【最終更新日】2024年1月8日
こんにちは。WBSの前場です。
昨日ソムリエ協会HPにて呼称資格試験の資格保有者一覧が発表されました。
これに伴い2023年度試験の受験者、合格者、合格率が発表されましたので、ご報告します。
結論を申し上げますと合格率は
ソムリエ:17.7%
ワインエキスパート:41.9%
ソムリエエクセレンス:8.8%
ワインエキスパートエクセレンス:15.5%
に着地いたしました。
一般呼称のソムリエについては受験者の減少が目立つとともに、2023年度は合格者も例年に比べて突出して低くなっております。
後ほど解説いたしますが、一般呼称のソムリエとソムリエエクセレンス、ワインエキスパートエクセレンスの合格率が低下し、例年に比べ全体的な難易度は急激に上がったと思われます。
SNSやインターネットでは多くの方が今年度、特に一般呼称のソムリエについてはかなり厳しい結果になるのではないかとの予測をされておられましたが、その通りとなりました。
なお、WBSでは特に例年と変わらずに高い合格率となっておりまして、特にソムリエエクセレンスにおいては全合格者のうち40%を占めるまでに合格者を拡大させていただきました。
これはすべて日々学習を続けていただくWBS生様のおかげです。
試験の難化に伴いまして今年度受験生にはストレスがかかる現状はございますが、この試験は適切な努力ができれば必ず合格できる試験です。
情報と努力の方向性があっていれば、可処分時間を大きく削ることなく合格できます。
WBS生様におきましては釈迦に説法ですが、質の低い情報に惑わされずに、淡々と学習を進めてくださいますようお願いいたします。
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2023年度ソムリエ・ワインエキスパート試験の受験者・合格者・合格率の結果と分析
総論
このグラフはソムリエ試験とワインエキスパート試験のそれぞれの受験者、合格者、合格率をまとめたものになります。
詳しくはこのあとに解説しますが、総論とすると一般呼称については
・ソムリエは受験者、合格者、合格率ともに低下の傾向
・ワインエキスパート試験は堅調に推移
がはっきりと表れた形となりました。
なお、WBSでは試験の問題分析とともに、試験傾向や主催者側の心理なども分析した結果、例年通りの結果となり、ごく自然な形で皆様が合格されております。
ソムリエ
ソムリエは受験者が3224人、合格者は570人、合格率は17.7%となりました。
グラフを見てお分かりの通り、青棒の受験者は右肩下がりで下がっており、受験者離れが進んでいることがわかります。
また、2023年は合格率が17.7%と近年を比較しても突出して低く、試験の難化を示しております。
ソムリエの受験者離れについてはWBSは以前より言及しており、分析を進めておりました。
一番の原因はおそらく総数としての飲食従事者の減少で、コロナ禍以降急激に飲食産業の従事者が減ったことにもあると思われます。
ただしそれに合わせるように試験の難易度が急激に上がった結果、「ソムリエ試験は難しいから受からない」というイメージが定着してしまったということも推測されます。
また、近年飲食業界はきつい、勤務時間が長い、時代の潮流と合っていないなどのイメージが強く、資格取得をすることそのものの優位性を感じづらいこともあるかもしれません。
後述しますがワインエキスパート試験の受験者数が堅調に推移しているところから、ワインそのものへの嗜好に大きな変化は見られません。
ソムリエ資格にプレミアを感じない人にすれば、就業要件のあるソムリエとそうでないワインエキスパート資格との棲み分けはどうでもいい問題です。
それであれば本来であれば数年待てばソムリエ資格の就業要件を満たせるのに、積極的にソムリエではなくワインエキスパートを選ぶひとも相当数いたのではないかと推測します。
グラフを見る限り受験者の減少はコロナ禍以前より存在しています。
言いづらいですがコロナ禍によってこれがさらに加速したとみることもできるため、WBSとしては以下のとおり分析をします。
・ソムリエ試験合格の実質的な優位性を見出しにくい
・就業要件が厳しくソムリエ資格に心理的な抵抗がある
・ワインエキスパートとの違いが見出しにくいため、ソムリエ受験者がワインエキスパートに流れた
WBSとしては、引き続き資格試験合格後のフォローアップに努め、様々な分野での活躍を後押しし、実際のビジネスでのロールモデルを模索中です。
ソムリエは飲食店、ワインショップ、インポーターなど、ワインビジネス関連の資格試験ですが、ワインビジネスはコンテンツの塊です。
これをできる限りわかりやすく魅力的に外部に発信することも含めまして、ソムリエ受験者の増加に貢献したいと考えております。
ワインエキスパート
ソムリエに比べるとワインエキスパートは堅調に推移をしているのがわかります。
受験者数はソムリエとは逆に増加しており、合格者、合格率もともに安定しています。
これについてはワインの情報発信者として嬉しい限りです。
受験者の日ごとの努力とともに、各スクール様の努力が奏功したものと思われます。
WBSでも多くの方がワインエキスパート試験に合格され、中には飲食店でソムリエ職として勤務を始める方やワイナリーやインポーターへの転職をされる方もいらっしゃいます。
