ワインの”フルボディ”とは?ライトボディとの違いを解説!

【最終更新日】2022年9月23日

ワインの世界では「ボディ」という言葉が使われることがあります。

 

「このワインはライトボディの味わいで」「このワインはどっしりしたフルボディです」

などのキャッチコピーはワインショップに行けばいくらでも並んでいると思います。

 

何となくこのボディというキーワードは雰囲気では理解できるけど、じゃあ実際に味わいは具体的な何がどう違うのかはあまり知られていません。

結論を言うとこの”ボディ”についてははっきりした言い方は存在しないし、長年何となくの雰囲気で使われ来たのはその通りかもしれません。

ただし、その中にあっても一応の方向性みたいなものはありますし、これは理解しておいて損はないでしょう。

 

ワインの”フルボディ”とは?

はっきりした使い方はない

フルボディ、ライトボディなどの”ボディというキーワードは、実は決まった使い方というものはありませんし、定義というものは存在しないというのが実際のところでしょう。

というのも、まずはワインのキーワードは決まった教科書というものは存在しないし、長年の歴史で使われてきたキーワードがそのまま何となく使われてきたことが多いのです。

 

おそらく多くの日本人は”ワインの教科書は?”と言えば思いつくのは日本ソムリエ協会の教本でしょう。

しかし、ソムリエ協会教本にはボディの文言はあっても、”フルボディ””ライトボディ”の文言はありません。

 

これでは普通の人が聞いてはっきりとフルボディを説明しろという方が無茶というものでしょう。

 

ボディとは?

では、このボディとはどのような味わいを指すのでしょうか?

先ほどのソムリエ協会教本のボディを検討すると、

 

厚みのある、柔らかい、果肉感のある、かめるような、丸みのある

 

などの文言が並びます。また、ボディと同系列に触感、食感、テクチュア(原文Texture)とも記載があります。

この辺りから何となくわかりそうですよね。

 

つまり、歯触りがあって、飲むとブドウの果肉感があり、噛めるような味わい、そんな感覚をボディと呼んでいるのでしょう。

 

”噛めるような味わい”とは?

では、もう少し深ぼっていきましょう。先ほど出てきた「噛めるような味わい」とはどのような味わいでしょうか?

こうなってくると決まりきったものはありませんので想像力がものを言います。では想像してみましょう。「噛めるようなワイン」とは・・・?

 

「噛める」というぐらいですから、何かしらの食感があるということでしょう。

逆を想像すると、「噛めないもの」は水とか空気の様な流動性の高いものを指しているはずです。

逆に肉とか魚とか、あるいはパンのような食感があるものは「噛めるもの」ではありますが、ワインは液体なのでなんとも歯がゆい気持ちになりますよね

 

”嚙めるワイン”とは?

ではいよいよ真相部分に入ります。「噛めるようなワイン」とは何を指すのでしょうか?

当たり前ですがワインは液体なので、噛めるものではありません。

本気で「噛めるワイン」があるとあなたが思っているのであればちょっと一般的な感覚からはずれているかもしれません。

 

ただし、液体とはいっても完全な水もあれば、例えばドロッとしたソースの様なものも液体だし、これを一緒くたにすることはできないでしょう。

液体とはいっても「水100%」の液体もあれば、「水80%、水以外20%」の液体もあるので、これを一緒にするのはもったいないです。

水80%、水以外が20%含まれた、ドロッとしたスープはさらっとした飲める液体ではなく、飲もうとしても食感も感じるはずだし、舌触りも水とは違ってくるはずです。

 

何となくわかってきましたよね。つまり、水と、水以外の成分の比率によってワインにも「噛めるワイン」があって、その「噛めるワイン」のことをフルボディと呼んでいるのです。

 

「水以外の成分」とは?

では、ワインの「水以外の成分」とはどのようなものでしょうか?

ワインは90%近く水分でできていますが、水以外の成分にはアルコール、色素成分、タンニン、果実成分、酸、糖分などが含まれます。

 

この水以外の成分の比率は少ないもので10%程度、多いものになると15%以上含まれるでしょう。

赤ワインであれば水以外の成分が多くなると色は濃くなるし、アルコールもしっかりしているし、渋みも強く感じるはずです。

ただし白ワインは少し難しいですね。アルコールと果実感、酸は強く感じるはずですが、赤ワインほどは分かりやすくはないかもしれません。

 

水を飲むときは感じないようなこれらの成分からくる渋味、アルコール、果実感などの味わい。

これがどっしり感をもたらしますし、飲んでいて飲みごたえがあるし、歯ごたえすら感じる。これが「フルボディ」なのです。

 

フルボディのワインになるには?

では、具体的にフルボディのワインになるにはどのように造る必要があるのでしょうか?

水以外の成分が多いということは、少なくとも比率的に水は少なくないとどうにもなりません。

水以外の成分は多いけど、水も多かったなんて言ったら比率はいくら待っても高くはならないでしょう。

 

ワインはブドウ果汁以外の成分を外部から加えることは禁止をされています(例外あり)。

そのため、水分の比率を下げるためには雨が少ない環境でないとダメということになります。

雨が多ければブドウはそのぶん水分を吸収するため、水の比率はどうしても上がってしまうからです。

 

逆に雨が少なければブドウは水分を摂取できないため、自然と水以外の成分が多くなり、結果として肉付きが良く筋肉質なブドウになりますから、これをワインは引き継ぐということになります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。何となくワインのフルボディがわかったかと思います。

ワインのフルボディは、決まった使われ方はないけど、合理的に推測をすると水以外の成分の比率によっておおむね推しはかれるということなのです。

 

先ほど雨が多いと水分が多くなり、雨が少ないと水分は低くなるといいましたが。もちろんこれだけではないですよね。

水はけのよい斜面とそうでない平地では土中の水分は違ってくるし、ブドウそのものの性質によっても変わってくるはずです。

 

ここがワインの難しさでもあって、面白さでもある、ということでしょう。

ぜひご参考ください。


 

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