【最終更新日】2022年12月16日
Chateauneuf du Pape(以下シャトーヌフデュパプ)はフランス南東部にあたり、ローヌ地方 南部のワインでも最も歴史のある AOC ワイン です。
赤ワイン が主体となっており、白ワイン の生産は AOC 上あるものの全体の3%のみとなっています。
シャトーヌフデュパプはフランス語で「教皇(PAPE)の新しい館(CHATEAUNEUF)」という意味です。
14世紀に教皇ヨハネス22世がこの地に館を構え、ブドウ畑を発展させたことが由来となっています。
ワインを題材にした漫画「神の雫」で、主人公が求める特別なワインとしても登場したAOCなのでご存知の人も多いかもしれません。
「教皇の新しい館」というネーミングはなんとなく威厳がありそうで、かつ品質に期待ができそうな響きです。
また、後述する”13品種をブレンドできる”というキャッチフレーズも耳障りがよく、これらが1990年代は独り歩きしていように思います。
当サイトのユーザー様であれば笑い話になってしまうかもしれませんが、冷静に考えれば、
「13品種がブレンドすることができるからといってそれが品質に何の影響があるの?」
となるのがワインファンの心理でしょう。実際に上質なシャトーヌフデュパプは品種を数種類に絞っているのです。
シャトーヌフデュパプの品質は素晴らしいものでしたが、ワイン市場が成熟する以前はイメージが先行したきらいがあり、品質にフォーカスされていない分損をしている印象がありました。
ネゴシアン ワインも多く、早くから品質を認められた エルミタージュ や コートロティ に比べて遅咲きのワインと言えるかもしれません。
コートデュローヌ の中においては、スターワインが多く、それらの陰に隠れているかもしれません。
しかしワインそのものの品質は素晴らしく、どっしりとして飲みごたえのある赤ワインをじっくり飲みたい、というときに強くお勧めします。
価格はワインショップで6000円くらいから購入できますが、生産者によっては3万円くらいのものまで幅広いです。
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シャトーヌフデュパプ
ブドウの品種
シャトーヌフデュパプで使用できるブドウの品種は グルナッシュ から シラー 、ムールヴェードル 、サンソー など13種類にも及び、フランス のAOCでの使用ブドウ品種数は最多となります。
ただし13種類が認められていますが、実際にはすべての品種をブレンドすることは多くはありません。
数種類をブレンドしたり、グルナッシュ だけを使用したりと、生産者 によって使用するブドウ品種の割合が違うためそれぞれの個性を楽しめるワインに仕上がります。
ソムリエコンクールの出場をお考えの方は、すべて原語で覚える必要があります。
一般のワインファンであれば、すべての品種は重要ではありません。
「13品種をブレンドできるけど、おおむねグルナッシュやシラーだろう」程度で十分です。
黒ブドウ | Grenache グルナッシュ Syrah シラー Mourvedre ムールヴェードル Cinsault サンソー Muscardin ミュスカルダン Counoise クーノワーズ Vaccarese ヴァカレーズ Terret Noir テレ・ノワール の8品種 |
白ブドウ | Grenache Blanc グルナッシュ・ブラン Clairette クレレット Bourboulencブールブラン Roussanne ルーサンヌ Picpoul ピクプール Picardin ピカルダン の6品種 (グルナッシュとグルナッシュブランを1として13種類) |
シャトーヌフデュパプの土地↑は赤い粘土の上に丸い石が転がっており、荒れた土地のように見えますが水はけが良く通気性も良いため、ブドウ造りには最適の地となっています。
また、この丸い石が太陽の熱を蓄えるため、夜中もブドウは保温されることで熟成されて凝縮されたブドウに仕上がります。
↑のように記載すると、個性的でなんとなくワインにはいい土壌のような気がします。
しかし実際に土壌を見るとやや異様な光景で↓、野球ボールくらいのゴロゴロした石が土壌にびっしりと張りつめていて、そこからブドウが頑張って生えている、というイメージです。
昼間は日照量が強く、この小石が夜中に太陽の熱を放出するので、ぶどうからすれば「昼間思い切り働かされて、夜すらゆっくりさせてもらえない」と愚痴の一つでもこぼしたいところでしょう。
シャトーヌフデュパプはミネラル分が強く感じられ、これが熟成することによって獣のような 第三アロマ になるといわれています。
それもそのはず、ご覧のように石は鉄を含んでいて部分的に酸化していて赤くなっていますが、これを見れば「おまえ、そりゃ鉄っぽいワインになるよ」といいたくなります。
シャトーヌフデュパプの特徴
シャトーヌフデュパプは果実味が引き立つ、しっかりとした骨格が特徴のワインとなります。
甘味と酸味が程よいバランスを保ち、赤い果実のような タンニン が後味良く感じられます。
日照量が多く、そのため糖分が上がりやすいのでアルコールのボリューム感が強く、余韻が長く感じられます。
以前はパワフルなワインとして有名でしたが、最近はパワフルさの中にも都会的な洗練さがあるワインが多いです。
繊細かつエレガントなワインとなり、まろやかな口当たりとなっています。
生産者 によってはワインに対する考え方が違うため、同じAOCでも様々な味を楽しめるという魅力があります。
飲み方のコツ
シャトーヌフデュパプの赤は、アルコール度数がスティルワインの中では高く、かつ渋みの強いボディを感じるワインです。
そのため温度は18度程度と高めにして飲むのがベストでしょう。
温度を下げてしまうと渋みが際立ちすぎて、ワイン本来の味わいを楽しめません。
できればグラスは大ぶりなものを使い、グラスとワインのふちにあるディスクの美しさを感じたいですね。
10年以上熟成させたシャトーヌフデュパプは、それこそ熟成感の真骨頂を楽しめます。
オリがあることもありますので、できれば丁寧に デカンタージュ をして、抜栓後20分は待っていただきましょう。
相性の良い料理
フルボディの赤ワインのため肉料理と相性良く、その中でもジビエ料理や赤身肉とは格別に相性が良くなっています。
ジビエに合わせる場合は最低でも5年~10年程度熟成させたほうがより良いマリアージュになるでしょう。
シャトーヌフデュパプは長命なワインとしても有名で、10年程度は全く問題なく熟成されます。
また渋みも強く、口当たりもボリューミーなのでゴルゴンゾーラなど、癖のあるチーズとの食べ合わせも良いです。
意外とくみ合わせの良い料理としては、スパイスの効いた中華料理やすき焼きなどがあります。
赤ワインのスパイシーさとコクの深さがこれらの料理とも合わせやすいのです。
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