カーブドッチ ワイナリー訪問レポート!ブドウ畑・醸造所・ディナー・朝食

【最終更新日】2024年8月1日

日本海まで約1.5km、海と砂に囲まれた新潟市西蒲区角田山の麓の広大な土地に

5つのワイナリーが集まる「新潟ワインコースト」。

 

その中心的なワイナリーであるカーブドッチワイナリー(CAVE D’OCCI)は、「国産生ブドウ100%かつ、欧州系品種100%のワインを造る」という目標を掲げ、1992年に設立されました。

以来30年にわたり、砂地の土壌改良や気候風土に適した品種探しなど、多くの試行錯誤を重ね、華やかな香りと繊細な味わいが特徴の個性的なワインを造り続けています。

 

また広大な敷地内にはワイナリーの他、2つの宿泊施設、レストラン、ショップ、ライブラリーカフェやスパまでそろった充実の温泉施設が備わっており、ワイナリーステイと美食と温泉、その全てを叶えてくれるワイン好きの聖地です。

 

【日本ワイナリーを巡っています】

 

 

カーブドッチワイナリー訪問記

ワイナリーツアー

ワイナリーツアーは2日前までの事前予約制。

11:00~と宿泊者限定の14:45~で毎日2回開催されています。

見学のみは2200円、11時開始の回にはペアリングランチ付き5500円のコースもあります。

 

ワインショップのカウンターで料金を支払い、ツアーはスタート。

まずはワインショップを出てすぐ、角田山の麓に広がるブドウ畑から始まります。

カーブドッチワイナリーの周辺に広がるワイン畑は約9ha、東京ドーム2個分の広さです。

海から約1.5㎞、風で飛ばされてきた砂が堆積する砂質土壌です。

 

通常ブドウは植えてから3~4年で収穫されますが、ミネラルの少ないこの砂地の畑では成長が遅く、収穫は5年目から行われているそうです。

 

豪雪地帯のイメージが強い新潟県ですが、日本海を北上する暖流の影響もあって、日本海沿岸部の平野に広がる新潟市では、雪は降もるものの、積もることはそう多くないのだとか。

また4月から10月までの期間では、日照時間は東京を上回り、夏はとても暑いのだそうです。

植えられている品種は欧州系品種20品種ほどで、創業と同時期に植えられた樹齢30年になるカベルネ・ソーヴィニョンをはじめ、シャルドネ、ピノ・ノワール、アルバリーニョなどが主体です。

垣根仕立てで栽培されています。

 

これまで40品種の栽培を試した結果、適正品種として、ゆくゆくはアルバリーニョが主要品種になってくると思いますとのことでした。

もっとブドウ栽培に適した土壌を選んでワイナリーを造るべきだったのにと思われる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。

しかし、ワイナリー設立の目的が、「ワインを楽しみに来てもらう」空間を造る事だったそうで、ブドウ栽培の歴史はないけど自然豊かで風光明媚なこの地をワイン造りの地として選ばれたとのことでした。

 

そして試行錯誤の結果、設立から30年たった今、やっとワインの方向性が決まりつつあるそうで、これからの展開がとても楽しみです。

また見渡す限りの広大な畑ですが、自社畑のブドウはリリースするワインの3~4割程度で、あとは県内外の契約農家さんのブドウを使用してワイン造りを行っているそうです。

 

畑の側にはたくさんのバラが植えられています。

かつてバラはブドウのかかる病気に先行してかかる為、病気のセンサー的な役割として植えられていたそうです。

今はバラを見てブドウをケアするよりも鑑賞用の意味合いの方が大きく、6月の開花時期にはバラを目当てにたくさんの人が訪れ、より一層ワイナリーが賑わうのとのことでした。

 

次に案内されたのは創業時最初に建てられた一番古い建物である醸造棟。

元々は松林を切り開いて建てられたのだそうです。

現在は増築もされ、より多くのワインを醸造できるようになっています。

醸造においては、工場全体の冷却、ブドウ自体の冷却、培養酵母や培養乳酸菌の利用などにより悪性酵母やバクテリアの活動を抑えるなど、亜硫酸塩の使用量をわずかにするための工夫が様々に行われていました。

 

見学の時期によっては圧搾や発酵中の様子など見学できる内容は変わるそうなので、いつ行ってもワイン造りのさまざまな側面が学べそうです。

 

 

貯蔵庫には各オーク樽メーカーの刻印が施された樽が整然と並んでいます。

熟成用の樽はほとんどがフランス製のオーク樽。

熟成は各メーカーの樽の特徴を選んで行うのだそうです。

 

次は地下セラーへ。

醸造棟からワインショップ、レストランカーブドッチまで地下でつながっています。

カーブドッチワイナリーでは熟成期間はほとんどが1~2年、その後瓶詰めされます。

 

