【最終更新日】2024年9月9日
ソムリエ試験、ワインエキスパート試験に合格をすると、次のステップアップとして職場を変えようとアクションを起こす人も多いと思います。
・ソムリエとして一歩を踏み出したい
・もっとグレードの高いお店で修業したい
・海外での勤務を視野に入れたい
・もっと勉強できる環境で勤務したい
・今の職場の環境がよくないので、最低でもましな職場に転職したい
求人を探す、転職をする人の目的や動機は様々だと思いますが、おおむねこれらの理由から転職を考えている場合が多いのかもしれません。
ソムリエの場合、特に地方だと情報が極端に少ないため経験を積むにしても限界がある場合も多いです。
これは仕方がないことでもありますが、勤務する周囲のソムリエに情報が少ないこともありますし、ワインが好きなお客様が少ないため経験をする機会がそもそも少ないことも挙げられます。
これらを総合的に検討して転職をしたい。こういう場合に求人を探すこともあると思います。
今回は実際にあなたがソムリエやワインエキスパート試験に合格し、または既にある程度の経験を積んだ場合に転職を考え、求人を探すときのポイントをご紹介します。
僕は20代後半から40代まで実際に飲食店を経営していたことがありますし、求人をする方の心理も探す方の心理もわかっています。
あなたが求人を探すときに、働きたい、経験を積みたいと思うことは自由ですが、採用する側は決して良心ばかりではありません。
そのためあなたが純粋な気持ちで求人を探しても、最悪な場合その純粋さを逆手にとって利用されることも考えられます。
WBSはうそを言わない、思っていることに逆らってまで情報を発信しないということを大事にしています。
あなたの転職、求人のお役に立てるようできる限り丁寧に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
なお、この記事はソムリエの求人をさがす、転職を考えている人向けの記事なので、雇用側、つまりオーナーや経営者には一切気を使わずに記事作成しています。
特にダメなオーナー、経営者であれば「いやお前はわかっていない」というご意見もあると思いますので、あらかじめお詫びいたします。
世の中には良いオーナー、良い経営者もたくさんいる、ということを前提に、
①経営者と労働者は利益が相反すること
②飲食店は10年経営が継続するのが10%という現実
③経営者側と労働者側の知識・情報の多寡
を踏まえ、求人する側(労働者側)の立場で記事を作成しています。
オーナーや経営者の立場の人であればあるほど利益が相反する内容になる場合もありますが、それでも価値のある記事だと思いますので、ご了承の上、お読みいただけるようお願いいたします。
ソムリエの平均的な年収と、収入アップのアクションプランはこちら→
ここでいうソムリエ・ワインエキスパートとは、日本ソムリエ協会の呼称資格のことです。
日本で最も有名で実用的なワインの資格試験です。
目次
- 1 【ソムリエの求人】転職のアクションを起こす前に必ず押さえるポイント
- 1.1 世の中いい人ばかりじゃない
- 1.2 世の中悪い人ばかりでもない
- 1.3 途中で事情が変わる可能性もある
- 1.4 「お店に合っているかどうか」の重要性
- 1.5 「ここに惚れた」は要注意!
- 1.6 求人広告はいいとこしか載せない
- 1.7 オーナー、経営者の質は最も大事なポイント
- 1.8 ソムリエのキャリア形成は”10年仕事”
- 1.9 副業も一つの選択肢
- 1.10 ソムリエの求人募集を選ぶコツ
- 1.11 ソムリエにとっての”良い職場”とは?
