ヴェガシシリア”ウニコ”とは?ワインの特徴と味わい、合わせる料理

【最終更新日】2022年12月26日

ウニコ(Unico)は、スペイン北西部カスティーリャ・イ・レオン州のリベラ・デル・ドゥエロでつくられる赤ワインで、スペインを代表するワイナリー、ベガ・シシリア(Vega-Sicilia)の旗艦ワインです。

ウニコはベガ・シシリアの代表銘柄であり、スペインワインの最高峰ともいわれる高級ワインのひとつです。

 

ブドウの出来が良い年にしかつくられず、かつ10年以上の熟成を経てからリリースされるため、市場での流通量も決して多くありません。

「スペインのラトゥール」や「スペインのロマネ・コンティ」などとも賞されています。

 

語り継がれる1964年ヴィンテージは、約12年の熟成を経て1976年にリリースされましたが、オークションで価格が100倍にもなりました。

ウニコの名前には「UNICO(=ユニークな、唯一の)」という意味があります。

まさにベガ・シシリアの特別な存在としての名を冠したワインなのです。

ウニコは世界でも唯一無二の品質を誇る最高の名酒であるにも関わらず、価格はおおむね6万円前後と安定しています。

同じ評価を受けるワインがこの倍以上の価格であることも多いのですが、ウニコについては高騰せずにいることがうかがえます。

生産本数は8万本ほどで、いわゆるカルトワインほどの生産量の少なさではありません。

派手なキャッチコピーもなく、堅実なワイナリー運営によるものなのかもしれません。

 

 

ヴェガシシリア ウニコの基礎知識

ブドウ品種とワインの特徴

ウニコは、スペインを代表する「テンプラニーリョ(ティント・フィノ)」という黒ブドウを主体として、カベルネ・ソーヴィニヨンがブレンドされています。

ベガ・シシリアは、200ヘクタール以上(東京ドーム43個分の広さに相当)の広大な畑をリベラ・デル・ドゥエロに有していますが、ウニコに使用されるブドウは厳しく選果されています。

そのため収穫量はわずか20ヘクトリットルほどで、一般的なワイナリーの半分以下の量となっています。

 

また、ウニコとしてリリースされるワインは、最低でも10年の熟成期間を経ています。

最初に大樽で1年、小さな新樽で2年、さらに古樽で4年の年月をかけて熟成されます。

ヴィンテージによってはさらに長い熟成期間をかけることもあります。

 

そうして熟成されたワインはボトルに瓶詰めされ、さらに3年以上の瓶内熟成を経てようやくリリースとなります。

自社畑のブドウのみを使用し、かつ良年にだけ生産され、さらに10年以上の熟成を経てリリースされるという、気が遠くなるような手間ひまをかけながら強いこだわりを持ってつくられているワインです。

 

 

ウニコの味わい

色合いは、成熟した黒系ベリーの深い色調に加え、熟成を感じさせる若干のガーネットを含みます。

ブラックチェリーやブラックベリーを濃縮させたような香りに、ナツメグやリコリスなどのスパイス、杉やなめし革を思わせる香り。
嫌味なく香るバルサミコ酢のニュアンスなども加わり、複雑さや奥行きを感じます。

口に含むと、凝縮感のある果実味と繊細ながらも輪郭を感じさせる酸味、なめらかできめ細かなタンニンとミネラルが、力強い骨格とエレガンスを感じさせる味わいです。

熟成による落ち着きのある旨みと長く続く余韻も伴い、スペインワインの伝統と風格を表現したようなワインです。

 

 

産地と地勢


ベガ・シシリアが本拠地としているリベラ・デル・ドゥエロとは、どのような産地なのでしょうか。検討してみましょう。

 

リベラ・デル・ドゥエロはスペイン内陸の北部、カスティーリャ・イ・レオン州に位置する産地です。

東西にドゥエロ川が横切っており、この川に沿うように約120キロにわたって270を超えるワイナリーが存在しているワインの銘醸地です。

1982年には原産地呼称(DO)に認定され、赤ワインにはテンプラリーニョを75%以上使用する規定が定められています。

 

標高は750~900メートルのメセタといわれる高原地帯であり、日照時間は年平均2400時間と太陽に恵まれた土地となっています。

一方で、冬季は気温がマイナス10度以下、夏季には気温40度を超え、昼と夜との気温差が20度以上に及ぶこともあり、年較差と日較差がともに激しい土地でもあります。

この厳しい気候が、ブドウに糖度と酸、凝縮感を与え、骨格のあるワインをうみだしているのです。

 

 

ベガ・シシリアの歴史・起源

1848年、スペインの農場主であるトリビオ・ルカンダ氏がリベラ・デル・ドゥエロに農地を取得し、1864年、ボルドーでワイン造りを学んだ息子のエロイ・ルカンダ氏によって、ワイナリーとしてのベガ・シシリアが設立されました。

このとき、エロイ・ルカンダ氏はフランスから持ち帰ったブドウの苗をこの土地に植えました。

その品種が、今でもワインづくりに使用されているカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、マルベックというフランス原産の3種類です。

 

のちにテンプラニーリョも加えたブレンドワインがつくられるようになり、1929年、バルセロナで行われた万国博覧会で金賞を受賞します。

これを機に「ベガ・シシリア」の名が世に知れ渡ることとなりました。

 

1982年にはリベラ・デル・ドゥエロが原産地呼称(DO)に認定され、同年、ベガ・シシリアの経営は現在のオーナーでもあるアルバレス家に移りました。

アルバレス家の大規模な投資によって、農地の拡大や新設備の導入、醸造施設の拡充が行われ、より高品質のワインをつくることに成功します。

今や確固たる地位を築いたベガ・シシリアとスペインワインの至宝ともいわれるウニコですが、先進的な技術を取り入れながらもクラシックなスペインワインの味を今も守り続けています。

 

 

 合わせる料理、ペアリング

ウニコは最低でも10年は熟成させてからリリースされる、世界でも類をみない長期熟成型のワインです。

さらに、リリース後はその飲み頃まで20年から30年は待ちたいともいわれています。

また、テンプラニーリョが主体となっていることから、しっかりとした果実味もあります。

果実味と熟成感の両方を伴うフルボディの赤ワインをベースに考えてみましょう。

 

ここはやはり、スペインの郷土料理、あるいはそれに近い料理とのペアリングが楽しみやすいでしょう。

現地の名物料理として、子豚や子羊のローストがよく知られています。

例えば、バルサミコソースをかけたラムチョップのローストなどは相性が良く、しっかりとした味わいの赤身肉とバルサミコ酢の風味が、ウニコの果実味と熟成感に同調してくれることと思います。

 

ほかには、ジビエ系のお肉の煮込みや、きのこのソテーなどとも良い同調のペアリングになるでしょう。

このような長期熟成型の高級ワインとなると、料理の素材やワイングラスにも少し良いものを用意されてみてはいかがでしょうか。

ワインの格にあわせて食卓にも特別感を持たせることで、気分も盛り上がってより一層楽しい食事になることは間違いありません。


 

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