【最終更新日】2023年3月1日
ソムリエ試験、ワインエキスパート試験に合格をすると、次のステップアップとして職場を変えようとアクションを起こす人も多いと思います。
・もっとグレードの高いお店で修業したい
・海外での勤務を視野に入れたい
・もっと勉強できる環境で勤務したい
・今の職場の環境がよくないので、最低でもましな職場に転職したい
求人を探す、転職をする人の目的や動機は様々だと思いますが、おおむねこれらの理由から転職を考えている場合が多いのかもしれません。
ソムリエの場合、特に地方だと情報が極端に少ないため経験を積むにしても限界がある場合も多いです。
これは仕方がないことでもありますが、勤務する周囲のソムリエに情報が少ないこともありますし、ワインが好きなお客様が少ないため経験をする機会がそもそも少ないことも挙げられます。
これらを総合的に検討して転職をしたい。こういう場合に求人を探すこともあると思います。
今回は実際にあなたがソムリエやワインエキスパート試験に合格し、または既にある程度の経験を積んだ場合に転職を考え、求人を探すときのポイントをご紹介します。
僕は20代後半から40代まで実際に飲食店を経営していたことがありますし、求人をする方の心理も探す方の心理もわかっています。
あなたが求人を探すときに、働きたい、経験を積みたいと思うことは自由ですが、採用する側は決して良心ばかりではありません。
そのためあなたが純粋な気持ちで求人を探しても、最悪な場合その純粋さを逆手にとって利用されることも考えられます。
WBSはうそを言わない、思っていることに逆らってまで情報を発信しないということを大事にしています。
あなたの転職、求人のお役に立てるようできる限り丁寧に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
Contents
【ソムリエの求人】転職のアクションを起こす前に必ず押さえるポイント
世の中いい人ばかりじゃない

これはいきなりショッキングな言葉で申し訳ないのですが、ほぼほぼ事実だと思うので思い切って最初に解説をします。
もちろんできる限り従業員の労働環境に配慮をしている飲食店経営者は多いですし、だれでもできれば労働環境も良くしたいと思っているはずです。
ですが、それでもほかの業界に比べると飲食店の労働時間は長く、かつ給与は少ない傾向にあります。法定労働時間を超えて労働させているところは山ほどあるはずです。
事情があることは僕も経験者なので十分にわかりますが、気を使ってばかりでは話が先に進みませんので、申し訳ありませんがいきなり本質に迫ることを書きます。
根本的に求人をする側と求人をされる側では利益は相反します。
求人をする側(労働者側)は
・良い職場で経験を積みたい
・将来のステップアップにつなげたい
・できる限り給料は高くもらいたい
・休暇などの勤務体系はできる限り良いところがいい
これらの本音を抱えています。当たり前の心理でしょう。
では、これをこのまま求人をする側はすべて叶えるように本音で思っているか?当たり前ですがそんなことはありません。
求人をする側(雇用側)の心理は
・良い社員だった場合、できる限り長く働かせたい
・給料は文句が出ない範囲で低く抑えたい
・本当に良い社員の場合、簡単にほかの職場にステップアップされると困る
・無茶なスケジュールでも頑張ってくれる人のほうが雇いやすい
これらの本音を抱えています。
もちろんこれらがすべての雇用側の本音ではないかもしれませんが、大なり小なり似たようなものがあるはずです。
「なんて意地悪な書き方をするんだ」こう思った人もいるはずですが、納得できる部分もあるはずです。
今時どこの飲食店も生き残りに必死なので、従業員の側の本音に全振りで寄り添っていたら生き残れません。
飲食店は利益率が少ないためちょっとの経費支出で赤字になることも普通にあり得ます。
だから求人をする側には「うちは人がすべてだから」と言っておきながら裏ではしっかりとそろばんをはじいているのです。
飲食店経営者にはカチンとくる人もいるかもしれませんが、カチンとくるということは図星だということです。
労働者側の無知に付け込んで無茶な雇用をするのはもうやめましょう。
世の中悪い人ばかりでもない
このように経営者と労働者の利益は相反するものですが、ただし完全に相反するかと言われればそうでもありません。
労働者が気持ちよく働けて、かつ、頑張って売り上げに貢献してくれたらお店の利益に直結するし、会社のメリットは計り知れません。
