2022年度ソムリエ・ワインエキスパート二次試験テイスティングワインの回答と分析

こんにちは。ワインブックスの前場です。

2022年10月18日に行われたソムリエ・ワインエキスパート二次試験の銘柄と難易度やポイントについて解説します。

 

最初に記事の根拠のために実績を紹介させていただきます。

WBSでは二次試験直前の9月と10月に、週に1回の特別講義を行い、入念に生徒様と準備を行いました。

生徒様の努力の甲斐が実り、2022年度では現在のところ不合格のお知らせは届いておりません。

 

2023年度ソムリエ・ワインエキスパート二次試験対策はWBSをお勧めします。

月額2200円でいつでも入会できて、いつでも退会できます。

 

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ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次試験テイスティングの合格に必要なマインドはこちらをご参考ください→

 

既に出題ワインについては主催者側より発表がありましたが、おそらく皆様が知りたいのは「自分以外の受験者はどのような回答をしているのだろうか?」ということでしょう。

WBSでは多くの方が受験をされ、有志の方がお疲れのところをアンケートにご協力くださいました。

(アンケートを締め切らせていただきました。ご協力ありがとうございました!)

かならず来年度以降の受験者の方のお役に立たせていただきます。誠にありがとうございました。

 

このページはWBSの生徒様の貴重なお時間をいただき、共有をくださった資料ですので取り扱いにはご注意をお願いいたします。

 

2022年度ソムリエ、ワインエキスパート試験全体の総括はこちらをご覧ください→

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験の具体的な勉強方法【総論】はこちらをご参考ください→

2022年度ソムリエ・ワインエキスパート二次試験結果 回答と分析

ソムリエ

結論と要約

銘柄は以下の通りです。

1 シャルドネ フランス 2020年

2 リースリング ドイツ 2019年

3 シラー/シラーズ オーストラリア 2020年

4 ピスコ

5 イエガーマイスター

 

結論から言えばワインのセレクトそのものは例年に比べて難易度は易化したといっていいでしょう。

おそらく過去5年でももっともオーソドックスな出題に落ち着いた模様です。

 

できれば品種は白の2つは当ててほしかったですが、そうでなかったとしても表現を大きく踏み外さなければ合否に強く影響するものではないと思います。

シラーズについてもわかりやすい特徴が出ているようなので、ぶどう品種については全問正解の方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

2番目のリースリングは特徴が捉えにくかったワインだったらしく、回答が割れた模様です。

また、自信をもってドイツと選択できた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。

 

ワイン以外の飲料で4番にピスコが出題されました。ピスコはチリのマスカットを使った蒸留酒ですが、これをテキーラと間違えた方が多かったようです。

ただし例年通りの配点であればワイン以外の飲料が合否に直接影響するとは考えにくいです。当たった方はラッキー、外した方はノイズだ程度にとらえておけばいいでしょう。

 

イエガーマイスターはドイツのハーブスパイスリキュールです。都心のクラブとかでよくイエガーくださいとか言ってショットで一気飲みしている人がいますが、あのイエガーです。

選択肢にはチナールもあったようなので難しかったようですが、基本的には知っている知っていないで決まる出題です。

 

 

ワインエキスパート

銘柄は以下の通りです。

1 ソーヴィニヨン・ブラン ニュージーランド 2019年

2 甲州 日本 2021年

3 カベルネ・ソーヴィニヨン アメリカ 2019年

4 シラー/シラーズ フランス 2018年

5 オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ

 

こちらも難易度は例年通りか例年に比べて同程度か易化したといっていいでしょう。

ただしソムリエに比べると特徴の捉えにくいワインだったようで、結果を見ると回答はかなり割れている様子です。

ぶどう品種は、1~2は当ててほしいところですが、仮に結論を外したとしても表現を大きく外さなければ点差がつくことはないと思います。

 

1番のソーヴィニョンブランは鬼門だったようです。後述しますが多くの方がSB以外を選択されたようです。

おそらくグレープフルーツ系の香りが見つかりにくく、無難にシャルドネにまとめた方多かったのかもしれません。

 

2番目の甲州は、色調のグレーグリーンで、見てすぐに判断できた人が多かったのではないでしょうか。

しかし、色調以外ではこれといった特徴は見出しにくいワインだったようなので、外観で特定できない場合はかなり悩まされたはずです。

WBSの二次試験対策講義で甲州の特徴を捉えられた人には容易に選択できたと思いますが、そうでない場合はかなり迷われたかもしれません。

 

3番目のカベルネソーヴィニョンはかなりの難問のようでした。

皆様の回答を拝見するとかなり特徴の捉えにくいものだったようです。

ほとんどの方はCS以外か、あるいはかなり迷われている様子がうかがえます。

 