年間生産量は9~10万本ほどですが、保管スペースは5~6万本分。

そこまで長期熟成型の土壌では無いため、若いビンテージのうちにどんどんリリースするスタイルで、セラーの中のバックビンテージはごくわずかなのだとか。

 

味の経年変化を確認するためわずかに保管されたバックビンテージのワインは、ほぼ市場には出回っていませんが、ワイナリーのレストランで頂くことができます。

その希少な熟成ワインをいただくこともワイナリーを訪れる目的の1つになりそうです。

 

4つのスタイルのワイン

現在、同ワイナリーでは4つのスタイルでワインがリリースされています。

SABLE(サブル)

ワイナリーの砂質土壌そのものを表現したカーブドッチのフラッグシップワイン。

カベルネ・ソーヴィニヨンなどボルドー系品種を中心にアッサンブラージュされており、砂地の特徴らしく軽やかで上品なワインです。

 

セパージュシリーズ

CAVE D’OCCI+ブドウの品種名のつくセパージュシリーズ。

クラシカルで、テロワールを表現した華やかな香りと軽やかさ、でも薄さを感じない緻密でキレイな味わいのシリーズです。

 

どうぶつシリーズ

醸造家掛川史人さんが趣味で作っているシリーズ。

かわいらしい動物のエチケットはご友人のみずこしふみさんの手によるものだそうです。

生産量がとても少ない上、リリースタイムはバラバラなので、見つけたら即買の人気シリーズです。

 

FUNPY

生食ブドウで造られる、楽しくてハッピーなワインをコンセプトに造られているシリーズ。

 

 

ワインを試飲!

見学ツアー後はワインショップに戻り、テイスティングです。

今回はどうぶつシリーズから「むささび」とフラグシップワインの1つ「Sable〈赤〉2021」の2つを試飲させていただきました。

むささび

カベルネ・ソーヴィニヨン主体のブラン・ド・ノワールのスパークリングワイン。

赤ワイン用のブドウで白のスパークリングワインを造る意外性と、飛ばなさそうなのに軽やかに飛ぶムササビのイメージと重ねあわせてのネーミングだそうです。

 

酸が穏やかな新潟のブドウではシャンパーニュのような キリッとしたワインにはなりませんが、穏やかな酸とシードルのようなリンゴの香りと爽やかさ、むささびのようにふわっとした軽さが楽しいワインです。

 

デゴルジュマン(澱引き)を行っていないので、最後にわずかな渋みを感じ、軽やかさの中にも厚みのあるスパークリングワインです。

 

SABLE〈赤〉2021

ワイナリーのフラッグシップワイン。

カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルドをアッサンブラージュすることで、ブドウ品種の個性より砂質土壌の特徴がいかされたワインです。

しっかりした華やかな香り、明るいルビー色が特徴で、穏やかな酸やきめ細やかなタンニンは色々な食事に合わせやすそうです。

 

約1時間のツアーでしたが、カーブドッチのワイン造りに対する思いや、新潟ワインコーストのテロワールを感じることができる体験でした。

HPから予約できますので、ワイナリーに行かれる際にはぜひオススメのアクティヴィティです。

予約:https://www.docci.com/enjoy/winerytour/

※カーブドッチワイナリーの2つの宿泊施設に宿泊される方は宿泊予約ページから予約可能です。

 

 

ワイナリーステイ

そしてカーブドッチワイナリーと言えば滞在するワイナリー。

広大な敷地の中にはレストラン、温泉施設、スパの他、ワイナリーステイを満喫できるよう2つの宿泊施設が存在します。

1つは気軽に温泉やスパ、ワイン、読書を楽しめる「ヴィネスパ」、そしてもう一つが2019年にオープンした「ワイナリーステイ トラヴィーニュ(以下トラヴィーニュ)」です。

 

今回はよりディープに新潟ワインコーストを満喫するため、トラヴィーニュにお邪魔させていただきました。

市街地からは少し離れているため、新潟駅から出ている無料の送迎バスを利用して、50分ほどで到着します。

 

TRAVIGVE

ホテルの名前はラテン語由来の「〜を越えて、抜けて」を意味する“TRANS-“と「ブドウ畑」“VINGE”を合わせた造語で、「ブドウ畑を抜けて」の意味。

名前の通り、角田山の麓まで広がるブドウ畑の奥に建つ、3階建てのこじんまりしたホテルです。

海外の邸宅のようなホテルのエントランスを抜け、開放的なラウンジでアルバリーニョのブドウ畑を眺めながら、ウェルカムドリンクのスパークリングワインをいただきます。

 