- 1.12 現在は売り手市場
- 1.13 「接客スタッフ」としての採用
- 1.14 労働環境と給与体系
- 1.15 休暇・勤務時間
- 1.16 顧客の質
- 1.17 ソムリエのキャリア形成は長くなりがち
- 1.18 「そのお店が好き」「その人が好き」の動機は要注意
- 1.19 労働条件にこだわりすぎることのデメリット
- 1.20 オーナーソムリエのお店で働くメリデメ
- 2 まとめ
【ソムリエの求人】転職のアクションを起こす前に必ず押さえるポイント
世の中いい人ばかりじゃない
これはいきなりショッキングな言葉で申し訳ないのですが、ほぼほぼ事実だと思うので思い切って最初に解説をします。
もちろんできる限り従業員の労働環境に配慮をしている飲食店経営者は多いですし、だれでもできれば労働環境も良くしたいと思っているはずです。
ですが、それでもほかの業界に比べると飲食店の労働時間は長く、かつ給与は少ない傾向にあります。法定労働時間を超えて労働させているところは山ほどあるはずです。
事情があることは僕も経験者なので十分にわかりますが、気を使ってばかりでは話が先に進みませんので、申し訳ありませんがいきなり本質に迫ることを書きます。
根本的に求人をする側と求人をされる側では利益は相反します。
求人をする側(労働者側)は
・良い職場で経験を積みたい
・将来のステップアップにつなげたい
・できる限り給料は高くもらいたい
・休暇などの勤務体系はできる限り良いところがいい
これらの本音を抱えています。当たり前の心理でしょう。
では、これをこのまま求人をする側はすべて叶えるように本音で思っているか?当たり前ですがそんなことはありません。
求人をする側(雇用側)の心理は
・良い社員だった場合、できる限り長く働かせたい
・給料はできれば低く抑えたい
・ダメな社員はできる限り働いてほしくない
・本当に良い社員の場合、簡単にほかの職場にステップアップされると困る
・無茶なスケジュールでも頑張ってくれる人のほうが雇いやすい
これらの本音を抱えています。
もちろんこれらがすべての雇用側の本音ではないかもしれませんが、大なり小なり似たようなものがあるはずです。
「なんて意地悪な書き方をするんだ」こう思った人もいるはずですが、納得できる部分もあるはずです。
今時どこの飲食店も生き残りに必死なので、従業員の側の本音に全振りで寄り添っていたら生き残れません。
飲食店は利益率が少ないためちょっとの経費支出で赤字になることも普通にあり得ます。
だから求人をする側には「うちは人がすべてだから」と言っておきながら裏ではしっかりとそろばんをはじいているのです。
飲食店経営者にはカチンとくる人もいるかもしれませんが、カチンとくるということは大なり小なり図星だということです。
労働者側の無知に付け込んで無茶な雇用をするのはもうやめましょう。
世の中悪い人ばかりでもない
このように経営者と労働者の利益は相反するものですが、ただし完全に相反するかと言われればそうでもありません。
労働者が気持ちよく働けて、かつ、頑張って売り上げに貢献してくれたらお店の利益に直結するし、会社のメリットは計り知れません。
ここで95%の経営者は経営者側の理屈をこねくり回し、労働者が生んだ利益をできる限り経営側に大きなものにするように頭を使います。
しかし、中には労働者の側に寄り添う人もいるところにはいます。ただし経験上、本当に労働する側の気持ちに寄り添っているのは全体の5%というところでしょうか。
5%の経営者はあなたの思いに積極的に答えようとして実際に行動する人もいます。
あなたが当初の予想以上に頑張ってくれたとしましょう。
すると給与をアップしてくれるかもしれませんし、労働条件をより良いものにしてくれるかもしれませんし、ステップアップをするべく転職をするときに背中を押してくれるかもしれません。
ここでダメ経営者、ダメオーナーは、頑張る社員ほどいろいろな理由をつけて給与を据え置きにして、より過酷に働かせ、ほかのお店に行かないように防御線をはるのです。
あなたはそんな安いトラップに引っかかってはいけません。
途中で事情が変わる可能性もある
少し気の早いことかもしれませんが、仮にあなたが求人に募集をして採用され、転職できたとしましょう。
ですが、転職後に様々な事情が変わることも当然予想できます。
・会社の業績が急激に変わり、労働条件も変わってしまう
・予想以上にあなたが働けないため、会社の態度が変わる
