ヴォルネイ　ワインとは？基礎知識と特徴、合わせる料理の解説

【最終更新日】2022年10月3日

ヴォルネイ(仏：Volnay)はフランス・ブルゴーニュ地方，コート・ドールの南側，コート・ド・ボーヌ地区に位置するワイン生産地です。

コート・ド・ボーヌ地区は白ワインの銘醸地として有名ですが，ヴォルネイで造られるワインはピノ・ノワール(仏：Pinot Noir)という黒ブドウ品種から造られる赤ワインです。

 

人口300人足らずの同村が造り出すワインは繊細，優美，しなやかさが特徴で「エレガンスの縮図」との表現がなされることがあるほどです。

一方、隣村の「ポマール」で造られるワインは，堅牢，筋肉質で力強い，と表現され，この2つの村は対極関係としてしばしば比較対象として列記されます。

ポマール同様，赤ワインの銘醸地としては，同地区にあり特級畑（グラン・クリュ）もあるコルトンが知られていますが，それに勝るとも劣らない銘酒が生み出されています。

 

【ポマールについてはこちらをご覧ください】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/pommard/”]

 

また，コート・ドール北側のコート・ド・ニュイ地区のジュヴレ・シャンベルタン，シャンボール・ミュジニー，ヴォーヌ・ロマネなどと比べると地味に捉えられがちです。

ですが，20世紀以前はブルゴーニュの赤といえばポマールとヴォルネイが2枚看板として地位を確立していた歴史があり，老舗優良生産者が今も数多く存在しています。

 

ヴォルネイ　ワインの基礎知識と特徴

総論

ヴォルネイは，ブルゴーニュ地方コート・ドールの南側，コート・ド・ボーヌ地区に位置する村の名前であり，ワイン生産地の名称です。

栽培はピノ・ノワール（仏：Pinot noir）のみで，赤ワインのみが生産されています。

35面の1級畑（プルミエ・クリュ）が存在する同村は，北をポマール村，南をムルソー村に挟まれる場所に位置します。

 

↑のように横長の長方形に近い形をした村で，栽培面積約210haはコート・ドールにおいて最も小さい部類です。

標高約220m～380mと高低差が大きく，1級畑は標高240～300m地帯を中心に広がっています。

土壌は，母岩が泥灰土，表土が粘土質と泥質が主体で，いずれもピノ・ノワールとは好相性で知られています。

 

1級畑

ヴォルネイには，特級畑（グラン・クリュ）はなく1級畑は35あります。

やはり畑によって個性があり，それがワインに反映されます。

 

1級畑名を記載します。

ピチュール・ドュシュ Pitures-Dessus

クロ・デ・デュック Clo des Ducs

ラソール Lassolle

フレミエ Fremiets

フレミエ・クロ・ド・ラ・ルジョット Fremiets-Clos de la Rougeotte

クロ・ド・ラ・ルジョット Clos de la Rougeotte

レ・ザングル Les Angles

レ・ブイヤール Les Brouillards

レ・ミタン Les Mitans

クロ・ド・ラ・バール Clos de la Barre

クロ・ド・ラ・カーヴ・デ・デュック Clos de la Cave des Ducs

クロ・デュ・シャトー・デ・デュック Clos du Chateau des Ducs

ブス・ドールBousse d’Or

クロ・ド・ラ・シャペル Clos de la Chapelle

クロ・ド・ローディニャック Clos de l’Audignac

クロ・デュ・ヴェルスイユ Clos du Verseuil

キャレル・スー・ラ・シャペル Carelle sous la Chapelle

ラ・ジゴット La Gigotte

タイユ・ピエ Taille Pieds

アン・シャンパン En Champans*¹

ル・ロンスレ Le Ronceret

クロ・デ・シェーヌ Clos des Chenes

レ・カイユレ Les Cailleret

レ・カイユレ・クロ・デ・ソワソント・ウーヴレ Les Cailleret-Clos des 60 Ouvrees

アン・シュヴレ En Chevret

レ・リュレ Les lurets

ロバルデル Robardelle

ル・ヴィラージュ Le village

サントノ Santonots

ショーナン Chanlin

ポワント・ダングレ Pointes d’Angles

アン・ロルモー En l’Ormeau

キャレレス・デスー Carelles Dessous

レ・ザウシー Les Aussy

カイユレ・ドュシュ Cailleret Dessus

 

中でも，「レ・ザングル」「クロ・ド・ラ・バール」「クロドラ・ブース・ドール」「アン・シャンパン」「クロ・デ・シェーヌ」「レ・カイユレ」「「サントノ」が特に品質が高いことで有名です。

また「サントノ」は場所的にはムルソー村に位置しますが， AOC規定上赤ワインはヴォルネイ，白ワインはムルソーを名乗ります。

これは，土壌がヴォルネイとつながっているためです。

 

ワインの特徴

ヴォルネィを名乗ることのできるワインはAOCの規定により，ピノ・ノワール(仏：PinotNoir)という黒ブドウ品種から作られる赤ワインのみとなっています。

最低アルコール度数は，1級格が11.0％，村名格が10.5％です。

収量は，1級格：村名格が概ね1:1の割合になっています。

石灰岩が主体の土壌が生み出すヴォルネイのワインは，ブルゴーニュの中でも繊細で優美，しなやさが際立ったものになっています。

 

