【最終更新日】2025年4月18日
ワイン愛好家なら一度は耳にしたことがある、世界的に有名なブドウ品種「ピノ・ノワール」。
繊細な香りとエレガントな味わいで知られるこの品種ですが、実は一言でピノ・ノワールといっても、そのスタイルには大きな違いがあることをご存じでしょうか?
本記事では、ピノ・ノワールを代表する3つのタイプ――「コート・ド・ニュイ型」「コート・ド・ボーヌ型」、そして「コールドソークによる濃い系ピノ」――に分類して、その違いや背景を解説していきます。
19世紀にはボーヌ地区のヴォルネイやポマールがスターだったものの、20世紀に入り、ジュヴレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネといったコート・ド・ニュイのワインが世界的な評価を高めた歴史にも触れながら、各スタイルの個性に迫ります。
ピノ・ノワール好きの方はもちろん、「これからもっとワインを知りたい!」という方にも役立つ内容になっています。
あなたはどのタイプのピノ・ノワールに魅力を感じるでしょうか?
ぜひ最後までお読みください!
【動画でも解説しています】
目次
【ピノ・ノワール分類講座】ピノは一つじゃない!代表的な3スタイル、あなたはどれ派?
ピノノワールとは?
ピノ・ノワールは、フランス・ブルゴーニュ地方を原産とする黒ブドウ品種で、世界中のワイン愛好家に愛され続けています。
その最大の魅力は、繊細な果実味とエレガントな香り、そして透明感のある味わいにあります。
果皮が非常に薄く、色素やタンニンの量も少ないため、ワインの色調は比較的淡く、軽やかなスタイルになることが特徴です。
しかしその反面、栽培には非常に手間がかかり、天候や土壌条件に敏感に反応するため、テロワール(産地の個性)がワインに強く現れます。
同じピノ・ノワールでも産地や造り手によって味わいが大きく異なるのはそのためです。
歴史的には、ブルゴーニュ地方のコート・ド・ボーヌ地区のヴォルネイやポマールが評価を集めていましたが、20世紀に入り、より果実味豊かで華やかなコート・ド・ニュイ地区のワインが国際的な評価を高めました。
近年では、アメリカ・カリフォルニア州やニュージーランドなど、世界各地で個性的なピノ・ノワールが生産されています。
その奥深さと多様性が、ピノ・ノワールを「ワインラヴァーを虜にする品種」と言わしめる理由です。
ではここから、わかりやすくざっくりと3つのピノノワールの分類を見て見たいと思います。
それがコートドニュイ型、コートドボーヌ型、コールドソークによる濃い型、です。
コート・ド・ニュイ型ピノ・ノワール
コート・ド・ニュイ地区のピノ・ノワールは、豊かな果実味と華やかな香りが魅力です。
赤系果実や花のアロマが広がり、口当たりも柔らかく、親しみやすい印象を与えます。
19世紀後半以降、特にジュヴレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネといった銘醸地が世界的評価を確立。
洗練されたエレガンスを持ちながら、しっかりとした果実感を楽しめるスタイルです。
コート・ド・ボーヌ型ピノ・ノワール
コート・ド・ボーヌ地区のピノ・ノワールは、ややタンニンが強めで、素朴かつクラシックな印象を持っています。
赤系果実に加え、土っぽさやスパイス感も感じられ、複雑味に富んだスタイルです。
ヴォルネイやポマールといった村は、かつてブルゴーニュを代表するワイン産地でした。
繊細ながらもしっかりとした骨格があり、食事との相性も抜群です。
コールドソークによる濃い系ピノ・ノワール
コールドソークとは、発酵前に果皮と果汁を低温で漬け込む技法で、色素や香りを豊かに抽出します。
この技術により、ピノ・ノワールでも濃い色調と凝縮感のある果実味を持ったワインが生まれます。
カリフォルニアやニュージーランドなど、ニューワールドを中心に普及しました。
分かりやすい濃厚さを求める市場ニーズに応えたスタイルですが、繊細なピノ本来の魅力とは異なる側面も持ちます。
コールドソークの賛否
コールドソークは、発酵前にブドウ果皮と果汁を低温で接触させることで、色素や香り成分を穏やかに抽出する技法です。
この手法には賛否があり、現在でも生産者の間で意見が分かれています。
賛成派は、コールドソークによってピノ・ノワールの色調がより鮮やかになり、果実味が豊かに表現できる点を評価します。
特にニューワールドでは、市場が求める「濃い色」「インパクトのある果実味」を実現できるため、積極的に取り入れられてきました。
また、発酵による過度なタンニン抽出を抑えられるため、より滑らかな口当たりを得やすいというメリットもあります。
一方、反対派は、コールドソークによってピノ・ノワール本来の繊細さや透明感が損なわれると指摘します。
特に伝統的なブルゴーニュの生産者たちは、自然な抽出と熟成のプロセスを重視し、過度な技術介入を避けるべきだと考えています。
ピノ・ノワールの魅力は「淡い色でも深い味わいがある」という点にあり、それを失うことへの懸念があるのです。
このように、コールドソークは効果的な技法である一方、ピノ・ノワールのスタイルや哲学によって評価が大きく異なる手法といえるでしょう。
まとめ:気分やペアリングでそれぞれのピノノワールを楽しんで
ピノ・ノワールは、産地や醸造スタイルによってまったく異なる表情を見せる、奥深い品種です。
果実味豊かで親しみやすいコート・ド・ニュイ型、クラシックで骨太なコート・ド・ボーヌ型、濃厚な果実感が楽しめるコールドソーク系――その日の気分やシーンに合わせて選ぶ楽しさがあります。
例えば、軽やかに飲みたい日にはニュイ型を、しっかりとした食事に合わせたいならボーヌ型を。
濃い味わいを求めるなら、コールドソークの濃いピノを選ぶのもいいでしょう。
一つのスタイルにこだわらず、ぜひさまざまなピノ・ノワールを飲み比べて、自分のお気に入りを見つけてみてください。
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