多岐選択式の特徴とポイント|ソムリエ・ワインエキスパート試験練習問題

【最終更新日】2024年7月30日

資格試験において、四肢択一と多岐選択式の難易度にはいくつかの違いがあります。

四肢択一は、1つの問題に対して4つの選択肢が与えられ、その中から正しいものを1つ選ぶ形式です。

この形式では、選択肢が少ないため、運や勘で正答できる可能性が高く、相対的に簡単とされることが多いです。

 

一方、多岐選択式は、1つの問題に対して5つ以上の選択肢があり、正しいものを1つ選ぶか、または複数の正しい選択肢を選ぶ必要があります。

この形式では、選択肢が増えるため、運や勘で正答する確率が低くなり、より深い知識や理解が求められます。

さらに、多岐選択式では、複数の選択肢を選ぶ場合、部分的な正答が認められないことも多く、全ての正解を見つける必要があるため、難易度が高くなる傾向があります。

これらの違いにより、多岐選択式は四肢択一よりも高い難易度とされることが多いです。

 

今回は、ソムリエ・ワインエキスパート試験の一次試験のうち、特に難易度が高いとされる多岐選択式について、日本の甲州ブドウの練習問題を例にとって解説します。

 

*この記事は、WBSワインブックススクールの代表前場が、インスタグラムに毎日投稿するソムリエ・ワインエキスパート試験のお役立ち情報を抜粋し、スタッフが記事にしています。

【過去の記事はこちら】

 

多岐選択式の難易度とは?

四肢択一と多岐選択式の難易度の違い

【練習問題】甲州ブドウに関係の深い品種を次のなかから2つ選んでください。

①Vitis vinifera

②Vitis labrusca

③Vitis coignetiae

④Vitis davidii

⑤Vitis amurensis

⑥Vitis thunbergii

 

 

2023年度試験からソムリエ・ワインエキスパート試験は一次試験に大きく変更がありました。

これまでの四肢択一のみの構成であった試験が多岐選択式や記述式が導入されたのです。

もちろん一次試験開始後すぐに話題になり、受験生の間に緊張が走ったことを覚えています。

 

四肢択一の場合、極端な話、「明らかに違うな」という肢があればそれを省いていけばあてずっぽうでも正解率はあがり、正解がわからなくても正解率は3分の1から2分の1になります。

これでは受験生に「記憶の質は低くても何とかなる」という印象を持たれてしまい、最悪、試験がなめられます。

実際に5年ほど前までは書き込みに試験の質を揶揄する声もあり試験の権威性を検討して難化させているのかもしれません。

 

多岐選択式では四肢択一のようにうる覚えでは対応できません。

感覚的には3倍は高い記憶の質が求められるでしょう。

 

 

↓正解はインスタ投稿の下↓

 

【正解】①Vitis vinifera ④Vitis davidii

甲州ブドウのルーツは長年教本では2つの説があり、雨宮勘解由説と行基説の二つが定番でした。

これまで甲州種がヴィティスヴィニフェラ(亜種)であることは分かっていたのですが、これが最大のミステリーだったのです。

 

ヴィニフェラ種はヨーロッパ系品種なのですが、日本固有の品種がなぜヴィニフェラ種なのかが紐づかず、説明がつかなかったのです。

おそらくこれが伝説の域を出ない説を長年とり続けてきた理由でしょう。

 

2015年に酒類総合研究所の後藤奈美先生のチームが解明し、ヴィニフェラが71.5%、その次がアジア系品種のダヴィディが最も多いという結論を出したのです。

 

 

多岐選択式の難易度設定

多岐選択式の出題形式は、主に二つあり、

個数を固定する「この中から2つ選んでください」のケースと

個数を固定しない「正しいものをすべて選んでください」のケースです。

 