・予想以上にあなたが働けるため、会社の態度が変わる
このくらいは当然予想できるもので、あなた自身の貢献度によって会社の態度も当然変わってきますし、もちろんあなた自身も転職後に態度が変わる可能性もあるはずです。
何がいいたいかというと、求人募集の時は会社も転職者も最大限のいいところをアピールしますが、転職後は徐々に本音が出てくるものだし、そこは労働者側が賢くなろうよということです。
「お店に合っているかどうか」の重要性
ソムリエの求人・転職において、知識や経験が重視されるのは当然ですが、「そのお店に合っているかどうか」がそれ以上に重要視されることが少なくありません。
ソムリエのスキルはワインの選定やサービスに直結するため、専門的な知識や経験は基本的な要件です。
しかし、飲食業界における成功は単に専門知識だけでなく、チームとの調和や店舗の雰囲気に適応できるかどうかにも大きく依存します。
まず、店舗ごとに異なる顧客層やサービススタイルに対応できるソムリエが求められます。
例えば、高級フレンチレストランでは洗練されたワインリストの提案が求められる一方で、カジュアルなビストロでは親しみやすく、よりリラックスした接客が必要です。
このような場面でソムリエが適切な態度やコミュニケーション能力を持っているかどうかは、店の全体的な顧客体験を左右する重要な要素です。
また、ソムリエは単にワインを提供するだけでなく、店のコンセプトやブランドイメージを体現する役割も担います。
レストランのビジョンや哲学に共感し、それを反映したサービスができることは、顧客に対する一貫したメッセージを届けるために重要です。
そのため、どれだけ知識や経験が豊富であっても、店の理念やスタイルにそぐわない人材は、長期的には成功しにくいでしょう。
さらに、ソムリエが既存のチームとどれだけ調和できるかも、採用の決定要因となります。
飲食店は多くの場合、個々のスタッフが一体となって働くことで成功を収めています。
そのため、ソムリエとしての能力だけでなく、協力的で柔軟な姿勢を持ち、他のスタッフと円滑にコミュニケーションを取れるかが重要です。
最後に、採用担当者は店舗の将来のビジョンや目標に対して、ソムリエがどのように貢献できるかを考慮します。
現在の能力だけでなく、店舗が進化していく中で、ソムリエがどのように成長し、貢献できるかという長期的な視点も重要です。
総じて、ソムリエの転職や採用において、単なる専門知識や経験だけでなく、その人がそのお店にフィットするかどうか、店の文化やチームとの相性が大きく関わるのです。
「ここに惚れた」は要注意!
ソムリエの求人において、「ワインリストに惚れた」「あのソムリエに憧れた」「シェフの料理に感動した」といった感情的な理由でその店を選ぶことは、多くの場合、ポジティブな意思決定につながります。
しかし、そのような一面だけにフォーカスし、他の要素を見落としてしまうことが、「確証バイアス」として働く危険性もあります。
確証バイアスとは、自分がすでに持っている信念や期待を裏付ける情報だけを集め、対立する情報や不都合な事実を無視してしまう心理的な傾向です。
たとえば、ソムリエがあるレストランのワインリストに魅了された場合、その素晴らしい品揃えが頭の中に強く印象付けられ、他の重要な要素、例えば労働環境、報酬、将来性などについての慎重な検討が不足してしまうことがあります。
さらに、憧れのソムリエがいるレストランだからという理由で、その職場の人間関係や文化が自分に合わない可能性を軽視してしまう場合もあります。
結果として、入社後に「思っていたのと違う」と感じることが増え、長期的なキャリアに悪影響を及ぼすことがあるのです。
確証バイアスを避けるためには、感情的な魅力だけでなく、客観的な情報をきちんと収集し、他の店舗や候補と比較することが必要です。
ワインリストの魅力やシェフの料理は重要ですが、報酬や労働条件、チームの雰囲気、成長の機会、将来のキャリアパスなどの要素も慎重に評価するべきです。
感情的な理由に引っ張られすぎると、他の店の方が自身のキャリアにとって有利であることに気づかない場合もあります。
ソムリエの求人市場は雇用側も労働側もともに競争が激しいため、時に感情に流されて決断を急いでしまうこともありますが、長期的な満足度を得るためには、冷静な視点が不可欠です。
確証バイアスを避け、可能な限り多くの情報を収集し、他の選択肢とも冷静に比較することで、自分にとって最も適切な職場を見つけることができます。
