【最終更新日】2022年10月9日
こんにちは。ワインブックスの前場です。
ソムリエ試験に合格してソムリエやお店のマネージャ―クラスの立場になる人は、早い人で20代、多くの場合は30代くらいでチャンスが来ることが多いでしょう。
例えば街場のレストランで接客係を務めているときに、知り合いのシェフが独立するのでそれに合わせてマネージャーをやってくれと相談されることもあると思います。
または大手レストランやホテルであっても地道に学習を続けていれば、それなりのポジションが来るチャンスもこの年代がピークだと思います。
チャンスが来るのは当たり前ですがあなたの頑張りが評価されたからであって、日々の接客や学習態度が見込まれて声がかかることがほとんどです。
もちろん「長く働いてくれたからチャンスを与えよう」ということもあるかもしれません。
しかしソムリエやマネージャーはお店の価値を左右させるほどの重要なポストなため、ただ長くいるからということだけで人選されたのであれば先が思いやられます。
ここでは、もしあなたがソムリエや専門レストランの接客係で生きていこうという場合に、その黎明期にどうやってスキルアップするのかをできる限り丁寧にご紹介したいと思います。
この手のコンテンツはユーチューブでは数字が伸びないので絶対やりませんが、こちらであればご紹介しやすいです。
本編に行く前に内容の根拠のためにすこしだけ自己紹介させていただきます。
僕はユーチューブで最大規模のワインチャンネル”ワインブックス”を運営しています。
自分自身は24歳の時にソムリエ試験に合格し、その後にカナダ、フランスにわたり、帰国後にソムリエコンテストで優勝させていただきました。
その後10年間ワイン界からは完全に離れますが、その際にインターネットと法律を勉強し、そしてワイン界に復帰したという経緯があります。
現在は教育機関として、いつでもどこでも誰でも学習できるワインのオンラインスクール、ワインブックススクールも運営しています。
このサイトでは普段ユーチューブでは伝えきれないことでも積極的にお伝えしやすいので、深い内容、コアな内容であってもお伝えしていくつもりです。
ソムリエの情報というと圧倒的に試験関係の情報ばかりで、合格後のスキルというとほとんど情報がないのが現状です。
もちろんこれは僕なりのスキルの上げ方なので、人それぞれな部分はありますが、その中にあっても納得がいくように解説したいと思います。
長いコンテンツになりますが、自分の経験を全出ししてご紹介しますので、ぜひお暇な時に最後までお読みください。
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目次
ソムリエ試験合格後に必要なスキル
自分の価値は、自分で上げる
いきなり怒られそうな質問をあなたにします。
あなたが仮に飲食店の接客係で働いているとして、果たしてそのお店はあなたを一生雇い続けてくれますでしょうか?
別に街場のレストランでも、大手ホテルでも、外食チェーン店でもなんでもかまいません。
答えは言わなくても大丈夫です。
おそらくほとんどすべての人は「いいえ」と答えるはずです。
今のご時世どれだけその会社が経営的に安定していても、3年先は全く見通しはできないのが実際のところです。
特に飲食業界は利益率が低く、少しの社会的な変動や流行の移り変わりで黒字経営だったところがいきなり赤字経営になるなんてざらにあります。
そうであればどれだけの大手レストランであっても、例えば経営資本が入れ替わってあっさりクビになったり、あるいは望まないポジションにつかされることもあるでしょう。
経営資本が入れ替わるならまだましです。倒産したり、あるいは会社経営が立ち行かなくなって給与の遅配なんてこともあるかもしれません。
こういうことは経験してみないと他人ごとのように感じるかもしれませんが、実際に多くのお店や企業が憂き目にあう現代、決して他人事ではないはずです。
これは何を意味しているのかというと、会社任せの人生では自分ではどうすることもできない局面で打つ手がなくなることを意味しています。
では逆にあなた自身に価値があり、引く手あまたの存在であればどうでしょうか?