以前の様な「まずは飲食店で経験を積んで、その後に資格取得する」という流れに潮目が変わってきているのかもしれません。
現代社会は誰でもどこでも上質な情報にリーチが出来る時代です。
わざわざ厳しい世界に飛び込んでそこで実務経験を得るよりも、まず先に知識や経験を得て、その後に専門職に進むという考え方もできます。
これについては人それぞれですし、他人と比較するものではありませんが、一つの考え方としてご参考ください。
ソムリエとワインエキスパートの合格者数の比較推移を検討すると、特に2023年度の乖離が目立ちます。
ただし俯瞰してみると年度によってボラティリティがあり、一定の傾向があるようには映りません。2023年度はおそらくソムリエ試験の審査基準に修正があったものと思われます。
おそらくSNSなどで2023年度試験の結果をなげく投稿もあると思いますが、これが2024年度にどれだけ反映されるかはわからないので大騒ぎするものではありません。
WBSは情報発信に強みがあり、多くの上質なワインファンに上質な情報を直接届けられる優位性があります。
2024年度以降も引き続き一般のワインファン獲得、ワイン初心者の発掘を続け、その中からワインエキスパート受験者増に貢献をしたいと考えております。
エクセレンス試験
次にエクセレンス試験です。ソムリエエクセレンスは受験者が170人、最終合格者は15人、合格率は8.8%となりました。
事前に合格率が10%を切ると予測していましたが、完全に予測通りとなりました。
ソムリエエクセレンスは一般呼称のソムリエ試験と比べても格段に難易度が高く、特に2023年度は筆記試験の合格率が5.7%と極めて厳しく、数年越しで合格する人も少なくありません。
WBSでは2021年度ソムリエエクセレンス合格者のなーな先生とともに試験分析を進め、早期に試験難化と傾向の変化を指導に反映させました。
結果として2023年度は6名の合格者を出させていただき、全合格者の40%を占めるまでに拡大をさせていただきました。
これについては素直に喜びたいと思いますし、WBSのクオリティをお示しすることができたと同時に身の引き締まる思いです。
確かに難しい試験であることには変わりありませんし、WBSのトレーニングはかなり厳しく、途中で挫折をする方もいらっしゃいます。
ただししっかりとした分析とし、それを反映させれば必ずしも無理筋なものではなく、適切な努力をすれば合格が出来る試験です。
2024年度以降も合格者の拡大を進めたいと考えております。
ワインエキスパートエクセレンスは受験者が110人、合格者が17人、合格率は15.5%となりました。
2022年まで堅調に推移してきましたが2023年に合格率が大幅に下がり、おおむね2022年の半分の合格者、合格率となっております。
ワインエキスパートエクセレンスについては今年度より対策講座を設けさせていただき、2名の合格者を出させていただきました。
以前より受験者層にはいわゆるビジネスエリート層も多く、受験生の多くは比較的試験勉強に強いとされる方も目立ちます。
ですが、たとえば司法試験などの極めて高い資格をお持ちの方であっても手ごわく映り、相当の時間を割いて試験にのぞまれているようでした。
ソムリエエクセレンスと比較をすると、特に一次試験に顕著な違いが見出せます。
ソムリエエクセレンスが一次試験合格者が8人、合格率が5.7%であるのに対してワインエキスパートエクセレンスは19名合格、一次試験合格率は17.7%と3倍近い合格率となっています。
主催者側の経営合理性を検討すると、ソムリエエクセレンスとワインエキスパートエクセレンスの難易度に違いをだす理由は見出しにくく、特に筆記試験で違いを出すとは考えられません。
それであれば、単純にソムリエエクレセンスよりもワインエキスパートエクセレンスの母集団の点数が高かったとみるのが合理的判断でしょう。
まとめ
2023年度試験は特にソムリエ、ソムリエエクセレンス、ワインエキスパートエクセレンスに強い難化傾向がみられた一方、一般呼称のワインエキスパートの手堅さがはっきりと表れた結果になりました。
WBSとしては引き続き情報発信に努め、わかりやすくワインの魅力をお伝えし、試験合格後のロールモデルを発掘をすることで受験者数の増加に貢献したいと考えております。
この試験は合格後のはっきりとしたロールモデルが少なく、これが新規参入に蓋をしている傾向があるように感じます。
ワインは世界的に価値が認められていて、伝統と歴史もあり、かつ、廉価な一般市民向けのものから高級志向のものまで幅広いです。
世界最大のブランド事業のコングロマリットのLVMHでもワイン・スピリッツ部門は重要な位置を占めるまでになっています。
若年層を中心としたアルコール離れが指摘されている一方、ワインの世界的な価値については手堅いものと判断しています。
この流れの中でソムリエ試験、ワインエキスパート試験については国内の各市場とともに、試験推移などもボラティリティに反映されています。
WBSとしては今後もしっかりと分析を進め、WBS生様へのフィードバックに務めさせていただきます。
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