ブルゴーニュ地方のワイン①
学習のポイント
ブルゴーニュはオタク化しやすいのですが、今のところはそこまでの知識は求められていません。
例えば生産者の問題は、ブルゴーニュワイン好きであればどうしても気になるところかもしれません。
しかし、生産者の問題は資格試験では利権も絡みますのでなかなか出題しづらいのです。
ブルオタになるのは試験合格後の楽しみにとっておき、現状は全体像の把握と有名ワインの特徴をおさえ、知識の定着に徹底しましょう。
決して「ブルゴーニュワインだけはだれにも負けないけど、試験には合格できなかった」とならないようにしましょう。
*動画の冒頭、ボルドー地方との対比を説明していますが、このページの解説になりますのでご了解ください。
ブルゴーニュ地方①
🔒 ログインしてください。県名)コート ドール(Côte d’Or)、ソーヌ エ ロワール(Sâone et Loire)、ヨンヌ(Yonne)、ローヌ(Rhône)※ローヌ県はローヌ・アルプ地域圏
1)ブルゴーニュ地方について

ブルゴーニュ地方 はフランス北東部に位置しており、 ボルドー と共に二大銘醸地として名声を築きました。
ブルゴーニュ は ドメーヌ と呼ばれる小規模生産者がひしめき合っており、4000軒近い ドメーヌ が存在しています。( ネゴシアン は300軒、 協同組合 は17軒)
A.O.C. は広域なものから グランクリュ 、 プルミエクリュ といった畑が格付けされるものまで階層化されています。
※ブルゴーニュはフランスで最も A.O.C. の数が多い地方です。
下記のように階層化されており、細かくなるほど格上とされています。
レジョナル (地方名)→ コミュナル ( 村名 )→ グラン クリュ ( 畑名 )
プルミエ クリュ 、 グラン クリュ は クリマ の名を冠することができます。
(ブルゴーニュ全体の生産量比率)
レジョナル 51%
コミュナル(プルミエクリュ含む)47.5%
グランクリュ 1.5%
気候 : 半大陸性気候
南北に伸びる産地のため、南部は北部に比べて温暖です。
冷涼な北部( シャブリ 、 コート ドール )は遅霜の被害を受ける可能性があります。
土壌 : 石灰岩 が母岩
※ジュラ紀に覆われていた海の影響で、海洋性生物の死骸が堆積して石灰岩ができました。
ワイン生産量(ボージョレ地区を除く)1,450,000hl(赤ロゼ29%、白60%、クレマン11%)
ブドウ栽培面積(ボージョレ地区を除く)30,052ha
ワイン生産量(ボージョレ地区)800,000hl
ブドウ栽培面積(ボージョレ地区)14,492ha
およそ3577のドメーヌ、266のネゴシアン、16の生産者協同組合があります。
【ブルゴーニュの格付け】
上から順に
特級クラス( グランクリュ )
1級クラス( プルミエクリュ )
村名クラス( ヴィラージュクラス )
ブルゴーニュの歴史
ブルゴーニュ におけるワイン造りの発展は、 修道院 の力が大きいです。
630年、ジュヴレ・シャンベルタン村のシャンベルタン・クロ・ド・ベーズが修道会によってひらかれました。
この〝クロ〟とは石垣で囲われていた区画のことを意味します。
909年にブルゴーニュに設立された ベネディクト派 の クリュニィ会 と、1098年の シトー会 が良質な クリマ (区画)を選別し、銘醸地 ブルゴーニュ の基礎を築き上げました。

1363年に フィリップ・ル・アルディ ( フィリップ豪胆公 )がブルゴーニュ侯爵になる→
4代続くヴァロワ王家の時代に、ブルゴーニュ公国は フランドル地方 や オランダ にまで領土を伸ばし、フランス王家をしのぐ財政力や政治力を駆使して最盛期を迎えていきます。
その外交材料としてブルゴーニュワインは用いられ、質を求めた フィリップ豪胆公 は、1395年にブルゴーニュに ガメイ を栽培することを禁じました。
コートドール での ガメイ の質は凡庸だったからです。
※ボージョレはブルゴーニュ公国の支配下ではなく、フランス王権の支配下でした。
1477年にブルゴーニュ公国はフランス王国に併合されますが、質の高いブルゴーニュワインは宮廷に浸透していきます。
修道院の力が衰退していくと、畑は コンティ公 などの有力な貴族の手に渡っていきます。

1789年 の フランス革命 により多くの畑が国有化してから富裕層に売却されることになりました。
ブルゴーニュの畑はナポレオン法典で明文化されていた均等相続と売却の繰り返しにより、細分化されていきます。
1935年 には A.O.C. が制定され、優良な クリマ は A.O.C. として認められました。
そしてそれらの クリマ は2015年にユネスコの世界遺産に登録されました。
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ブルゴーニュの経済や文化

