【ワインリストの作りかた】あなたのお店にあった”良いワインリストとは?”

こんにちは。ワインブックスの前場です。

僕は日本のワインジャンル最大規模のユーチューブチャンネル”ワインブックス”を運営しています。

また、WBS(ワインブックススクール)というオンラインのワインスクールを運営していますが、そこでは毎年何百人という方のソムリエ試験、ワインエキスパート試験の受験指導をしています。

 

いきなり自分のことを紹介しましたが、これはなにも実績を誇示して「だからすごいんだ」と箔をつけたいわけではありません。

「多くの人に知ってもらう」「多くの人に支持される」ことに力点を置いて活動をした結果、これらのユーチューブやワインスクールの運営に反映がされたということを知ってもらいたかったからです。

 

自分がやりたいことをやろうと思えばどうしてもまず最初に「知ってもらう」ことが大事になります。

僕の存在を知ってもらうことで、その中から「この人はどういう活動をしているんだろう」という人が現れ、そこから興味のある方はワインスクールやコンサルタントなどのビジネスとマッチングする。

存在を知ってもらえなければ、どれだけビジネスの質が高くてもそれを発揮する場面がありません。これではいつまでも宝の持ち腐れになってしまうのです。

 

多くの受験指導をしていると、当たり前ではありますが試験に合格して、その後に実務家として活躍をする方も出てきます。

ワインスクールですから、実務家として最も多いのは飲食店やワインショップになります。

転職して好きなワインに囲まれて、毎日ハッピー…となりそうですが、これでは先が思いやられます。

 

これまではお客様として、あなたはお金を支払う側で来店し、好きなワインをお金を払って飲んでいました。

しかしこれからはお金をいただく側です。ワインを仕入れてお客様に紹介し、最終的にはお客様に気に入ってもらわないといけません。

では、「仕入れる」とはどういうことでしょうか?

 

もちろんあなたの好みは反映する必要はありますが、それだけでは廃業一直線でしょう。

来店するお客様にとって最もふさわしいワインセレクトが求められますし、経営ですから当然経営の思惑からも外れてはいけません。

 

僕は立場上、多くの高級料理店を訪れますが、訪れる前に当然ワインのセレクションは確認をしますし、どういう意図でワインを選んでいるのかまでを想像してお店を決めるようにしています。

厳しく選んでいますからほとんどのお店のワインセレクションは外れがありませんが、ただし今でもたまに「お店の運営とワインセレクションが合っていない」という思いを抱くことも多いです。

 

お店の雰囲気とワインが合っていない、料理の個性とワインがちぐはぐ、お客様にワインセレクションの魅力が伝わっていない・・・

これらは一見すると「そんな間違いは普通しないよ」と思うものではありますが、ここに大きな落とし穴があるのです。

それは、あなたがこれまで積み上げた勉強や経験が、あなたのワインセレクションに知らず知らずのうちに影響を与え、結果としてバイアスのかかったワイン選びをしてしまうということなのです。

 

あなたがこれまでしてきたワインの勉強や普段飲んでいるワイン、これまでの経験は尊いものではありますが、お店であればもう少し検討が必要です。

これからは「あなたの好み」ではなくて「お客様の好み」を察知して、かつ、「お店の魅力を最大化する」ワインセレクションが求められるからです。

 

僕はワインコンサルタントとして多くのお店のワインリスト作成のお手伝いをしてきましたが、ここでは、そもそも「何がいいワインリストなのか」「どうすればいいワインリストが作れるのか」にフォーカスをしてご紹介します。

あなたがこれからソムリエやワインの情報発信者として、かなり役に立てる内容になっていますから、ぜひ最後までお読みください。

 

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【ワインリストの作りかた】あなたのお店にあった”良いワインリストとは?”

良いワインリストとは?

良いワインリストを作る前に、当たり前ですが、何が「良いワインリストなのか」を知らないと作りようがありません。

間違ったワインリストを作っているお店は、そもそもここが間違っていることが多いです。

 

では、良いワインリストとは、誰が決めるのでしょうか?

もちろんワインを仕入れるのはあなたやあなたのお店になります。だから最終的に形にするのはあなたです。

しかし、そのワインリストの評価はお客様がすることになりますから、お客様のイメージに最低限合っていないといけませんし、出来ればよい形でお客様のイメージを上回りたいものです。

 

では、お客様は良いワインリストのイメージをはっきり持っているでしょうか?答えはノーです。

あなたが新しいプロダクト見つけたとき、「これこれ、こういうのを待っていたんだよ」という思いをしたことはあるはずです。

ですがこの時に、そのプロダクトを事前に完全に予想していたかと言われればそうではありません。

 

はじめてそのプロダクトを手にして、使ってみて、そして初めてあなたの潜在的な欲求を満たすことに気づくのです。

そう、これはワインリストも全く同じで、お客様の潜在的な欲求は形になっていませんから、お客様の声なき声をお店側が察知して、イメージを具現化して初めて評価を得るということになります。

 

良いワインリストとは、「お客様のイメージを先回りしてドンピシャの形を具現化する」これに尽きるのです。

 

勘違いワインリストとは?