家具やインテリアが部屋ごとに異なる10室のゲストルームには「かわうそ」や「ぺんぎん」などワインのどうぶつシリーズの名が付けられており、インテリアはそれらのどうぶつをイメージした家具や小物でまとめられています。

この日のお部屋は2階のドレープ・ルーム「ふらみんご」。

女性のひとり旅をイメージしたゲストルームで、ベッドには柔らかなドレープの天蓋が架けられ、フラミンゴの濃いピンクをイメージしたルームカラーとグレイッシュな家具がリゾート気分を盛り上げてくれます。

こだわりは調度品やアメニティにも。

ベッドはSimmons Executive。

肌に優しいダブルガーゼのパジャマ、タオルは今治タオル、バスルームのアメニティはすべて地球環境に配慮した製品づくりが人気のアメリカの化粧品ブランドAVEDAです。

また部屋には時計もテレビもなく、ゆっくりとワインと向き合うことができます。

 

ディナーが始まるまでは自由時間です。

チェックインの際に渡された、ワイナリーのイラストマップを持って、周辺のぶどう畑やワインコーストに点在する5軒のワイナリーへ散策に出るもよし、敷地内の温泉スパ「VineSpa」でさっぱりと気分転換したり、カフェやショップ巡りも楽しめます。

特にマルシェにはカーブドッチのワインはもちろん、その他ワインコーストにある5軒のワイナリーのものも揃っており、5つのワイナリーを回りきれなくても、ワインを試飲したり、購入できるのでワイン好きなら必ずチェックしたいお店です。

 

 

ディナーはフレンチとワインの充実

夕食はレストラントラヴィーニュでフレンチとワインのペアリングディナーです。

スタッフの方に案内されながらロビーテラスから中庭を抜け、隣接するレストランへ移動します。

しかし案内されたのはレストランの地下。

棚に並ぶワインを眺めながらひんやりとした空気の中、アペロタイムが始まります。

ワイン樽の上にはココットに入ったアミューズ、リエット入りシューとクロケット、そしてそれにあわせるアペリティフはどうぶつシリーズから「むささび」です。

 

アペロタイムの素敵な演出の後はレストランへ移動し、コースが始まります。

新潟の風土を楽むフレンチには、それに合わせたワインペアリングコースがオススメ。

もちろん全てカーブドッチワイナリーのワインです。

 

スタンダードなペアリングコースは、ホテル予約時に選べるペアリング6種(¥6,600)ですが、当日ヴィンテージワインを中心としたプレミアムワインのペアリングコース(¥8,800)に変更することも可能です。

今回はスタンダードな6種を楽しみました。

季節のコンソメと天然酵母パンに合わせた軽快な泡の「ブラン・ド・ブラン」。

美雪鱒のショーフロア・春の豆サラダと「アルバリ-ニョ ルノー 2021」。

石だこの赤ワイン煮と金柑のコンポートには「ツヴァイゲルドレーベ 2021」。

 

八色しいたけのベニエ・佐渡産カキのタルタルソースには砂地で育った優しい「カベルネ・ソーヴィニヨン 2021」のハーブと鉄分のニュアンスがマッチします。

鮮魚のヴァプール・サフラントマトのナージュ仕立てと「ノンバリックシャルドネ 2021」。

 

メインのカベルネ・ソーヴィニヨンの枝葉で燻した牛肉のローストにはフラッグシップワインの「サブル赤 2021」を合わせます。

 

カーブドッチワイナリーのワインは単体で頂いても優しくおいしいのですが、お料理と一緒にいただくことでさらにテロワールを感じる素敵なペアリングコースでした。

 

デザートまで終えたらホテルのラウンジに移動し、夜のブドウ畑の景色を眺めながら食後のお茶とプティフールをいただきます。

ラウンジにはワインやドリンクを楽しめるバーカウンターがあり、もう少しワインを楽しみたい方は、季節のおすすめワインやホテル滞在者しか味わえないオリジナルのブランデーなどをオーダーすることもできます。

 

朝食も優雅に

優雅な気分でゆっくり休んだ翌朝も、新潟のこだわり食材で構成された王道のホテル朝食を楽しむことができます。

 

新鮮な野菜やハーブとフルーツのサラダで始まり、敷地内にあるパン工房で焼く天然酵母のパン、地元・西蒲区の越後もちぶた100%の自家製シャルキュトリー、お好みの調理法を選べる卵料理、近隣農家から届くジャムや牛乳、ヨーグルトとついつい食べ過ぎてしまう充実の朝食です。

 

 

日本であって日本でないような非日常感。

ワイナリーを囲む自然とテロワールを感じさせるワイン、ワインと調和する美食、そしてここちよい空間演出とサービス。

本当にワイナリーに泊まる幸せを実感できるオススメの宿です。


 

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