【最終更新日】2020年12月6日
9月25日に2017年度のソムリエ試験の二次試験が行われました。
テイスティングの銘柄は以下の通りです。
(スマホの場合は横にスクロールします)
番号 | 収穫年 | 生産地 | 主なぶどう品種 | 難易度 |
---|---|---|---|---|
1 | 2016年 | 日本 | 甲州 | 3 |
2 | 2014年 | オーストラリア | カベルネソーヴィニヨン | 1 |
3 | 2014年 | イタリア | サンジョベーゼ | 4 |
4 | オー・ドゥ・ヴィー・ド・キルシュ 難易度3 | |||
5 | ドランブイ 難易度3 |
この銘柄を見て「結構厳しい内容だなあ」と思った人は多いと思います。
ただし、後述しますが難易度の高低に関しては相対試験ですので気にしても関係ありません。
出題者側は様々な思惑があって難易度を決定しますので、受験者側ではどうすることもできませんのでここは大きく構えていましょう。
まずは、出題銘柄を一つ一つ検討してみましょう。
目次
2017年度のソムリエ試験のテイスティング銘柄
白ワイン 甲州2016年
甲州は日本を代表する固有品種ですが、個性に乏しく特定するのは難しかったかもしれません。
ただし、甲州はピンク系ブドウ品種と呼ばれていますのでそこが最大のヒントです。
外観が若干ピンクがかっていてそれが見定められればほぼ特定は可能です。
外観で見分けがつかないとなるとシャルドネやそのほかのニュートラル系のブドウ品種と混同してしまいます。
過去6年で甲州は出題されていませんでしたが、当サイトでも押さえておくべき銘柄として注意喚起はしていました。
ここしばらく白ワインはソーヴィニョンブランとシャルドネでほぼ特定されていました。
その流れを知っている人からすれば甲州だとは特定しづらかったと思います。
後述しますがここで自信を持てるかどうかでその後の心理状況はまるっきり変わってきます。
赤ワイン オーストラリア カベルネソーヴィニョン 2014年
赤ワインはオーストラリアのカベルネソーヴィニョンでした。
ほかのアイテムの難易度を考えるとここを正解できるかどうかが合否の分かれ道になりそうです。
カベルネソーヴィニョンの中でもオーストラリアは比較的アルコール分も高く、色調も濃くなります。
そのためここをその他の濃縮系ブドウ品種と混同した人は多かったかもしれません。
2014年に出題されてからしばらく出題されていませんでしたが、最も注意するべきブドウ品種なのでここは必ず正解するべきでしょう。
赤ワイン イタリア サンジョベーゼ 2014年
サンジョベーゼはイタリアのトスカーナを中心にほぼ全土で栽培されています。
通常のベリー系の香りに加えてスパイスやドライトマトの香りが特徴的ですが、これをほかの品種と勘違いする人は多いと思います。
実際にソムリエコンクールでもマルベックやタナ、テンプラニーリョなどと間違える人は多いです。
そのため難易度は高いとみていいでしょう。
また、ピノノワールのように色調だけでパッと特定できるような安心感がありません。
受験生とすれば精神的にきつい状況が続きます。
オードヴィードキルシュ
オードヴィードキルシュはサクランボのブランデーです。
リキュールではありませんので糖分による甘味はありません。
ただしアルコール分が高く、アルコールも甘味を想起させますので精神状態によっては混同するかもしれません。
白色なのでまずはそこで選択肢を絞ればそこまで難しくはありません。
ただし、前年までが比較的回答しやすいポートやマディラ、ジンなどでしたのでそれらの難易度を意識していた人には厳しい銘柄ともいえます。
白色でアルコール度が高く、そこで選択肢を絞ったらあとは香りで判断するしかありません。
ドランブイ
ドランブイはスコットランドのスコッチベースの蜂蜜・ハーブスパイスリキュールです。
甘味があり、スコッチウイスキーと蜂蜜の香りで特定できないと正解はできません。
リキュールは対策をしようと思うとそれこそアイテムが膨大になりますので出題する側は出題しづらいものですが、今回はリキュールでした。
糖分による甘味がありますのでブランデーではありません。
さらにスピリッツでいくと、可能性はフレーバードウオッカしかありませんが、それは考えづらいです。
さらに、VDN,VDLと比べると人工的な香りがありますので消去法でリキュールであることがわかります。
そこから選択肢を絞れば得点の確率はぐっと上がります。
全体の難易度
テイスティングで得点をするコツのページで過去のアイテムはご紹介していますが、過去6年間の中では最も難しい出題と考えて間違いないでしょう。
最初の甲州で自信をもって回答できないと、そのあとの銘柄で特定ができない状態が続き、追い詰められてしまいます。
特に3番目以降の出題でパニックになってしまうとコメントにも影響が出る可能性があります。
一つの正攻法としては、
一番目の甲州は、まずは色調から特定し、ひとまず安心し、
二番目のカベルネソーヴィニョンは今回の中で最も難易度の低いアイテムなのでここは必ず当て、
三番目のサンジョベーゼはブドウ品種は外してもコメントで得点を稼ぎ、
四番目、五番目はどちらか一つを当てる。
これが一つの合格パターンでしょう。
逆に言えば1番目と2番目を全く外してしまうと取り付く島のない状況になります。
全体像としては、コメントができていれば1アイテムを完全に当てれば合格の可能性があります。
ただし、コメントに自信がない場合は2アイテムを当てなければ難しいでしょう。
安心して合格を待てるにはコメントを外さずに、さらに2アイテムを当てるというレベルでしょうか。
難易度は気にしないほうがいい
ソムリエ試験は合格点が決まっている絶対評価の試験ではありません。
合格率によって合格点が変動する相対評価の試験ですので難化した場合もあきらめるのは早いでしょう。
もちろん今年度がいきなり絶対点を設けて合格者を絞ろうという方針であればそれは仕方ありません。
しかし、夢のない話で申し訳ありませんが、ソムリエ協会側からすれば資格試験は大事な収入源なのです。
傾向に一貫性がなくバラバラだと受験者離れが起こります。
出題者側としては、それは最も避けたいところなのです。
そのため、一定程度の合格率を保つことが予想され、
難易度が高ければ合格点は低くなり、
難易度が低ければ合格点はあがる
のが想定の流れでしょう。
テイスティングであれば、過去6年の銘柄は明らかに易化傾向にありました。
そうなると当然「ブドウ品種を当てないと合格できない」というラインが設定されます。
しかし、2017年度は難化していますので「ブドウ品種は当たらなくともコメントはしっかりしよう」というラインに落ち着くものとみていいでしょう。
出題者側はこの難易度であれば受験者が銘柄を外すことによる平均点の低下は想定内でしょう。
仮に銘柄を外してもコメントがしっかりできた人はあきらめずに結果を待ちましょう。
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