ワインを勉強していると、どうしても分厚いワインリストを用意して、その中から最適な一本を選んでお客様に提供する。こういうイメージをお持ちの方も多くなります。

実際に、ワインリストのミシュランと呼ばれる「世界のベストワインリスト2020」とかに選ばれるお店はほとんどがこれで、だから「良いワインリストとはこういうものだ」という固定観念をお持ちの方は案外いらっしゃるかもしれません。

 

もちろん内装も豪華でお客様にも恵まれ、ワイン通が押し寄せるお店のワインリストはこうあるべきかもしれません。

ミシュランの星付き店であればこの傾向は強くなるかもしれませんが、これでは今のあなたにとっては何の価値もないワインリストになってしまいます。

 

もしこの手のワインリストこそがいいワインリストなんだ、ということになれば、世の中のお店はどこも分厚いワインリストを抱えることになります。

分厚いワインリストを抱えれば当然大きなワインセラーが必要になります。

ですがそんな余裕があるお店はほんのごくわずかですし、僕がオーナーだったらそんな不経済なワインリストは絶対にOKを出しません。

 

ほとんどすべてのお店にとって、この手のワインリストは「勘違いワインリスト」なのです。

 

勘違いワインリストの招く悲劇

世の中にはワインリストウオッチャーという層は確実にいて、ワインリストをくまなく見てそのワインリストの評価をするのが趣味みたいな人はいるところにはいます。

そういう人はブログやSNSなどでも発信を多くしていますから、一見すると正論を言っているようにも思えます。

ワインを楽しむ素地があるくらいですからビジネスでも成功しているのでしょう。でも参考にしてもなんのメリットもありません。

 

分厚い勘違いワインリストに引き寄せられる人の記事やツイートをよく見てみましょう。

おそらく「シャトー○○の何年物のワインが数年前の価格から変わらずに値付けがされている、なんて良心的なんだ」こういうことを言っているかもしれません。

あなたが勘違いワインリストを作成すると、この手のワイン通を引き寄せることになりますが、ではその人たちがいいお客様なのかと言われればそうではありません。

それらのお客様は流通価格を熟知していますから価格にシビアなのです。価格にシビアなお客に鍛えられてもあなたのお店はシビアに成長することになります。

 

僕だったらシビアに鍛え上げられるよりは、お客様もハッピーで、かつ、お店もハッピーな鍛えられ方をしたいです。

 

ワインとお客様の接点

では、あなたのお店にお客様が来店して、どのようにしてワインと接点を持つでしょうか?

当たり前ですが、いきなり来店して「ワインリスト見せて」といって隈なくワインリストを確認する、こういうお客様は稀ですし、お客の質としても決して高くないです。

ワインを価格表と思っているから値踏みされるのがオチですし、今どきこういうお客は裏では面倒な客だとお店に評価がされています。

どこのお店に行ってもいい対応はされていないはずですから、ネットで悪口を言われないようにディフェンシブに接しましょう。

 

普通はソムリエやウエイターから食前酒とか、あるいは料理の注文時に「お飲み物はどうしますか」などの口頭でのお勧めが端緒になります。

あるいはお店にあるメニューや壁書きにあるお勧めのワインを見て注文する人もいるはずです。

 

このときにワインの質や価格、品ぞろえが良ければグラスワインやボトルワインに手が伸びる、そういうフローになります。

ということは、まずは口頭にせよ掲示にせよ、ここでのワインに興味を持ってもらう、好感を持ってもらうことが大事になります。

 

この接点を間違えると大きくワインを誤解させることにもなるので注意が必要です。

 

カジュアルなお店のワインリスト

では具体的にワインリストを検討してみましょう。

客単価が5000円位までのカジュアルなお店であれば、専任のソムリエは置きにくいし、普通はアルバイトとかのウエイターが接客を担当することが多くなります。

この場合はグラスワインが主流になりますし、ボトルワインを注文されても適切にサービスができませんからお客様のニーズにこたえることができません。

 

お客様との接点にしても口頭ではおそらく魅力は伝わりづらいはずです。ですからポップや壁書きの掲示で興味を誘うようにするのがベストです。

 

専門店のワインリスト

フランス料理、イタリア料理、スペイン料理などの専門料理店が興隆ですが、それらのお店であれば普通のお客様はフランスワイン、イタリアワイン、スペインワインなどの料理に合わせたワインをイメージして来店がされます。

近年ですと別にイタリア料理店でフランスワインが出されることもありますし、いろいろなケースがありますが、ただしそれであっても大筋は料理の国に合わせてワインを選ぶのがベストでしょう。

最悪な場合、「うちの料理はイタリアンなんだけど、ワインはフランス産が最高だからワインリストの半分以上はフランス産」となるケースです。これではお客様が違和感を抱いてしまいます。

 

気をつけたいのが、近年ですと専門料理店であってもさらにそこから細分化が進んでいるということです。

イタリアでも特にトスカーナ州の料理にこだわっている、など、特にイタリア料理店で多いでしょう。

この場合に、料理の州に合わせてワインをセレクトする、というこだわりもありますが、お客様の多くはそこまでを求めていません。

完全に料理に合わせてワインをセレクトすると、逆に汎用性に欠ける可能性もありますので注意が必要です。

 

中国料理店、アジア料理店のワインリスト

近年ですと中国料理店やタイ料理店などのアジア料理店にもワインが楽しまれることがありますが、これこそまさにワイン好きの真骨頂でしょう。

ただしもっとも難しいのがこれらの料理店のワインで、ペアリングの中でも特に難易度の高いセレクションが要求されます。

 

通常、これらのアジア料理店ですとアロマティック系品種やロゼワイン、オレンジワインやペットナットなどがペアリングとしては正攻法になります。

 

和食店のワインリスト

近年は和食に合わせてワインを飲む方も多いです。

ただし和食とはいっても懐石料理もあればすき焼きもあればお寿司もありますし、それらすべてを一括りにするのはおおざっぱ過ぎます。

出来れば専門性に合わせてペアリングを提案し、積極的にワインと料理の相性を探ることが必要になってきます。

 

そのうえで、和食にワインを合わせる人は、ワインについては案外保守的なことも多いです。

美味しい日本料理に銘醸地のワインを合わせる、これが多くのスタイルではないでしょうか。

 

 


 

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