南アフリカワイン「基本のブドウ品種」

【最終更新日】2024年8月1日

みなさんこんにちは。わいんとくすりです。

南アフリカワインについて掲載をさせていただいています。

今回の記事では、南アフリカワインにおける「ブドウ品種」をお話していこうと思います。

 

早速ですが、皆さんは南アフリカのブドウ品種と聞いて、何が思い浮かびますか?

一般的に南アフリカはニューワールドに位置づけられます。ニューワルドでのブドウ品種といえば、白用品種としてシャルドネやソービニヨン・ブラン、赤用品種はピノ・ノワールやカベルネ・ソービニヨンといった国際品種と呼ばれるブドウの栽培が主になります。

 

もちろん、南アフリカでもこれらのブドウの栽培は盛んに行われています。一方で、他のニューワールドでは見かけない個性的なブドウ品種も生産量の上位に食い込んでいるのが特徴です。

この記事では南アフリカワインのブドウ品種の全体をざっくりととらえた上で、特徴的なブドウ品種については深堀をしてみていきたいと思います。

 

ワイン関連の記事ですので、少し自己紹介をしておきますね。

私は2023年にワインブックススクール:WBSで学習し、ワインエキスパートを取得させていただきました。その後もワインの学習を継続しつつ、この記事を書かせていただいております。

 

お詳しい方々も多い中、釈迦に説法となる点も多々あるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。それでは、さっそく見ていきましょう。

 

南アフリカワイン「基本のブドウ品種」

品種の全体像

南アフリカワインといえば、なんとなく白ワインが多いイメージがありませんか?私はシュナン・ブランのイメージが強く、白ワインのイメージでした。

学習すれば出てくるピノタージュという品種、普段のワインライフでは意識しないと、なかなか出会うことはない品種だと思います。

 

では、実際のところはどうなのか?2023年ソムリエ・ワインエキスパート教本をみてみました。

教本に記載のある生産量をみてみると、白ブドウは1位シュナン・ブラン、2位コロンバール、3位ソーヴィニヨン・ブランと続きます。黒ブドウでは、1位カベルネ・ソービニヨン、2位シラー/シラーズ、3位ピノタージュとなっています。

白ブドウの生産が55%で、黒ブドウが45%をとなります。

 

やっぱり、白優勢か!と思ったのですが、20年前までは白系品種が80%を占めていたようです。

ニーズの変化も伴い、徐々に赤系品種へシフトされたようですが、近年は白系へ再び回帰する動きがみられています。

 

それでは、白・赤の特徴的な品種をみていきましょう。

 

ブドウ品種各論

白ワイン用品種

全体を通しての生産量はNo.1!シュナン・ブラン。やはり南アフリカといえはシュナン・ブランですよね。

1655年にヤン・ファン・リーベックによってケープにもたらされたブドウ品種の一つと考えられています(その後のナントの勅令廃止時にユグノー派の人々が持ち込んだとの説もあります)。南アフリカではスティーンとも呼ばれ、親しまれてきました。

 

シュナンブランはフランスロワール地方で有名な品種でもありますが、南アフリカの栽培面積はロワール地方の2倍を誇り、その広さは世界一となっています。

カリンやモモなどのストーンフルーツの香りが特徴ですが、温暖な地域ではパイナップルやマンゴーの印象も出てきます。

 

ワインのスタイルとしては、ステンレスタンク発酵後に瓶熟成を経てフレッシュに仕上げるもののほか、樽熟成を行ったりと様々なスタイルがあります。

スティルワインに限らず、スパークリングワインやブランデー用としても栽培がされています。

 

白ブドウ2位のコロンバールです。

生産量の多いコロンバールですが、単体で作られたワインを私は飲んだことがありません。探せば見つかるのかな・・・?

ブレンドではもちろん用いられているのですが、コロンバールは主にブランデー用として栽培されているようです。

フランスのユニ・ブランと同じですね。コニャック・アルマニャックに使われるので、生産上位になっていましたよね。

 

赤ワイン用品種

赤系品種ではなんといってもピノタージュが代表的な品種です。

1925年にステレンボッシュ大学のアブラハム・ペロード博士がピノ・ノワールとサンソーを交配し、誕生した品種です。

ここだけ聞くとペロード博士凄い!なのですが、実は誕生に際してこんな話もあります。

 

ペロード博士は大学の実験農場内にピノ・ノワールとサンソーの交配種を植えました。ところが、その存在を忘れ、KWVと一緒に仕事をするため、大学を辞めたそうです。

その後、大学がペロード博士がいた庭の整理を行なっていたところ、チャーリー・ニーハウス氏がペロード教授が造った樹を見つけました。

 

チャーリー氏は樹をエルセンバーグ農業大学に移動させ、その後、CJセロン氏がその樹を管理するようになりました。

CJセロン氏は接木を行い、それらをペロード教授に見せたのです。そして、その中で最も上手く出来た樹を選び、ピノタージュと名付けました。。

ペロード博士、なんといううっかりさん(笑)そして、チャーリー氏、CJセロン氏Good  Job!

ここでもし、誰も何も気にせず伐採してしまっていたら、もしかしたらピノタージュは存在しなかったのかもしれません。

 

そんなお話のあるピノタージュですが、高温や乾燥、病害に強いという特徴があります。また、樹勢が強いため、栽培も容易です。

ただし、収穫前に暑すぎた場合は除光液のような香り(酢酸エチル)が増加するため、注意が必要になります。

 

名前の由来はピノ・ノワール(Pinot Noir)とサンソーの別名エルミタージュ(Hermitage)を合わせてピノタージュ(Pinotage)となったようです。

主な産地は西ケープ州のコースタル・リージョン(沿岸地域)です。広く栽培はされていますが、主な産地はステレンボッシュとスワートランド。

比較的低価格帯のワインも多い品種ですが、1000円台から普通に美味しいものも多く、デイリーワインとして、とても優秀な品種だと思います。

 

ブレンドについて

単一品種で作られるワインも多い中、もちろん複数品種をブレンドして作られるワインもあります。

赤ワインでは、カベルネ・ソービニヨンやメルロー主体を「ボルドーブレンド:Bordeaux Blend」、シラー主体にムールヴェードルやグルナッシュをブレンドした「ローヌブレンド:Rhone Blend」があります。

白ワインではソーヴィニヨン・ブランとセミヨンの「ボルドーブレンド:Bordeaux Blend」が生産されています。

 

ブレンドをみると、いかにフランスがお手本として地位を確立しているのかがわかりますね。このブレンドが出てくるあたりが、ニューワルド感じを受けますね。

他のブレンドとして、南アフリカ特有の赤ワインではピノタージュ、白ワインではシュナン・ブランを主体としたワインを生産者の間では「ケープブレンド:Cape Blend」と呼んでいるそうです。

 

まとめ

いかがでしたか?

今回は南アフリカのブドウ品種について記載してみました。

 

まとめてみますと、

南アフリカでも国際品種のソーヴィニヨン・ブランやカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなどの生産が多くなっています。

赤白系の代表品種を選ぶとするなら、白系品種のシュナン・ブラン、赤系品種はピノ・ノワールとサンソーを交配したピノタージュがまずは押さえておくべき品種だと思います(完全に個人の主観です)。

 

シュナン・ブランはロワールでも作られているので、飲む機会はまだあるかと思いますが、ピノタージュは意識しないとなかなか出会う機会は少ないブドウ品種だと思います。

ペロード博士のうっかりなお話を肴にピノタージュを飲んでみるのはいかがでしょうか?

 

ここまでご一読いただきありがとうございました。


 

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