優良な生産者の造るワインからは「フィネス(finesse)」を感じることもあるでしょう。

非常に芳香豊かで，香り高い余韻が長く続きます。

 

また，中には畑ごとの個性 (土壌の微妙な違い，標高，傾斜，斜面の向き，ミクロクリマなどのテロワール) の影響から，場所によっては力強いワインが造られることもあり，その性格は多彩です。

 

外観・香り・味わい

ヴォルネイはよく，エレガントなワインとして，コート・ド・ニュイ地区のシャンボール・ミュジニーと並べられることがあります。

同じエレガント系であってもシャンボール・ミュジニーが赤系果実，花を感じさせるのに対し，ヴォルネイは黒系果実や土のニュアンスといった，野性味を感じさせます。

外観はピノ・ノワールらしく，色調は鮮やかなルビー色です。

濃淡は明るく，グラスを除くとステムやテーブル・クロスが透けて見えます。

 

香りはフレッシュさを感じさせるブルーベリーやカシスを始めとした黒系果実，菫や赤から濃い色調の薔薇といった花，黒コショウなどのスパイスも若干感じます。

熟成したものは，プルーンのようなドライ・フルーツ，ジビエのような獣臭，動物の皮，ジャーキー，茸，土っぽさを連想させる香りが鼻腔を満たします。

味わいは，第一印象（アタック）は中程度。

円やかな甘味，黒いベリー系果実を連想させる酸味に，きめの細かいタンニン(渋み)が調和します。

香りで「予感」していた様々な要素が，口中で「現実」として心地よく広がるようです。

 

のど越しはしばしば「シルク(絹)のよう」とも形容され，するすると体内に流れていく感覚を覚えます。

1級畑の中でも特に最上のもの，また優良生産者による作品はそのポテンシャルを発揮するのに長い熟成期間(長いもので15年以上)が必要であるとされています。

特に適切に熟成したものは「エレガント」という言葉が幸福感と共に脳内を満たしてくれることでしょう。

 

主な生産者

ヴォルネイの代表的な生産者を以下に挙げます。

 

ドメーヌ・マルキ・ダンジェルヴィル

Domaine Marquis d’Angerville

1507年創業の名門。悪徳ネゴシアンによって出自や品質を偽られたワインが横行していた20世紀初期。

そんな中，1929年にアルマン・ルソー，アンリ・グージュと共に，「本物である」ワインを守ろうと組織を結成。

ブルゴーニュで最も早くドメーヌ元詰めを実現した生産者です。

今でこそよく目にする，エチケット（ラベルのこと）への表記“Misen Bouteille au domaine（ドメーヌで瓶詰め）”には，そんな彼らの誇りが込められているように感じます。

ワインはエレガントで複雑，引き締まっているが厳しくはない，育ちの良さを感じさせる，そんな印象です。

 

ドメーヌ・ド・ラ・プスドール

Domaine de la Pousse d’Or

18ha所有する畑の全てが特級畑，または1級畑です。

深いルビー色，黒系果実主体の複雑なアロマが魅力的な生産者です。

 

ドメーヌ・モンティーユ

Domaine Montille

18世紀から続く，名門ドメーヌの1つ。ワインは複雑なアロマを放ち，味わいは軽やかで飲み疲れしません。

 

アルノー・アント

Arnaud Ente

ムルソーに居を構える優良生産者。燻製のニュアンス，濃厚なハーブの香りで，野性味を感じさせます。

ヴォルネイの中では力強いワインを造ります。

 

ドメーヌ・ジャン・マルク・ボワイヨ

Domaine Jean-Marc Boillot

ポマール，ヴォルネイ，ピュリニー・モンラッシェを所有しています。

赤・白共にリッチな酒質が持ち味です。

 

マリアージュ

ヴォルネイは繊細さ，エレガントさを特徴とするワインです。

それに加えて若いものにはスパイシーさ，熟成したものには良い意味での枯れ感やジビエ感が出てきます。

これらを踏まえヴォルネイもやはり，素材の香りや味わいを生かした料理が互いを引き立て合うことになります。

牛や鶏などの赤ワイン煮込み（ブッフ・ブルギニョンやコック・オー・ヴァン，ウフ・アン・ムーレット）を始めとしたブルゴーニュ地方の伝統的郷土料理は鉄板です。

 

家庭料理であれば例えば塩と胡椒でシンプルに味付けしたロールキャベツ，「強め」のヴォルネィであればソースではなく塩で味付けするとんかつなどは，抜群の好相性でもってあなたの口中を満たしてくれることでしょう。

 

【マリアージュについてはこちらをご覧ください】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/mariage/”]

 

お勧めヴォルネイ

ラ・プス・ドール ヴォルネイ プルミエ・クリュ レ・カイユレ

プースドールはヴォルネイの伝統的な生産者で、昔ながらのエレガントで洗練されたヴォルネイを造っています。

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アルノー アント ヴォルネイ プルミエ クリュ サントノ デュ ミリュ

アルノーアントはヴォルネイで最も高い評価を受ける生産者の一つです。

デリケートな樽の風味と果実感、うっとりするような酒質を楽しめます。

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