【最終更新日】2022年9月28日
バローロ(Barolo)はネッビオーロという黒ブドウから造られる赤ワインで、イタリアで最も偉大なワインの1つと言われています。
イタリア半島の西側の付け根にあるピエモンテ州のクーネオ県で生産され、タールとバラの香りを持ち、熟成すると錆びた赤い色合いを帯びてきます。
法定熟成期間は収穫年の11月1日から少なくとも38ヶ月(うち木樽で18ヶ月)で、リゼルヴァと表記するには62ヶ月間もかかります。
1980年にイタリアのワイン法で最も厳しい最高ランクの格付けであるD.O.C.G(統制保証原産地呼称)に格付けされた最初のワインの1つで、「王のワイン、ワインの王」と称えられています。
バローロ ワインの基礎知識
ネッビオーロ種の語源
バローロのブドウ品種はネッビオーロ種で、ピエモンテ州では主にバローロ、バルバレスコ、ロエロ、ガッティナーラ、ゲンメなどで主要なブドウ品種として用いられています。
語源としては二つの対立する意見があります。
一つ目は霧の意味であるネッビアが語源であるとする説です。
晩熟型のブドウで収穫は10月中旬から下旬まで待たないといけないとされていて、この時期になると気温は下がり、深く濃い霧が立ち込めるようになります。
この霧の様子からイタリア語の霧の意味のネッビア(Nebbia)が語源ではないかとする説があります。
もう一つがイタリア語の「高貴な」の意味のノビーレ(nobile)でないかとする説があります。
実際にネッビオーロはピエモンテ州ではもちろん、世界のワインファンから高貴品種と認められていますので、これも有力な説になっています。
とはいえ・・・どちらにしても仮説の域を出ませんし、決め手となる根拠はありません。ほかにも説はありそうですので、このような場合はお好みの説でいいでしょう。
【ネッビオーロについてはこちらをご覧ください】
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かつては甘口ワインだった?
現在でこそバローロはフルボディで渋味のしっかりした辛口のワインですが、かつてバローロは甘口ワインだったとされています。
これは、ネッビオーロ種が10月下旬に収穫され、11、12月はピエモンテ州では発酵が止まるほど気温が下がる為、ワインに糖分が多く残るからでした。
19世紀半ばにカミッロ・ベンソ伯爵がフランスのワイン醸造学者、ルイ・ウダールを招聘し、その監修の下、長期熟成スタイルの辛口ワインを生産し始めます。
すぐにトリノの貴族、サヴォイア家の間で人気となり、「王のワイン、ワインの王」と呼ばれるようになりました。
20世紀後半の1970、80年代になると、世界的に若年層向けのフルーティーで、渋み(タンニン成分)の少ないワインが好まれるようになります。
そこで、バローロの生産者の一部が最新技術を導入して生産工程を短くし、長期熟成ではなく早くから楽しめるワインを生産し始めました。
早飲みスタイルのモダン派と、長期熟成スタイルの伝統派で軋轢が生まれ、それはバローロ戦争と呼ばれる程でしたが、現在ではお互いの技術をミックスし偉大なワインを造り続けています。
気候と地域
バローロはピエモンテ州の中でも比較的冷涼で高地であり、ネッビオーロの収穫は通常10月上旬から中旬に行われます。
丘陵帯の間に位置しており、気候、土壌、標高も多様で、生産地域によりスタイルの違いが見られます。
バローロの村は以下の5村です。
・Barolo
・Castiglione Falletto
・La Morra
・Montforte d’Alba
・Serralunga d’Alba
東側のモンフォルテ・ダルバ、セッラルンガ・ダルバの土壌は砂、石灰岩、鉄、リン、カリウムが多く含まれており、ワインは熟成に多くの時間を必要とし、12〜15年程度飲み頃までかかります。
西側のバローロ、ラ・モッラでは粘土、マンガン、酸化マグネシウムを含む土壌で、香り豊かでフルーティー、ビロードのように滑らかなワインを生産しています。
東側に比べタンニンが少なく、8〜10年と短い熟成期間で飲み頃を迎えます。
種類の異なる土壌の間に位置するカスティリオーネ・ファッレットではバローロの優雅な香りとセッラルンガ・ダルバの力強さを持つワインとなります。
熟すのが遅いネッビオーロを使う為、地球温暖化はバローロにとっては良い影響をもたらしています。
夏に上昇し、穏やかになる秋への気温の流れは糖度を上げ、豊かなタンニンを生み出します。
生産管理、技術の発展と共にここ20年、バローロの名声を保ち続けています。
バローロの味わい
しっかりとしたタンニンと酸味を持つ豊かで濃縮されたワインという傾向のバローロは、若い頃はルビー、ガーネット色をしていますが、年が経つにつれレンガ、オレンジ色に変化していきます。
タールとバラの香りが一般的ですが、チョコレート、ドライフルーツ、梅、イチゴ、皮革、タバコ、白トリュフ、ハーブなどの香りもあります。
タンニンの渋みが印象的で特徴ではありますが、中には強く感じるものもあります。
ピエモンテ州ではバローロを使ってバローロ・キナートと呼ばれる食後酒も造られています。
南米産のキナノキの樹皮とシナモン、コリアンダー、ミント、バニラなど、様々なスパイスを使って作られ、味わいは香り豊かで滑らかです。
飲み方とマリアージュ
バローロは若いうちは渋みも酸味も強く、長期熟成型のワインの典型例とされています。
近年では消費者の幅広いニーズにこたえようと、若いうちでも飲みやすく、かつ熟成にも耐えられるバローロも増えましたが、それでも世界で見ても長期熟成型のワインであるといえます。
一般的にはできれば10年は待ってから飲みたいワインで、30年程度の熟成には軽く耐えられるワインになっています。
赤ワインとしては高めの20℃くらいに設定し、大ぶりのグラスで、気分を盛り上げていただきたいワインです。
豊かで力強いタンニンを含むバローロはしっかりとした味わいの食事とよく合います。
蒸し野菜のようなタンパク質の少ない料理や軽めのお料理だとバローロが勝り、渋みを強く感じてしまうかもしれません。
そのため、できればお肉料理であれば肉質をよく感じる赤身肉やジビエ、あるいは風味の強い食材が合わせやすいでしょう。
ピエモンテ州では赤身肉の肉料理やクリームやチーズを使ったパスタ、リゾットと供されます。
また、特産品としてアルバ産の白トリュフがあり、世界に誇る食材としてフランスのシェフにも高い知名度を誇ります。
これらのお料理にはバローロのタンニンがタンパク質の強い味をまろやかにしてくれるので、とてもよく合うでしょう。
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