2023年度ワインエキスパートエクセレンス合格体験記② yokoyamaさん

2023年度ワインエキスパートエクセレンスの試験に見事一発でストレート合格をしたyokoyamaさんの体験談です。

貴重なお時間を割いていただき、かなり具体的な学習方法を共有してくださいました。

ワインエキスパートエクセレンスはもちろん、ソムリエエクセレンス試験にもお役に立てる内容です。

 

特に筆記試験の学習方法については他ではないほど詳細にご紹介いただいています。

この場をお借りしましてお礼申し上げます。ありがとうございました。

2024年度以降受験される方はできればしっかりとお読みいただき、ご自身の学習の参考にしてください。

 

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【エクセレンス試験合格体験記】

 


 

2023年度ワインエキスパートエクセレンス試験合格体験記 yokoyamaさん

私は2018年にエキスパートの一般呼称を取得し、本年、ストレートでエクセレンス試験をパスすることが出来ました。この経験を踏まえて、私が採用していた勉強方法などについて簡単にご紹介させていただきます。

なお、エクセレンス試験では筆記試験が最大の難関と言われていますため、筆記試験対策についての記載が多くなることをご了解ください。

 

1 勉強の開始時期など

最大の難関と言われている筆記試験の通過率は20%台程度です。

私は半年や1年の勉強で合格する自信がありませんでしたので、前年度のフォローアップセミナー(以下、「FU」といいます)の頃から勉強を開始していました。

具体的には色分けしながらの教本読み、WBS等でのエクセレンス講座の受講、練習問題等を素材とした単語カード作り、FUセミナーの受講です。

ある試験の分析で、正答率80%の問題を全て正答出来れば、上位20%に入れるというものがありました。

この分析が正しいとすれば、80%以上の受験生が正答する問題を漏れなく正解していけば、余裕を持って合格圏内に入れることになりますので、あまりに細かいところには入り込まず、基本的(と思われる)ところをきちんと押さえていくことを意識していました。

 

2 筆記試験について

① 学習計画

試験勉強を効率的に進めるポイントの1つに学習計画があります。

私は、いわゆるエビングハウス忘却曲線の考え方を踏まえて学習計画を立てていました。

具体的には、1日の枠を1回目・2回目・3回目という3段組に分けたカレンダーに、やるべき課題を書き込んだ付箋を貼り付けるという方法です。

エビングハウス忘却曲線では、学習の翌日と1週間後に復習することで記憶がリカバリーし、次第に長期記憶に移行するとされていますので、例えば、12月13日にワイン概論前半を学習した場合には、12月14日と20日にワイン概論前半の復習に取り組む、12月14日にチリを学習した場合には、12月15日と12月21日にチリの復習に取り組む、というものです。

その上で終わった課題の付箋には目立つ色で済マークを付けました。

この済マークが増えることで学習のモチベーションが維持されました。

 

なお、学習計画は仕事の都合等で予定どおりに進まないことがあります。

ですので、例えば土曜日の半分は負債の集中返済日として軽めの予定にしておく、といった工夫もしていました。

また、最後の1ヶ月くらいは試験日からの逆算で予定を組むようにしました。

例えば、試験当日の朝に見返せる単語カードは2綴り(勉強時間2時間相当)として、その前日(日曜日)は12時間勉強できるので、12綴り分のカードを見返して、不安要素になる2綴り分を絞り出す勉強をする、さらに、その前の2週間では、作ったカードを全て見直し、長期記憶に入っているもの(=前日、前々日に見直さなくても回答できるもの)は除外して12綴りに絞る、さらに、その前の1週間では・・・というものです。

 

② 暗記の方法

私は、暗記のための素材として、単語カード、地図カード、まとめシートを作っていました。

ⅰ 単語カード

筆記試験では、体系的な知識や理解よりも、単発的な知識の問題が 多いので、細切れにしたカード学習が向いていると考えて、単語カードを採用しました。

ノートを作るという方法も考えましたが、ノートはページ内での情報の差し込みや順序の入れ替え、直前期に必要部分にフォーカスした抜き出し、Q&A方式での反復が出来ないところが弱点だと思います。

他方、地図との一元化や複数の情報の一覧、比較が出来るという強みがあります。

また、カードについてはスマホのアプリを利用したデジタルカードもありますが、何となく紙の方がしっくりくると思い、紙形式を採用しました。

ここは、皆さんの好みで選択されればよいと思います。

 

単語カードに載せる問題のソースは、各スクールの問題や市販の問題集のほか、自分で教本から作ったり、勉強会での出題内容等です。

もちろんFUの内容については、かなり細かいところまでカードに反映させました。

また、教本のページ数が少ない国については、確実に点を取るために、やや細かめの情報までカードに載せました

 

単語カードを作る際に意識したことの1つに、問題を双方向で作るということがあります。

例えば、スペインのVi de Fincaについてのカードを作る際に、「表:○○とは何ですか・裏:Vi de Finca」というカードだけではなく、「表:Vi de Fincaについて説明せよ・裏:○○」)というカードを作るということです。

筆記試験では説明を求める問題も出題されますので、このような形式のカードは有用だったと感じています。

 

ⅱ 地図カード

筆記試験では、教本掲載の地図に記載されているサブリージョンを複数解答させる問題も出ていましたので、教本掲載の地図を少し大きめのカードに落とし込み、表が地図、裏に産地名が記載されたカードも作っていました。

単語カードに入れ込める地図は基本的に単語カード、サイズ的に無理なものは地図カードという区分けにしていましたが、素材の一元化という観点からは、単語カードのサイズをやや大きめにして、地図も載せられる形式にしたほうがよかったかもしれません。

 

