメーカーであったピーターウオールの要請で、フランスの Bouchage Mécanique社が開発に着手し、1976年に商業的に生産された経緯があります。

 

ニューワールドで積極的に採用され、高級ワインもスクリューキャップを採用するところも多いです。

特にオーストラリアやニュージーランドなどの南半球の国々では圧倒的なシェアを占め、これらの国ではほぼすべてのワインがスクリューキャップを採用しています。

 

なんといってもコルク臭問題を根本的に解決しているし、ユーザーフレンドリー、そして再利用可能なため環境への負荷も少ないという点で優位性が高いです。

しかし、とくに伝統国では伝統と歴史のあるコルクを切り離すことに抵抗があり、かつ、あまりにもユーザーフレンドリーすぎるため高級感に欠けるとの意識も強いです。

そのためフランス、イタリア、ドイツ、スペインなどの国では、スクリューキャップは廉価な一部のワインに限定され、高級ワインではほとんど見かけません。

 

まとめ それぞれメリットデメリットがある

いかがでしたでしょうか。クロ―ジャーといっても実際にはいくつかあるし、それぞれにメリットとデメリットがあることがお分かりになったと思います。

これまで天然コルク一辺倒であった人にすれば、ほかのクロ―ジャーは受け入れがたい方も中にはいらっしゃるかもしれません。

しかし、イメージの問題をのぞけば実は天然コルクが最も不確定要素が多く、必ずしも一択の存在ではないのが実際のところです。

 

ワインはいろいろなタイプと飲まれ方があるので、それぞれの目的に合わせてクロ―ジャーもあります。

勿論イメージの部分は大事ですが、ワインファンとしてはそれぞれの良さを理解したうえで楽しめれば、それが最高ですよね。


 

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