別にその会社が倒産してもあなたの価値を欲するところは他にもあるし、そもそも倒産する会社はあなたの価値を生かし切れていないことが多いはずです。
こんなことになる前に声がかかり、あなたにもっと合うステージが用意されることも多いでしょう。
ソムリエに必要なスキルとは?
では、あなたの価値はあなたが上げるとして、具体的にソムリエに必要なスキルとはどのようなものがあるでしょうか?
当たり前ではありますが、お店や企業に必要とされる人が持つスキルにつきます。
そりゃそうでしょう。AさんとBさんで「こっちの方がうちに貢献してくれそうだ」と思ったのがAさんなのに、Bさんを選ぶわけがありません。
仮にBさんの方が話しやすいからとか、あるいは声掛けしやすいからという理由もあると思いますが、それは人間関係によるところになりますので、同じ人間関係であればかならずAさんを選ぶはずです。
では、お店や企業にとって必要とされる人がもつスキルとはどのようなものがあるでしょう?
ここについてはほとんど紹介されたことはないし、もちろんお店や企業でそれぞれ求める人物像は違うので、発信しづらいテーマであることはその通りです。
ただし、そうはいってもある程度の一般的な素地というものはあり、ここは押さえておいて損はありません。
なお、ソムリエといってもいろいろな形態がありますが、多くの場合はお店の支配人やマネージャーとソムリエを兼任することが多いでしょう。
そのためここではソムリエの資格を取った後、飲食業界で働く人の必要なスキルととらえてください。
ワインの知識・経験
これはソムリエであれば当たり前でしょう。ただし試験とは違ってここでは実務のワインの知識が必要になります。
・どの業者から仕入れるのがいいのか?
・どのようなワインがお客様に受け入れられやすいのか?
・幅広いワイン界での人脈があるか?
などの実践的な経験や知識が必要になってきます。
もちろん、ワインの知識があいまいでは先が思いやられます。
ワインリストを作っても誤字だらけであれば、せっかくの上客を逃してしまうことにもなりかねません。
ワインが好きなお客様であれば知識がそれなりになりと物足りないと判断されてしまう可能性も高いです。
少なくともそのお店のジャンルのワインであればだれにも負けないくらいの知識は必要だと考えましょう。
精神的に安定している
これはスキルというよりも素地という部分も大きいかもしれませんが、精神的に安定しているかどうかは、どのお店や企業であっても必須です。
料理人に多いのですが、芸術家肌というか、「とにかくいい料理が作れればどれだけ人間性が欠落していても許される」というのは、少し昔ではあったのは事実だと思います。
本当に恥ずかしいのですが、業界全体としてもこれを許容していたところがあって、現代社会では決して許されないような横柄な態度もシェフだったら許されるというところがあったのはその通りです。
しかし、これがソムリエやマネージャーだと精神的にムラがあったらたまったものではありません。
接客係はお客様がいつどのような時に来るかはわかりませんし、お客様は安定した接客を求めるものです。
決してホームラン狙いや名人芸の接客を求めているわけではないからです。
もしあなたが「ついカッとなると言葉遣いが悪くなる」「忙しいと我を忘れてしまう」場合は要注意です。
新規オープンをする場合に人選をするときに、この性格は必ずマイナスに働きますし、ひどい場合は決してポジションをまかせようとは思われないはずです。
料理の知識が広くて深い
ここはもう少し見直されてもいいスキルだと思いますが、ソムリエの勉強をしているとどうしてもワインや飲料の学習にフォーカスがされがちです。
しかし実務になるとそこまで深いワインの知識は必要ではなく、むしろ料理の知識の方が求められる場合が多いです。
例えば、グリルとローストではどのような食材が合って、どのような効果を料理にもたらすのか?これを的確に答えられる人は、ソムリエであっても少ないでしょう。
グリルであれば香ばしい焼き色と香りを付けることができて、かつ、余計な脂を落とすことができるので、焼きっぱなしの様な料理に向いています。
逆に表面に強い火力を当てることになりますので、塊のままの食材にじっくり火を通すのには向かないということになります。