4番目のシラーはおそらくクローズエルミタージュかと思われます。

最近のクローズエルミタージュは以前の様なパワフルなものではなく、果実の風味を生かしたエレガントなものが増えてきています。

同じ品種でありますし、似てなくはないのですが、かといって「同じ品種だし」と思ってどちらかだけの準備にした方には難しい出題に映ったと思います。

 

シラーとシラーズで、シラーズしか経験がない場合は、シラーズの経験からフランスのシラーを導くのは正直無茶です。

ここは経験がものをいうところでしょう。

 

オードヴィ―ドキルシュについては難問ですが、配点もひくく、かつ、回答も割れている様子なので、ノイズ程度にとらえていいでしょう。

 

それではここからWBSの生徒様のアンケートをもとに回答の分析をしたいと思います。

 

*このアンケートは二次試験翌日の朝に一斉メールにてお知らせをし、その日の夕方に締め切らせていただきました。

アンケート期間を長く持たせることでリサーチの数は多くなりますが、同時に記憶があいまいになる可能性があるための調整です。

 

【関連記事】

ソムリエ二次試験”テイスティングの配点”とは?

 

【二次試験の配点】ワインエキスパート テイスティングの方向性

 

回答の分析

総論

まずは総論を確認しましょう。

アンケート結果の原文はこちらをご確認ください→

 

質問①全体的な難易度は、あなたの「事前の予想」と比べてどのように感じましたか?

4割強の方が「予想通り」と回答し、やや難しく感じたのが4割弱、残りがとても難しく感じたと回答されています。

これは絶対的な難易度ではなく、相対的な「事前の予想」との乖離をたずねていますので、ほとんどの方はある程度対策に準備をとれていることがわかります。

 

ここについてはWBSとしてはありがたい結果となっています。

来年度も引き続きしっかりとアドバイスをさせていただきたいと考えています。

 

質問②時間は足りましたか?

時間についても「かなりあまった」「ややあまった」方が合計で4割、ピッタリの方を含めると6割強となっています。

 

一方でやや足りないために回答を焦って埋めた方は3割強いますので、引き続きバーチャルテイスティングでのタイムトレーニングは必要だということになりました。

来年度のスケジュールはまだ未定ですが、ここについてはさらに貢献ができるように努力させていただきます。

 

では、個別のワインを見ていきましょう。まずはソムリエからです。

 

 

ソムリエ

1 シャルドネ フランス 2020年

1番目はフランスのシャルドネでしたが、回答は7割の方が正解をされています。

ただしアンケートの内容を検討すると、シャブリスタイルではないように感じます。

シャブリスタイルであれば、さすがにWBSで学習をされたのであればここまで結果はばらけないはずです。

樽の香りが「若干した」の回答が約半数に対して「全くしなかった」は3割弱となりました。

ここは難しいですが、数字だけを見れば樽の香りは「あるかないか」というレベルの可能性が高いです。

ただしこの後の回答がフランス以外にした方が多かったところを検討すると、おそらく分別のしやすいシャブリではないと予想します。

 

アルコール度数については完全にばらけています。

おそらく13%程度で、色調だけではエリアについては判断のつかない微妙なラインだったのではないかと予想ができます。

また、多くの方がアルコール度数を13%以上に感じていて、かつフランス以外の国を選択しているところからも、おそらくマコネ地区などの温暖なエリアのシャルドネなのではないかと予想できます。

完全に典型的なフランスの有名産地のワインではなく、若干外したエリアのワインではないかと予測をします。

普通は迷った場合はフランスによせるのが受験者の心理ですが、それでもフランス以外を選択したということは、よほどフランス以外の国を連想させる判断材料があったということになります。

 

2 リースリング ドイツ 2019年

2番目はドイツのリースリングですが、なかなか判別が難しかったようです。

6割弱の方はリースリングと結論付けましたが、自信をもってリースリングと選択できた方は若干にとどまりました。

 

リースリングの特徴であるペトロ―ル香が弱く、そのためほかの品種を選択してしまう方が多かったのではと紐づけることができます。

アルコール度数も低めに回答がよっていますので、ここでドイツと紐づけられるかがカギということでしょう。

ただし、本番の試験で自信をもってドイツにチェックを入れられるかというと、そんなに簡単ではありません。

ここについてはリースリングを選択できた段階で満足のいく結果と言っていいでしょう。

 

3 シラー/シラーズ オーストラリア 2020年

3番目の赤ワインは本命中の本命のオーストラリアのシラーズでした。

7割弱の方がシラーズを選択できていますので、生徒様のトレーニングの成果が出ていると感じています。

アルコール度数も高く、そのため多くの方は国名まで正解した様子です。

 

4 ピスコ

ピスコ以外の選択肢としてマールダルザスゲヴュルツトラミネール、テキーラ、オードヴィ―ドキルシュなどがあったようです。

ピスコを自信をもって正解できた人はかなり少なかったように感じます。

 

5 イエガーマイスター

これも味を事前に知っていないと正解できない問題です。

選択肢にチナールがあり、外観からチナールを選択させられた方は多かったかもしれません。

 