ここで95%の経営者は経営者側の理屈をこねくり回し、労働者が生んだ利益をできる限り経営側に大きなものにするように頭を使います。
しかし、中には労働者の側に寄り添う人もいるところにはいます。ただし全体の5%というところでしょうか。
5%の経営者はあなたの思いに積極的に答えようとして実際に行動する人もいます。
あなたが当初の予想以上に頑張ってくれたとしましょう。
すると給与をアップしてくれるかもしれませんし、労働条件をより良いものにしてくれるかもしれませんし、ステップアップをするべく転職をするときに背中を押してくれるかもしれません。
途中で事情が変わる可能性もある
少し気の早いことかもしれませんが、仮にあなたが求人に募集をして採用され、転職できたとしましょう。
ですが、転職後に様々な事情が変わることも当然予想できます。
・会社の業績が急激に変わり、労働条件も変わってしまう
・予想以上にあなたが働けないため、会社の態度が変わる
・予想以上にあなたが働けるため、会社の態度が変わる
このくらいは当然予想できるもので、あなた自身の貢献度によって会社の態度も当然変わってきますし、もちろんあなた自身も転職後に態度が変わる可能性もあるはずです。
何がいいたいかというと、求人募集の時は会社も転職者も最大限のいいところをアピールしますが、転職後は徐々に本音が出てくるものだし、そこは労働者側が賢くなろうよということです。
ソムリエの求人募集を選ぶコツ
では、ここからいよいよソムリエの求人募集を選ぶコツをご紹介します。
ここまで読んでくださったあなたであれば、いかにWBSが本音で情報発信をしているかがわかっているはずです。
あなたにとって最良の選択をするポイントをまとめますので、是非ご参考ください。
まず結論から言いますと、誰にとっても最良で、あなたにとっても最良の求人募集などないということをしっかりとおさえましょう。
あなたにとっての良い求人募集がほかの人にとっても良い求人募集かはわかりませんし、あなたにとっては良い求人であっても、ほかの人にしてみたら最悪の求人だったなんてことも少なくありません。
重要なのが、あなたにとっての良い職場とはどのような職場なのかをしっかりと定めることに尽きます。
単純に給料がいいだとか労働環境がいいところがいい職場だという人もいれば、逆に労働環境は重要ではなくて、できる限り経験が積める職場の方がいい職場だという考えの人も多いです。
ソムリエにとっての良い職場とは?
ソムリエは完全な専門職なので、ワインに対して強い熱意を持っていないと続きませんし、熱意がないソムリエは見ていてわかるのでいつかは退場をさせられることも多いです。
熱意がある人にとっては、目先の労働環境よりも経験ができるだったり、良い顧客が多いお店、ワインの品ぞろえが多いお店の方が価値があると考える人も少なくありません。
・憧れの先輩のいるお店
・好きなワインが多くストックされているお店
・良い顧客に恵まれているお店
・ミシュランやガイドブックで有名なお店
・食事に行ったときに雰囲気が気に入ったお店
街場のレストランのソムリエだとこういう目線で働くお店を選ぶ人も多いです。
単純な数値上であれば給与、休暇、ポジション、労働時間などのわかりやすい指標ももちろん重要です。
しかし、あなたが労働環境ばかりを追って肝心の経験が積めない環境の場合は検討が必要かもしれません。
現在は売り手市場
専門職としてのソムリエは、現在明らかな売り手市場です。
どこのお店も人手が足りないと嘆いていますし、優秀なソムリエであれば何とかしてほしいと思うのが多くの専門料理店の本音でしょう。
そのため仮に求人募集を求人サイトなどに出していなくても、お店のどこかにスタッフ募集の掲示を出しているところは多いですし、レストランでの食べ歩きが好きな方であればこの手の求人の紙を見た人は多いはずです。
また、特に求人募集は出してはいないけど、いい人がいれば採用したいと考えているお店は多いので、食事に行って気になった場合は直接「働きたい」と申し出ると案外面接してくれたなんてことも多いです。
ただし、はっきり言って求人サイトに出さないで、「条件は面談の上決めます」みたいなスタンスのところは労働条件は滅茶苦茶なところも多いです。
働く側の「好き」という気持ちを逆手にとって、長時間労働をさせたうえでソムリエとしてたいして指導もできないというお店は多いので注意をして見極めるようにしましょう。
