ソムリエ・ワインエキスパート試験は「暗記型」か「理解型」か?

【最終更新日】2024年8月30日

こんにちは。WBSの前場です。

今回は、ソムリエ・ワインエキスパート試験が「暗記型」から「理解型」へと大きく舵を切っていることについて解説します。

特に合格後の実務や上級試験、情報発信なども検討されている方はご参考になる内容になっています。

 

ソムリエ・ワインエキスパート試験は、近年の難化に伴い、単なる暗記型の試験から理解型の試験へとシフトしています。

このシフトの背景には、現代のワイン業界に求められる知識やスキルの変化があります。

 

今から5年くらい前までは、ソムリエ・ワインエキスパート試験は明らかに暗記型の試験で、だから多くのサイトでも「ソムリエ・ワインエキスパート試験は練習問題と過去問で十分」という考えの方が多かった気がします。

もちろん、試験のとらえ方については決まっているものではありませんので、暗記型か理解型かについては人それぞれです。

ですが少なくとも、他人がつくった練習問題やすでに出題がされている過去問で十分な試験なのであれば、それは明らかに暗記型でしょう。

 

この試験が仮に「暗記型」の試験であれば、ワインの産地や品種、製法などの情報をただ覚えることが重視されることになります。

しかし、ワイン市場が国際化し、多様なスタイルや製品が増加する中で、単なる知識の記憶だけでは対応しきれない状況が生まれています。

そのため肌感覚でも、ソムリエ・ワインエキスパート試験は暗記だけでなく、深い理解や応用力を求める方向へと進化しているように感じます。

 

暗記型の試験は、主に事実の羅列を覚えることが中心であり、正確な知識の伝達を重視します。

一方、理解型の試験では、ワインの特性や歴史的背景、地理的要因などを深く理解し、それをもとに応用的な判断ができる能力が求められます。

 

理解型のアプローチは、ソムリエやワインエキスパートが実際のサービスやコンサルティングにおいて、顧客のニーズに即した適切な提案を行うために不可欠です。

知識の深い理解とそれに基づく応用力を養うことで、ワインの世界におけるプロフェッショナリズムがさらに向上し、業界全体の質の向上にもつながると考えられています。

 

今回は、ソムリエ・ワインエキスパート試験がなぜ暗記型から理解型へ進んでいるのか、また、理解型に進んだ場合に、どのような学習方法をするべきなのかを解説します。

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ソムリエ・ワインエキスパート試験は「暗記型」から「理解型」に進む

暗記型と理解型の違い

暗記型の試験と理解型の試験を比較した場合、一般的に暗記で対応できる試験は理解型に比べてレベルが低いとされます。

暗記型の試験は、事実やデータ、数値、定義などをそのまま覚えることが中心であり、問題が出題されるときにその知識をそのまま再現すれば良いのが特徴です。

 

このため、暗記力さえあれば短期間で高得点を獲得することが可能であり、知識の範囲が限定されている場合には特に有効です。

しかし、こうした暗記型試験の限界は、覚えた知識が具体的な問題解決にどのように役立つかを理解していない場合が多い点にあります。

 

①黒ブドウには赤色色素が含まれている

②白ブドウには赤色色素は含まれていない

③赤ワインには赤色色素が含まれている

④赤ワインは黒ぶどうからできている

 

この場合に、①→②→③→④と覚えるのが理解型で、④しか覚えないのが暗記型です。

④は赤ワインは黒ブドウからできていることだけしかわかっていないので、「シャルドネから赤ワインはできないんですか?」という質問に答えることができません。

 

一方、理解型の試験は、①→④を理解していますので、当然

「シャルドネは白ブドウです。白ブドウには赤色色素は含まれていません。ぶどうに赤色色素が含まれているから赤ワインになるので、シャルドネからは赤ワインはできないことになります」

と答えることができます。

 

理解型の試験では、複雑な問題や予測できない状況に直面した際にも柔軟に対応できる能力が評価されるため、単なる暗記では太刀打ちできない高度なスキルが必要です。

結果として、理解型の試験に合格するためには、より深い学習が必要であり、総じてそのレベルは暗記型の試験に比べて高いと評価されるのです。

このような理由から、理解型の試験は現実の応用力を反映し、専門知識を使いこなせるかどうかの証明とされることが多いのです。

 

理解型であっても暗記は必須

ソムリエ・ワインエキスパート試験においては、理解型の試験が重視されるようになった現在でも、暗記力は依然として不可欠です。

理解型の試験では、ワインに関する知識を単に覚えるだけでなく、それを深く理解し、応用できる能力が求められます。

しかし、その前提となるのは、膨大な量の基本的な情報の暗記です。

産地や品種、製法、歴史的背景、地理的特徴など、ワインに関する基礎的なデータは非常に広範であり、これらの情報を正確に覚えていなければ、深い理解や応用が成り立たないからです。

 

例えば、特定のワインがどのような風味を持つか、どのような料理に合うかを理解し説明するためには、そのワインの産地や品種、気候条件、土壌の特徴などを暗記していることが前提となります。