感情と理性のバランスを保ち、納得のいく意思決定をすることが、成功したキャリア構築への第一歩となるでしょう。
求人広告はいいとこしか載せない
求人広告は、通常、企業や店舗がアピールしたい「良いところ」だけを強調する傾向があります。
当たり前でしょう。求人広告は大きな費用がかかるため、わざわざ自社の悪いところを見せるのは経済合理性に欠けるからです。
そのため、その広告に魅了されて応募した結果、実際の職場環境や条件が広告と異なることが多く、雇用側と従業員側の間でミスマッチが生じやすいのです。
特に、広告で提示される「働きやすさ」「やりがい」などの表現は、実際には誇張されていたり、一部のポジティブな面だけを取り上げている場合があります。
従業員側にとって、求人広告の情報だけを鵜呑みにして入社すると、入社後に理想と現実のギャップに直面し、モチベーションの低下や早期退職の原因となることがあります。
一方、雇用側も、実際の仕事内容や職場環境を過剰に良く見せすぎることで、真の適性を持った従業員ではなく、広告に惹かれて入社した人材を採用してしまう可能性があります。
結果的に、入社後に仕事が合わず、早期離職が続くなど、労力と時間を無駄にすることになり、双方にとってデメリットが大きいのです。
求人広告はあくまで表面的な情報にすぎないため、応募者は面接や職場見学を通じて、実際の職場環境や経営者の考え方をしっかり確認し、雇用側も誠実に現状を伝えることが、長期的な雇用関係を築くために必要です。
オーナー、経営者の質は最も大事なポイント
ソムリエのキャリア形成において、働くお店のオーナーや経営者の質は最も重要視すべきポイントの一つです。
なぜなら、オーナーや経営者のビジョンや経営スタイルが、職場環境や従業員の待遇、さらにはキャリアの成長に大きく影響を与えるからです。
特に、質の悪いオーナーや経営者のもとで働くことは、ソムリエにとって大きなリスクを伴います。
まず、情熱を逆手に取った「やる気詐欺」が発生する可能性があります。
これは、従業員がその店やワインに対する熱意を持っていることを利用して、過剰な労働を要求したり、適正な待遇を提供しない状況です。
オーナーが従業員の情熱に寄りかかりすぎ、長時間労働や不当な業務を押し付けることがあり、これがモチベーションの低下につながることがあります。
さらに、根拠のない給与体系や不透明な報酬制度も問題です。
オーナーや経営者が明確な基準や評価制度を持たず、個人的な感情や好き嫌いで給与や待遇が決まることがあります。
これにより、実力や貢献度に応じた適正な評価がされない場合、ソムリエとしての成長が妨げられ、将来的なキャリアに悪影響を及ぼします。
また、経営者の気分や個人的な好みによって、従業員の業務や役割が大きく左右されることもあります。
例えば、オーナーが自分に気に入られるかどうかを基準にして昇進や役割分担を決定する場合、実力に基づいたキャリア形成が難しくなり、不公平な職場環境が生まれます。
こうした状況では、ソムリエとしての技術や知識を正当に評価されることが少なく、キャリアの成長が滞る可能性が高くなります。
ソムリエとしてキャリアを積む際には、働くお店のオーナーや経営者の質を慎重に見極めることが非常に重要です。
信頼できる経営者のもとで働くことで、適切なサポートやフィードバックを受けながら、着実にキャリアを積み重ねていくことができるのです。
この記事はお店のオーナーや経営者の方も観ると思うので言いづらいですが、従業員はオーナーや経営者から全方位から評価される立場ですが、現代社会ではそれはオーナーや経営者も全く同じだという認識は持つべきです。
出資者側、経営者側が圧倒的に有利な時代は終わり、駄目なオーナーや経営者も当然従業員、顧客からの評価にさらされることを知りましょう。
ソムリエのキャリア形成は”10年仕事”
この記事は求人する側の立場で理論展開していますが、それでも甘言ばかりを並べるのは実態とかけ離れてしまいます。
今の時代、長い期間の修業は時代となじまず、短期で結果を出すことが求められる傾向がありますが、ソムリエはある程度の経験はどうしても必要になってきます。
ここでは10年としていますが、やはりある程度深みのあるソムリエになるには、経験上、最低でも5年はキャリア形成は必要だと考えています。
ソムリエのキャリア形成は、単にワインの知識やテイスティング技術を磨くだけではなく、さまざまな要因が絡む複雑なプロセスです。
そのため、長期的な視点を持ち、しっかりと目標を立てることが重要です。