ⅲ まとめシート

塊(チャンク)で覚えたり、比較した方が覚えやすい情報等については、A5サイズのまとめシートを作って覚えていました。

例えば、アルザスの例外グランクリュと例外地理的表示、フランスで広域AOC~中域AOC~地理的表示付記で最大収量が変わるものの対比、東欧諸国の比較、病虫害一覧、MGA一覧、Priorato,Bierzoの新格付比較等です。

 

ⅳ 実際の学習方法

上記の素材をコツコツと繰り返して覚えることに尽きます。

歩きながらぶつぶつとつぶやいたり、書ける環境にあるときはノートに書きながら覚えました。

その際、筆記試験は書く試験なので、正確な発音よりも書けるようにすることを意識して覚えていました。

例えば、Pignolettoはピグノレット、coignetiaeはコイグネティアエ、Satsnakheli:サツナクヘリといった感じです。

 

1回目に覚える労力は10ですが、悲しいことにすぐに忘れます。

2回目に覚える労力は6になりますが、やっぱりしばらく経つと忘れます。

3回目に覚える労力は2です。少し経つと忘れるものもありますが、ここまでやると長期記憶化する情報が出てきて、忘れないようになります。

時間が経って忘れた場合でも、1以下の労力で瞬時に思い出して、短期記憶に放り込めます。

 

最後は試験前日に確認して、短期記憶の箱に入れておけば、翌日までは覚えているので大丈夫です。

勉強時間の確保ですが、仕事をしている人間にとっては、細切れのスキマ時間をいかに積み重ねるかが重要だと思います。

私は、職場への25分の通勤・帰宅途中、休憩時間のうちの30分、仕事での移動中などを勉強時間として確保しました。

また、帰宅後にも1時間書くことで、1日に2時間ほど勉強できます。また土日は休憩を入れつつも9時間は学習できます。

このペースで勉強を続ければ、全く勉強できない日が数日あっても月に110時間、半年続ければ660時間、1年やれば1320時間の勉強時間が確保できます。この勉強時間は、やや難易度が高い国家試験の必要勉強時間に相当します。

 

③ 筆記試験の結果

試験前日までに、かなりの量の単語カードと暗記に使ったノートが積み上がりました。

勉強した量は自信と余裕に繋がります。実際の試験では、冒頭で正確に答えられない問題があって軽く焦りましたが、あれだけやったんだから、この後には答えられる問題もたくさん出てくるだろうという余裕があり、パニックにはなりませんでした。

筆記試験の自己採点は50~60点くらいで、無事に合格していました。

 

 

2 テイスティング試験について

筆記試験終了後は脱力感もありましたが、合格している可能性がありましたので、数日後からテイスティングの準備を始めました。

具体的には、ワインのパターン別のフルコメントの作成と、その暗記です。

スクールの資料や市販の本では代表的な品種ごとのフルコメントが載っていますが、私は品種の判別に自信がなかったことや、試験までの時間的余裕がなかったことから、白4種類(あっさり白、こってり白、セミアロマティック白、アロマティック白)、赤4種類(淡い赤、濃い赤、熟成赤、若々しい赤)、ロゼ1種類、オレンジ1種類、泡1種類、FUでの4種類を用意して、これを記憶・ブラッシュアップして行く作業を繰り返しました。

暗記の際には、筆記試験とは異なって、採点者がコメントの順序として想定し、読みやすい流れのある文章として覚えることを意識し、無料の文章読み上げアプリでコメントの記載内容を音声データに変換し、これを通勤・帰宅の際に聞いていました。

WBSのテイスティング対策は、毎日、課題のワインの情報(外観写真と品種・銘柄等)が送られてきますので、それを見て制限時間内にフルコメント等を紙に書き(いわゆるエアーテイスティング)、答案を写真で送り、評価コメントをもらうという形でした。

一般的なコメントの指導ではなく、実際に自分が書いたコメントに沿って指導してもらえるという方法は具体的で良いなと思いました。

また、フルコメントの他にも、料理とのペアリング、楽しむシチュエーション、ワインの製法といった実際の出題形式に沿った課題を数多く頂くことが出来て、非常に実戦的でした。

フルコメントは、最初は10分という時間内に書き切ることはかなり大変でしたが、試験当日は、若干の余裕をもって、時間内に最後まで書き切ることが出来ました。

幸い、国・アペレーション・品種も3つ正解しており、無事に通過できました。

 

私はテイスティングに強い苦手意識があり、落ちるとすればここだろうと思っていました。

しかしながら、筆記試験終了後から、協会が求めるコメントのフォームを身につけた上で、エアーテイスティングと手で書くというトレーニングを重ねることで必ず通過できる試験だと感じました。

 

 

3 論述試験について

論述試験はテイスティング試験の直後に実施されますので、テイスティング試験と並行して準備する必要があります。

私は、過去2年分の協会誌と、市販の問題集に掲載されている予想問題に目を通したほか、WBSの論述対策でトレーニングをしました。

これはテイスティングと同様に、毎日送られてくる論述のテーマについて、実際に時間を計って答案を作成し、それを写真に撮って送信して、評価のコメントをもらうという形です。

やはり自分の答案に沿ってコメントを頂けるという点は非常に有用でした。

 

最終的には、80テーマほどの答案骨子を用意して試験に臨むことになりました。

なお、実際の試験では、字数制限の有無、制限がある場合の字数を正確に予想することが出来ません。

そのため、私は字数にはあまり拘らず、答案のキーワードを覚えることに注力し、あとは現場で調整するという方針で試験に臨みました。

 

4 受験を終えて

過去問を見ると、一般呼称のレベルとは段違いに難しい問題で、ひるむかもしれません。

しかしながら、特別な能力は必要なく、教本やFUの内容を踏まえて、地道にコツコツと努力を続けることで必ずクリア出来る試験です。

私の体験が少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。


 

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