「接客スタッフ」としての採用
ソムリエとして勤務したいと思う人の中には「専任のソムリエ」として勤務したいと思う人も多いかもしれません。
しかし、旧態依然とした専任のソムリエ像はもう古いので切り離して考えたほうがいいでしょう。
世界ソムリエコンクールに出場する各国を代表するソムリエであっても、完全に専任のソムリエでない人がほとんどです。
ワインを仕入れてワインリストを作成しますが、営業時間では料理も運ぶしウエイター業務も当然にこなしています。
そのため求人募集の際にはソムリエでの求人はごくまれで、多くの場合は接客スタッフとして採用をされ、接客の中でワインサービスをすることの方が多いでしょう。
ワインだけを知っているソムリエとワインも料理も知っているソムリエでは、圧倒的に後者の方がお店に頼られます。
採用段階での文言上のソムリエについてはいったんは目をつぶり、実際の勤務状況で確認するのがいいでしょう。
労働環境と給与体系
ここまではソムリエとしてのキャリアアップについての解説ですが、求人募集であれば当然給与体系や労働環境も重要です。
経験さえつめれば目の前の条件はどうでもいいという人もいますが、それでも少数派でしょう。
ほとんどの人はやりがいとか経験が積めるとかのソフト面と、給与体系や労働環境などのハード面で判断をするはずです。
給与体系については別の記事に委ねますが、おおむね300万円~600万円が年収のボリュームゾーンになります。
資格を取ってすぐの場合やソムリエとしての経験が浅い場合はこの下限に近い給与になりますし、逆にソムリエ兼支配人のような経営者側に近いと上限を超えることもあると思います。
ただし、上限に近い年収の求人募集はすくなく、そもそも引き抜きや業界の人間関係で決まるところも多いです。
そのため支配人クラスの求人となると求人募集には出てこないのが普通です。
休暇・勤務時間
飲食店は休暇についてはかなりずさんなところも多いです。
週休1日のところもいまだに多いですし、ランチとディナーの両方を営業しているところであれば、交代制でない場合一日12時間以上拘束されることもあるかもしれません。
ミシュランに掲載されているお店であっても本当の意味で休暇や勤務時間を管理できているところは少ないのが現実かもしれません。
そのため、あなたが休暇や勤務時間などの労働環境を優先させる場合は、複数店舗を経営する比較的大型の企業や、あるいはホテルの求人募集を検討するのがいいでしょう。
ただし、これらの企業は一年ごとの契約更新をする労働契約のところも多く、将来の安定性ということを考えるとやはり完全に安心というわけにはいかないようです。
まとめ
いかがでしょうか。ここまででソムリエの求人募集についてできる限り本音で、丁寧に解説をしました。
結論を言うとソムリエは接客業ですし、レストランでのソムリエは重労働で、かつ給与も決して高収入というわけではありません。
ソムリエコンクールで活躍するようなソムリエも給与面ではほかの職業に比べるとどうしても低く抑えられがちです。
ただし、お店の経営者側に近い、支配人兼ソムリエのような立場の場合は給与も高く、かつ権威性もあるため、副業としてワインスクールの講師を務めたり、メディアなどで活躍をする人も多いです。
求人募集を探す目的はもちろん人それぞれですが、やみくもに給与も労働条件も良くて、かつ、経験も積めるような職場は本当にすくないのが現状です。
そういうお店やホテルは人気なので求人募集が出ていないものですし、業界の人間関係で決まってしまうことも多いです。
今回の記事ではかなり本音で書きましたし、経営者側の人であればカチンとくることもあったと思います。
ただし、もしあなたが従業員にきつい労働をさせておいて、労働者の「この職業が好きだから」「お店のことが好きだから」という気持ちを少しでも利用しているのであれば、考えを改めてください。
もうそういう時代ではないですし、やる気詐欺は必ず破綻をします。
店主のエゴでやっているお店では働いている人も不幸ですから、そちら側に寄り添う気はありません。
現在は人手不足のため、労働者側がお店を選べる時代ですが、それでも労働者側は経験が足りなく、お店側に利用されることも多いです。
労働者であるあなた自身が賢くなり、ワインや料理の知見を深めて早く売り手市場のプレイヤーになってください。
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