特に、10年後を見据えた計画を立てることで、キャリアの方向性を明確にし、無駄なく成長していくことができます。
(もちろん、この10年というのはめやすであって、5年や3年のひともいれば、15年や20年の人もいます)
まず、キャリア初期段階では、基礎的な知識や技術を学ぶために多くの時間を費やすことが求められます。
例えば、さまざまなワインのスタイルや産地を学び、資格取得にも挑戦することで、基盤を固めます。
しかし、これらはあくまで土台に過ぎません。ソムリエとして成功するためには、ワイン以外の知識やスキルも必要です。
経営に関する知識や、お客様に対するコミュニケーション能力、さらにはマーケティングのスキルなども重要な要素となります。
10年後の目標を立てる際には、どの分野で自分を特化させるかを考えることが鍵です。
たとえば、一流のレストランで経験を積むことを目指すのか、自分のワインバーを開業するのか、またはワインの輸入や販売に携わるのか、キャリアの選択肢は多岐にわたります。
これにより、学ぶべきことや経験を積むべき領域が明確になります。
さらに、10年後を見据えることで、短期的な困難や失敗も将来の成功につながるステップとして捉えやすくなります。
キャリアの途中では、労働条件や環境が厳しいと感じることがあるかもしれませんが、成長のための経験と捉えれば、長期的な視点で冷静に判断できます。
ソムリエとしての道は長く、知識や経験を積み重ねていくプロセスです。
そのため、しっかりとした目標を持ち、10年後の自分の姿を具体的にイメージすることが、成功の鍵となります。
日々の努力がどのように将来に結びつくかを理解しながら、一歩一歩進んでいくことが、ソムリエとしての成長と成功に繋がるでしょう。
副業も一つの選択肢
転職というとプロパーの職業を変えることをイメージする人も多いと思いますが、今どきワインに携われるのは何も転職をしなくてもやれることは多いです。
そのうえで、ソムリエであればいきなり求人・転職を考えるのではなく、まずは副業から始めるのも一つの手段です。
ソムリエが給与を上げるために、副業は非常に有益な方法の一つです。
レストランやホテルなどの本業での収入は限られていることが多く、昇給のタイミングやキャリアの進展に依存する部分が大きいため、短期間で大幅な収入アップを目指すのは難しい場合があります。
そこで、副業を通じて新たな収入源を確保することが有効です。
ソムリエの持つ専門知識は、副業において大きな武器になります。
例えば、ワイン系のウェブ記事の作成を通して収入を得ることは最も再現性の高い副業でしょう。
発信力をつけ、自信のブログやSNSからアフィリエイト収入を得ることも可能です。
さらに、レストランやバー向けのワインリスト作成のコンサルティングなども副業として適しています。
これらの活動は、ソムリエの知識とスキルをさらに深化させる機会にもなり、本業にプラスの影響を与えることもあります。
特に、ワイン業界のトレンドや新しい知識を学びながら副業を進めることで、メインの仕事にも反映させることができるのは大きなメリットです。
ただし、副業をする際には、本業とのバランスをしっかりと取ることが重要です。
副業に時間を取られすぎて、本業のパフォーマンスが落ちることがないように、時間管理や体調管理にも注意が必要です。
また、本業の契約に副業が違反しないかを確認しておくことも大切です。
ソムリエの求人募集を選ぶコツ
では、ここからいよいよソムリエの求人募集を選ぶコツをご紹介します。
ここまで読んでくださったあなたであれば、いかにWBSが本音で情報発信をしているかがわかっているはずです。
あなたにとって最良の選択をするポイントをまとめますので、是非ご参考ください。
まず結論から言いますと、誰にとっても最良で、あなたにとっても最良の求人募集などないということをしっかりとおさえましょう。
あなたにとっての良い求人募集がほかの人にとっても良い求人募集かはわかりませんし、あなたにとっては良い求人であっても、ほかの人にしてみたら最悪の求人だったなんてことも少なくありません。
重要なのが、あなたにとっての良い職場とはどのような職場なのかをしっかりと定めることに尽きます。
単純に給料がいいだとか労働環境がいいところがいい職場だという人もいれば、逆に労働環境は重要ではなくて、できる限り経験が積める職場の方がいい職場だという考えの人も多いです。
ソムリエにとっての”良い職場”とは?