 

ワインエキスパート

アンケート結果の原文はこちらをご確認ください→

 

1 ソーヴィニヨン・ブラン ニュージーランド 2019年

WBSとしてはソーヴィニョンブランが意外な結果になりました。

通常、ニュージーランドのソーヴィニョンブランはチオールの香りが立ちやすく、判別がしやすい傾向があります。

しかし正解を選択したのは4割程度でしたので、おそらく外観などからシャルドネに寄せられた可能性があります。

 

チオールの香りをはっきりと判別できたのが全体の1割ですので、これではSBをチェックできるかと言われればそう簡単ではありません。

ただしいろいろうかがうとワインの温度が低かったため、最初は香りが閉じ気味だったとの感想もありました。

これでは国名についてもニュージーランドに自信をもってチェックを入れられるのは相当でしょう。

 

ただし、SB以外を選択した人であっても、おそらくシャブリスタイルのシャルドネをチェックした方が多いと思いますので、この場合は表現においては大きく外すことはないのではないかと予測します。

 

2 甲州 日本 2021年

ソーヴィニョンブランに対して甲州については、WBSで学習された方にはボーナスポイントになった方が多かったのではないでしょうか。

事前に完全に予測をしていましたし、その判別方法もしっかりとお伝えできた結果がでたと感じております。

ただし典型的な試験型の甲州であるシュールリーの香りは完全に割れています。

また樽の印象もないということから色調以外でこれと言った特徴を見いだせずにいた方も多かった印象です。

つまり色調と過去の出題傾向から甲州と判別できない場合は正答を導きにくいということです。

 

ただし、特徴が見出しにくいということは「特徴のないワインの表現」をすればいいということでもあります。

WBSではその対策もしていました。

甲州と判別できなくても無難にニュートラル系の表現がしっかりできていれば点数を大きく落とすことはないでしょう。

 

3 カベルネ・ソーヴィニヨン アメリカ 2019年

おそらくワインエキスパートの今回の一番の目玉は3番のカベルネソーヴィニョンではないでしょうか。

なんと65%の方がCS以外を選択し、10%が全くわからなかったと回答しています。

自信をもってCSを選択できた人が5%しかいないので、おそらくかなりレアなタイプのCSだったのではないでしょうか。

 

個別にお話し伺うと、色調が淡く、ネッビオーロやピノノワールの選択をした方もいらっしゃいました。

潜在的にはさらに多くの方が3番目のワインに違和感を感じたはずです。

 

WBSでは「迷って最終的に自信をもって選択できない場合はCSにチェックしましょう」とアドバイスをさせていただいていました。

もちろん受験生様はそこはしっかりと受け入れてくれていると思いますが、そのうえでこの回答になったということは、よほどのことだったのでしょう。

回答を検討するとかなりエレガントなワインのようなので、ブルーベリーやカシスなどの中間系の表現をしっかりすれば得点は落とさないでしょう。

 

4 シラー/シラーズ フランス 2018年

一方の4番目のシラーに関しては結論は半分に割れました。

また、3番のCSと4番のシラーがはっきりとした違いがあったとのことなので、3番目のワインにかなり難しめのワインを出題し、4番のシラーとの対比で3番のCSを導いてほしいとの出題意図があったのかもしれません。

 

おそらくシラー以外の方はCSが多く、これが3番目のワインからCSを選択させにくい心理にさせているのでしょう。

これも濃い系の赤ワインの表現がしっかりできていれば点数を落とすことは考えにくいです。

 

5 オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ

オードヴィ―ドキルシュはポワールやフランボワーズ、クエッチに比べて個性が見出しにくく、ほかの飲料に選択させられた人も多いかったはずです。

ただし例年通りの配点だとすればここを落としても総論に影響を与えるとは考えにくいです。

 

まとめ

おそらくここまでお読みのあなたであれば、いかにWBSがこの試験を研究し、そして共有することに成功しているかをお感じになっていると思います。

だれでも情報にリーチができる現代社会では、ただデータを集積して羅列するだけでは何の価値もなく、ユーザーからすれば目障りなだけになります。

 

重要なことは情報をどのように分析し、自分なりの考えを込めて一次情報にして、かつ、それをわかりやすく伝えることです。

WBSは早くからこのことに着目し、講師と生徒様との共有に努めた結果、ここまで精密に分析をすることに成功しています。

 

正直に言えば、ここに書いた分析はWBSのノウハウのほんの一部にすぎません。

筆記試験は勿論、3次試験、エクセレンス試験でも日々情報は蓄積し、分析が進んでいます。

 

2023年度試験では蓄積された情報と分析をもとに、しっかり予測をし、最適なアドバイスとコーチを生徒様にさせていただく予定です。

2023年度試験を受験をご検討の皆様は、できる限りはやくご入校ください。


 

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