ブルゴーニュ地域圏(コート ドール県、ソーヌ エ ロワール県、ヨンヌ県、ニエーヴル県)では、ワインは輸出産品として非常に重要です。
ブルゴーニュワインは半量程が輸出に回されており、 フランスワイン産地の中で最も輸出の割合が高いです。
ブドウ品種
ボルドーは多品種を ブレンド する傾向に対して、ブルゴーニュは基本的に単一品種を使用してワインを造ります。
ブルゴーニュ で栽培されている品種はどれも発芽が早く、熟すのも早めです。
シャルドネ (Chardonnay): ブルゴーニュ で広く栽培されている 白ブドウ品種 です。
アリゴテ (Aligoté): 村名 では ブーズロン で唯一認められている 白ブドウ品種 です。
ピノ ノワール (Pinot Noir) ブルゴーニュ で重要な 黒ブドウ品種 です。
ガメイ (Gamay):多産で、多くの実を収穫することができる 黒ブドウ品種 です。
花崗岩質土壌であるボージョレ地区で主に栽培されています。
正式名称:ガメイ ノワール ア ジュ ブラン(果汁が白いため)
【 タンテュリエ という 果汁 が黒いガメイもありますが、このガメイは 果汁 が白です】
※ピノノワール、シャルドネは粘土石灰質土壌に適しています。
ガメイは花崗岩質を好むため、ボージョレ地区で主に栽培されています。
郷土料理やチーズ
エスカルゴ ア ラ ブルギニヨンヌ(Escargot à la Bourguignonne):ブルゴーニュ風エスカルゴの殻焼き。シャブリやマコンの白と好相性。
ジャンボン ペルシエ(Jambon Persillé):ハムとパセリのゼリー寄せ。マコンの白やボージョレと好相性。
コック オー ヴァン(Coq au Vin):鶏の赤ワイン煮。ジュヴレシャンベルタンと好相性。

ブッフ ブルギニヨン(Boeuf Bourguignon):牛肉の赤ワイン煮。コートドールの赤ワインと好相性。
ウフ アン ムーレット(Oeuf en Meurette):赤ワイン仕立てポーチドエッグ。コートドールの軽めの赤ワインと好相性。
クネル ド ブロッシェ(Quenelle de Brochet):カワカマスのクネル。プイイ フュイッセと好相性。
エポワス(Epoisses):牛乳。ウォッシュタイプのチーズ。
熟成中にマールで表面を洗います。
シャロレ(Charolais):山羊乳。シェーブルタイプのチーズ。樽の形。
マコネ(Mâconnais):山羊乳。シェーブルタイプのチーズ。丸みのある台形。
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様々な地区と主なA.O.C.
🔒 ログインしてください。ブルゴーニュ地方 には様々な地区があります。
ブルゴーニュ地方 最北の ヨンヌ県 には シャブリ地区 と グラン オーセロワ地区 が広がり、少し離れてその南東には コート ドール地区 が50kmほど縦に細長く広がっています。
そして コート ドール の南に コートシャロネーズ地区 、 マコネ地区 、 ボージョレ地区 と続きます。
ボージョレを除くブルゴーニュでは、その95%が粘土石灰質土壌です。
ボージョレはそのほとんどが花崗岩質土壌です。
*生産量や栽培面積は念のため最新の教本でも確認をしてください。
(主な広域A.O.C.)
ブルゴーニュ(Bourgogne):赤・ロゼ・白生産可能
ブルゴーニュ パストゥ グラン(Bourgogne Passe-Tout-Grains):赤・ロゼのみ生産可能。
ブルゴーニュ アリゴテ(Bourgogne Aligoté):白のみ生産可能。
クレマン ド ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)
白とロゼの泡が生産可能。
瓶内二次発酵 、9カ月以上の熟成を経る必要があります。
ブルゴーニュ ガメイ(Bourgogne Gamay)
赤のみ生産可能。2011年新設。
ボージョレの大部分はACブルゴーニュを名乗ることができなくなりましたが、クリュデュ ボージョレ内のガメイから造られたワインは、ブルゴーニュ ガメイを名乗ることができるようになりました。
コトー ブルギニヨン(Coteaux Bourguignons)
赤・ロゼ・白生産可能。2011年新設。
これまでのブルゴーニュ グラン オルディネール(Bourgogne Grand Oridinaire)から変更されました。
ブルゴーニュ ムス―(Bourgogne Mousseux)
珍しい発泡赤のAOC。
AOCブルゴーニュに加えてボジョレー地区も含まれます。
ガメイ、ピノノワール、ヨンヌ県のみセザール。
瓶内二次発酵方式で瓶内熟成は9か月以上が必要です。
広域のAOC
| BOURGOGNE全域 | Bourgogne | 赤白ロゼ | |
| BOURGOGNE全域 | Bourgogne Aligoté | 白 | |
| BOURGOGNE全域 | Bourgogne Mousseux | ||
| BOURGOGNE全域 | Bourgogne Passe-Tout-Grains | 赤・ロゼ | ピノノワール30%以上、ガメイ15%以上 |
| BOURGOGNE全域 | Côteaux Bourguignons | 赤白ロゼ | 2011/11/22 に新しく設立これまでのブルゴーニュ・グランオルディネールから変更 |
| BOURGOGNE全域 | Bourgogne Gamey | 赤 | 2011/11/22 に新しく設立 |
| BOURGOGNE全域 | Crémant de Bourgogne | 白ロゼ(発泡) |
シャブリ&グラン オーセロワ地区(Chablis & Grand Auxerrois)