ソムリエは完全な専門職なので、ワインに対して強い熱意を持っていないと続きませんし、熱意がないソムリエは見ていてわかるのでいつかは退場をさせられることも多いです。
熱意がある人にとっては、目先の労働環境よりも経験ができるだったり、良い顧客が多いお店、ワインの品ぞろえが多いお店の方が価値があると考える人も少なくありません。
・憧れの先輩のいるお店
・好きなワインが多くストックされているお店
・良い顧客に恵まれているお店
・ミシュランやガイドブックで有名なお店
・食事に行ったときに雰囲気が気に入ったお店
街場のレストランのソムリエだとこういう目線で働くお店を選ぶ人も多いです。
単純な数値上であれば給与、休暇、ポジション、労働時間などのわかりやすい指標ももちろん重要です。
しかし、あなたが労働環境ばかりを追って肝心の経験が積めない環境の場合は検討が必要かもしれません。
現在は売り手市場
専門職としてのソムリエは、現在明らかな売り手市場です。
どこのお店も人手が足りないと嘆いていますし、優秀なソムリエであれば何とかしてほしいと思うのが多くの専門料理店の本音でしょう。
そのため仮に求人募集を求人サイトなどに出していなくても、お店のどこかにスタッフ募集の掲示を出しているところは多いですし、レストランでの食べ歩きが好きな方であればこの手の求人の紙を見た人は多いはずです。
また、特に求人募集は出してはいないけど、いい人がいれば採用したいと考えているお店は多いので、食事に行って気になった場合は直接「働きたい」と申し出ると案外面接してくれたなんてことも多いです。
ただし、はっきり言ってお店に常に求人の張り紙を出して、「条件は面談のうえ決めます」みたいなスタンスのところは労働条件は滅茶苦茶なところも多いです。
働く側の「好き」という気持ちを逆手にとって、長時間労働をさせたうえでソムリエとしてたいして指導もできない、というお店は多いです。
注意をして見極めるようにしましょう。
「接客スタッフ」としての採用
ソムリエとして勤務したいと思う人の中には「専任のソムリエとして勤務したい」と思う人も多いかもしれません。
しかし、旧態依然とした専任のソムリエ像はもう古いので切り離して考えたほうがいいでしょう。
世界ソムリエコンクールに出場する各国を代表するソムリエであっても、完全に専任のソムリエでない人がほとんどです。
ワインを仕入れてワインリストを作成しますが、営業時間では料理も運ぶしウエイター業務も当然にこなしています。
そのため求人募集の際にはソムリエでの求人はごくまれで、多くの場合は接客スタッフとして採用をされ、接客の中でワインサービスをすることの方が多いでしょう。
ワインだけを知っているソムリエとワインも料理も知っているソムリエでは、圧倒的に後者の方がお店に頼られます。
また、そもそも専任のソムリエを雇えるほどの飲食店は日本では稀です。
「専任のソムリエ」か「兼任のソムリエ」かについては、専任にこだわっていくと最初の間口を一気に狭めてしまいます。
採用段階での文言上のソムリエについてはいったんは目をつぶり、実際の勤務状況で確認するのがいいでしょう。
労働環境と給与体系
ここまではソムリエとしてのキャリアアップについての解説ですが、求人募集であれば当然給与体系や労働環境も重要です。
経験さえつめれば目の前の条件はどうでもいいという人もいますが、それでも少数派でしょう。
ほとんどの人はやりがいとか経験が積めるとかのソフト面と、給与体系や労働環境などのハード面で判断をするはずです。
給与体系については別の記事に委ねますが、おおむね300万円~600万円が年収のボリュームゾーンになります。
資格を取ってすぐの場合やソムリエとしての経験が浅い場合はこの下限に近い給与になりますし、逆にソムリエ兼支配人のような経営者側に近いと上限を超えることもあると思います。
ただし、上限に近い年収の求人募集はすくなく、そもそも引き抜きや業界の人間関係で決まるところも多いです。
そのため支配人クラスの求人となると求人募集には出てこないのが普通です。
休暇・勤務時間
飲食店は休暇についてはかなりずさんなところも多いです。
週休1日のところもいまだに多いですし、ランチとディナーの両方を営業しているところであれば、交代制でない場合一日12時間以上拘束されることもあるかもしれません。
ミシュランに掲載されているお店であっても本当の意味で休暇や勤務時間を管理できているところは少ないのが現実かもしれません。
そのため、あなたが休暇や勤務時間などの労働環境を優先させる場合は、複数店舗を経営する比較的大型の企業や、あるいはホテルの求人募集を検討するのがいいでしょう。
