【最終更新日】2022年11月8日
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Amarone della Valpolicella)はイタリアの原産地呼称であるDOCGに格付けされた赤ワインで、単に“アマローネ“と呼ばれる事が多いです。
陰干しして乾燥させたコルヴィーナ(Corvina)というブドウ品種を主として造られる、古くは王侯貴族しか口に出来なかったと言われるワインです。
ヴァルポリチェッラはイタリア共和国北東部のヴェネト州のヴェローナ地区にあり、アマローネという名前はイタリア語で“苦味“を意味します。
同じ地域ではレチョート(Recioto)と呼ばれる甘口ワインも生産されています。
アマローネの基礎知識
歴史・起源
ヴァルポリチェッラは古くからワイン造りで有名で、アマローネが発見されるまでは甘口ワインのレチョートで知られていました。
1936年、ワインセラーの片隅に、糖分が全てアルコール発酵し、とても飲めないであろう、レチョートの樽が見つかりました。
恐る恐る飲んでみると、確かに辛口に変化はしていましたが、大変美味しかったのです。
この瞬間にアマローネは誕生し、早速生産が始まりました。
アマローネの名を冠したボトルは1939年からですが、定期的に生産されるのは1953年より始まりました。
1980〜1990年代には世界のワイン市場で人気が高騰し、生産量も3倍以上に上りました。
2000年代には各国のワインメーカーがこぞって投資をし始め、評価は上がり続けています。
1990年にはDOC、2010年にDOCG認定を受け、名実共にイタリアにおける最高品質のワインとなりました。
土壌
ヴァルポリチェッラ地域は穏やかで涼しい大陸性気候で、西にガルダ湖、南東にアドリア海があり、その影響を受けています。
砂利や火山性土壌など様々ですが、好立地とされるブドウ畑はレッシーニ山の麓の標高150〜460メートルの地域です。
製法
アマローネのワインはコルヴィーナ、コルヴィノーネ(Corvinone)、ロンディネッラ(Rondinella)、モリナーラ(Molinara)といったブドウ品種を主に使用します。
10月上旬に手摘みで選別しながら収穫されたブドウは、現代ではプラスチック製や木製の棚が使用されますが、伝統的には竹製の棚で乾燥させます。
イタリア語でアパッシメント(Appassimento)と呼ばれるこの作業は、糖分と風味を濃縮する為に行われ、ブドウの水分が40%以下になるまで実に120日間程度かかります。
1月末にアパッシメントが終わるとブドウは粉砕され、低温で30〜50日間かけて発酵させます。その後、木樽で最低でも2年間熟成させ、リゼルヴァと名乗る為には4年間もかかります。
アマローネには二つのタイプがあります。
①伝統的には自然乾燥させたブドウを木の大樽で熟成させて造るタイプ
②温度、湿度を管理して乾燥させ、新しい樽を使ってチョコレートやバニラのような熟成した香りを与えるタイプ
①の伝統的な手法で生産されたアマローネは酸味も残っており、熟成にもより時間がかかりますが、40年も持つものもあります。
一方の②のアマローネは新樽の影響もあり、早くから楽しめます。
又、アマローネに使用したブドウの搾りカスはリパッソ(Ripasso)として使われます。
リパッソは“再通過“という意味で、通常の製法で造られたヴァルポリチェッラのワインに加えられ、発酵させます。
これにより香りや色の複雑さが増し、より重たく、アルコール度数も高くなります。
ほとんどのアマローネの生産者達はセカンドワインとして、このリパッソを生産しており、アマローネに比べ価格も求めやすくなっています。
マリアージュ
アマローネはフルボディの赤ワインで、アルコール度数が15%と高いワインです。
チェリー、無花果、プラムやシナモン、チョコレートの香りがあり、若い内は酸味を強く感じますが、年が経つに連れてブラウンシュガーや糖蜜の風味が強くなります。
他のフルボディの赤ワイン同様、濃厚なソースの赤身肉のソテーや煮込み、熟成したチーズとよく合います。
しかしカベルネ・ソーヴィニヨン、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ等で造られたワインと異なり、アマローネには若い内から柔らかく、丸みがあります。
瓶詰め後数ヶ月で飲み頃が始まる為、タンニンの渋味も程よく、鴨や仔羊、雉といったジビエ料理や、トリュフを始めとするキノコ類にも非常に相性が良いです。
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