ヨンヌ県に広がるワイン産地です。都市オーセール周辺に畑が広がっています。
ブルゴーニュ最北に位置しており、冷涼な気候が特徴的です。
(主な広域AOC)
ブルゴーニュ コート ドーセール(Bourgogne Côte d’Auxerre):赤・ロゼ・白生産可能。
ブルゴーニュ エピヌイユ(Bourgogne Epineuil):赤・ロゼのみ生産可能。
ブルゴーニュ トネール(Bourgogne Tonnerre):白のみ生産可能。
シャブリ地区
シャブリ の街を中心として、 スラン川 を挟むように両岸にブドウ畑が広がっています。
キンメリジャン と呼ばれる白亜質土壌が特徴的です。
シャブリ地区 からは シャルドネ を使用した 白ワイン のみが生産されています。

※ キンメリジャン :小さな牡蠣を含んだ土壌です。
ジュラ紀後期のキンメリッジ階の石灰岩と泥灰岩。
(主なAOC)
シャブリ地区 のAOCは独自の4段階の階級からできています。
①から④に向かって上級のAOCになります。
①プティ シャブリ(Petit Chablis)
ACシャブリの外側に広がる産地です。
プティ シャブリの土壌にはキンメリッジ階よりも新しいチトヌス階の石灰岩も含まれています。
②シャブリ(Chablis):スラン川両岸に広がるAOCです。
③シャブリ プルミエクリュ(Chablis Premier Cru)
スラン川の両岸に広がります。右岸の畑はグランクリュを囲むように広がっています。
シャブリ プルミエ クリュとして40クリマ(区画)が指定されています。
④シャブリ グランクリュ(Chablis Grand Cru)
スラン川の右岸に合計約100haの畑が広がります。
標高100~250mの斜面に広がり、日照に恵まれています。
シャブリ グラン クリュとして7クリマが指定されています。
(7つのシャブリ グラン クリュ)
ブーグロ(Bougros):最も西
レクロ(Les Clos):最大面積。力強く、長期熟成可能。
グルヌイユ(Grenouilles):最小面積。斜面下部のため土壌に粘土分が多い。
プルーズ(Preuses)
ヴァルミュール(Valmur)
ヴォーデジール(Vaudésir)
ブランショ(Blanchot):最も東
※ムートンヌ(Moutonne)
ヴォーデジールとプルーズにまたがる畑です。ドメーヌ ロン デパギの 単独所有畑 ( モノポール )。
シャブリグランクリュ の畑名としては認められていませんが、シトー会修道院が長く所有していた歴史から、 シャブリグランクリュ ムートンヌと表記することが認められています。
グラン オーセロワ地区
ヨンヌ川右岸、シャブリ地区の南西に広がるワイン産地です。
(主なAOC)
サンブリ(Saint-Bris)
ソーヴィニヨン ド サンブリが2003年から コミュナル に昇格。 ソーヴィニヨンブラン を使用した白ワインのみ生産可能です。
イランシー(Irancy)
ピノノワール を主体とした赤ワインのみ生産可能です。
ヴェズレイ(Vézelay)
都市オーセールからは南東に少し離れたAOC産地です。 シャルドネ を使用した白ワインのみ生産可能です。
ブルゴーニュ ヴェズレイが2017年にコミュナルに昇格。
シャブリ・ヨンヌ県のAOC
| CHABLIS | Chablis | 白 | |
| CHABLIS | Chablis Premier Cru | 白 | |
| CHABLIS | Chablis Grand Cru | 白 | |
| CHABLIS | Irancy | 赤 | PINOT NOIR |
| CHABLIS | Petit Chablis | 白 | |
| CHABLIS | VEZELAY | 白 | 2017年10月30日昇格 シャルドネ |
| CHABLIS | Saint-Bris | 白 | ソーヴィニョンブラン |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOUGOGNE COTES D’AUXERRE | 赤白ロゼ | |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOUGOGNE COULANGES LA VINUESE | 赤白ロゼ | |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOURGOGNE CHITRY | 赤白ロゼ | |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOURGOGNE COTE SAINT-JACQUES | 赤白ロゼ | |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOURGOGNE EPINEUIL | 赤ロゼ | |
| CHABLIS(YONNE県全域) | BOURGOGNE TONNERRE | 白 |
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