熊本県のワインの基礎知識|主な産地とワイナリー

【最終更新日】2023年4月3日

九州は雨や台風の影響を受けやすく、長年ワイン用ブドウの栽培には不向きと考えられてきました。

熊本県でも大正時代からブドウ栽培は行われていましたが、本格的なワイン造りが始まったのは1998年、ワイナリーの設立がきっかけでした。

元々、ブドウの栽培には適さないと言われていた土地で、醸造家と栽培農家の情熱でゼロから作り上げ、最高の品質を追求した結果、近年では国内外のコンクールで数々の受賞を誇る素晴らしいワインが作られるようになりました。

 

熊本県のワイン

歴史・起源


熊本県では大正時代からブドウの栽培は続いていたものの、ワイン造りの始まりは熊本県北部に位置する菊鹿町(現山鹿市)の耕作放棄地対策がきっかけでした。

1998年にシャルドネなどのワイン用ブドウの栽培がスタートし、翌年に熊本ワイン(現熊本ワインファーム)が設立されました。

 

ワイン用のブドウ栽培が行われる山鹿市を中心とした県の北部地域は、年間を通して日照量が多く、昼夜の寒暖の差があり、水はけがよいといった恵まれた気候条件の反面、梅雨の時期の降雨量や湿度、台風の影響などデメリットも多い土地でもありました。

すべてがゼロからのスタートで、雨よけや水はけを良くする工夫、土壌の改良や葡萄の仕立て方など独自の栽培方法で努力を重ね、熊本県産のブドウにこだわり、生産者と共に試行錯誤しながらワイン造りが行われてきました。

 

2004年の国産ワインコンクールにて金賞を受賞してから以降は、2009年の国際ワインコンクール「ジャパン・ワイン・チャレンジ」で「菊鹿ナイトハーベスト シャルドネ樽発酵2008」が白ワイン部門の最優秀賞を獲得するなど国内外のワインコンクールにおいて多くの受賞歴を誇っています。

特にナイトハーベストで収穫されたシャルドネは評価が高く、歴史は浅いものの、九州を代表する注目のワイン産地です。

 

ブドウ品種

菊鹿町を中心にワイン用ブドウ品種ではシャルドネが最も多く栽培されています。

収穫時期、日中の気温が高くなる事から、特別な畑に関しては深夜0時から収穫するナイトハーベストを取り入れ、ブドウの糖度と酸度をなるべく良い状態で収穫し、まだ涼しい朝のうちから醸造し果実味を最大限に活かしたワイン造りが行われており、高い評価と人気を博しています。特に厳選されたブドウで仕込まれるワインには「小伏野(こぶしの)」や「五郎丸(ごろうまる)」などの栽培地名が付いています。

その他、赤ワイン用の品種としてはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなども栽培されています。

 

ワイン産地

ワイン用ブドウの栽培は、大分県と福岡県との県境、山鹿市と隣接する玉名市を含む県北部に集中しており、契約農家と協力しながらワインが造られています。

特にワイン畑の広がる山鹿市菊鹿地区は山間部で昼夜の寒暖差が大きく、水はけの良い砂質土壌が分布しています。

しかし台風が通り、降水量の多い九州地方では雨との戦いです。開閉式レインカット(雨よけ)の導入や畝を高くして水の通り道にはビニールシートを引き、水はけをよくするなど雨の多い地域ならではの工夫が見られます。

 

著名なワイナリー

熊本ワイナリー

創設は1999年、熊本市北区の食のテーマパーク「フードパル熊本」内に、工場見学ができる体験型ワイナリーとして誕生しました。

ギャラリーやワイン直売所も備えた複合施設です。

熊本県産ブドウにこだわり、数々の賞に輝くワインを生産しています。

主なブランドには、熊本の花々をラベルにあしらった「肥後六花シリーズ」、山鹿市菊鹿町産のブドウで造る「菊鹿シリーズ」、2017年より発売のシリーズでスパークリングワインの「ATSUシリーズ」などがあります。

 

菊鹿ワイナリー

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より地元に根ざしたワイン造りに取り組むため、山鹿市菊鹿町に2018年にオープンしたワイナリーで、グループ会社である熊本ワインファーム株式会社と山鹿市が協力しながら運営を行っています。

4.8haの広大な敷地には、シャルドネやピノ・ノワール、メルロといったワイン用ブドウが植えられている自社農園、菊鹿ワインを中心に年間3万本を生産する醸造所をはじめ、レストランやショップなど、たくさんの見所があります。

フラッグシップの菊鹿ワインは数々の賞を受賞している看板商品で、今では手に入れるのが困難なほどの人気を博しています。


 

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