【ソムリエ試験の受験者離れは本当か?】歯止めのカギはどこに?

こんなことを書くとまた怒られそうですが、僕が日本のソムリエ界、ワイン界にしょっちゅう発信しているのが「初心者を増やしたい」です。

数値的に厳しいこともありますが、一つのご参考にしてください。

 

結論として、ソムリエ試験の受験者が激減しているので、これを僕は盛り上げたいです。

 

ソムリエは、受験者の減少とともに、検索数も激減していて、世間がソムリエに急激に興味を失っていることがわかります。

これを盛り上げたいし、そのためにできることはなんでもしたいです。

 

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ソムリエ試験の受験者離れ

数字はうそをつかない

資料参考:ソムリエ協会HP”資格保有者一覧”https://www.sommelier.jp/exam/pdf/qualifiedholders.pdf

このグラフはソムリエ試験の受験者と合格者、合格率の推移です。

見てお分かりの通り、合格者や合格率こそ横ばいですが、受験者が右肩下がりで減っていることが一目でわかると思います。

2016年は5712人でしたが2022年では3766人になっています。つまりざっくりいって3分の2に減ったということです。

(逆にワインエキスパートはもともと3000人台でしたが微増していますので、これは明るい傾向です。)

 

ソムリエ試験の受験者の減少についてはいろいろ検討できると思います。

単純に飲食店勤務の方が少なくなったのかもしれないし、トレンドなのかもしれません。

よく見ますが「試験の難易度が上がりすぎたため、受験者離れがおきた」などの見方もあると思います。

 

もちろんこれらすべてが一つ一つ正解でしょうし、大きな理由だと思います。

ですが数字はうそをつきません。このグラフはもっと衝撃です。

日本国内でのカタカナでの「ソムリエ試験」の検索数も、受験者数に比例するように数字を落としています。

この現象についてはおおむね受験者数と検索数は連動していて、ソムリエにとってはかなり厳しい現実を突きつけられています。

 

”ソムリエ”に興味を失っている?

これをどうみるのか?

本当に厳しい言い方をすると世間がソムリエに興味を失っているということになります。

ワインエキスパートが微増ということは、ワインを学習対象にすることそのものには魅力があると判断されていると見ることができます。

ところが専門職のソムリエは敬遠されていて、一番きつい「興味がない」状態に近づいています。

 

じゃあ、これをどうするのか?

僕が常にWBS生の方に言っているのが「わかりやすく伝える」ことの重要性です。

分かりやすくワインを伝える、ワインと料理のペアリングを伝える。

こうなると理屈ではなくて、雰囲気の問題です。

 

特定されるかもしれないのでいいづらいのですが、昨年お伺いした星付きフレンチのソムリエさんは、とても優秀そうな方でした。

ですが、「同調性があります。」「ワインの持つ酸が~」など、とにかく言葉選びがわかりづらいのです。

もちろんお客が僕だったためこのような言葉を使ったのかもしれませんが、それでも全般的に専門的な言葉が多く感じるソムリエさんは多いかもしれません。

 

簡単なことを難しく言うプロ

よくソムリエが揶揄されるのが、「ソムリエは簡単なことを難しく言うプロ」でしょう。

確かにワインの表現は難しいし、繊細なものだからどうしても小難しくなってしまうものです。

 

これ、例えば音楽でいうとクラシック音楽などは分かりやすい例だと思います。

クラシック音楽はパッと聴くと伝統とか格式は感じるのですが、表現は難しいし、権威性が優先される世界だと映っている人は多いはずです。

だからクラシック音楽の人にすればジャズとかポップスは邪道に映る人もいるだろうし、面白くない人もいるはずです。

 

昔の知り合いにクラシック命のピアニストの方がいましたが、ジャズピアノのことを「あんなものはピアノじゃない」と言っていました。

その人は熱っぽくクラシックピアノの技術のことを語るのですが、申し訳ないのですが何一つ覚えていません。

なんとなく権威がありそうとか伝統のある世界なんだろうということはわかるのですが、音楽に無知な僕には難しすぎたのです。

 

これは何もクラシックがダメでジャズやポップスがいいといっているわけではなく、どのフェーズも追求すれば面白いし、初心者や多くの人に受け入れられるカテゴリは業界にとって重要だということです。

入り口としてポップスやジャスがあって、そこからクラシックに行くという道”も”あるし、けなすのではなくお互いが尊重しあう方がポジティブでしょう。

 

分かりやすく言う方がかっこいい

じゃあ、どうすればソムリエは捲土重来できるのか?

本当にざっくりいえば「わかりやすく伝えられるソムリエ」を増やすのが一番早道だと思います。

言いづらいですが、逆に言えば「わかりづらく伝えるソムリエは格好悪い」ということも暗に含んでいます。

 

これまでは「同調性がある」とか「酸がどうこう」という言葉を偉いソムリエが言っているとすると、これがかっこいいという風に映って、若いソムリエが同じような言葉を使います。

ですがこれはごく一部の限られた世界の話であって、一般の人には通じないし、普通に使っていたら相手のことが見えていないので、格好悪いと映ったほうがソムリエ界のためです。

 

みんなもがいて、頑張っている

ここまで書いておいて朝令暮改もいいとこですが、ソムリエ界は一人一人が本当に真剣にワインの魅力を伝える努力をしています。

どのソムリエも真剣だし、ワインに対する熱い思いを内に秘めています。ぼくもそう思っています。

 

ですが、やっぱりソムリエの発する言葉は一般人には通じないし、ウケないのはもっと知るべきだと思います。

これはもちろん僕も同じで、小難しいことを言った時は反省しますし、もっとわかりやすく説明できないかといつも思案しています。

 

これまでソムリエ界は正しい、正しくないの二元論が多くて、だから正しいことを言う人が偉いみたいな雰囲気はあったと思います。

ですが、これをもっと「わかりやすく伝えるほうが偉い」の雰囲気があれば変わってくると思いますし、それが初心者を増やすことにつながると思います。

 

まとめ:正しいことを言うより、わかりやすく言うことの方が難しい

これは誤解をされているところだと思いますが、おそらく多くのソムリエさんは「より正しいことを言うべきだ」と思っていて、これが足かせになっているのです。

正しいことを追求すれば当然小難しいことを言うことになるし、だから正しいことを言うことは難しいと思われているはずです。

 

情報の正確さはもちろん大事です。わかりやすく言っていても正確性が担保されなければ信頼されません。

ただし正確さを追求するあまり、わかりやすさや楽しさを追求する気持ちが萎縮をしてしまうのはあまりにももったいないです。

では、正確に言うこととわかりやすく言うこと、どちらが大変か、難しいか。

 

僕は30歳のころはそれこそ「正しいことが正義」だと思っていたので言えますが、正しいことを言うよりも、それをわかりやすく言うこと、楽しそうに言うことの方がよほど難しいです。

正しいことは、データとか資料から正論を言えばいいのに対して、わかりやすく楽しく言うのは相手を見て、言葉を選んで、ジェスチャーを交えて、いわゆるプレゼン力が求められるからです。

 

ここまで見てくれたあなたであれば、カチンとくるところもあったかもしれませんが、おそらく共感するところもあったはずです。

受験者が7年間で3分の2というのは悠長なことを言っている段階ではなく、物見雄山の気分でいられる状況ではありません。

そのため強い言葉を使わせていただきました。本当に申し訳なく思います。

ここまで読んでくれたあなたの考えるきっかけになれば幸いです。


 

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