これらの基礎知識がしっかりと頭に入っていなければ、応用的な質問に対応することは困難です。

また、暗記した知識を土台として、関連する情報を結びつけ、新たな状況に応用する力が理解型の試験で評価されるため、暗記力と理解力は相互に補完し合う重要な要素となります。

 

したがって、理解型のアプローチを採用するソムリエ・ワインエキスパート試験においても、暗記力は不可欠な基盤であり、これがしっかりしていることが、応用力や問題解決能力の向上につながるのです。

 

運営側は暗記型から理解型にシフトしたいと考える

ソムリエ・ワインエキスパート試験の運営側が試験を理解型にシフトしたいと考えるのは、経済合理性と試験の権威性を高めるための当然の判断でしょう。

まず、理解型の試験にシフトすることによって、試験そのものの難易度が上がり、合格者の質が向上します。

これにより、合格者が試験のブランドを高め、合格プレミアが上がるので、試験の認知度と信頼性が向上します。

この結果として、受験者数が増加し、試験の人気が高まることが期待されます。

高いレベルの試験に合格したソムリエやワインエキスパートは、業界内外で尊敬される存在となり、試験の価値もそれに伴って上昇するでしょう。

 

さらに、理解型の試験にすることで、受験者が深い知識と応用力を身につけることが求められるため、単なる短期間の暗記で合格できる試験との差別化が図れます。

これにより、試験の独自性が強調され、市場における試験のポジションがより確立されます。

 

運営側にとって、試験の権威性が高まることは、試験のブランド価値の向上を意味し、受験料収入の増加や関連する教育プログラムの需要拡大など、長期的な経済的利益にもつながるでしょう。

加えて、理解型の試験に合格したプロフェッショナルは、業界全体の質を向上させる役割を果たし、業界の発展にも貢献します。

これにより、試験の権威性がさらに強化され、持続可能な試験運営が実現するのです。

したがって、理解型試験へのシフトは試験運営側の経済合理性と権威性の向上という二つの面から見て、非常に理にかなった選択と言えます。

 

「暗記」の上に成り立つ「理解」

ソムリエ・ワインエキスパート試験において、理解型の試験が重視されるようになってきた一方で、理解型のアプローチは、しっかりとした暗記の上に成り立っていることを忘れてはなりません。

理解型の試験では、単に知識を記憶するだけでなく、それを活用して実際の問題を解決する力が求められます。

しかし、その基盤となるのは、確固たる暗記力です。

なぜなら、ワインに関する幅広い情報、例えば、世界中の産地、品種、製法、歴史、土壌、気候などの詳細な知識が頭に入っていることで初めてそれらを分析し、応用する能力が発揮されるからです。

 

理解型の試験で必要とされるのは、単なる知識の暗記ではなく、その知識を深く理解し、関連性を見出し、新しい状況に応じて応用する能力です。

しかし、これを実現するためには、まず膨大な量の基本的な情報を正確に記憶する必要があります。

 

例えば、特定のワインの特徴やその背景を正しく説明するためには、まずそのワインの産地や品種、気候条件、歴史的背景など、細かな事実をしっかりと暗記していることが前提となります。

その上で、これらの知識を結びつけ、分析し、新しい視点で理解することが可能になります。

 

このように、理解型の試験が求める深い理解と応用力は、強固な暗記力が土台となって初めて発揮されるものです。

したがって、理解型のアプローチが重要視される試験であっても、暗記の重要性は決して軽視されるべきではなく、むしろ理解を深めるための必須条件として位置づけられています。

 

まとめ 結論、どっちも大事

ソムリエ・ワインエキスパート試験において、真に高いレベルの知識と技術を身につけるためには、まずしっかりと暗記を行った上で、その知識を理解まで昇華させることが重要です。

暗記は学習の基盤であり、ワインの産地、品種、製法、歴史、土壌、気候といった膨大な量の情報を記憶することは、プロフェッショナルとしての基本的な要件です。

これらの情報を正確に覚えていなければ、試験の応用問題や実際の業務において適切な判断を下すことは難しいでしょう。

 

しかし、暗記だけでは不十分です。

記憶した情報を表面的に理解するだけではなく、それを深く理解し、意味づけることで、初めて暗記した知識が真の力となります。

たとえば、単に「このワインは○○地方の△△品種から作られる」と覚えるだけでなく、なぜその地方がその品種に適しているのか、気候や土壌がワインの風味にどのように影響を与えるのかを理解することが求められます。

理解まで昇華された知識は、実際の状況で柔軟に応用できるため、顧客への的確な提案や問題解決につながります。

 

このような深い理解が求められる背景には、ワイン市場の多様化や消費者の知識の向上があり、ソムリエやワインエキスパートには、より高度な知識と洞察力が期待されています。

試験合格だけでなく、実際の現場でのパフォーマンスを向上させるためには、暗記した知識を深く理解し、使いこなす力を養うことが不可欠です。

結論として、しっかりと暗記したうえで、その知識を理解まで昇華させることが、プロフェッショナルとして成功するための鍵と言えます。


 

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