ただし、これらの企業は一年ごとの契約更新をする労働契約のところも多く、将来の安定性ということを考えるとやはり完全に安心というわけにはいかないようです。
顧客の質
ソムリエのキャリア形成を考える際、そのお店の顧客層は非常に重要な要素の一つです。
特に、ワインに造詣が深い顧客に恵まれた環境で働くことは、ソムリエとしての成長に大きく寄与します。
ワインを深く理解し、興味を持っているお客様は、ソムリエの知識を試される場面が多く、より高度な知識や提案力が求められます。
こうした顧客との対話は、ソムリエ自身の知識や理解を深めるだけでなく、ワインに対する新たな視点や考え方を学ぶ機会にもなります。
また、ワインに精通したお客様は、希少なヴィンテージや高級ワインをオーダーする機会も多いため、ソムリエとして多様なワインに触れることができる点でも大きなメリットがあります。
実際にそのようなワインをサーブし、顧客のリアクションを見ながら提供する経験は、理論やテキストでは学べない実践的なスキルを養うのに最適です。
さらに、ワインに詳しいお客様とのやり取りは、コミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルの向上にもつながります。
顧客が期待する以上の知識を提供し、満足感を与えることで、信頼関係を築きやすくなりますし、リピーターを生む可能性も高まります。
こうした経験を積むことで、ソムリエとしての評判も上がり、次なるキャリアステップにも大いに役立つでしょう。
そのため、ソムリエがキャリア形成を検討する際には、単にお店のワインリストや待遇だけでなく、顧客層にも注目することが重要です。
顧客がワインに精通している環境では、日々の仕事がより挑戦的で刺激的になりますし、他の職場では得られない貴重な経験を積むことができる可能性が高いです。
そうした環境での経験は、ソムリエとしての知識や技術を一層高め、キャリア全体において大きな財産となるでしょう。
ソムリエのキャリア形成は長くなりがち
ソムリエのキャリア形成は、他の職業に比べて長くかかる傾向があります。
それは、単に知識や技術を身につけるだけではなく、深い経験と感覚の習得が求められるためです。
そのため、特にキャリア形成の初期のころは最低でも3年は安心して働ける環境を選ぶことをお勧めします。
ワインの世界は非常に幅広く、ソムリエはワインの産地やブドウの品種、気候やヴィンテージの影響など、膨大な知識を持たなければなりません。
これに加えて、料理とのペアリング、ワインの適切な提供方法、さらには顧客のニーズに合わせた提案力も求められます。
これらの知識やスキルは、単なる暗記や技術的な訓練だけで身につくものではなく、実際に多くのワインを試し、経験を積むことでしか習得できません。
また、資格の取得やテイスティング技術の向上には時間がかかり、ワインの世界は絶えず進化しているため、ソムリエは常に新しい知識を学び続ける必要があります。
このように、ソムリエのキャリアは、単なる「小手先の技術」ではなく、経験の積み重ねと知識の深さが求められるため、他の職業よりも長い道のりを要するのです。
「そのお店が好き」「その人が好き」の動機は要注意
ソムリエが働くお店を選ぶ際、「そのお店が好き」「その人が好き」という気持ちは確かに重要ですが、同時に注意が必要です。
情熱や愛着に基づく選択は、働くモチベーションを高める一方で、雇用側がその気持ちを利用し、適正な労働条件を提供しない「やる気詐欺」に陥る可能性もあります。
特に飲食業界では、ソムリエとしての熱意や店舗への愛着が強すぎるがゆえに、過剰な労働や低賃金を受け入れてしまうケースも残念ですが見られるのも実態です。
最悪な場合、雇用主が、従業員の「この店で働きたい」という気持ちに付け込み、正当な待遇を提供しないこともあり、ソムリエとしてのキャリアやモチベーションに悪影響を及ぼすことがあります。
オープンコンテンツでは言いづらいですが、雇用条件や職場環境について冷静に判断し、情熱だけでなく、実際の労働環境や条件が適正であるかをしっかり確認することが重要です。
「好き」という気持ちに流されず、自分の権利を守る視点を持つことが、長期的なキャリア形成につながります。
労働条件にこだわりすぎることのデメリット
矛盾しますが、ソムリエとしてのキャリア形成において、労働条件に厳しくこだわることも重要ですが、キャリアの初期段階ではある程度条件に目をつぶり、知識や経験を積むことが将来的に有利になることもあります。
特に、経験が浅いうちは、条件が完璧でない職場でも、多様なワインに触れたり、優れた上司や同僚から学べる環境であれば、キャリア形成において貴重な経験を得られることがあるのです。