もちろん難易度が高いのは圧倒的に後者で、

こうなると半端な知識では一切対応ができません。

ぼくは問題作成をする立場でもありますので、現在ソムリエ・ワインエキスパート試験は過渡期で、運営側が難易度設定に苦慮していることが痛いほどわかります。

 

僕も経験していますが問題作成の際の難易度の設定は難しいです。

「これ位はいけるだろう」と思った問題が全然正解できなかったり、逆に「これは難しいかな」と思った問題の正解率が高いなどのことも多いです。

 

受験生の質や対策具合などの変数も多く、普通は運営側よりも受験生の方が初動が早いので完全な予測は結論無理です。

実際の受験生の反応をみながら調整をするしか無いのかもしれません。

 

受験生の側から見た多岐選択式

資格試験の多岐選択式と四肢択一に対する受験生の取り組みは、心理面を含めて異なるアプローチが求められます。

四肢択一の形式と多岐選択式の取り組みの違いを比較してみましょう。

 

四肢択一

四肢択一は、1つの問題に対して4つの選択肢から正解を1つ選ぶ形式です。

受験生にとって、比較的取り組みやすい形式とされています。この形式では、選択肢が少ないため、特定の知識が不完全でも推測や勘を使って答えを導き出すことができる場合があります。

受験生は、以下のような心理的なアプローチを取ることが多いです。

 

1. 安心感:

選択肢が4つしかないため、試験全体に対するプレッシャーがやや軽減されます。

2. 戦略的推測:

分からない問題でも、明らかに間違っている選択肢を除外することで、正解の可能性を高めることができます。

3. 時間管理:

四肢択一では、比較的短時間で問題を解けるため、試験全体の時間配分をしやすいです。

 

多岐選択式

多岐選択式は、1つの問題に対して5つ以上の選択肢が与えられ、その中から1つまたは複数の正しい選択肢を選ぶ形式です。

受験生にとって、より難易度が高く感じられることが多く、深い理解と広範な知識が求められます。

多岐選択式では、以下のような心理的な挑戦が伴います。

 

1. プレッシャーの増大:

選択肢が増えることで、正解を見つける難易度が上がり、受験生はプレッシャーを感じやすくなります。

2. 慎重な検討:

複数の正解が存在する場合、部分的な正答では得点にならないことが多いため、すべての選択肢を慎重に検討する必要があります。

3. 時間管理の難しさ:

多岐選択式は、1つの問題に対する検討時間が長くなる傾向があるため、試験全体の時間配分が難しくなります。

4. 精神的な疲労:

多くの選択肢を吟味し、正確な判断を下す作業は精神的に疲労しやすく、集中力の維持が課題となります。

 

それぞれの対策

これらの違いに対する対策として、受験生はそれぞれの形式に応じた準備が必要です。

四肢択一では、広範な知識をカバーすることが重要であり、過去問を解いて出題パターンに慣れることが有効です。

一方、多岐選択式では、より深い理解が求められるため、教科書や参考書を丁寧に読み込み、重要な概念や原理をしっかりと把握することが必要です。

 

心理的な準備

心理的な面でも、四肢択一が多い試験ではリラックスして試験に臨むためのメンタルマネジメントが大切です。

一方の多岐選択式では、プレッシャーに耐え、冷静に問題を解くためのストレス管理が重要となります。

試験前の十分な休息やリラクゼーション、適切な時間配分の練習などが有効です。

これらの取り組みを通じて、受験生はそれぞれの形式に対して適切に対策し、試験本番でベストなパフォーマンスを発揮することが可能となります。

 

ソムリエ・ワインエキスパート試験では、今のところ多岐選択式は出題も多くはなく、メインは四肢択一となっています。

これは受験生の難易度をみて、適切な問題数を設定をしている段階なのでしょう。

現在は多岐選択式は少なくても、いつ問題数が増えるかはわかりません。

今後ともこの試験はより高い記憶の質が求められ、定番の問題には四肢択一とともに多岐選択式も増加すると予測をします。


 

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