ローストはオーブンでじっくり火を通すことになりますので、形状を変形させずに火を通すことができるメリットがあります。
グリルの様な網目状の焼きあとではなくて、全体的に色を付け、焼き上げることができるというメリットがあります。
また、アロゼといって、焼き汁を食材の上からかけながら焼くことができるので食材の表面に膜ができて、これが旨味を閉じ込める役割もあります。
素材を塊のまま火を通すのであれば最適な調理法で、グリルとはまた違った魅力がある調理法です。
これらはほんの一部分の知識になりますが、これくらいのことが自然に解説できるようになるくらいの料理の知識経験はどうしても必要になってきます。
西洋料理店であればフランス料理の技法や料理名、ソース名はもちろん、できればイタリア料理やそのほかの料理、加えてガストロノミーの知識は必須でしょう。
顧客管理能力
実際の実務ではここがもっとも求められるといっていいでしょう。
お客様の管理能力ですが、ただ接客すればいいだけではなくて、お客様の性格やイベント、好き嫌いなどが管理出来て、これが実際の営業に反映できる能力です。
言いづらいのですが、例えば接客係にべったり話しかけて特別感を求めるお客様はどこのお店にもいるものです。
こういうお客様が二組いたとして、隣同士のテーブルにしてしまうと必ずどちらかのお客様は不快な思いをすることになります。
男女の場合はもっとも気を使うべきでしょう。
例えば男性客が前回とは違う女性をお連れの場合に、「前回は~のワインを飲みましたよね」なんて話は絶対にしてはいけません。
接待で使う場合とプライベートで使う場合でも接客は変わってきますし、これをお店全体に張り巡らせることになります。
接客能力
接客能力は、単純に接客の作業ができることに加えて、お客様に不快な思いをさせない、マイナス面を作らないなどの能力も含まれます。
ワインを注ぐときの所作だったり、身のこなし、歩き方、目線、話し方、会話の内容、声の大きさなど、数え上げればきりがありません。
僕はレストランで現役のソムリエをしていたころは、営業が始まると全方位から評価されるものだと思って取り組んでいました。
接客技術については追及するとかなり面白いので、これにハマって現場一筋、という人も少なくないかもしれません。
教育能力
接客係は自分一人というお店もありかもしれませんが、基本的にはお店や企業はチームで接客しますので、必ず教育能力は必要になります。
自分一人だけできればいいという考えは必ずバレるので、いわゆる上司としてどのように部下に接するのかも必ず評価基準に入ってきます。
ネットマーケティング能力
ここまで求められることはほとんどないし、さすがにここまでできると逆に独立したほうがいいと思いますが、ねんのため、マーケティング能力も押さえておきましょう。
現在はインターネットを使って、誰でも情報発信者になれる時代です。
お店の情報をできる限り的確に、そして効果的に知ってもらうためにはSNSの活用だったり、ブログでの発信も必要になるはずです。
ですが、ここまでできるのは本当にほんの一握りだし、一つのお店や企業では逆にもったいない人材になりかねません。
独立したり、情報発信者として活動をする方が道は開ける可能性が高いでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?ソムリエ試験合格をして、「少しも毎日が変わらない」という人であれば、少しは参考になる部分があったのではないでしょうか。
ここまでを見てお分かりの通り、ソムリエとしてというよりも一人のビジネスマンとしての素養の方が大きくキャリアアップには左右することが多いです。
「ソムリエなんだからワイン一筋」なひとも、もちろん多くいるのはその通りです。
しかし、もしあなたが一ソムリエとしてではなくて、もっと大きく活躍したい、チャンスをものにしたいとお考えなのであれば、一度これらのスキルを磨いてみてはいかがでしょうか。
短い期間ではなかなか成果が出なかったとしても、長い期間で信頼は醸成され、いざというときに声がかかりやすくなることをお約束します。
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