もちろん、労働環境が極端に悪い場合や、長期的に不利益を被るような状況は避けるべきですが、キャリアの目的に合わせて、どの程度の妥協が許容できるか、自分の基準を柔軟に設定することも大切です。
最初の数年で得た経験や人脈は、後のキャリアを大きく左右する可能性があり、ソムリエとしての成長を加速させる力になります。
したがって、短期的には労働条件の一部に目をつぶる場面があったとしても、自分のキャリア目標に合った成長機会がある職場を選び、その後のステップアップにつなげることが重要です。
オーナーソムリエのお店で働くメリデメ
ソムリエのキャリア形成において、オーナーソムリエの下で働くことは、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
まず、メリットとして最も大きいのは、経験豊富なオーナーソムリエから直接学ぶ機会が得られることです。
オーナーソムリエは長年の経験と知識を持ち、ワインの選定やお客様への提案方法、ビジネス経営に関する実践的なスキルを持っています。
このような環境で働くことで、自身のスキルを磨き、将来的に独立する際に役立つ知識を得ることができるでしょう。
また、オーナーソムリエはワイン業界での豊富な人脈を持っていることが多く、こうしたつながりを活用することで、自身のキャリアを拡大するチャンスが増える点も魅力です。
さらに、オーナーソムリエが運営する店舗は、通常、厳選されたワインリストや高いレベルのサービスが提供されるため、そこで働くことで高い基準のサービスやワインの知識を体得できます。
お客様の期待も高いため、自然とプロフェッショナルなスキルが求められ、それがソムリエとしての成長に繋がります。
一方で、デメリットも考慮する必要があります。オーナーソムリエの強い個性やこだわりが、働く環境に大きな影響を与えることがあります。
例えば、オーナーの方針やワインの選定基準が非常に厳しく、自由な意見や提案が受け入れられにくい場合、働く側が自身のアイデアや個性を発揮しにくくなる可能性があります。
また、オーナーソムリエが店舗経営に非常に忙しく、直接的な指導の時間が限られる場合もあるため、思うように学ぶ機会が得られないこともあるでしょう。
さらに、オーナーソムリエの店舗で働くと、その店舗のブランドイメージやスタイルに強く影響されるため、自分自身のキャリア形成において柔軟性が損なわれる可能性もあります。
特定のスタイルや哲学に染まりすぎると、別の店舗や環境での適応力が低下することが懸念されます。
総じて、オーナーソムリエの下で働くことは、ソムリエとしての知識やスキルを磨く絶好の機会を提供する一方で、自身のキャリア形成においては、個人の成長や自由度が制約されるリスクも伴います。
そのため、自身のキャリアビジョンや働く環境のバランスを考えながら、適切な職場を選ぶことが重要です。
ここについてはかなりレアケースな場合ですので、該当する場合にご参考ください。
まとめ
いかがでしょうか。ここまででソムリエの求人募集についてできる限り本音で、丁寧に解説をしました。
結論を言うとソムリエは接客業ですし、レストランでのソムリエは重労働で、かつ給与も決して高収入というわけではありません。
ソムリエコンクールで活躍するようなソムリエも給与面ではほかの職業に比べるとどうしても低く抑えられがちです。
ただし、お店の経営者側に近い、支配人兼ソムリエのような立場の場合は給与も高く、かつ権威性もあるため、副業としてワインスクールの講師を務めたり、メディアなどで活躍をする人も多いです。
求人募集を探す目的はもちろん人それぞれですが、やみくもに給与も労働条件も良くて、かつ、経験も積めるような職場は本当にすくないのが現状です。
そういうお店やホテルは人気なので求人募集が出ていないものですし、業界の人間関係で決まってしまうことも多いです。
今回の記事ではかなり本音で書きましたし、経営者側の人であればカチンとくることもあったと思います。
ただし、もしあなたが従業員にきつい労働をさせておいて、労働者の「この職業が好きだから」「お店のことが好きだから」という気持ちを少しでも利用しているのであれば、考えを改めてください。
もうそういう時代ではないですし、やる気詐欺は必ず破綻をします。
店主のエゴでやっているお店では働いている人も不幸ですから、そちら側に寄り添う気はありません。
現在は人手不足のため、労働者側がお店を選べる時代ですが、それでも労働者側は経験が足りなく、お店側に利用されることも多いです。
労働者であるあなた自身が賢くなり、ワインや料理の知見を深めて早く売り手市場のプレイヤーになってください。
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